2020年10月21日

司法書士求人に応募したい方は必見です!

司法書士と聞いて行政書士と何が違うのか、そもそもどんな業務なのか、様々な疑問が出てくることと思います。

ここでは司法書士の仕事内容にどのようなものがあるのかを説明していきたいと思います。

また、司法書士として働く上で、現在の司法書士を取り巻く労働環境などをお伝えしたいと思います。

あなたの参考になれば幸いです。

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司法書士の業務内容

司法書士の業務としては、一般的な職業と違い、司法書士法という法律に定められています。

以下に、司法書士法に定められた業務のうち、主要業務についてご説明します。

飽くまで主要業務ですので、下記のもの以外にも様々あるわけですが、あまり取り扱われていないものは説明を割愛します。

不動産登記業務

一般的な司法書士の業務のうち、最も仕事として依頼されることが多く、また、事務所経営の柱となっていることの多い業務が不動産登記業務です。

「登記」と聞いてもなかなか何を指しているのかわからない方も多いかと思います。

登記というのは、詳しく説明すると難解なものですのでイメージのつきやすい言い方をすると、不動産登記でしたら、いわゆる「名義変更」のことです。

不動産を相続した場合、不動産を買った場合、不動産の名義を不動産を相続した方や不動産を購入した方のものに変更するのが通常ですが、それも登記(申請)をしているのです。

何も不動産登記というのは、不動産の名義を変えるだけではありません。

住宅ローンを銀行から借りたら銀行は必ず購入する住宅を担保に取ります。

この場合の担保の種類は、通常「抵当権」というものです。

この抵当権を購入する住宅に設定することも登記の代表格の1つです。

代表格のうちのほんの少しだけを紹介しましたが、不動産登記の種類だけで数10種類もあります。

それらの登記のうち、どの登記をすべきなのか判断・助言し、依頼者を代理して適切な登記申請をするのが司法書士の主たる業務の1つです。

商業登記業務

不動産登記業務の次に中心業務と言えるものは、商業登記業務です。

この場合の「登記」のイメージは先に話しました不動産登記とは全く違います。

使う法律も勿論違います。

不動産登記が基本的に民法と不動産登記法をもとに仕事をするのに対し、商業登記は主に商法・会社法と商業登記法をもとに仕事をすることとなります。

商業登記はイメージが付きにくいのですが、比較的わかりやすいものとしては、会社の設立登記があります。

会社というのは、登記をして初めて出来上がるものです。

つまりは、会社の設立登記の仕事は、会社を作る仕事ということになります。

他には、会社の役員(取締役、代表取締役、監査役等)が変わった場合に、役員を変更する旨の登記をするといったものもあります。

また、規模の大きいもので言えば、会社と会社の合併を手掛ける場合も最終的には登記が必要となります。

会社が株式を新しく発行するときもやはり登記をします。

以上のように、会社が活動をしていくうえで、商業登記は切っても切れないものとなっています。

この商業登記の申請を代理をするのも司法書士の主要業務の1つです。

訴訟代理業務

これは今まで説明してきました登記業務とは毛色が異なります。

平成14年の司法書士法一部改正以降、司法書士の業務として追加されたものです。

元々この訴訟代理業務というものは、弁護士が独占しており、他の者が仕事として訴訟代理や示談交渉、法律相談をすることは禁止されていました。

それが当時の社会情勢などを加味した司法制度改革の一環として、簡易裁判所の管轄内のもの(金額にして140万円以内)に限り、一定の研修を受け試験に合格した司法書士に解放されたというものです。

この業務は先程も少し言いましたが、司法書士試験に合格しただけではおこなうことができません。

司法書士試験に合格し、特別研修という研修をみっちり受け、更に認定考査という試験を合格した司法書士(通称「認定司法書士」と呼ばれます。)のみに認められる業務です。

ですので、司法書士全員ができる仕事というわけではありません。

この業務で一番有名なのは、債務整理(のうちの「任意整理」と呼ばれるもの)ではないでしょうか。

これも示談交渉・法律判断や場合によっては、相手から起こされた裁判に対応することも必要となるため認定司法書士である必要があります。

他に、ほぼなくなりはしましたが、いわゆる過払金請求というのも有名ですね。

勿論、任意整理や過払金請求だけしかできないわけはなく、一般的な民事裁判であっても、価格が140万円以内(厳密には140万円といってもその算定方法が色々あるので一概に140万円というわけではないのですが)であれば業務として取り扱えます。

