2022年5月3日

この記事をご覧になっている人は、財団法人や社団法人などといった、公益法人での仕事に興味があることかと思います。

とはいえ、そのような公益法人で働くことにどのようなメリットがあるのか、なかなか明確に分かっていることは少ないのではないでしょうか。

そこでこの記事では、そういった公益法人での仕事に関心があるという人向けに、公益法人で働くメリットについてお伝えしたいと思います。

この記事を読むことで、具体的な公益法人の例や公益法人での仕事内容、公益法人で働くいくつかのメリットについて知ることができます。

また、公益法人で働いた体験談も載せていますので、業務上の雰囲気事例についても感じ取っていただけるのではないかと思います。

ぜひ、最後までお読み下さい。

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公益法人の仕事についておさらいしておこう

公益法人といっても行われている仕事は多種多様です。

そこで、ここではその成り立ち別に分けて、公益法人の仕事を説明します。

第一に「中央省庁や地方自治体の外郭団体だった経緯のある公益法人の仕事」、第二に「業界団体・専門家集団として活動している公益法人の仕事」、そして第三に「篤志家その他からの寄付等によって立ち上げられ、社会貢献を目的に活動している公益法人の仕事」を紹介します。

中央省庁や地方自治体の外郭団体だった経緯のある公益法人の仕事

中央省庁や地方自治体の外郭団体だった公益法人は、それぞれの中央省庁や地方自治体の政策を実現するための仕事を行っています。

例えば農林水産省が農業振興のために継続的な活動を行うための手足として設立したり、厚生労働省が労働安全衛生推進のために制度を浸透させるべく設立した公益法人の仕事、といったイメージです。

有名な公益法人・仕事としては、一般財団法人日本国際協力センター(日本の国際協力の推進に貢献することを目的としています)などが挙げられます。

業界団体・専門家集団として活動している公益法人の仕事

特定の産業団体や専門家集団など、業界団体としての仕事を行っている公益法人もあります。

こういった団体では、加入している企業などからそれぞれ社員を出向させ、あるいはそれとプロパーの職員とを組み合わせて、業界発展や自主規制、政策提言などのための業界団体活動を行っています。

有名な公益法人・仕事としては、公益社団法人日本医師会(日本の医師を会員とする職能団体で、医道の高揚、医学教育の向上、医学と関連科学との総合進歩、医師の生涯教育などを目的としています)などが挙げられます。

篤志家その他からの寄付等によって立ち上げられ、社会貢献を目的に活動している公益法人の仕事

篤志家・企業家や、資金が潤沢にある団体などが、社会貢献活動のために設立した公益法人は、直接経済的なリターンを求めないような仕事を行っていることがしばしばあります。

有名な公益法人・仕事としては、公益財団法人日本財団(公営競技のひとつである競艇の収益金をもとに、海洋船舶関連事業の支援や公益・福祉事業、国際協力事業を主に行なっています)などが挙げられます。

私が働いていたのはこんな公益法人でした

ここでは実例として、私が働いていた公益法人について紹介します。

私が勤務していたのは、ある経済関係の中央省庁の外郭団体だった財団法人で、いわゆる発展途上国の民間企業を対象として経済協力を行っていました。

具体的には、日本企業で品質管理や生産管理の仕事をしている従業員を、その専門家として発展途上国の民間企業に派遣し、現地工場などで従業員に対して技術指導を行う、という技術協力事業をしていました。

そのための仕事として、対象となる専門家や派遣先企業及び、技術指導内容などの各案件の募集・選定や、決定した案件での海外派遣のための手続、派遣期間中のサポートや技術指導進捗管理、専門家帰国後の成果検証やフォローアップ、事業の評価やニーズ調査といった業務を行っていました。

年に2~3回ほど海外出張もありました。

同僚である職員はプロパーが少なく、大半はメーカーや銀行などの社員が出向してきていました。

出向元の企業が、この財団法人に加入している会員企業でもあり、そのつながりで経験豊富なベテラン社員を出向者として送ってきていた、というわけです。

プロパー職員も中途採用の転職組が多く、新卒採用者はほとんどいませんでした。

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公益法人で働くメリット5選

ここでは、公益法人で働くメリットについて5点ご紹介します。

処遇が充実・安定していることが多い

公益法人で働くメリットとしてまず挙げたいのは、処遇に恵まれているということです。

成り立ちが中央省庁・地方自治体や産業界、篤志家などの意思による設立であることからも分かるように、ある意味余裕がある組織であることが多いのです。

このため、公益法人で働く職員に対する処遇は、公務員や世間相場(主に大企業)を意識した基準となっています。

全ての公益法人が当てはまるとまではいいませんが、十分に安定した水準の従業員待遇である組織が多数派です。

また、給与・賞与や手当ばかりでなく、退職金や職員厚生制度などの福利厚生も充実しています。

組織に歴史があり、継続性が期待できる

簡単にいえば、「潰れにくいだろう」ということです。

色々な公益法人があるので一概にはいえませんが、それなりに歴史と実績があり、多くの従業員を抱えている公益法人も多数あります。

こういった公益法人は、時代が変わり設立当初の役割を終えたからといって、簡単にスクラップするというわけにはいかない事情があるようです。

そういうわけで、会社が赤字で倒産してしまうのとは異なり、なかなか組織が解散してしまうということにはならないのではないか、という期待があるといえます。

これは処遇の充実・安定と同様、公益法人で働く人にとっての大きなメリットといえるでしょう。

営業ノルマに追い立てられるようなことが少ない

公益法人での中心事業は当然、公益事業です。

ですので、会社のように営業ノルマに追われるということは少ないといえます。

もちろん、公益法人でも収益事業は行われていますし、場合によっては公益事業であっても、事実上予算消化を求められるようなことはあります。

そのため絶対にノルマがないとまではいえませんが、営利企業と比較すれば、厳しくないのは事実です。

この営業ノルマに追われないという点も、公益法人で働く上でのメリットです。

コンプライアンスを大切にしている環境で働くことができる

公益法人であるだけに、真面目な団体が多いです。

中央省庁や地方自治体などと同様、法令順守は非常に大事にしている印象です。

コンプライアンスだけでなく、地域との良好な関係構築はもちろん、他団体とのお付き合い(会費支払いを伴う会員加入、発行誌購読など)なども大切にしていることが多いです。

