裁縫バイト求人の仕事内容やメリットを紹介します
服に興味がある方にとって、最後に行きつく先は縫製の仕事に就くことかもしれません。
デザインのされ方、流行のとらえ方、服の構造、生地など、アパレル販売や出版社に勤めていても最終的には服の製造に興味がゆきつく場合があるからです。
これらの知識を身に着けられる縫製の仕事、服を縫う専門の人がいるということは頭で認識していても実態について知っている方は少ないでしょう。
この記事では、縫製の仕事内容や求人の選び方について紹介します。
目次
閉じる縫製の仕事ってどんな事するの?
縫製の仕事は文字通り服や小物を縫う仕事あるいは仕立て直しの仕事を指します。
基本的に工業用ミシンで縫います。
どちらの仕事に就くにせよ、仕事は時間との戦いです。
縫製工場の場合、納期が一日単位なのでシビアです。
時によっては時間単位のことも。
納期に間に合わせるため昼食返上ということもありました。
仕立て直しの仕事も、何時までに仕上げてお客さんに直したものを渡す、という仕事スタイルなので時間との戦いとなります。
サンプル以外の量産品は工程によって細かく担当が分かれます。
生地の裁断のみを担当する方もいます(男性が多いようです)
必要なスキル
やる気と体力、そして工業用ミシンを最低限は使えることの3つが求められるスキルだと思います。
長時間、縫い目が曲がらないよう常に集中して縫い、しかもスピードが求められるので思ったよりも体力が必要な仕事です。
ま縫製工場の従業員の方は作業効率を落とす人に対してシビアです。
あまりに失敗が多いと怒鳴られることもあります。
それに耐えられるぐらいのやる気が無いと、とても続けられません。
工業用ミシンに関してですが、全くの未経験者だと採用されにくいのが実態です。
運よく採用されたとしても使い方が全く分からない、だと困ります。
糸かけ及び糸調子の合わせ方ぐらいは最低限覚えておいたほうが良いです。
どんな人に向いている?
やる気がある人
縫製の仕事に向いている人ですが、基本的にやる気があれば向いていると言えます。
手先の器用さに個人差はありますが、多少不器用でもやる気を絶やさずにうまく縫えるまで努力すれば、商品価値のある縫いができるようになります。
また、やる気さえあればチームの一員として協力することの大切さに気づき、他のスタッフとも良好な関係で仕事ができるでしょう。
手先が器用
手先が器用に越したことはありませんが、絶対条件ではありません。
上述の通りやる気でカバーできます。
ただ、やはり縫製に興味を持つのは元々手先が器用な人が多いようです。
人との連携が必要なため協調性がある人
ミシンと向き合って黙々と独りで縫い続けるという印象ですが、他のスタッフとの協調性も求められます。
自分さえ縫えれば良いのではなく、次の工程の人が気持ちよく縫えるように縫った衣類を置く向きを考えるなど配慮が必要です。
また、いかに効率よくロットを納期に間に合わせるかについて皆で話し合う機会もあったりします。
注意力がある人
どの職業にも言えるかもしれませんが注意力不足はミスを招きます。
特に縫製は工業用ミシンで真っ直ぐ、針落ちさせることなく縫い続けることが仕事なので何時間単位で持続する注意力が必要です。
また、縫製の仕様も受注の度に異なります。
縫製仕様書は注意深く読む必要があります。
「自分の経験」に従うのではなく、あくまでも「縫製仕様書」に従って縫わないと失敗のもとです。
適切な糸の色は、縫い目のあらさは、ネームタグのつけ位置は、など細かい所もサンプルと照らし合わせる注意力も必要です。
初めはどこからスタートするのがオススメ?