例えば、敷金返還請求、残業代請求、交通事故などの損害賠償請求、クーリング・オフなどによる不当利得返還請求などその内容は様々です。

裁判書類作成業務

これは似ているようで、訴訟代理業務とは大きく違います。

裁判所に提出する書類を作成する仕事です。

依頼者に代わりに示談交渉などはできません。

その代わり、認定司法書士でなくても全ての司法書士がおこなうことができます。

そして、簡易裁判所に限らず、地方裁判所や高等裁判所、非現実的ですが理論的には最高裁判所に提出する書類までも作成することができます。

これも一番使われているのは、地方裁判所に提出する書類として、破産申立書や民事再生申立書の作成です。

勿論、他にも色々作成します。

同じ地方裁判所でしたら、仮差押申立書や差押申立書などもあります。

家庭裁判所でしたら、成年後見申立書や相続放棄申述書の作成がよく依頼としてあります。

成年後見人等財産管理業務

最後に、受任が多いものとして、家庭裁判所に選任されて成年後見人などに就任するというものがあります。

成年後見人とは成年被後見人(判断能力が減退し家庭裁判所の審判により成年後見人を保護者としてつけるとされた人)の保護者のようなものです。

上記括弧書きに書きましたように、成年被後見人とは判断能力がかなり減退されている方ですので、なかなかうまく自分の財産を管理することができません。

そのようなときに、本人の保護者として、財産を管理し、本人の権利を擁護するというのがこの仕事です。

この業務は人の人権や財産権の擁護に直接につながるため、とても責任の重い仕事です。

そのため、高い倫理観が求められる仕事でもあります。

非常に大変な仕事ですが、その分やり甲斐は非常に大きなものです。

今司法書士に求められるもの

数10年前まで、司法書士は以前は代書屋と揶揄され、登記申請に必要な書類が揃ってるかを確認し、揃っていたら申請書を作成し、法務局に登記申請をするだけの職業だったようです。

