児童養護施設の仕事内容は?大変?経験者が役割に分けてご紹介!やりがいはコレ!
ニュースなどで耳にすることがある「児童養護施設」。
日常生活においては、あまり関わる機会がない施設ですよね。
どのような職種の方が働いているのか、どうしたら就職することができるのか、詳しくご存知の方は少ないのではないでしょうか。
ここでは、社会的ニーズの高い児童養護施設の職員について詳しく解説します。
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そもそも、児童養護施設とは?
児童養護施設とは、なんらかの事情で保護者のもとで生活できない子どもたちが生活をする福祉施設です。
何らかの事情とは、例えば保護者の死別や長期入院、逮捕などによる不在、虐待、経済的困窮などです。
保護者とは両親に限らないため、両親と死別しても祖父母や親族などが養育できる場合には、児童養護施設の対象にはなりません。
対象とする児童の年齢は、概ね1歳から18歳までです。
1歳までの乳児は、乳児院に入所します。
児童養護施設に求められる役割は、なるべく家庭的な雰囲気の中で、入所している子どもたちが健やかに発達することです。
子どもたちは施設で寝起きし、日中は学校に登校し、施設に帰宅して就寝します。
施設での生活を通して、児童が家庭生活に戻ることや将来的に自立できるようなサポートを行います。
子どもたちは、保護者の状態が整えば、施設を退所して家庭に帰ることになります。
しかし、保護者がまた問題を抱え、再び施設に戻ってくるという子どもも少なくありません。
また、里親希望者が見つかった場合には、施設から里親家庭で養護される場合もあります。
さらに、里親の希望や保護者の承諾が合致した場合には、里親家庭と特別養子縁組を結び、戸籍上も里親家庭の実子となることもあります。
平均入所期間は5年程度と言われています。
現在日本には、各都道府県におよそ600の児童養護施設があります。
規模は様々で、ひと施設20人以上の子どもが生活している大舎から、6人程度が家庭的な生活を送るユニットケアなどがあります。
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児童養護施設で働くには?
児童養護施設にはどのような人が働いているのか
児童養護施設には、多様な専門性をもつ人たちが働いています。
施設に置くべき職員は、児童福祉法に定められています。
法律では、「施設長」「児童指導員」「保育士」「個別対応職員」「家庭支援専門相談員」「栄養士」「調理師」「嘱託医」を配置することとなっています。
また、乳児のいる施設では、「看護師」の設置が義務付けられています。
その他、「事務員」や「用務員」を雇っている施設もあります。
では、それぞれの役割について簡単に解説していきましょう。
「児童指導員」や「保育士」は、児童の健全な発育・発達のために日常生活や自立に向けた支援を行います。
「看護師」や「嘱託医」は、主に健康面のサポートを行います。
「栄養士」や「調理士」は施設によっては配置されないこともありますが、主に食事の提供を行います。
「個別対応職員」は、被虐待児に対して個別の支援を行う職員のことです。
虐待を受けた子どもは、身近な人とうまく関われなかったり、甘えや試し行動を頻発しトラブルを起こしてしまったりします。
そのような子どもに対して、集団措置では対応しきれない部分をカバーする存在なのです。
「家庭支援専門相談員」は、主に家庭と施設をつなぎ、保護者の相談を受けたり環境調整を行ったりします。
児童養護施設で働くために勉強しておくべきこと
どの職種で勤務するかにもよりますが、正規職員であれアルバイトであれ、子どもにまつわる知識が必要でしょう。
具体的には、教育学・保育・幼児教育・児童福祉・心理学・社会学等が挙げられます。
短大や4年制大学で勉強する場合には、福祉系・心理系・教育系の学部を目指すことをお勧めします。
持っておくべき資格とは?
