保護者と死別してしまった子ども等は、社会によって守り育てられる必要があります。

これを「社会的養護」と呼びます。

児童養護施設は、そのような子どもたちが入所し生活する場です。

そこで働く職員のことを、一般的に児童養護施設職員と呼びます。

実際には、保育士や児童指導員などの職員をまとめて呼称していることが多いです。

児童養護施設の職員は、日々どのような仕事をこなしているのでしょうか。

仕事内容について詳しく解説します。

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児童養護施設の仕事は大きく7個の役割に分けられる

子どもの養育に関わる仕事

家庭の保護者と同じように、子どもたちの安全で健康的な生活を支えます。

児童養護施設に入所している子どもたちも、昼間は幼稚園や小中高等学校などに通学します。

学校に関わる仕事

学校への送迎、宿題への対応などを行います。

保護者のように学校行事に参加したり、家庭訪問に対応することもあります。

面談や進路指導

子どもとの面談を定期的に行います。

児童養護施設は、18歳もしくは高校卒業時には退所することになりますので、社会に適応するための進路指導も行います。

施設管理に関する仕事

施設の清掃、安全点検、衛生管理を行います。

施設職員間の仕事

施設長や施設職員による会議、行動記録の作成、シフトの管理などを行います。

主に事務仕事が中心です。

専門職との連携に関する仕事

プレイセラピーやカウンセラー、栄養士とのも連携して仕事をしています。

児童相談所との連携に関する仕事

児童相談所の所長が、児童養護施設に入所させるかどうかを決定していますので、児童相談所との連携も欠かせません。

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子どもの養育に関わる4個の業務

食事をさせる

自分で食事ができない幼児には、職員が食事を食べさせます。

小学生以上の子どもたちは、自分たちで配膳や下膳ができるように声を掛けます。

調理員のいない施設の場合は、施設職員が調理まで担当します。

身支度を整えさせる

前日のうちに、その日着る服は用意させておくので着替えるように声を掛けます。

自分で着替えられない子どもには手助けをします。

顔を洗う、歯を磨く、髪の毛を整えるといった基本的な身支度を自分でできるようにします。

入浴をさせる

夕方から夜の時間帯には入浴をします。

施設によってやり方は異なりますが、幼児の場合には数人に対して職員が一人つき、一緒に入浴をし体や髪を洗ってあげます。

自分たちで洗える年齢の子どもたちは、数人ずつ時間交代で入り、職員は脱衣所で声掛けをするのみになります。

中高生の場合は、なるべく時間を調整し、一人で入れるようにしてあげていますが、施設の状況によって厳しい場合もあります。

当たり前のことですが、女児の入浴指導は女性職員、男児の指導は男性職員が行います。

寝かしつける

施設の消灯時間は早いです。

小学生は概ね21:00、中高生でも22:30には消灯になります。

幼児は添い寝をして寝かしつけをします。

小学生であっても、声を掛けながら寝入るまで見守ります。

学校に関わる4個の業務

教職員との連携

児童養護施設の子どもたちも、昼間は地域の公立学校に通学します。

3歳以上の子どもは、幼稚園に通う場合もあります。

子どもたちの担任の先生や管理職の先生とは、日常的に連携をとっています。

施設の子どもが徒党を組んで学校で悪さをしてしまったり、同級生をいじめてしまうこともありますし、逆に施設からきていることを理由にからかいの対象になってしまうこともあります。

