2020年7月6日

不動産業界で働こうとする時に持っておいた方がいい資格がいくつかあります。

その中でも最も重要だといわれている資格が宅地建物取引士です。

不動産の事務所には5人に1人は宅地建物取引士がいなければいけません。

さらに宅地建物取引士でなければできない業務などもあるので、宅地建物取引士の資格を持っていると、不動産業界で仕事をするときには大変有利だともいえます。

では、宅地建物取引士の仕事内容というのはどのようなものなのでしょうか。

また、どのような役割を求められて、どんな求人があるのでしょうか。

詳しく解説していきましょう。

宅地建物取引士求人のおおまかな仕事内容

おおまかな仕事内容

ひとことで、不動産業といってもいくつかの種別に分けられ、行っている業務も異なります。

大まかに分類すると、賃貸、売買、管理の3種類に分けられます。

その中で、宅地建物取引士の仕事はお客様との契約関係に関わります。

例えば、アパートを貸すときや不動産を購入、売却するときにそれぞれ賃貸借契約書や売買契約書を交わしますが、不動産を賃貸する時や売買する時、対象の不動産にとって重要だと思われる内容を契約前に説明しておかなければいけません。

この重要事項説明書の説明というのが宅地建物取引士にとって大きな業務のひとつです。

例えば、賃貸の場合ならば、アパートの広さや、家賃、契約期間など、前もって借りる人が知っておいた方がいい内容です。

売買の場合なら、不動産の価格や広さ、用途地域などといった内容です。

これを重要事項説明書という書面で説明しなければいけません。

賃貸の場合だと2ページ程度の書面で表記されています。

売買の場合だと10ページ程度の書面で表記されている事が多いようです。

重要事項の説明は宅地建物取引士の資格を持っていないとできません。

宅地建物取引業法の第35条に重要事項の説明と記名、押印をしなければならないと記されています。

賃貸契約にしろ、売買契約にしろ、重要事項説明書を説明し、賃貸の場合だと借主、売買の場合だと買主に説明を受けたことの承諾をもらわなければ契約ができないのです。

つまり、宅地建物取引士がいなければ契約が出来ないので、不動産会社では宅地建物取引士はかなり重宝されます。

他にも宅地建物取引業法第37条に契約内容記載書への記名・押印という条文があります。

重要事項説明書を説明した後、賃貸ならば賃貸借契約書、売買ならば売買契約書を交わしますが、契約の締結も宅地建物取引士にとって大切な業務です。

契約書の説明や記名押印は宅地建物取引士でなくてもかまいませんが契約書自体には宅地建物取引士の名前がある書面でなければいけません。

宅地建物取引士は不動産の契約関係においてかかわる仕事内容だといえます。

宅地建物取引士求人ではどういう役割を求められる?

宅地建物取引士に求められる役割とはどのようなものなのでしょうか。

その前に宅地建物取引士の資格がどのような趣旨で設立されたのかについて考えてみましょう。

宅地建物取引士とは、宅地建物取引業法に基づき定められている国家資格者のことを指します。

不動産会社が不動産の売買や交換、賃貸などの取引を行う場合、購入者等の利益の保護及び円滑な宅地又は建物の流通に資するよう業務を行わなければいけません。

そして、公正かつ誠実に法に定める事務を行うために設立された不動産取引法務の専門家という位置づけなのです。

不動産の専門家として、不動産の流通や契約をスムーズに行うことを求められています。

宅地建物取引士求人にはどんな種類があるの?

宅地建物取引士の求人にはどのような種類があるのでしょうか。

不動産業界にとって宅地建物取引士の有資格者はとても重要視されているので求人も多いといえます。

いくつかの種類を紹介します。

宅地建物取引士求人の募集でよくある施設のパターン

賃貸仲介

一番多いと思われるのが賃貸仲介における募集です。

お部屋探しの方に対して部屋を決めたあとの契約関係に関わります。

ある程度、重要事項の説明書類などは統一されており、物件ごとに契約内容が大きく異なるということはないでしょう。

同じような内容を説明することが多いのですが、稀に特殊な物件があって、説明に困る場合などもあります。

売買仲介

不動産の売買を行う際の契約関係に関わります。

売買においては、調査項目が非常に多く、物件ごとに内容が大きく異なっています。

賃貸の説明よりも難易度は高いといえます。

全く未経験からでも問題はないのですが、ある程度キャリアのある人材を募集しているケースが多いようです。

自社物件仲介

会社が持っている不動産物件を売買したり、賃貸したりする時に契約関係を問題なく取り仕切る目的で、宅地建物取引士を募集するケースがあります。

あまり頻繁に取引が行われるわけではないですが、自社財産の管理になるので知識と経験が豊富な人材を求めているケースが多いようです。

宅地建物取引士求人でよくある募集内容とは?

