毎日畑に出て、いちごを育てるいちご農家。

消費者に喜んでもらえる素敵な仕事ですが、植物を相手にした仕事なので、時にはとても大変な思いをすることも。

それでもいちご農家を続けていくのには理由がありました。

今回は、いちご農家の仕事の大変さと、やりがいについてご紹介いたします。

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いちご農家の仕事を大変と感じてしまう5個の理由とその乗り越え方とは?

どの仕事もつらいこと、大変なことがありますよね。

いちご農家にも大変なことがたくさんあります。

しかし、それを乗り越えていちごを出荷しています。

いちご農家は困難をどうやって乗り越えているのでしょうか。

ご紹介します。

自然災害に弱い

農業は天候に大きく左右される仕事です。

特に、南の方になると台風、北の方は降雪にとても悩まされます。

自然災害は人間ではコントロールできませんので、対策を打つのが難しく、対応が遅れてしまえば作物にも設備にも大打撃をくらいます。

私の経験で一番ひどかった時は、大きな台風が来て思いがけなく堤防が破損してしまい、そこら一体の畑に海水が流れ込み、広範囲の畑に被害が発生し、育っていた作物が全て枯れてしまいました。

そうなってしまえばその年は大赤字です。

作物が採れないため収入がありませんし、設備を修繕せねばならない時は高額の設備投資が必要です。

もし前年に豊作であった場合は、所得税の額が上がっていますから、赤字なのに税金額は多いという魔のスパイラルに陥ってしまいます。

天気予報をこまめにチェック

そんなことにならないための一番重要な対策は、毎日こまめに天気予報をチェックすることです。

朝昼晩にニュースをつけ、一番新しい天気予報を確認しています。

地デジになってからはいつの時間でも最新の天気予報を見ることができるので、テレビを重宝しています。

台風情報や警報も併せて確認した方がいいです。

天気予報を見ていれば大丈夫、という訳ではありませんが、今後の仕事のスケジュールをたてる際に、判断の基準になります。

台風が来ているのにハウスのビニールは貼ったまま、というような設備破損につながる状況は逃れることができます。

病気に弱い

作物は種類にもよりますが、色々な病気にかかります。

時には予想もできない病気にかかることも。

1つの苗が病気になると、インフルエンザのようにどんどん感染していき、気づいたら全滅、なんてこともあります。

農薬を与えていても、全ての苗を守り切れるとは言い難いため、病気にはとても手をやきます。

いちごのために色んな種類の農薬をたくさん与えたいと思っても、消費者のことを考えるとそうもいきません。

有機栽培農家はいかに病気と闘うかが仕事とも言えます。

いちご農家は「うどんこ病」という、いちごに白いカビができる病気に特に悩まされます。

「うどんこ病」は人体に害はないのですが、「うどんこ病」に感染したいちごは出荷できないことになっています。

放っておくと感染した苗が生えているビニールハウス1本分の苗全てに広まってしまうため、発見したらすぐに苗ごと抜きとって処分します。

管理を怠らない

病気に対抗するには、まずは適切な農薬を散布すること。

それでも病気になってしまうのはもうこちらではどうしようもないので、感染を減らして被害を最小限に抑えることが重要です。

農作業中に注意して苗を目視し、病気をみつけたら感染する前に撤去する、そうやって管理していくことで、全滅は免れます。

害虫・害獣に襲われる

病気の次に困るのが、害虫や害獣の存在です。

ヨトウムシやネキリムシ等、日常生活では見たこともないような虫がたくさん土からでてきます。

また、特に山が近くにあると、タヌキやイノシシ、シカ、サル、北海道だとシマリス等多くの害獣が作物を狙って畑に侵入してきます。

せっかく実った作物を害虫に食べられたり、害獣に荒らされたりすることの悲しさは言い表せません。

ネズミはいちごの実ではなく、いくつものいちごの種をひとつずつ取って行ったりするのですが、一つでも種を取られるとどんなに実がキレイでも出荷できなくなるため、特に腹立たしい害獣です。