学校とは密に連絡を取り合い、問題が大きく陰湿にならないうちに対応します。

宿題を指導する

学校から帰ってきた後は宿題タイムです。

職員一人で数十人の子どもたちの宿題を見ることもあります。

大きい学年の子どもが、下の学年の子どもに教えてあげるという姿も見られます。

自分で進んで学習できる子はいいのですが、勉強が苦手な子、発達障害や学習障害のある子にとっては、宿題を仕上げるさせるだけでも重労働です。

学校行事に参加する

施設や学校の方針にもよりますが、施設職員が保護者として学校行事に参加することもあります。

授業参観や音楽発表会などに行き、子どもたちのいる学級をはしごするのです。

ただ、中学・高校になると子どもから来てほしくないと言われてしまうこともあるので、そこは状況に応じて判断します。

学校への送迎を行う

地域によっては徒歩では通学できない場合もあるため、小型バスで学校や駅まで送ることがあります。

また、小学生の集団下校の場合は、徒歩で集合場所まで職員が帯同することもあります。

面談や進路指導の2個の業務

面談や生活指導

定期的に子どもたちとは面談を行います。

また、特別に話を聞いた方がいいと思われる子どもとは、個別に話ができる時間を設けます。

例えば、学校で問題行動をしているとの連絡が入った子、施設の決まりを守れない子、施設内で人間関係のトラブルを起こしてしまう子などです。

養護施設で生活をしている子どもたちは、保護者との間に安定した関係を築けていない場合が多くあります。

そういった子どもたちは、その後の人間関係においても、相手を試すような行動や支配するような行動をとってしまうなど、トラブルを抱えやすくなります。

問題行動については叱ることもありますが、それよりもよく話を聞き、今後他者とよりよい関係が築けるように導くことの方が重要と考えられています。

進路指導

中学校までは義務教育ですが、中学卒業後の進路については職員と子ども、その保護者間でよく話し合って決定されます。

最近は、中卒で就業する子どもは稀で、ほとんどの子どもが高校への進学を選択します。

普通科が良いのか、就職に有利とされる商業や工業科高校にするのかなど、子どもの長い人生を見据えて考えることになります。

最終的には子どもの決定を尊重しますが、職員としてたくさんの情報を示せるようにする必要があります。

進学費用は、保護者が払えない場合には奨学金を利用することになるため、奨学金申請の書類作成も一緒に行います。

施設管理に関するの3個の業務

洗濯や清掃

子どもたちが学校に行っている間に、施設内の清掃や洗濯を片付けてしまいます。

生活している人数が多いので、洗濯機は午前中に何回も回転させることになります。

清掃については、子どもたちに分担を決めさせてやらせる場合もありますが、やはり施設全てをまかなうことはできませんので、職員でカバーしている面も大きいのです。

安全点検・衛生検査

月に一度、施設の安全点検を行い、安全点検簿に記載を行います。

また、定期的に保健所の検査も入り、調理場や寝具などの検査が行われます。

水質の検査も日常的に行っています。

その他施設の管理

畑や庭木が植わっている施設では、植物の手入れも重要な仕事の一つです。

施設によっては用務員さんを雇っているところもありますが、手の空いている職員が草取りや落ち葉はきに駆り出されることも珍しくありません。

施設職員としての3個の業務

個人記録の作成

子ども達一人一人について、個人記録を作成しています。

施設職員はシフト制で24時間体制で働いています。

そのため、前日の子どもの様子などを引き継いでいく必要があるのです。

施設職員は毎日大忙しなので、落ち着いて申し送りをする時間はほとんどありません。

最重要な内容のみを伝達したら「あとは記録を見て!」となるのです。

また、長期的に記録を続けることで、子どもの成長を振り返ることができます。

児童相談所に子どもの様子を報告する際にも、この記録が役立ちます。

職員会議や打ち合わせ

シフト制が組まれているため、なかなか職員が一堂に会して会議を持つことは難しいのが現状です。

しかし、定期的に会議や打ち合わせが開かれています。(参加できない職員のために議事録などの記録を残す場合もあります)