残念なことに日本の縫製工場では未経験者を育てる余裕のない所が多く、工業用ミシンでの縫製経験あるいは専門学校での経験が無いと応募すること自体難しいのが現状です。
それでも、たまに未経験者でもごくごく簡単な工程(ネーム付けなど)からスタートできる縫製工場があります。
量産する規模の大きい縫製工場の方が就職できる可能性は高く、自分の面倒を見てくれる余裕があるでしょう。
量産工場
名前の通り、同じ衣類を大量に生産する工場です。
基本的に流れ作業であるため同じ縫いの工程を何時間もやります。
未経験者の筆者は、一日中ネームつけを五百枚分ぐらいしていました(ちなみに作業が遅いとよく他のスタッフから詰られていました)未経験者の場合、簡単な工程を着実にこなし、工業用ミシンだけでなくロックミシンの使い方も覚え、一通りの工程ができるようになるのが先決です。
技術が身についてきたらサンプル担当に
サンプルとはアパレル展示会に出品する服がメインです。
ベテランスタッフが最初から最後の工程まで一人で縫いあげる場合が多いようです。
縫い目の美しさや仕上がりの形状も発注者はもちろん、展示会見学者にじっくり見られるため相当なベテランでないと厳しいです。
一通りの工程はできることはもちろん、美しく縫えるかどうかも問われます。
トップス、ボトムなどどのアイテムにも対応できるサンプル担当者は鬼に金棒です。
どの縫製工場でも活躍できるでしょう。
ちなみに筆者が勤務していた縫製工場は量産チームとサンプルチームに分かれていました。
サンプルの仕事は常にまわってくるとは限らないので、手の空いたサンプル担当者は量産ものの補助に入ったりしていました。
縫製のメリット
お給料などといった待遇面よりも、やりがい面の方にメリットがあると言えます。
今どき服を縫えると言うと人から良い意味で驚かれることが多いですし、自分の服も手作りできます。
何よりも職人としての誇りをもって毎日仕事ができます。
知識・技術を学べスキルを磨くことが出来る
新しいデザインの服を縫う度に磨かれる縫いの技術や知識が蓄積されていきます。
失敗から学ぶことも多いです。
また、どの仕事にも共通して言えるかもしれませんが物事をごくごく短い時間内に仕上げるという集中力と根性も身につきます。
技術があれば場所を選ばない仕事
縫製工場が近くになくても在宅仕事の案件もインターネットなどで探せば見つかります。
在宅ですと、技術のある人は納期を守ること前提ですが場所も時間も選ばず自分のペースで取り掛かれます。
長い期間で働いていける
高齢になっても技術さえ衰えなければ長い期間働けます。
私が勤務していた縫製工場は五十代から六十代の高齢者の方が多かったです(わりと皆さん、若いうちに結婚と出産をされていてお孫さんもいたりします)
縫製の仕事を探す時に決めておく条件
自分のライフスタイルと経済状況を前提に、縫製の仕事を探すと不都合が生じにくくなります。
お給料はどのくらい欲しいのか、休日はどのくらいあるのか、残業が多いのかなどあらかじめ自分のこだわりを明確にしておくと良いです。
自分が携わりたい仕事内容を決めておく
純粋に縫製だけをしたいのか、お直しのスペシャリストになりたいのか、一点もののアイテムをじっくり縫いたいのかなど自分の携わりたい縫製の仕事内容を決めておくとスムーズです。
未経験者はとにかく工業用ミシンに慣れるまで指導してもらえる環境があるかどうかを重視しましょう。
お休みの融通は効くのか
縫製工場の規模や仕事の多さによりけりです。
パートタイマーは一週間のうち数日、残業無など休みが多めですが、正社員の場合は業界の都合上、休みの融通が効きにくいと考えた方が良いです。
特に規模の小さな縫製工場ですと、一名欠けただけでも工場全体の仕事のスピードに大きく影響が出ます。
ベテランほど休みを取りづらいと言えるかもしれません。
ちなみに筆者の働いていた工場では、正社員の場合週休一日でした。
希望の時給・月収を決めておく
希望の時給や月収はあるかもしれませんが、余程の人手不足あるいはその人に是非働いてもらいたいぐらいの技術が無い限り、自分の希望を通すのは難しいです。
時給は所属県の最低賃金から1300円ぐらいが相場です。
当然スキルが高いほど時給は高くなります。
が、基本的に長時間労働のわりに収入は少な目と覚悟した方が精神衛生上良いでしょう。
「やりがい」を心の糧にするのをお薦めします。
未経験から始められるのか
未経験者を雇わない工場が殆どですが、根気よく探せば見つかることがあります。
ネームつけなど簡単な工程だけを未経験者は任されますが、工業用ミシンに慣れるだけでもハードルが高く、まわりのスタッフも余裕が無くて助けてもらえることはあまり期待できません。
筆者の経験からも言えますが、未経験者は体力とやる気、そして周囲から何を言われてもめげない根性が仕事を続けるにあたって求めれれます。
筆者は皆の前で他のスタッフに罵倒されたこともありました。
自分があまりに仕事ができなかったせいであります。
縫製の仕事のやりがい
自分が縫製に携わった衣類がサンプルでも流通でも、何かしら世の中に出て誰かに使用される所にやりがいを感じます。
大量に縫製された衣類の山を見ると、自分たちは今日一日だけでこれだけの縫製(仕事)をしたのかという達成感をはっきり感じます。
納期までに仕上がると達成感がある!
特に納期がタイト(数時間単位のスパン)な案件を時間内に仕上げられたときの達成感は強いです。
スタッフ全員でいかに作業効率を良くし、声をかけあって互いに協力するかの力が問われた結果なので、個人単位ではなくスタッフ皆で達成感を共有することもできます。
自分の縫った作品が大きな場で着てもらえた時
ファッションショーやアパレル展示会で自分の縫った作品が使用されたときも大きなやりがいを感じるでしょう。
発注者は複数の工場にも依頼して、一番良く縫えている作品を選ぶので、選ばれただけで自分の技術は認められたという証明になります。
自分の縫った服が紅白歌合戦の衣装として着られる、という機会も高度な技術があれば巡ってくるかもしれません。