時には憎しみを生むことすらあります。

害虫や害獣が病気を呼び込んでくる時もありますので、作物の成長のためにも注意して駆除する必要があります。

畑の見回りを強化する

まずは害虫や害獣が入った痕跡を見逃さないことです。

いちごはマルチング(いちごの畝にかぶせる防寒シート)の中にネズミやモグラが隠れていることがありますから、しっかり実の状態を観察しないと、被害に気づけない時もあります。

よって毎日注意して見回りをします。

薬をかける

害虫除けの薬が色々と発売されています。

上手に利用していくことで害虫による被害は激減します。

設備を追加する

イノシシ等の動物が入ってこないよう有刺鉄線で畑を囲んだり、鳥よけのためにマネキンを立てたり(人間がいると思って近づかない)、そういった害獣が畑に入らないための設備を追加して設置することによって害獣から畑を守ります。

害獣から畑を守るための講座等が自治体で行われているところもありますので、それに通って学習したことを実践することもあります。

猟友会に駆除を頼む

猟友会という猟師の団体があり、害獣駆除を依頼すれば、罠をしかける等して駆除してくれたり、害獣除けになる動物の死体(猟友会が銃等でとったもの)を設置してくれたりします。

こういうサービスを賢く使って、害獣を遠ざけます。

害獣の種類によっては駆除することにより自治体から猟師に報酬が支払われることもありますので、猟師とはWINWINの関係を築くことができます。

腰痛持ちになる

農家の仕事は少しずつやりやすいように発展していってはおりますが、やっぱり腰に負担がかかる作業はまだ多いです。

いちご農家は特に腰を痛める中腰での作業が多く、腰痛からは逃れられません。

高地栽培(いちごを立って作業できる高さに植える栽培方法)であればかなり楽ですが、地面に近いところに植えていると、11月から5月までの約半年、毎日中腰で収穫の作業をしますから、最終的に立つのもつらくなります。

マッサージと工夫で乗り越える

定期的に整体やマッサージに通ってケアすることと、設備投資をして腰に負担がかからない設備に変えることでなんとか乗り越えます。

設備投資は額面がかなり大きいので、なかなか踏み出せない農家が多い現状です。

休日が不定休になる

自然を相手にしているので、先の予定を立てて仕事を進めていっても、思い通りにならないことが多々あります。

例えば、連休をとって旅行にいこうと思っても、大雨の予報が出ると、雨対策を優先しなければならないので、通常業務以外の仕事ができてしまい、予定していた休みがとれなくなります。

会社のような農業経営であれば、他の職員がカバーすることができますが、家族経営のような少人数経営であれば、思い通りに休みをとることは難しいです。

シーズンオフまで耐える

いちごのハイシーズンである11月から4月は全然休めないくらい忙しいですが、夏の間はオフシーズンなので、比較的休みやすいです。

家族経営でも調整次第ではまとまった休みをとることができます。

(家族旅行は難しいですが)この時に心身共にリフレッシュして、冬に備えます。

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いちご農家の仕事は大変…。けれどもやりがいのあるこの仕事

大変なことも多いいちご農家ですが、それを乗り越えて続けていきたいと思わせるやりがいがあります。

消費者に喜ばれる

いちごは果物の中でも、万人に人気がある果物であると言えます。

冬になってスーパーに並び始めると、売り場がパッと華やぎますし、ケーキにいちごが乗っていたらなんだか他のものより目を引きますよね。

農家は消費者の方に「おいしい」と言ってもらえるのがやっぱり一番うれしく、自分の仕事へのやりがいを強く感じます。

消費者の声を聞く機会はあまりありませんが、出荷時期になると思いのほか身近で「おいしい」声を聞く機会があるのです。

いちごを収穫して出荷の作業をしていると、規格外、つまり出荷するレベルに達しないいちごがたくさん出てきて、捨てるのはもったいないけれど家族では食べきれないという日が多くあります。