児童養護施設で働くためには、いくつかの資格が必要になります。
保育士として勤務するためには、当然ながら「保育士資格」が必要です。
個別対応職員や家庭支援専門相談員には、「臨床心理士」の資格や心理系の大学院卒業が求められます。
看護師や栄養士、調理師はそれぞれの専門資格が必要です。
事務員や用務員になるためには、特に専門資格は必要ありません。
児童指導員になるためには、「児童指導員任用資格」を持っている必要があります。
この「児童指導員任用資格」について、詳しく解説しましょう。
「児童福祉施設最低基準」には、児童指導員として働くための任用資格を取得するには、以下の条件のいずれかを満たす必要があると記されています。
- 1. 児童福祉施設職員養成機関を卒業した者(福祉系の専門学校などのことを指します。)
- 2. 社会福祉士または精神保健福祉士の資格を有する者(国家資格です。)
- 3. 大学・大学院で社会福祉学、心理学、教育学もしくは社会学を修得した者(通信制でも可能です。)
- 4. 小学校・中学校または高校の教員免許を取得する資格を持っている者、かつ厚生労働大臣または都道府県知事の認定を受けた者(学校種や教科の種類はなんでもOKです。)
- 5. 児童福祉事業で3年(高卒以上の場合は2年)以上の実務経験を経て、都道府県知事が適当と認めた者
児童指導員の任用資格を取るといっても、別途何か試験を受けたりするわけではありません。
該当する学部を卒業した方の場合には、学校の卒業証書をもって証明されます。
1~5の上記の条件に該当すれば、難易度の高い資格ではありません。
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児童養護施設の就職先や募集状況は?
児童養護施設は、公立と私立の施設に分けられます。
公立の施設に就職する場合には、地方公務員試験を受けて合格しなくてはなりません。
私立の施設に就職する場合には、その法人ごとに設けられている採用試験や面接を受けることになります。
公立の児童養護施設に就職するには
現在、児童養護施設は全国に615施設あり、そのうち37施設が公立です。(平成28年度の調査)
過去には公立だった施設においても民間に委託されており、公立は少なくなっている傾向です。
公立の児童養護施設で正規職員として働くためには、保育士資格や教員免許、児童指導員の任用資格を取得した上で、公務員試験に合格しなくてはなりません。
公務員試験と言っても、教員採用試験や警察官、消防士を採用する試験まで、さまざまな種類があります。
自治体によって、児童養護施設での勤務を目指す人の採用方式には違いがあります。
例えば、採用試験の段階で「一般行政職(事務系)」と「福祉専門職」に分けて採用試験をする自治体があります。
この場合は、後者の「福祉専門職」を受験することになります。
一方、採用段階では「一般行政職」として一本化して試験を行い、採用後に各部署に振り分けを行う自治体もあります。
児童養護施設に勤務するような福祉分野を希望しても、別の部署につかされてしまう可能性もあるのです。
公務員は定期人事異動がありますので、年度末に異動希望を出すことになるでしょう。
私立の児童養護施設に就職するには
現在、全国に615施設ある児童養護施設のうち、ほとんどが私立の施設です。
自治体が設置を決めた施設においても、外郭団体に運営が委ねられていることも多いです。
私立の児童養護施設の場合は、設置をしている法人独自で採用選考を行っています。
情報は各施設のホームページに職員募集の欄があるほか、求人サイトやハローワークでも検索することができます。
公立児童養護施設の場合は年に一回の公務員試験しかチャンスはありませんが、私立の場合は随時募集を行っているため、すぐに勤務先を決めたいという方にはお勧めです。
児童養護施設の平均給与はどれくらい?