しかし、平成14年の司法書士法の一部改正により、いわゆる認定司法書士制度が発足してから顕著に職業的立ち位置が変わりました。

今司法書士に求められるのは、法律家としての高い倫理観、自己の利益の追求ではなく他者の権利擁護を重視した行動をとることなどが求められています。

司法書士の責任は、現在、非常に重いものとなっています。

司法書士求人での種類

司法書士の求人は、ほぼ正社員についてのものです。

アルバイトやパートといったものについてはまず見当たりません。

また、司法書士は独立開業系の資格であるため、ずっと勤務していることはあまりなく、いつかは独立開業する人が殆どです。

司法書士求人の募集でよくある施設や事業形態のパターン

司法書士の中心業務の柱は、先に言いましたとおり、不動産登記業務です。

この不動産登記業務を中心とした事務所が最も多いです。

もしくは、債務整理を中心とした事務所が多くあります。

逆に、商業登記中心の事務所や裁判業務、成年後見業務を中心とした事務所は多くはありません。

資格者の不足

最近は司法書士法の改正により、司法書士事務所の法人化が認められ、急速に法人化が進んでいます。

法人には資格者、つまり正社員の司法書士を必ず置かなければならず、そのこともあり現在司法書士の資格者が絶対的に不足しています。

そのため、就職先に困るということはありません。

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司法書士求人でよくある募集内容とは

司法書士の就業条件について、特に個人事務所ではあまり条件の良いものとは言えません。

給与の側面だけを例にとるならば、一般的な会社員の給与より低いのが通常です。

これは、「独立までの勉強をさせてあげている」という古い時代の発想に基づく慣習によるものと考えられています。

それに対し、大手法人ならばある程度の勤務環境が整備されています。

給与相場

地域にもよりますが、平均して、個人事務所ならば15万円から20万円程度ではないでしょうか。

勿論、手取りではなく総支給であることが多いです。

大手法人においては、条件は悪くないものも多く、25万円から35万円といったところが多く、ボーナスが支給される法人が多いです。

勤務時間や休日、残業

個人事務所も法人も、土日祝日が休日であることが通常です。

これは、土日祝日には法務局や裁判所も閉まっていることに由来します。

残業については、個人事務所も法人も多いのが一般的です。

また、いけないことなのですが、個人事務所で残業代が支給されるところはあまり多くはありません。

福利厚生

個人事務所については、労災保険や雇用保険など最低限のものであることが多いです。

法人の中でも、特に大手法人になると労災保険・雇用保険は勿論のこと、産休・育休に始まり各種福利厚生が揃っていることも珍しくはありません。

勤務環境

個人事務所については、司法書士は法人化しない限り支店を持つことができないことから、転勤もなく主たる事務所(本店)で働くことしかなく、必然的に転勤はありません。

事務所のスタッフは多くはありません。

司法書士の有資格者が所長を含め2人から3人、補助者(事務員、無資格者)が2人程度のところが多いです。

勤務環境は先に述べた内容からわかるとおり、劣悪です。

資格をとる前の方が収入が多かった人も少なくありません。

しかし、あらゆる種類の仕事や相談が個人事務所には舞い込んでくるため、仕事のやりがいは法人勤務より断然あります。

全国規模の法人の場合、支店が全国にあることからも、転勤も当然あります。

スタッフの人数も多く、資格者1名に対し補助者(事務員)が5名程度のところが多いです。

勤務環境は、悪くはないところが多いです。

しかし、法人においては、効率化を第1に考えるため、不動産登記部門、商業登記部門、債務整理部門などと配属部門に分けられ、配属された先の仕事しか担当はできません。

仮に、裁判業務を志していたとしても、法人は会社組織ですので、自分の思いどおりにはいきませんし、そもそも勤務先の法人が裁判業務を取り扱ってないなどといったことも少なくありません。

また、効率化を求められるため、ルーティンワークに力を入れられているところが法人の特徴です。

つまり、毎日の仕事は基本的に同じことの繰り返しです。

仕事のやりがいという意味では、あまりありません。

実質的に一般の会社員であり、およそ司法書士ではありません。

また、営業をするように求められるのも法人勤務の特徴です。

求められる人物像

求められる人物像は、やはり個人事務所か法人かで異なります。

個人事務所については、総合的な司法書士としての力量が求められます。

法人においては、力量よりも営業能力が求められます。

必要なスキルや資格・経験

これは、個人事務所においても法人においても同じですが、司法書士資格以外には特に必要とされません。

認定司法書士であるならば給与があがる程度のものです。

勿論、債務整理中心の事務所においては、認定司法書士であることが前提とはなってきます。

経験は資格を持っていたら未経験可です。

未経験不可の求人をみたことはありません。

司法書士のおすすめ求人のポイント

この資格は独立開業を前提とした資格ですので、わざわざ勤務するメリットは、ずっと勤務司法書士を続けたいのでない限り、ありません。

開業する前に経験を積みたいのでしたら、個人事務所に勤務するのをお勧めします。

法人勤務は、配属部署の経験しか積めませんし、独立開業が遠のくだけですので、ずっと勤務司法書士としてやっていきたい方以外はお勧めできません。

司法書士についてのよくある疑問

よくある疑問としては、勤務すべきかいきなり独立すべきかというものです。

司法書士試験は、実務色が非常に強いという特徴を持った試験であり、試験を突破した直後でも最低限の仕事は既にできる状況になっています。

ですので、実務について相談できる先輩を見つけて、独立するのをお勧めします。

独立しないとこの資格はうまみはありません。

独立してこそ、自分のやりたい仕事をでき、努力次第で高収入を狙える資格です。

決して、勤務するための資格ではありません。

では、先程実務について相談できる先輩を見つけるようにお話をしましたが、そのような方は見つかるのでしょうか。

この問いについては、「然程苦労せず見つかる」と答えることができます。

司法書士業界は、特に比較的若い方たちは特に、同じ司法書士のことを仲間と認識することはあってもライバルと認識することはありません。

みんな同じ資格を持ち、同じように働く仲間という意識、つまり仲間意識が非常に強いという特色があります。

経験談ですが、後輩が合格後即独立し、実務で困ったことがあり、質問の電話が来ました。

口頭で説明することが難しかったので、その新人さんの事務所に手伝いに行ったところ、他に別の事務所から3人も司法書士が助けに来ていたということもありました。

皆、自分の事務所の仕事を中断して手伝いに来たわけです。

上記のように、相談する先輩はすぐに見つかるはずです。

まとめ

司法書士の仕事内容及び仕事環境を中心にお話してきました。

とりわけ、独立・勤務のうちどちらを選ぶか。

勤務ならば個人事務所・法人事務所どちらを選び、それぞれにどのような特色があるのかを中心にお話しました。

結論として、司法書士は勤務をするに適した資格ではないため、できるだけ早い段階で独立をし、自分の目指す司法書士像を目指し邁進することをお勧めします。

それが、あなたの司法書士としての人生を豊かにする道だと考えます。

自分には「どんな仕事」が向いているか、診断するにはこちら →
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