宅地建物取引士が求人されている場合、よくあるような募集内容というのはどのようなものがあるのでしょうか。

不動産関係全般で宅地建物取引士でないといけないという求人そこまで多くありません。

しかしその分、宅地建物取引士の資格を持っていると不動産業界での求人募集にはとても大きなプラスポイントです。

なにせ、宅地建物取引士が一定以上いないと会社が運営できないことと、契約に伴う重要事項の説明は宅地建物取引士でないとできませんので、多ければ多いほど求人している会社としては助かります。

募集内容を見ていると、募集条件に宅地建物取引士というのは多くはないのですが、優遇や歓迎といった内容で掲載されています。

つまり、不動産業界に就職や転職する際にはとても強みになる資格です。

給与相場

不動産業界の給与相場として営業の場合300万円から500万円というのが一般的な相場でしょう。

不動産賃貸も不動産売買も歩合給制度を行っている不動産会社も多く、基本給は少ない代わりに、とってきた契約数に応じてインセンティブをつけています。

この場合、給与は大きく変動し、年収で1,000万円を超えてしまうケースも少なくありません。

宅地建物取引士は、更に資格給という名目で給与に反映されている場合が多いです。

月1万円から3万円、多い所では5万円を資格手当として給与に反映しています。

そのため、一般の営業職よりも高い給与水準になっているのも宅地建物取引士の特徴といえます。

勤務時間や休日、残業

勤務時間や休日、残業について触れてみましょう。

勤務時間帯は主に10時から6時くらいが一般的な不動産会社の勤務時間といえます。

前述しましたが、宅地建物取引士は契約関係において大切なポジションです。

お客様が賃貸する部屋や、購入する不動産を決めたあとの契約関係で存在感を発揮します。

そのため、お客様の都合に合わせて勤務時間は変わってきます。

お客様が夜しか来店できないときには残業して契約の応対を行わなければいけません。

そのため、残業も少なくないといえます。

また、お客様が部屋探しや不動産購入の検討をするときは休日が多いです。

せっかくお部屋を決めたのに、宅地建物取引士がいなかったために契約ができずに、日を空けてしまうと心変わりしてしまうかもしれません。

会社としては、契約まで早く決めておきたいので、できるだけ宅地建物取引士にお客さんの来店が最も多い休日にいてほしいと思っています。

なので、休日の出勤も比較的多いといえます。

福利厚生

休日の出勤や残業など、宅地建物取引士になると仕事が大変だなと思うかもしれません。

それだけ、不動産業務において宅地建物取引士は重要な役割を担っているのです。

宅地建物取引士に辞められてしまっては、会社としても大きな損失になってしまうので、福利厚生には力を入れている会社も多いようです。

休日の休みが多い分、きちんと平日には休みが取れて、年間の休日はきちんととれるように会社も配慮しています。

どちらかといえば、不動産業界は体育会系のような経営をされている会社が多く、なかなか休暇が消化できないという面がありました。

残業も多く、会社に長時間拘束されるといった側面が強かったのですが、働き方改革以降、不動産業界も大きく体質改善されたように感じています。

特に、会社にとって貴重な存在である宅地建物取引士は気持ちよく仕事ができるように福利厚生が手厚くされているといった印象です。

勤務場所

宅地建物取引士が働く環境について解説していきましょう。

前述しましたが会社の営業店舗において、5人に1人は宅地建物取引士が常駐していなければいけません。

不動産会社の店構えというのは各々の会社によって様々です。

路面型もあればビルに入っている店舗もあります。

人数もこぢんまりと経営している会社もあればスタッフがたくさんいる場合もあり、どの勤務場所においても宅地建物取引士は常駐しておかなければいけません。

つまり、勤務場所については、働いている会社のスタイルによって異なるのではないかといえます。

求められる人物像

宅地建物取引士は不動産業界にとってとても貴重で重要なポジションです。

では宅地建物取引士に求められる人物像はどのようなものなのでしょうか。

不動産において、知識や経験を有している

不動産業務の中で特に重要な契約部分についての責任を担わなければいけません。

不動産の契約において、書面に名前が明示されていますので、契約期間内に契約書の不備や説明しなかった重要事項でトラブルが起こった場合に、契約に関わった宅地建物取引士が大きな責任を伴います。