公立の場合は、地方公務員の給料表が適応になります。
新卒で概ね19万円程度からのスタートとなり、平均給与月額は40万円程度です。
年に二回の賞与が、およそ4月分支給されます。
また、年に一回の昇給が見込めます。
その他、地域手当・住居手当・宿直手当などが支給されます。
私立の場合は、勤務形態や法人によって異なるために、一概には言えません。
一例として、千葉県のとある私立児童養護施設の求人内容を見てみましょう。
その施設では、応募資格として保育士・児童支援員・社会福祉士・臨床心理士・小中学校の教員免許取得者もしくは見込み者を掲げています。
月給例は、大卒で23万円に諸手当、短大卒で21万円に諸手当がつきます。
手当の内容としては、宿直手当が1回6,000円もらえるようです。
賞与は年2回、4.5月分の支給になるとのことでした。
スタート時の給与は公立の児童養護施設より高額ですが、昇給がどの程度あるかは分からないため、将来的にもらえる賃金には差が生まれてしまうかもしれません。
一般的には、公務員の給与の方が、私立に比較して安定しており高い傾向にあると言われています。
ある調査によると、私立児童養護施設の給与は、平均年齢35歳での平均年収が300万円程度と言われているようです。
ハードな仕事内容を考えると、もっと貰えてもいいように思えます。
児童養護施設の仕事の探し方とは?
まずは、私立施設と公立施設のどちらで働きたいのか、それぞれのメリットデメリットをよく検討して考えましょう。
公立を目指して公務員になれば、安定した給与や身分は保証されますが、児童養護施設で働けるとは限りません。
私立は随時募集があり採用されやすいように思いますが、施設によって待遇や環境などに差があり、理想の職場に巡り合うのは難しいかもしれません。
公立か私立かが決まったら、勤務地を選択し、近隣に児童養護施設があるか調べてみましょう。
公務員試験を受験する
公立の児童養護施設で働くためには、公務員試験に合格しなくてはなりません。
どの自治体でも、概ね4月ごろに願書の提出があり、6~7月に一次試験、8~9月に二次試験が行われます。
私立児童養護施設のホームページから応募する
大抵の私立児童養護施設は自前のホームページを開設しています。
職員の募集を行っている際には、ホームページ上に告知があるでしょう。
告知がない場合でも、どうしてもここで働きたいという希望がある場合には、直接欠員について問い合わせをしてみても良いかもしれません。
求人サイトで検索する
求人情報サイトから、勤務地や「児童養護施設」「児童指導員」などのキーワードで検索をしましょう。
求人情報サイトの中には、福祉の職業に特化したサイトもいくつかあります。
いくつかの求人を見比べてみると、勤務時間や条件などから自ずと自分の希望に合った勤務先が見つかるでしょう。
児童養護施設の仕事の将来性とは
児童養護施設が担う「社会的養護」の重要性は、最近のひとり親家庭の増加や相対的貧困家庭の増加などから、非常に高まっていると言われています。
基本的に児童養護施設は、その施設で寝食をし生活をすることを想定しています。
しかし近年は、ショートステイ(ひとり親家庭の保護者が病気や負傷などのやむをえない理由で児童を養育できなくなったときに利用する)やトワイライトケア(ひとり親家庭の保護者が残業などで帰宅が恒常的に夜間にわたるとき、放課後に児童を通所させ、生活指導・夕食の提供などを行う)を行っている施設も増加しています。
つまり、従来の形にとらわれない多様な「社会的養護」が求められていると言えます。
児童養護施設で働く様々な職員の中でも、児童指導員には、他にも違った勤務先の選択肢があります。
2017年に、放課後等デイサービスにおいても、児童指導員を配置することが義務づけられました。
放課後等デイサービスとは、障害のある児童を対象とした学童保育のようなものです。
音楽、パソコン、造形、運動など様々なプログラムが用意されており、専門的な療育を受けることができる施設もあります。
児童支援員として、児童養護施設だけではなく、このような放課後デイサービスや発達支援センターに勤務し、主に障害のあるお子さんに関わるという選択肢もあるのです。
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まとめ
とても残念なことですが、虐待の認知件数は年々増加しており、児童養護施設での入所率(措置を受ける子どもの数)も増えているのが現状です。
児童養護施設で働くことは、時にストレスフルなこともあるでしょうが、子どもたちに社会的養護を提供するという点において大変価値のある仕事です。
子どもたちの生活を間近で支えたい、家庭的な雰囲気の中で子どもの力になりたいという意欲のある方には、ぜひ挑戦していただきたいと思います。
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