障害者支援のやりがいとは?経験者の私が感じる6つのやりがいを感じる瞬間を紹介します
障害者支援の仕事って具体的にどのような業務を皆さんは連想しますか?
そもそも「福祉」と言ったら高齢者介護の仕事を連想する方が多いのではないでしょうか。
しかし、実際は児童福祉、高齢者福祉、障害者福祉等、多岐に渡ります。
今回はその中でも障害者支援の仕事について解説していきたいと思います。
障害者支援施設の職員のやりがいについてや、障害者福祉に向いてる人の特徴までしっかりお伝えできればと思います。
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障害者支援の仕事の種類と大まかな仕事内容
障害者支援の大元となる法律は障害者総合支援法です。
障害者総合支援法では身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病の方を支援の対象と位置付けています。
では、まず障害者総合支援法に定められている障害福祉サービスについて、厚生労働省のホームページを参考にしながら解説していきます。
障害福祉サービスには大きく分けて施設や自宅で介護を受ける際等に利用する介護給付と一般就労に向けて訓練を行ったりする際に利用する訓練等給付の2つがあります。
介護給付
居宅介護
利用される方の自宅に訪問し、入浴や排せつ等の身体的な介護や、食事作りや掃除等の手伝いといった家事援助等の支援を行います。
重度訪問介護
重度の肢体不自由、知的障害、精神障害があるため、自力で日常生活を送ることが難しく介護が必要な方に対し、自宅で入浴、排せつ、食事等の介護を行ったり、外出する時に移動支援を行ったり、入院時する際の支援したり等、総合的な支援を行います。
同行援護
視覚障害がある方が外出する際、代筆や代読を行ったり、公共機関等を利用して移動の支援を行ったりします。
行動援護
知的障害や精神障害のある方が移動したり、外出したりする時、危険を回避するために必要な身体的な介護を行ったり、精神的な安定を図るための支援等を行ったりします。
重度障害者等包括支援
特に介護の必要性が高い方に対し、居宅介護や行動援護、短期入所等の複数の福祉サービスを用いた支援を包括的に行います。
短期入所(ショートステイ)
自宅で生活している障害のある方が介護者の都合(病気、急用等)で介護が出来ない場合、短期間、施設入所支援等のサービスを行っている施設で預かり、その際に入浴、排せつの介護や食事の支援等、必要な支援をおこないます。
療養介護
医療的なケアと介護を常時必要とする方に対し、病院等の医療機関でリハビリテーション、看護、介護や日常生活の世話等を行います。
生活介護
常に介護を必要とする方に対し、日中、入浴、排せつ、食事等の介護等やその方の障害や状態に適した日中活動の機会の提供を行います。
施設入所支援
施設に入所している方に対し、夜間や休日において、入浴、排せつ、食事の介護等や日常生活を送る上で必要な支援を行います。
比較的障害の程度が重い方が対象です。
訓練等給付
自立生活援助
地域での一人暮らしを目指している障害のある方に対し、一人暮らしを行うために必要な生活的スキル等の獲得を行うために、定期的に自宅やグループホーム等を訪問したり、随時相談を受けたりしながら地域で自立して生活していくための支援を行います。
共同生活援助(グループホーム)
夜間や休日、共同生活を行う住居で日常生活の相談を受けたり、入浴、排せつ、食事等必要な介護を行ったりして安心して生活していけるよう支援を行います。
訓練等給付
自立訓練(機能訓練)
身体障害のある方や難病を患っている方等に対し、自立した日常生活や社会生活を営めるよう、必要なリハビリテーション等の支援を行います。
自立訓練(生活訓練)
知的障害や精神障害のある方に対し、自立した日常生活や社会生活を営めるよう、入浴や排せつ、掃除や食事等、生活していくために必要なスキルを獲得・向上させていけるよう支援を行います。
就労移行支援
一般企業等への就労を希望する方に対し、就労するために必要な知識やスキルを身に付けるために必要な訓練を行います。
雇用契約は結びません。
就労継続支援(A型)
一般企業等への就労が難しい方を雇用し、就労スキルの獲得・向上のために必要な支援を行います。
雇用契約を結ぶため、最低賃金が保障されます。
就労継続支援(B型)
一般企業等での就労が難しい方に対し、就労する機会を提供するとともに、就労スキル獲得・向上のために必要な支援を行います。
雇用契約は結びません。
就労定着支援
就労移行支援等の福祉サービスを受け、一般就労に移行した方を対象に、就労に対する悩みや相談を受けたり、必要に応じて就労先や他の機関と連携したりすることにより、就労を定着されていけるよう支援を行います。
以上が障害福祉サービスの内容です。
では、次に障害福祉サービスを提供する場所、つまり障害者支援の仕事の場について解説します。
障害者支援の仕事の場の多くは医療法人、社会福祉法人が運営しています。
病院
主に精神科の病院での勤務です。
精神保健福祉分野に特化した、精神保健福祉士の資格を持つ人が活躍しています。
初診の方の聞き取りや退院支援、デイケア、訪問看護等の仕事を行います。
