美術館では、様々な人が働いています。

よく知られているのは、学芸員、お客様の対応をするスタッフ、ミュージアムショップの店員でしょうか。

その他にも、教育普及の担当者、事務と経理、広報、空調や設備の管理をするスタッフ、図書館の司書、清掃スタッフ等が働いています。

その中でも、私が働いていたお客様のご案内スタッフのお仕事についてご紹介します。

美術が好きな方や、静かな環境での仕事が好きな方におすすめのお仕事です。

学芸員として働くには資格が必要ですが、ご案内スタッフのお仕事は資格を必要としません。

そのほとんどがパート・アルバイトとして働いています。

主婦の方が多く活躍しています。

美術大学を卒業している人もいますが、そうではない人も多く働いています。

実際にどのような仕事内容なのか、詳しくお話します。

美術館の大まかな仕事内容

美術館でお客様の対応全般を担います。

チケットの販売や館内設備のご案内に始まり、チケットもぎり、展示室内の監視などを行います。

お客様から展示品について質問があることもあり、ある程度答えられるように勉強も必要です。

また、次回の展覧会についてや、周辺施設のご案内もすることがあります。

美術館の仕事は大きく3個の役割に分けられる

美術館のご案内スタッフの仕事は、大きく3個に分けられます。

受付の仕事、展示室入口の仕事、展示室内の仕事です。

大きい美術館であれば、10名以上でそれらの仕事を分担して行います。

また、それぞれの場所で役割がいくつかあり、30分毎などでローテーションしていくように勤務表を組んで仕事をします。

ずっと同じ場所にいると疲れてしまうため、そのような配慮がされています。

受付の仕事

お客様入り口から入ってすぐの受付台で担当します。

チケットの販売が主な仕事です。

展示室入口の仕事

お客様が展示室に入る入り口に立って、または座って仕事をします。

チケットもぎりが主な仕事です。

展示室内の仕事

展示室内で立って、または座って仕事をします。

監視が主な仕事です。

受付の3個の業務

チケット販売

お客様にチケットの説明をして、ご希望のチケットを販売します。

常設展のみと、特別展では金額が異なります。

また、提携割引などの割引があるので、確認します。

海外のお客様が来ることもあり、英語での案内ができる必要があります。

基本的な案内は決められたフレーズを覚えることで対応出来ます。

人気の展覧会ですと、お客様がたくさん並ぶことがありますので、とても忙しいです。

持ち込みが出来ない大きな荷物などのお預かり

キャリーケースや、ロッカーに入らない大きな荷物があれば、受付で預かります。

展示室に持ち込みが禁止されている物もあります。

お花やお弁当、ヘルメットなど、展示物に差し障りがあるものです。

お花は、虫がついている可能性があるためです。

なぎなたのような長い物もお預かりします。

ちなみに、わたしが働いていた美術館は、糖分の入った飲み物が禁止されていました。

赤ちゃんのミルクは、ロビーではいただけないようになっていて、授乳室をご案内していました。

お客様の情報などの伝達

車椅子などの補助が必要なお客様が来たり、団体で大勢のお客様が来たり、取材で撮影許可の出ている報道の方が来た時は、他の階へ伝達が必要です。

インカムを使って他の階のスタッフへ伝達します。

案内スタッフのリーダーがいつもインカムを持っており、対応していました。

展示室入口の4個の業務

チケットもぎり

お客様のチケットの半券の部分を切り取ります。

チケットの種類に分けて半券を保管します。

チケットのないお客様がいないかどうかと、入場者数の集計のために行っています。

また、当日のみ再入場可能でしたので、再入場の際はチケットをもう一度見せてもらいます。

私が働いていた美術館では年間パスポートがありました。

年間パスポートをお持ちのお客様には提示してもらい、有効期限を確認します。

持ち込みが出来ない荷物のお預かり

持ち込みが出来ない荷物については、受付で声をかけますが、気付かず持ってきてしまうこともあります。

そうした時は、もぎり台で預かるようにします。

主に傘のお預かりをしていました。

お客様のお顔を覚えて、お名前を聞き、展示室を出られる際に返却します。

各種ご案内・チラシラックの補充

もぎり台には、周辺の観光案内のマップや、今回の展示の解説、次回の展覧会の情報などが置かれています。

お客様から質問があれば、それらを見て対応します。

「近くにある○○寺に行きたいけど、どういったらいいのか?」ですとか、「ここに描かれているのは何ですか?」などの質問がありました。

展示品については、案内スタッフでは分からないこともあります。

そうした場合、知識のある学芸員さんに質問を伝えて教えてもらうこともありました。

また、近くにはチラシラックが置かれていて、不足しているチラシがあれば補充します。

次回の展覧会のチラシや、日本語と中国語や英語、フランス語で書かれた館内情報、周辺の観光案内などが置かれていました。

音声ガイドの貸出

音声ガイドが無い場合もありますが、音声ガイドの貸出も仕事の1つです。

学芸員の方達が一生懸命作ったものなので、出来るだけ多くの方に利用してもらいたいものです。

お客様は、音声ガイドの有り無しを知らないこともありますので、声掛けをします。

音声ガイドの貸出は、東京都の大きな美術館の場合、その仕事だけをするスタッフがいることもあります。

展示室内の4個の業務

監視

展示品が安全に展示されているかどうか、お客様が触れたり、禁止事項をしていないか、監視します。

お客様の数が少ない時は、監視用の椅子に座り、展示室全体を見渡すようにします。