スムーズに契約が進み、契約成立後も大きなトラブルがないように、しっかりと契約書の記載や重要事項の説明を行うためには不動産においての知識や経験がとても重要です。

ただテストを通っただけでは宅地建物取引士として業務を行えません。

不動産会社に勤務経験が2年以上若しくは、所定の講習を受けて、知識、経験を有しているとみなされなければいけませんので、知識と経験は大きく求められる点です。

コミュニケーション能力の高い人

宅地建物取引士は、契約関係において大きな役割を担っています。

契約の当事者同士は、不動産の契約は初めてであまり詳しくない人が多いのです。

しかも、売買ともなると、大きな金額がかかることもあり、とても緊張している方も多いのです。

そのため、分かりやすく双方に伝えることができて緊張を解きほぐすことができるようなコミュニケーション能力の高い人が求められています。

コミュニケーション能力が低いと、相手の感情がうまく理解できず、契約時の説明もうまくいかないものになりがちです。

信頼されて契約ができるようなコミュニケーション能力が求められています。

必要なスキルや資格、経験

宅地建物取引士に必要なスキルや資格とはどのようなものがあるのでしょうか。

宅地建物取引士の資格自体が不動産会社で勤務する場合は、とても大切な資格です。

まずは、宅地建物取引士の資格を持つことが一番重要だといえます。

その後、マンション管理士や、管理業務主任者、不動産鑑定士など、不動産事業に特化した資格があると尚役に立つでしょう。

経験も必要なのですが、例えば売買経験があって、賃貸の仕事をすることになっても同じ不動産業とはいえ内容は大きく異なります。

賃貸経験があるならば、賃貸の仕事を行い、売買経験があるならば売買の仕事を行った方が今までの経験を役立たせます。

宅地建物取引士のおすすめ求人のポイント

宅地建物取引士を求人されている場合、おススメのポイントがあります。

手当が優遇されていること

宅地建物取引士は資格手当として給与に加算されます。

資格手当の額については会社によって異なるので、資格手当がいい会社を選びましょう。

前述しましたがおよそ、1万円から3万円が相場ですので、相場より高い求人があればチェックしておけばいいでしょう。

休日がしっかり取れること

宅地建物取引士が少ない様な会社だと、一人でたくさんのお客様を応対しなければいけません。

宅地建物取引士しかできない仕事がある以上、仕方ないのですが特に12月から3月の繁忙期は多くのお客様の応対が必要になり、休日もままならない宅地建物取引士が数多くいます。

求人の際は、しっかりと休みが取れるのかどうかを確認しておくことが大事です。

有休消化がスムーズにできるのかどうかといった点も大きなポイントでしょう。

宅地建物取引士求人の雇用形態による違い

基本的に、宅地建物取引士を雇用する場合は、正社員として雇用することが一般的です。

前述したように5人に1人は宅地建物取引士が必要ですので、基本的には正社員として採用しないと、すぐに退職されてしまっては、会社を開くこともできなくなってしまいます。

雇用形態も宅地建物取引士の方が優遇される可能性が高いといえます。

宅地建物取引士求人についてよくある疑問

実際に宅地建物取引士の資格を持っていて、不動産業界に就職や転職をしようとした場合、どのような点に疑問を感じるのでしょうか。

ここからは求人についての疑問点などをいくつか挙げて解説します。

未経験でも問題ないか

できることならば経験があった方がいいですが、未経験といっても全く問題ではありません。

実際に未経験から入社してくる人が多く、門戸が広いことも不動産業界の魅力のひとつなのです。

仕事量は多いのか

一般的に賃貸の不動産会社の場合は季節に大きく左右されます。

前述しましたが、12月から3月は繁忙期といわれるシーズンで、多くのお客様との取引が見込まれます。

繁忙期は、かなりの激務で大変ですが、他の月はそう忙しいというわけではありません。

繁忙期の多数のお客様をどう対応していくかによって、仕事量は大きく変わると思われます。

まとめ

宅地建物取引士は、資格の重要性などから不動産会社には貴重な人材として求められています。

不動産業界で働きたいのであれば、宅地建物取引士の資格を取ることが一番の近道です。

また、お客様の反応も資格を持っているかいないかで変わります。

お客様は、資格を持っているプロフェッショナルにお願いしたいと思うものです。

宅地建物取引士の資格は持っているとメリットが多く、デメリットはほとんどありません。

求人にも有利だし給与も上がります。

不動産会社の社員がほとんど資格を持っているかといえばそうでもなく、最低限の5人に1人程度の割合で経営している会社も多いのです。

この点からも宅地建物取引士の重要性が分かります。