社労士として事務所や一般企業に勤める人、社労士になるために勉強をしている人、その誰もが一度は夢を見るのが「独立開業」でしょう。

独立開業をした社労士とは、どのようなものでしょうか。

バリバリ営業をかけて顧客を獲得し、顧問先を回りながら電話をかけ、内勤で書類を作る・・・中には、たくさんの従業員を抱えながらこれらの業務をこなす、このようなイメージがあるかもしれません。

今回は、社労士として独り立ちしたいと考える人が行わなければならないことや必要となる経験の内容、実際に働きながら独立開業のスキルを身につけることができる勤務先をどのように見出していけば良いかについて、説明をしていきましょう。

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まずは「社労士」の仕事例をチェック

社労士が独立するって大変なの?

難関の試験を突破して、登録講習を受け、「社労士」と名乗ることを認められた瞬間というのは、誰にとっても格別なものでしょう。

しかし、どのような資格にも共通して言えることですが、社労士として独立をすることは決して楽な道ではありません。

なぜなら、社労士として独立開業をするためには、さまざまな費用と時間がかかるからです。

試しに、費用を最少に抑えるために「自分一人」で社労士事務所を構えるケースを考えてみましょう。

まずは、仕事スペースの場所を確保する必要があります。

どこかの場所を事務所として借りるならば、契約の手続きや月々の賃料が求められます。

また、賃料を抑えるために自宅を事務所として登録する場合でも、顧問先のさまざまな重要データを扱うためには、ある程度のスペースが必要です。

他の家族の出入りのない場所に顧問先のデータや書類を格納し、仕事ができる環境を整えなければなりません。

次に、仕事をするための事務用品の準備をする必要があります。

給与計算や保険料の申告をするためには、パソコンを初めとしたさまざまなものを揃えなければなりません。

会社勤めをしている場合なら、パソコンも筆記用具もコピー用紙も、会社が準備してくれたものを安心して使うことができます。

しかし、自分一人で仕事をしなければならない場合は、これらの物品すべてを自身で準備しなければならないのです。

社労士事務所を稼働させるための準備にはお金も時間もかかることが、お分かりいただけましたでしょうか。

次に必要となるのが、収入の確保です。

社労士事務所を維持していくためには、それなりの実入りが必要です。

しかし、当然ながら社労士として登録をした瞬間に顧客がこぞって「うちと契約をしてくれ!」と押し寄せるわけがありません。

自分の存在すら知らない会社に向けてさまざまな手段で営業をかけ、顧客を一つずつ獲得していかなければならないのです。

もともと営業の経験がある者にとっては、当然の考え方かもしれませんね。

しかし、社労士を志す者の中には、会社の総務や経理などで働く事務職出身の者も多くいます。

営業のノウハウがないまま社労士の世界へ飛び込む者も少なくありません。

このようなケースに対応するためには、独立開業をする前にどのように顧客を獲得していくのかを、入念に検討することが求められます。

改行をして独り立ちをした社労士の中には、何年も独立のためのプランを温めた上で実行に移す者も少なくありません。

独立開業への道のりは、それくらい険しいものと考えておいた方が良いでしょう。

社労士で独立する人って多い?

昨今では、ワーク・ライフ・バランスや働き方改革の影響もあり、安定した企業や収入よりも、自分のプライベートな時間や育児や介護のための時間などを無理なく取りながら、自分のペースで働くことを求める者が増えている傾向にあります。

この流れを受け、社労士として独立開業を目指す者も多くみられます。

以前に比べ、開業を夢見る若い世代の人が多いことも特徴の一つでしょう。

しかし、先ほどの項目で説明をしたように、社労士として独立開業をするという道のりは平坦なものではありません。

そのため、独立開業をした者も、諦めて事務所をたたむケースや、開店休業状態で副業をしたり他企業で勤務をするケースも多くみられます。

いったん独立開業をしたとしても、その後続けていく者は少ない、というのが社労士界の現状であるといえます。

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社労士が独立するために学ぶべき4つの心構えとは?

