労務の仕事内容5個と向いている人・向いていない人の特徴・メリットについて労務歴15年の経験者が教えます!
皆様こんにちは。
今回は、労務管理の仕事内容や向いている人・向いていない人の特徴・メリットについて紹介していこうと思います。
労務管理は、人事と共に総務部内での仕事として区分けされています。
共に人に関する仕事ですが、人事異動や雇用契約の見直しなど、時には会社全体を優先させて個人を犠牲にしなければいけない人事部門と比べて、労務管理部門は従業員に対するサポートが主な仕事であり、従業員のことを常に考えて行動することが大切になります。
パソコンやシステムを使用しての業務が中心ですが、自分が行った業務は常に従業員に繋がっているという意識を持って仕事をすることが大切です。
労務の仕事は大きく5個の役割に分けられる
勤怠管理
勤怠管理は給与計算業務の一つであり、給与額の元となる期間の出退勤時間、残業時間や遅刻早退時間、休日や休暇を集計する業務です。
勤怠は、主にタイムカードなどの機械を使って行い、従業員が毎日打刻をすることによって記録されます。
その集計にあたっては、まず「所定労働時間」と言われる、予め各個人が契約している一日の就業時間と最終的に勤務した実際の就業時間との差を把握します。
タイムカードの打刻は一般的に「出勤」「退勤」「休憩の開始」「休憩の終了」の1日4回ですが、忙しかったり忘れていたりなどで打刻をしていない場合があります。
勤怠管理の主な仕事は、この打刻漏れに対する正確な時間を従業員に確認することです。
また、打刻時間が契約時間より長い場合は残業時間として集計されますが、残業申請が出ていない場合は申請を出す依頼をかけます。
この様にしてタイムカードの打刻時間と残業などの申請が必要な時間の精査を行い、期間の労働時間を確定させることが勤怠管理の主な仕事です。
給与計算
勤怠の期間の集計が終わり、労働時間が確定したら、そのデータをもとに給与計算を行います。
賃金の単価の決まり方を賃金形態と言います。
賃金形態には、主に月給制、日給月給制、日給制、時給制があります。
1ヶ月単位で完全固定給である月給、月給の内欠勤するとその欠勤分は賃金から引かれる日給月給、出勤した日単位で計算される日給、出勤した時間単位で計算される時給です。
計算業務は、主に専用システムを使います。
各個人の契約内容が確定していない場合、データの登録ができず、給与計算ができません。
このため、新規採用の方や昇降昇給があった方のチェック管理は特に厳重に行います。
保険手続き
給与計算が終了し1ヶ月の給与が確定すると、それに合わせてその給与で天引きされる保険料が決まります。
保険料には、主に次の四つがあります。
- 病院で治療を受ける時に保障される「健康保険料」
- 65歳より支給される年金を事前に積み立てる「厚生年金保険料」
- 失業し再就職するまでの間の収入を補填する「雇用保険料」
- 仕事中の怪我や病気に対する治療費や休業中の補償を行う「労災保険料」
健康保険と厚生年金を合わせて「社会保険」、雇用保険と労災保険を合わせて「労働保険」と呼びます。
保険料の計算はシステムで行いますが、入社・退職による月の途中での保険加入、喪失の手続き、また給与額が変動し、保険料が変化した際の保険料の変更処理など、変動的な作業をいかに素早く正確に行うかが必要になります。
福利厚生業務
福利厚生は会社によって様々ですが、社宅の手配、制服や名札の手配、小さなお子様がいるときの託児所の手配などです。
従業員が安心して業務に励めるよう、多様なサポートを行います。
安全衛生管理
職場や通勤途中で怪我をしたときは「労働災害」となり、治療費や休んだときの保障などが「労災保険」より支払われます。
労災保険は、雇用形態に関わりなく従業員全てが加入する保険です。
労働災害が発生した場合、労災保険から全額補償がなされます。
しかし、何よりも事故が起こりにくい、安全で衛生的な職場環境を追求していくことが大切です。
具体的には、事業所ごとに安全衛生に関する責任者を任命したり、産業医と呼ばれる医師を選任したり、安全衛生委員会と呼ばれる会議を開催したりします。
また、新規に従業員を採用したときや、原則として1年に1回定期的に行う健康診断で従業員の健康状態をチェックする業務もあります。
また、近年は「ストレスチェック」という専門の用紙を使って検査し、高ストレスの場合は医師との面談を斡旋したりなど、身体だけでなく心の健康も保てるようにサポートします。
労務の仕事はどんな人に向いている?