デイケアや訪問看護は福祉サービスではなく、医療系のサービスです。
施設入所施設
主に知的障害や身体障害のある方が利用されます。
比較的重度の方が対象です。
入浴、排せつ、食事の支援等、生活のために必要な支援を行います。
また、日中はそれぞれの障害の程度や個性に応じた活動を促します。
施設入所支援、短期入所、生活介護等多数のサービスを提供している施設がほとんどです。
就労支援事業所
身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病と幅広い障害のある方が利用されます。
比較的軽度の方が対象です。
それぞれの目的に合わせて、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型、就労定着支援といったサービスを使い分けます。
共同生活援助(グループホーム)等の運営を併せて行っている事業所もあります。
訪問介護事業所
訪問介護事業所は本来介護保険のサービスを提供する事業所でしたが、現在は障害のある方も居宅介護を利用することが出来ます。
利用される方の障害区分に合わせて利用出来る上限の時間が決まっていますので、その時間に応じて支援んを行います。
居宅介護に加え同行援護、行動援護等のサービスを併せて行っている事業所もあります。
相談支援事業所
相談支援事業所は指定特定相談支援事業所と指定一般相談支援事業所に分かれています。
最も多いのは指定特定相談支援事業所で主な業務はサービス等利用計画の作成とモニタリングです。
障害のある方が市町村に障害福祉サービスの利用申請をされた場合、相談支援専門員という福祉専門職がが申請者の自宅等に訪問し、障害福祉サービスの利用に至るまでの経緯や成育歴、利用を希望するサービス、利用にあたり不安なこと等、全般的に聞き取りを行います。
その上でたてる利用計画がサービス等利用計画です。
その後、本人や家族、関係機関等を集めて担当者会議を行い、今後のサービス利用についての話し合いを行います。
サービスを開始した後も定期的に自宅等に訪問し、サービス利用の状況や生活の変化、困りごとがないかの確認等を行い、必要に応じて利用するサービスを変更したり、新しいサービスの紹介を行ったりします。
相談支援事業所は単独で運営していることは少なく、ほぼ医療法人や社会福祉法人が入所施設や就労支援事業所等を併せて運営しています。
障害者支援の仕事はどんな人に向いている?
簡単に障害福祉サービスや障害者支援の仕事の場について解説しました。
聞きなれない言葉ばかりでイメージしにくい方はホームページ等を見るとより分かりやすいかもしれません。
では次に障害者支援の仕事に向いている人はどんな人なのか解説していきます。
障害のある方に敬意を持って接することの出来る人
障害はあくまでもその人の一部であって全部ではありません。
「障害を持っている○○さん」ではなく、「○○さんを構成している一部として障害がある」だけのことなのです。
そのため、障害があるからといって守ってあげなければいけない弱い存在というわけではありません。
障害者支援の仕事はあくまでも障害のある方がその人らしく生きるためのお手伝いをすることです。
特に知的障害のある方に関しては年上の方でも子どもに接するような口調になってしまいがちかもしれません。
しかし、その方も我々と同じように今まで生きていた中で積み重ねてきた歴史があるのです。
障害のある方に敬意を持って接するということは障害者支援の基本です。
敬意といってももちろん難しく考えることはありません。
年上の方には敬語を使う、介護をする時は声掛けを行う等、人と接する上で当然のことを行うだけで良いのです。
過度に支援してあげなきゃと思ったり、見下していたりする気持ちがあれば自然と障害のある方に伝わります。
障害のある方に敬意を持つということは大前提であり、職員にとって欠かせないものであると言えます。
向上心のある人
障害者支援の仕事を行うためには向上心も必要です。
なぜならば障害者福祉だけに限らず、福祉全体を取り巻く制度や環境は日々変化しているからです。
法律改正も頻繁に行われています。
そのため、何か変化がある毎に何がどのように変わり、どう利用していくのかということをしっかり把握していなければなりません。
そうでなければ支援の対象である障害のある方に損失を与えてしまったり、質の良い支援が出来なかったりすることになりかねません。
制度やサービスに関する研修、直接支援の仕方に関する研修等、幅広く学びの場は設けられています。
職場から参加指示があった研修はもちろん、自己研鑽のためにも自ら積極的に情報収集したり、研修会に参加したりすることが大切です。
コミュニケーション能力が高い人
障害者支援の仕事は1人の人や1つの機関だけで行うものではありません。
家族・病院・福祉施設等、さまざまな機関が連携しながら支援を行います。
連携をするためには定期的に連絡をとったり、必要時に会議を開いたりすることが必要です。
そのため、コミュニケーション能力が高い人は向いているといえるでしょう。
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逆に障害者支援の仕事に向いていない人とは?