ここまでの内容で、社労士が独立して開業をすることの厳しさがお分かりいただけたかと思います。

それでもなお、独り立ちの夢を持ち続ける人のために、ここでは実際に社労士が独立するために知っておくべきことや学んだ方が良いことについて、順に説明をしていきます。

「社労士の認知度はまだまだ」ということを認識すべし

社労士は、難関の試験を通った者だけが名乗ることを許される、れっきとした国家資格です。

しかし、同じ国家資格である税理士や弁護士、医師などに比べ、世間の認知度がいまいち低いのもまた現状です。

試しに、周りの人に「社労士って何をする人か知ってる?」と聞いてみてはいかがでしょうか。

明確な答えが返ってくる可能性は半分程度かもしれませんし、中には「社労士って何?」と、社労士の存在そのものを知らずに聞き返されてしまうかもしれません。

社労士として独立する際には、このことをよく覚えておきましょう。

自身のことを知らない人がいる、ということを頭に置くだけで、その後の行動が間違いなく変わってくるはずです。

社労士の必要性をどれだけ売り込めるか

前の項目で説明したように、社労士の認知度はそれほど高くありません。

つまり、会社の社長の中には、社労士がどのような仕事をしているかを知らないケースもあるということです。

自分のことを知らない相手が、自分と契約し、顧問料を支払う気になるでしょうか。

当然ながら、答えは「No」ですね。

このような状況に対応し、顧客を獲得していくためには、まずは自身で分かりやすく「社労士」という仕事の内容を説明できるようにしましょう。

そして、社労士が会社に係わることで、どのようなメリットがあるのかを明確にしておきましょう。

労働保険料・社会保険料に関する手続きが簡素化されていることや、経済情勢が不透明ということもあり、専門家への顧問料を出し惜しみする企業も多くみられます。

そんな中で社労士として独立し、稼働をしていくためには、自分と契約することでどれだけの実入りがあるかをはっきりとさせ、結果を出していく他はありません。

また、他の社労士にはない、自身の強みをアピールすることで、更に顧客獲得率はアップするでしょう。

商品である「自身の知識」を磨き、積極的に売りこんでいくことが、成功への近道となるはずです。

助成金に興味を持つ顧客が多い

国では、雇用にまつわるさまざまな助成制度を打ち出しています。

助成制度は、昨今のさまざまな労使トラブルへの対応や、社内環境の改善を促すためなどの理由で実施されているものですが、実際にまとまった金額が入ることから魅力を感じる社長も多くみられます。

しかし、実際に助成制度の申請を行い、助成金を受け取るためには、さまざまな準備が必要です。

数多くの書類や専門用語の嵐に辟易してしまい、途中で投げ出してしまうケースも非常に多いです。

また、頑張って申請をしたとしても、何らかの不備により不受理の結果を受け取り、ガッカリする場合も中にはあるでしょう。

このような場合に必要とされるのが社労士です。

忙しい社長に代わって書類を取り揃え、代理で申請をすることで、会社側の手間がかなり省けることになります。

もちろん、助成金ありきの経営は良くないですが、自身の強みの一つとして「助成制度に対応できる」ということは、顧客獲得の際に大きな強みになることでしょう。

自分の安売りはしない

独立したばかりの社労士は、当然ながらまとまった収入がない状態です。

そのような中で売り込みを続け、ようやく初めての顧客ができそうだという瞬間を考えてみて下さい。

「絶対にこのお客さんをつかまえたい!」という思いでいっぱいだということが容易に想像できますよね。

ただし、このような場合でも覚えておかなければならないのが「自分を安売りしない」ということです。

ここで自分の意思を曲げて「少し安くするので契約して下さい」と想定より安価な金額で契約してしまった場合、最初のうちは顧客が獲得できた喜びで溢れ、仕事にも身が入ることでしょう。

しかし、慣れていくにつれ、2件目、3件目、と顧客が増えてきます。

経験を積むにつれ自身の専門知識や能力が高まり、同時に自信がついてくるため、自分自身が適正と思える金額を提示し、顧客を獲得できるようになるでしょう。

毎日の生活がどんどん忙しくなる、そんな中で、初めに契約した安価な顧問先をわずらわしく思うようになる日が来ないと言えるでしょうか?