こういった文化では、いわゆるブラック団体とはなりにくく、勤務している職員としても安心して働けることが多いでしょう。

残業が多い場合もありますが、残業代についても100%支給されるでしょう。

サービス残業を強要されるような心配も必要ありません。

場合によっては、有給休暇を100%までは消化できないくらいのことはあるかもしれませんが(公益法人は規模が小さく、一人ひとりの職員の代替が利きにくいこともあるため)、育児休業や介護休業などは、嫌な顔もされずに取得させてくれることが多いでしょう。

単に法令を遵守しているばかりでなく、小さい子どものいる従業員、介護の必要な家族がいる従業員など、多くの職員にとっても働きやすい環境といえます。

このように、コンプライアンス重視の職場で安心して業務を行えるというのも、公益法人で働くメリットでしょう。

公益に資する業務に従事できる

公益法人というだけあって、行っている事業は公益、社会に資すると思われる事業です。

もちろん営利企業であっても、社業を通じて世の中に貢献していることには変わりありません。

ただ、やはり働いている従業員の立場になって考えてみれば、利潤を追求すべき営利企業よりも公益法人の方が、社会に貢献していると強く感じることができるのも事実です。

この「自分が仕事を通じて世の中の役に立っている」感覚があることも、公益法人で働くメリットの一つです。

経験者が語る!「公益法人で働いていてよかった!」と思った瞬間

ここでは、公益法人で働いていてよかったと私が感じた内容についてお伝えします。

あくまでも、個人的な体験に基づくものですので、その点はご了承下さい。

内容は4点ですが、いずれも長く働き続ける上でとても重要なことだと思います。

リーマンショック時の不景気でも雇用が安定している

公益法人では業績が悪化したから、あるいは事業を止めるからというような理由で、簡単に人員削減がされるようなことはなかなかありません。

私が働いていた公益法人も、民間企業の協力あっての事業を行っていましたので、リーマンショックや東日本大震災のような大不況の時には当然、事業の執行状況は大幅に少なくなりました。

その点では、不況時に企業の売り上げが減少するのと同様です。

しかし、だからといって簡単に倒産したり、あるいはリストラが行われるというようなことはありませんでした。

今は景気が良く、日本全体で人手不足とか賃金アップなどと言われていますので忘れられがちのようですが、不景気でも仕事を失わなくてすむ、リストラされる心配をしなくてすむというのは、本当にありがたいことです。

超過勤務手当が全額きちんと支払われる

公益法人であっても、仕事が忙しいことはよくあるのではないかと思います。

私の勤務していた公益法人では、会計年度が4月から翌年3月までの一年間でしたが、だいたい秋から忙しくなって、年度末・翌年度4月が最繁忙期である、という流れが確立していました。

しかし超過勤務手当は常に満額払われていますし、申請した超過勤務に何か言われたこともありません。

もっとも、今ではサービス残業というのはかなり減ってきている印象ですが、この公益法人では、昔から超過勤務手当は全額きちんと支払われているようです。

残業代も大きな収入になりますし、上司などとの摩擦が起こることなしに全て支給されるのは、当然のこととはいえ良かったです。

無茶な仕事を命じられることがなく安心して働くことができる

企業だと営業目標を達成するため、あるいはコスト削減目標を達成するために、無理のある業務を命じられて困ってしまう、あるいは過度のプレッシャーを抱えてしまうこともあるように思われます。

しかしこの職場ではそのようなことは感じませんでした。

事業の案件数や予算消化状況が不十分であっても、「まあしょうがないよね」「無理したってしょうがないから」といったような具合で、上司などから追い込まれるようなことはありませんでした。

その当時は逆に、その緩さに違和感を感じたくらいです。

しかし、考えてみればこれは当然のことで、私のいた公益法人では、民間企業に資するものとしてその事業を行っていたわけですから、そういったメリットを企業側が感じないのであれば、無理に利用を押し付けてもしょうがない、うまくいかないわけです。

そんな背景もあり、事業の遂行が伸びない時でも業績目標達成を強要されなかったのはとても良かったです。

穏やかな上司や同僚が多い

無茶な仕事を求められないのと関係があるのかもしれませんが、職場にはギスギスした雰囲気は全くありませんでした。

そして上司や同僚といった同じ職場内の仲間たちも、穏やかな性格の人がとても多かったです。

もちろん公益法人であっても、独特な使命感や個性をもっている、ちょっと変わった意見を強固に主張するような同僚はいないわけではありません。

しかしながら全体としては、穏健なスタイルで業務を遂行する人たちが中心です。

こういったブラックでない、落ち着いた職場で仕事をすることができたのも、公益法人で働いていて良かったなあと感じた点の一つです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

世の中には多くの公益法人があり、それぞれの組織によって事業や文化は千差万別のことと思いますが、具体的な例について雰囲気、利点を知っていただくことができたのではないでしょうか。

この文章をご覧になって、もし公益法人で働くメリットがよく分かり、働きたいという意欲が高まったという人がいれば、ぜひ気になる公益法人の求人に応募してみていただければと思います。

最後までこの記事をお読みいただき、どうもありがとうございました。

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