障害者福祉の仕事に向いている人について解説しました。
では次に反対に障害者支援の仕事が向いていない人はどのような人なのかについて解説します。
自分の感情コントロールが出来ない人
福祉の仕事は感情労働とも呼ばれます。
感情労働とは感情コントロールが必要不可欠な仕事のことです。
障害のある方に対する支援はやりがいがある仕事ですが、当然楽しいだけではありません。
イライラをぶつけられる・逆に話が通じなくてイライラする・いたたまれない話を聞く等、感情が揺れる場面が多々あります。
しかし、支援者の感情が乱れていては良い支援は出来ません。
良い支援を行うためには支援者が自分の感情をコントロールすることが必要不可欠です。
しかし、支援者も人間ですから、完全に感情を乱さないということは出来ません。
そのため、感情を乱さないことではなく、自分の思考回路や苦手な部分等を把握し、上手にコントロールしていくことが大切です。
自分の問題と相手の問題との線引きが出来ない人
感情コントロールにも通ずるものがありますが、支援をする際に支援者側の問題なのか、支援の対象である障害のある方自身の問題なのかしっかり線引きが出来ることも大切です。
線引きがしっかり出来ないと障害のある方のの自己決定の機会や自立の機会を潰してしまったり、感情的な支援になったりしてしまいます。
また、上の項目で説明した通り、福祉の仕事は感情労働です。
そのため、障害のある方自身の問題を自分の問題のように感じては相当なストレスが溜まってしまいます。
福祉の仕事に必要なのは「熱い心を冷めた頭」だと言われています。
感情的な支援は障害のある方にとってはもちろん、支援者にとっても良いことはありません。
支援に対する情熱はそのままに、専門性を活かした冷静な支援を行うことが大切です。
結果をすぐに求めてしまう人
障害者支援の仕事は販売や営業のように毎月何個等、すぐに結果が出る仕事ではありません。
何年、人によっては何十年という長い時間をかけて支援し続けることで少しずつ障害のある方が出来ることが増えたり、変化があったりします。
そのため、とても長いスパンで考えていくことが必要となります。
すぐに目に見える結果が欲しいという方は苦しくなってしまうかもしれません。
障害者支援の仕事のやりがいとは?
では、次に実際に障害者支援の仕事をしていた筆者が感じた、仕事のやりがいについて解説していきます。
支援の対象である障害のある方に良い変化があった時
毎日の支援を積み重ねることで被支援者に良い変化が訪れます。
それは突然変わることもありますし、少しずつ変わることもあります。
他者とコミュニケーションをとることが難しかった方が挨拶をしてくれたり、失禁してしまうことが多かった方がトイレに行きたいと意思表示をしてくれたり等、今まででは考えられなかった変化があった時はこの仕事をしていて良かったと思いました。
様々な価値観や考え方を知ることが出来る
これはやりがいというよりメリットに近いかもしれません。
障害のある方には様々な人がいます。
先天性の障害の方もいれば中途障害の方もいます。
筆者が接してきた方の中には元教師の方、東大を卒業された方、元騎手の方等、様々な方がいらっしゃいました。
様々な方と接して話をすることにより、自分にはない価値観や考え方、世界を知り、人として成長させていただきました。
まとめ
今回は障害者支援の福祉サービスや仕事場、仕事内容、向いている人、向いていない人、やりがいについて解説していきましたがいかがでしょうか。
年々活躍の場が広がってきており、人としても社会人としても成長させてくれる障害者支援のお仕事。
是非目指されてみてはいかがでしょうか。