社労士の仕事は数字の計算など緻密な作業も含まれるため、ちょっとした気のゆるみが大きなミスにつながります。

自身が無理なく仕事を続けることができるような金額をあらかじめ設定したら、決して安売りせず、一貫した態度で顧客に向かうことが、安定した事務所経営のためには重要になります。

働きながら経験を積める働き先の見つけ方

社労士として独立するために覚えておく内容について説明をしたところで、ここからは実際に働きながらこれらの経験を積むための働き方について解説をしていきましょう。

ここでのポイントは、決して自分の選択肢を狭めるべきではない、ということです。

社労士の仕事は、さまざまな会社のサポートを行う事です。

自身が学びたいこととは別のジャンルの仕事だとしても、積極的に受けておくことで、それが自身の経験となります。

さまざまなことを吸収し、独立開業への一歩を踏み出すための準備を行いましょう。

独立開業に理解のある事務所を探し、経験を積む

世の中には、求人募集を行う社労士事務所はたくさんあります。

社労士事務所の中におけるトップは、「先生」と呼ばれる社労士です。

社労士事務所の方針やカラーは、その「先生」の考え方が大きく影響します。

そのため、勤務する社労士が独立開業をすることに対する対応についても、事務所の数だけ異なるのが現状です。

子どもを送り出すように暖かく見送ってくれる先生もいれば、嫌な顔をする先生もいます。

独立開業をよく思っていない事務所に一旦勤務をしてしまうと、退職することが非常に困難になる危険性もあることでしょう。

このような事態を防ぐため、入社する前の段階で事務所の方針をあらかじめ確かめておくことが重要です。

独立開業に理解のある事務所に勤めることでさまざまなアドバイスを受けることができ、また事務所の先輩に将来に向けた質問を投げかけることも容易になるため、事務所に勤める期間は将来に向けた貴重な経験になることでしょう。

また、独立する際に自身が担当していた顧客がそのまま「今後もお願いしたい」として顧問先になるケースもあります。

このような場合、職員の独立開業をよく思っていない事務所だとしたら、揉め事になること必至ですね。

独立に理解のある事務所だとしても、自分の事務所の顧客が流出してしまうことを不快に思う先生はいます。

このような場合の取り決めについても、あらかじめ事務所側と入念に話し合っておくことが、後々のトラブルを防ぐもとになります。

行政に勤め、異なった視点から社労士業務を見つめる

社労士として独立し、会社のためにさまざまな事務作業をすることになった場合、もっとも関わりが深くなるのがハローワークや労働局などの行政機関です。

この行政機関とは、書類のやりとりを初め、顧問先への調査への対応や不明点の確認など、さまざまなやりとりを行うことになるため、スムーズにコミュニケーションを取れるようにしておくことが重要です。

というのは、あまりにも行政との間でトラブルが絶えない社労士は嫌われてしまい、助成金の申請の際などの心証が悪くなってしまうケースがあるためです。

このような危険性を防ぐため、また行政機関が普段どのように仕事を進めているかを学ぶため、行政機関が募集する職員に応募するという方法があります。

行政機関の考え方を学ぶことで、将来独立した際に顧問先へ行うことができるアドバイスの幅が広がり、頼りにされる機会が増加するはずです。

期間限定の募集や、週に○日などのパートタイマーとしての募集もあるため、独立をしてから副業として行政機関へ就職する社労士も少なくありません。

ぜひ選択肢の一つに加えてみてはいかがでしょうか。

まとめ

社労士として独立するためには、数多くの準備や経験、心構えが必要となることがお分かりいただけたかと思います。

でも、入念に計画を立て、さまざまな経験を積むことで、成功の確率がグンと上がることもまた事実です。

独立に理解のある職場で働きながらスキルアップと将来に向けた貯金をし、満を持して新たな一歩を踏み出すための準備を進めることが、自分の事務所を構えるための貴重な時間になることでしょう。

独立開業を考える人は、一度ゆっくり自身の道のりについてを考えてみてはいかがでしょうか。

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