労務の仕事内容5個と向いている人・向いていない人の特徴・メリットについて労務歴15年の経験者が教えます!
今回は労務管理の求人を探している方の為に、仕事内容、仕事の探し方、応募方法、必要なスキルや資格などについてご紹介していこうと思います。
これから労務管理の仕事に就きたい方、すでにお仕事をお持ちで転職を考えてる方などの就職活動にお役に立てば幸いです。
労務のおおまかな仕事内容
労務管理は大きく分けて「給与計算」「福利厚生」の二つに分かれます。
具体的には、「給与計算」は「勤怠管理」「保険管理」「年末調整」など、「福利厚生」は「健康診断」「安全衛生」などがあります。
事務仕事になりますので部署の人数は少なく、また仕事も主にパソコンに向かって行います。
営業職などと比べると人と接する機会は少ないですが、自分の行っている仕事の向こうには一人一人の従業員が存在しているという意識を持って「人の為に」という価値観で仕事をすることが必要です。
詳しい仕事内容について、以下にご説明していきます。
労務は会社でどういう役割を求められる?
役割としては「事務処理を迅速に正確に行い、従業員の給与計算及び福利厚生を適宜実行する」業務になります。
大切なことは、その業務を行うことにより「従業員の働く幸せ作りをサポートする」ことです。
給与が適切に支払われることや保険に適切に加入することによる「生活のサポート」の他、健康診断やストレスチェックを実施することによる「心身のサポート」、安全衛生管理や事業所内のシステムや制服などの備品管理を行うことによる「職場環境のサポート」などにより、従業員が健康で心豊かに、気持ちの良い環境で働くことができるよう努力することが求められます。
労務求人にはどんな種類があるの?
一般的に部署は「総務部」、仕事は「事務」として募集されることが多く、求人内容によっては先ほど記載した「勤怠管理」「保険管理」「安全衛生管理」などの担当する業務が付記されている場合があります。
中には「人事部門」や「財務経理部門」と合わせて求人されているケースがあります。
会社の規模が小さいと、行う業務の範囲が広くなる傾向があります。
そのような求人の場合は、採用となった場合「自分のやりたい仕事とは別の部署に配属される」、または「やりたい仕事だけではなく他の仕事もやる」ことになる場合がありますので、様々な部門が併記されている場合はメインとなる仕事がどの部門なのかは確認する必要があります。
労務管理を募集している仕事の一般的な表記としては「労務」「総務」「法務」「審査」などがあり、「労務」は給与計算、「総務」は福利厚生、「法務」は保険管理、「審査」は安全衛生やその他の監査業務に関連している場合が多いです。
労務求人の募集でよくある業種や事業形態のパターン
労務管理の仕事は業種や事業形態に関わらず全ての会社にある仕事なので、様々な企業が募集を行っています。
現在は採用難による人手不足の時代ですが、一般的に事務的業務の人員はむしろ縮小傾向です。
求人を探す場合は「労務管理」に限定せず、「人事」「財務経理」「総務」の仕事もする、という視点に立ったほうが応募先を探しやすくなります。
なお、昨今では「生活のサポート」=「人生設計」という視点から、貯蓄や投資といった従業員の「資産管理」のサポートという仕事も労務管理の仕事の一部としてみなされるようになってきましたが、やはり労務管理専門としての求人は多くはないでしょう。
労務の募集でよくある職種
社会保険労務士
労働法と社会保険に対する知識のスペシャリストが「社会保険労務士」です。
「労働基準法」「労働安全衛生法」「労災保険法」「雇用保険法」などの労働法に関する知識や「健康保険」「厚生年金」などの社会保険に関する知識は労務管理の勤怠管理や保険管理、安全衛生管理の業務を行う上で必要不可欠な知識であり、そのスペシャリストである社会保険労務士の資格を取得することは「労務管理のスペシャリスト」となることと言っても良いでしょう。
労務管理の仕事をする上では、最も評価される資格の一つです。
中小企業診断士
国から認定された中小企業の経営コンサルタントである「中小企業診断士」は、労務管理だけではなく営業成績や経費効率、資産管理など経営の原則である「人・モノ・カネ」に対する幅広い知識が求められますので、社会保険労務士と比較して労務管理の業務としての専門性では劣ります。
しかし、労務管理の仕事はそれ単体ではなく、「人事」や「財務経理」などのお仕事と併用して行うことが多いです。