それでは、実際に労務の仕事が向いている人についてご紹介していこうと思います。
ホスピタリティのある人
「ホスピタリティ」は、日本語に訳すと「思いやり」や「おもてなし」という意味になりますが、相手に対しての奉仕精神という意味にとることもできます。
従業員に対して思いやりを持って接し、相手の幸せの為に最善を尽くす、また相手の成長や喜びを自分のことのように思うことができる人は、従業員のサポート役としての労務のお仕事に向いている人と言えます。
集中力のある人
労務管理の事務は人を相手にするものなので、給与計算など「完ぺきにこなして当たり前」のお仕事であり、ミスは即誰かに迷惑をかけることになります。
また従業員からとかく頼られがちな部署なので、大小様々な相談事が集まり、とかく業務が煩雑になりがちです。
一つの業務に対して集中力を持って取組み、ミスなくこなすことができる人は労務の仕事に向いています。
おおらかな人
人を相手取る仕事なので、価値観の違い等から、自分は間違っていないのに責められたり、自分が良いと思ったことが相手にとって迷惑だったりする場合があり、理不尽なことを経験しやすい業務と言えます。
些細なことに対していちいち腹を立てず、周囲に感謝しながらおおらかな気持ちで仕事に取り組める人は、労務の仕事に向いています。
労務の仕事に「向いていない」人
次に労務の仕事に向いていない人についてご紹介いたします。
自己顕示欲が強い人
営業や企画の分野では強みとなる「押しの強さ」ですが、労務の仕事はあくまで相手に合わせ、相手のサポートをする仕事です。
相手を自分のやり方に従わせるような態度は許されませんし、また、そのような人は皆から頼られることもなくなります。
「自分を殺して相手の為に尽くす」ことが必要な労務の仕事では、自己顕示欲の強さはマイナスポイントです。
鷹揚(おうよう)な人
「鷹揚」とは「小さなことにこだわらずゆったりしている」という意味です。
労務の仕事はミスが即誰かの迷惑に繋がる仕事ですので、業務には慎重に慎重を期し、起こり得るミスやトラブルを事前に想定しながら石橋を叩いて渡るような注意深さを持つ人のほうが向いています。
「おおらかさ」と違う点は「他人に対してどうか」という部分です。
対外的には「おおらか」に、自己の業務には「細心の注意を払う」ことが重要です。
労務の仕事の良いところ
やりがいを感じるポイント
労務のお仕事は従業員の一人一人の生活をサポートする仕事です。
従業員によって必要とされるものは様々です。
それぞれの従業員に寄り添い、言葉で言われることだけではなく求められていることを想像し事前に対応したり、保険や税金の知識を活かして将来設計の提案をしてみたり、従業員の期待を上回るサポートを行います。
そして、その結果感謝される時がやりがいを感じる瞬間です。
社内の従業員をお客様とすれば、ホテルやレストランなどの接客サービスに近い仕事と言えるかもしれません。
相手に対するホスピタリティ(「思いやり」や「心からのおもてなし」)が必要な点も似ています。
面白いポイント
労務管理は運動部で言うところのマネージャー的な仕事です。
自分のサポートで仕事が捗る、従業員のスキルが上がるなど、自分よりも相手の成長を喜びとできる点が面白いところです。
労務で働くメリットとは?
社内のコミュニケーションの多さ
社内の従業員からの問い合わせは、労務のスキルが高くなれば高くなるほど増えてきます。
それはつまり従業員が「社内で頼りになる人」と判断しているという証拠です。
様々な人の悩みを聞きながらその解決に向けて取組み、問題が解決し感謝される。
そのような喜びを沢山経験することができます。
お金に関する知識が身につく
特に「資産運用」の面で保険や税金、貯蓄や投資といった知識が身につきますので、自身の人生設計について深く考えることができ、適切な行動をとることができるようになります。
その後のキャリアについて
この仕事に就いた後のキャリアアップの道は?
保険や税金に関する知識、資産運用の知識などを活かし、「社会保険労務士」や「ファイナンシャルプランナー」など、より専門性の高い仕事へとステップアップすることができます。
他の仕事にもこの経験を活かせる?
「人」を相手にするお仕事ですので、会社が存在し、そこで働いている従業員がいる限り、需要があるお仕事になります。
労務のお仕事は培った専門性を活かしてどんな会社でも能力を発揮することのできる、汎用性の高い仕事と言えるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は労務管理のお仕事を紹介させていただきました。
労務管理の仕事は同じ総務部門の「人事」の仕事と同じく人を相手にする仕事ですが、採用、育成などの視点を常に持ち、また人事異動や契約変更など時には従業員に対して厳しい対応もしなければいけません。
その為、どうしても従業員を冷静に分析し対応しなければいけない人事の仕事と比較して、労務部門は従業員に対してまるで母親の様に無償の愛を注ぐことが必要なので従業員の心の拠り所となることが多く、様々な人から相談事を持ちかけられたりなど精神面でのサポートも求められます。
奉仕の精神を持ち、従業員を信じ、献身的にサポートをすることのできる人が労務には向いており、またその様な人が1人いるだけで企業の従業員満足度が上がるなど、社内の空気を1人で変えることが可能です。
ただの事務ではなく、物心両面で従業員のサポートを行い、従業員と会社との絆づくりに貢献することが労務管理の目標になります。
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