そんな時は近所の方等におすそわけとして持っていくのですが、他の野菜や果物を持っていく時より遥かに喜ばれます。

特にお子さんやお孫さんがいらっしゃる方からの人気は抜群です。

これは、みんな大好きないちごだから得られる反応ではないかと思います。

自分が手間暇かけて作ったいちごで誰かが元気になってくれている、喜んでくれているということは存外嬉しく、やっぱりいちごを育てていてよかったな、と思わせてもらえるのです。

収穫の喜びを感じることができる

いちごは小苗を用意してから収穫できるようになるまでに、7カ月かかります。

7カ月の間、何よりもいちごのことを最優先して生活するのですが、前述したとおり大変なことがたくさんありますから、いざ収穫となると、今年もちゃんと実ってくれてよかった、という安心感と、手間をかけたぶんだけ大きな達成感を味わうことができます。

自分ががんばってきたことへのフィードバックが実りという形で返ってくるという訳です。

がんばっても成果が目に見えない仕事も多くあります。

そんな中農業は、必ず成果を目視できるため、次のシーズンへの励みとなります。

収穫作業は大変ですが、毎日一番おいしい獲れたてのいちごを味見できるという農家の特権があるためがんばれます。

家族(または従業員)との絆が深まる

いちご農家の仕事は分担して行う仕事より、みんなで行う仕事が多いです。

だから、ほぼ一日中一緒に何かの作業をすることになります。

そこでの会話や、自然災害等の困難をみんなで乗り越えることによって、絆が生まれます。

大変な仕事を協力して終わらせて、みんなで打ち上げをする時に、いちご農家はいいものだなと思います。

仲間ができる

いちご農家は自営業ですが、一人ではできません。

同じいちご農家を経営している方の部会に所属したり、農作業用の機械を取り扱っている会社の人や、農薬のメーカーの会社の人等、たくさんの人と関わって、やっといちごの出荷で生計が立てられるようになるのです。

特にいちご農家の集まりであるいちご部会の人たちとは、情報を交換し合ったり、一緒に研修を受けたり、出荷作業をしたりと、密に関係性を形成していきます。

自営業は自分で色々なことを決めていかねばならないため、一人が負う責任が重いです。

だからこういった同じ悩みを相談できる団体に属しているということは、農業経営者にとって大きな心の支えとなります。

時には人海戦術で取り組まねばならない仕事もあります。

そんな時に声をかければすぐに集まってくれる仲間がいるのは、心強く、誇らしい気持ちになります。

ひとりだけどひとりではない、そんな暖かさが農家の魅力のひとつです。

豊作の年は大きな財産が手に入る

年によって豊作の年と不作の年があります。

豊作の年は収穫の作業自体は増えるので大変ですが、収入はグンと増えます。

それこそその年の売り上げだけで家が建つくらいです。

農家はギャンブルと言われる所以がそこにあります。

一度当たり年を経験してしまうと、離れなれない魅力があるようです。

時間を割いて毎年コンスタントに豊作になるよう研究をすれば、莫大な財産を得ることができるでしょう。

不作の年は嫌になるくらい赤字で、とてもつらい気持ちになりますが、豊作の年は、このために農家をしているのだ、と思えるくらいうれしいです。

世間一般では農業は借金の多い稼げない仕事だと言われていますが、農業が盛んな町では、大規模農家が一番の高所得者です。

夢がありますよね。

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まとめ

今回はいちご農家の仕事の大変なところや、それでも続けたいと思えるいちご農家のやりがいについてご紹介いたしました。

いかがでしたでしょうか。

一次産業から段々と若者が離れていき、農業の行く末について懸念する声も少なくないです。

しかしそれは、農業はきついものだというイメージが先行しているに過ぎません。

実際経験してみると、がんばりに対するフィードバックが必ずあるおもしろい仕事です。

今回この記事を通して、農業に興味を持っていただけたら幸いです。

ぜひ、まだ発展の余地がある、いちご農家という職業を経験してみてください。

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