中小企業診断士の幅広い知識は、そのように「多様な業務を一人でこなす」場合となった時にフル活用できます。
一人何役もこなせることは、会社にとって非常に頼もしい存在です。
キャリアコンサルタント
キャリアコンサルタントは、平成28年より国家資格となった比較的新しい資格です。
従業員の「キャリア」の設定に対して「コンサルティング」を行うための知識を備えた資格です。
適性や能力、将来の目標に対し「従業員が自ら気づく」ことを目的としてキャリアコンサルティングを行います。
どちらかと言えば「能力開発」であり「人事」寄りの仕事ですが、労務管理部門は従業員の心のサポートも目的としているため、従業員よりの相談事も多いです。
自らのキャリアについてアドバイスをもらえる有資格者が企業にいることは、従業員にとって大きな心の支えになります。
ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルプランナーは、人生に関わる総合的な資金計画を立てたり、その実施計画をサポートする仕事です。
税制や保険、住宅ローンや教育資金、年金制度などに対する幅広い知識を持ち、従業員の人生設計に対して助言を行います。
「生活のサポート」の面で一番必要な「お金」に対して、しかも現在と将来という二つの視点でアドバイスを行うことができる為、従業員からの相談の要望が多いスキルでもあります。
どういう事業形態や職種が良いか決まっている?
全ての会社にある仕事ですので、どの事業形態が良いということはありません。
労務管理の仕事は確かに内容によっては専門知識を要する分野もありますが、必ずしも専門知識がなくてもこなせる分野が沢山あります。
応募にあたっては「給与計算には強い」「能力開発には強い」など自分の強みの把握したアピール材料があれば、確かに有利になるでしょう。
しかし、専門知識がなくとも「コツコツと丁寧な処理が得意」であったり「細やかな気配りでトラブルを未然に防ぐことが得意」など、その強みが活かせるアプローチを行うことで、応募先の企業に対し充分なアピールをすることができます。
労務求人でよくある募集内容とは?
正社員や期間契約社員、パート社員など様々です。
ただし、どのような雇用形態であろうと、従業員の給与や家族構成、住所など多くの個人情報を取り扱う仕事である以上、守秘義務の重要性を理解し適正に業務を行えることが必須要件です。
機械化が進み人が行う単純作業は減ってきていますので、やはり資格や経験など一芸を持っている方が採用されやすい傾向はあると言えます。
給与相場
正社員(新卒)の場合:年収300万円~400万円
正社員(中途)の場合:年収300万円~550万円
パート社員の場合 :年収150万円~
勤務時間や休日、残業
官公庁への対応も多いため、土日祝などカレンダー通りの休日であることが多いです。
その他の休日は、就職する企業の業種に付随します。
例えばサービス業なら年末年始、お盆などは休みにくい、などです。
保険料算定、賞与支払い、住民税処理、年末調整処理など、年間のイベントに合わせて業務が集中する時期があります。
基本的にお客様の多さなどにより業務量が変動する仕事ではないとは言え、様々なトラブル対応など突発業務による残業も発生しやすい職種です。
福利厚生
一般的な従業員と同じ内容になりますが、より良いものに改善できるよう、会社の業績や社風を見極めながら適宜提案することも必要です。
勤務場所
基本的に、本社勤務であることがほとんどです。
規模が大きくなればなるほど、労務管理の仕事でも「給与計算」「保険管理」「安全衛生管理」など部署が細かく分かれ、より専門性を持ったものになってきます。
求められる人物像
労務管理に関する専門的な知識を持っている方、また自己啓発などにより、近い将来専門的な知識を身につけることが可能な方が有利です。
また従業員のサポートを行う仕事ですので、奉仕精神にあふれている方、思いやりのある方、他人の成長を自分のことのように喜べる方などが向いています。
自分の仕事の先に常に従業員の顔を思い浮かべることができることも必要になってきます。
労務の仕事が向いているかどうかは気になる人は、以下の記事も参考にしてみて下さい。
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労務求人についてよくある疑問
実際に労務管理のお仕事に応募したい人向けの、応募から採用試験、内定後の注意点などをまとめていきます。
応募方法は?