また、問題行動を起こしている子どもについて、関係者でケース会議を開き、対応について話し合うこともあります。

シフトの管理

新人に任せられることはありませんが、ある程度年数を重ねてくるとシフト管理をすることもあります。

施設職員は、前述の通りシフト制で24時間子どもについて勤務しています。

勤務形態は、朝番・昼番・宿直の3校体制をとっている施設が多いようです。

宿直明けの日はそのまま休日になるため、3交代をバランスよく組まなくてはなりません。

職員によっては子育てによって宿直ができないなど、事情を抱えている人もいます。

そのため、職員の希望を聞きながらバランスよくシフトを組むという作業は、大変な手間のかかる作業なのです。

専門職員との連携に関するの2個の業務

カウンセラーなどの心理職との連携

児童養護施設では、心理士が配置されています。

その配置のされ方は施設によって異なり、常勤の場合もあれば、非常勤でいくつかの職場を兼任されている場合もあります。

子どもたち全員が毎回心理士との相談場面を持つことは、時間的に不可能です。

特にニーズの高そうな子どもをピックアップし、普段の様子を心理士の先生にあらかじめ伝えておくことで、効率よくセラピーに入ることができます。

栄養士さんとの連携

施設によって、調理師や栄養士を置いていない場合もあります。

調理師や栄養士がいない場合には、外部の栄養士さんに献立を立ててもらい、施設職員が自ら調理をすることになります。(もちろん、衛生に関わる講習を受けたり検便を提出して保健所の許可をもらってのことです。)

外部の栄養士さんと、献立の相談を行うのも施設職員の仕事です。

例えば、調理の仕方に疑問がある、子どもたちの残しが多いので献立をアレンジしてほしいなど、日常的な疑問を伝えます。

児童相談所との連携に関する業務

児童養護施設に入所するか否かは、児童相談所が決定しています。

また、保護者が養育可能な状態になったため、子どもを施設から保護者のもとに返すこともありますが、そのような判断も児童相談所が担っています。

そのため、児童相談所への報告・連絡・相談は日常的に行われており、緊密に連携する間柄なのです。

児童養護施設のやりがいとは?

施設職員は、とてもやりがいのある仕事である一方、離職率の高い職業でもあります。

職員の平均年齢は30代前半ともいわれ、自らの家庭生活や子育てを行いながら施設職員を続けるのは、かなりの覚悟や家族の理解がなければ難しいことなのです。

なぜこの仕事を続けているのかと問われれば、多くの施設職員は、「目の前の子どもをなんとかしてあげたいから、放っておけないから」と答えるのではないでしょうか。

昔は、児童養護施設は「孤児院」と呼ばれており、親と死別してしまった子どもたちが入所するところでした。

しかし近年は、孤児による入所は少なく、半数以上が虐待等による保護者の養育環境不良なのです。

施設では、子どもたちをなるべく家庭的に養育し、社会に帰すことを目標としています。

愛着形成が不全な子どもたちは、甘えや試し行為が過剰で、職員を振り回したり八つ当たりしたりします。

それでも、関わっていくうちに心が通い合っていく実感があります。

子どもたちとの生活は、大変ですがとても楽しい面もあります。

大きい学年の子が下の子たちをお世話してくれる姿にじんとしたり、子どもたちとの何気ないおしゃべりに大笑いしたりと、大家族のように過ごせます。

ひとたびトラブルが起きるととても大変なのですが、常に「必要とされている」と感じながら働くことができる仕事です。

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児童養護施設の仕事をするにあたって覚えなければいけないこと

児童養護施設の職員には、特に資格や経験がなくてもなることができます。

ただ、難しい問題を抱えた子供たちと毎日関わるため、保育・教育・保健・心理に関する知識があるといいでしょう。

また、基本的な家事能力がない人は、かなり苦労すると思います。

業務の大半は、家事の延長のようなものです。

調理・配膳・清掃・洗濯などが苦手!という方は、働き始める前に基本的なことはできるようになっておくといいでしょう。

まとめ

大変な分、やりがいも大きい児童養護施設の職員。

常に人手不足の現場ですので、一度挑戦してみてはいかがでしょうか。

児童養護施設の仕事を探す時は、こちらの記事を参考に!