ハローワークや転職サイトを利用することが一般的です。
スキルや経験が多い場合は人材紹介やハイクラスの転職サイトへの登録を行っても良いでしょう。
最近はインターネットによる募集が中心です。
大手転職サイトや働きたい地域に特化している転職サイトなどに、どんどん登録していきましょう。
面接でよく訊かれることは?面接合格の秘訣!
最近は専門知識の有無を問われることが多いです。
資格が有ればその資格をどう活かせるか、資格が無ければ自分の職歴やこれまでの経験が仕事にどう活かせるか、これまでご説明した「労務管理の仕事のどの部分とマッチングするか」を、具体的にアピールすることが重要です。
未経験でも応募できる?
未経験者でも応募はできます。
例えば教員免許を持っていたり保育士の資格を持っていたりなど人に関わる仕事のスキルを持っている場合は、未経験者でもそのスキルを活用することができます。
年金事務所や労働基準監督署、ハローワークの臨時職員経験などもアピール材料になり得ます。
労務管理の仕事は専門性を突き詰めれば非常に奥深くなりますが、専門性がない場合でも活躍できる仕事は沢山あります。
近年、急激な社会情勢の変化に伴い、高齢の方、障害をお持ちの方、外国籍の方の増加しています。
これにより、様々な体制を見直さなければならない時期が来ています。
従業員一人一人に対するより深いサポートが求められていますので、正社員での採用を目指すなら専門的な知識が必要になってくるでしょう。
正社員、派遣社員、アルバイトの募集があるの?
全ての雇用形態に対し募集はありますが、正社員以外の求人は仕事内容も専門性を求められない傾向があります。
また、5月、12月、1月などの繁忙時に、数ヶ月単位の期間臨時求人が出ることもあります。
派遣社員やパート社員からの正社員登用制度がある企業もありますので、応募の際に確認しておきましょう。
雇用形態によって給与体系はどう違う?
正社員は月給制、正社員以外は時給制での勤務が一般的です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は労務管理のお仕事についてご紹介させていただきました。
労務管理の仕事は事務職として認識されていることが多く、その為コミュニケーションに不安がある方や、接客や営業などの仕事が苦手な方が志望される場合もあります。
しかし、財務経理やシステムの仕事と違い労務管理は「人」を相手に行う業務ですので、仕事そのものは「事務」を行いますが、人と接する機会はかなり多く、人が好きな方、人に興味がある方でないと続かない仕事であると言えます。
労務管理の担当者としてスキルが上がれば上がるほど、周囲からの相談事は増えます。
それぞれの悩みや問題に対して親身になって話を聞きながら、自らの知識と技術で解決に向けての提案を行い、そして一人一人の従業員の「生活」「心身」「職場環境」のサポートを的確に行うことで、その企業で働くことにおける「従業員満足度」を上げていくことが使命です。
新入社員で入社してきた人が「出世」し、「結婚」し、「マイホームを購入する」などといった人生におけるステップを上がるサポートをし、仕事と生活の両面における「充実感」を共に感じることがやりがいに繋がります。
労務管理の仕事は、マラソンにおける伴走者の様に常に相手に寄り添い、人を全力でサポートをしたいと思える方に向いている仕事と言えるでしょう。