混雑している時は、巡回して見回ります。

出来るだけお客様の視線を遮らないよう気を付けて行います。

写真撮影は禁止の部屋と、フラッシュ無しでしたら撮影OKの部屋がありました。

また、撮影OKの展示室内でも、数点だけ撮影出来ない作品もありました。

特定のお客様をじろじろと見ることはいけませんが、あるお客様が他のお客様の迷惑になっていないか注意して見ます。

特に、大きな声や物音を出しているお客様がいらっしゃる時です。

ガラスケースなどの拭き掃除、設備の確認

ガラスケースに入っている展示品もあります。

お客様がガラスケースに触れると指紋が残ってしまいますので、その拭き取りをします。

設備の確認は、蛍光灯が切れていないか、シールがはがれていないか、冷暖房の利き具合などです。

それらは、何か異常があれば、別の担当者の方にお願いして直してもらいます。

落し物の確認

展示室内に忘れ物をするお客様もいらっしゃいます。

作品保護のため、展示室内は暗くなっていることが多くて、なかなかご自身で気づきにくくなっています。

監視をしながら、落し物がないかどうかも確認します。

また、ゴミがあれば拾っておきます。

落し物については、拾得物専用のメモ用紙があり、それに書き込んでおきます。

ちなみに、落し物を見つけたら、近くにいるお客様に聞いて回ることもします。

インカム

監視をするスタッフのうち、各階に一人はインカムを付けます。

リーダーや、他の階からの連絡を受けたり、何かあれば報告をするためです。

連絡を受けたら、同じ階にいる他のスタッフに情報を伝えて共有します。

多いのは、落し物が見つかった時です。

落とし物をされたお客様が他の階へ行って落し物に気づき、その階のスタッフに尋ねることがあるからです。

美術館の仕事の良いところ

美術館の仕事の良いところについて、やりがいと面白いポイントに分けてご紹介します。

やりがいを感じるポイント

やりがいを感じるポイントとはどんなところでしょうか?

分かりやすいご案内出来た時

美術館は建物の中が複雑なことが多いです。

働いていると慣れてしまいますが、お客様は頻繁に来る場所ではないので分かりません。

自分がお客さんとして行ってみて、分かりにくいなと思った部分をお手伝い出来るようにと心がけていました。

新しいことを覚えられた時

展示品について学び、今まで知らなかったことが知れた時、とても嬉しく思います。

美術館には小さい頃からよく来ていましたが、キャプションに書かれている情報まで知ったり、一つ一つの作品に書かれている細かな部分まで知ることが出来て、自分の中の財産になりました。

海外のお客様のご案内

美術館には、思っていたより多くの外人さんが来ます。

私たちが外国へ旅行へ行くと、美術館を訪れてみようと思うのと同じように、日本の美術館にもいらっしゃるのだなと思います。

必然的に、英語での案内を覚えるようになりました。

私たちが外国へ行くと、分からないことばかりで不安になるように、日本へ来る外人さんたちも不安です。

観光地の1つとして、安心していられる場所にしたいなという気持ちでご案内していました。

面白いポイント

やりがい以外にも面白いポイントがいくつかあります。

そちらもご紹介させていただきます。

普段ずっと眺められない絵画を見ていられる

美術館に行きたくてもなかなか時間が作れなかったり、美術館に行っても、長時間眺めていられなかったりします。

監視の時は、自分の勉強もあり長い間見ていられるのでとても良いです。

お客様がどんな絵に注目しているのか分かる

お客様がどんな絵に注目しているかと言うと、自身の得意分野の例えば習字が書かれているだとか、和歌が書かれていることがあります。

また、少し前にテレビで報道された作品だったりします。

時間を作って美術館へ来るお客様はどんな方達なのか、この作品を見に来た動機は何なのか、そんな視点で見るのが面白いです。

その美術館の改善点が見えてくる

ご案内と監視のお仕事は、お客様の一番近くにいる存在です。

ですので、お客様の様子を見たり、お客様の感想をお聞きすることが多いです。

そうすると、どんなことでお客さんが不便に思うか、疑問に思うのかが分かります。

「エレベーターのそばにここは何階なのか書いていない。」ですとか、「キャプションに和歌の現代語訳がほしい。」など、改善点が色々あることを知りました。

美術館が行っているイベント等を知ることが出来る

美術館では時々イベントを行っています。

映画の上演だったり、塗り絵などの参加型だったり、スタンプラリーなど様々です。

それらをすぐに知ることが出来るので、お休みの日に家族で行ってみたり、楽しみが増えます。

また、テレビで紹介される際は、事前に知らせてもらえるので、それを勉強がてら見るのも楽しみです。

まとめ

美術館のご案内スタッフのお仕事について紹介してきました。

私が働く前に美術館へ行った時は、スタッフの存在を知っていましたがあまりお話することはありませんでした。

声を掛けられる時と言えば、シャープペンで模写をしている時に鉛筆を渡されたことでしょうか。

展示室の入口にシャープペン禁止と書いてあったのかもしれませんが、読むのを飛ばしていたのかもしれません。

禁止されていることを教えてもらえて、鉛筆を持ってきてもらえたのはとても助かりました。

美術館の展示室内は、作品保護のため照明が暗いことが多いです。

監視のお仕事は特に禁止事項をお伝えすることが多いので、怖い印象を与えないように気を付けなくてはいけないと思っていました。

また、お客さんとして行っていた時、チケット受付で少し戸惑っていました。

料金システムがどうなっているのか分からないことがあったからです。

そんな時に、笑顔で詳しく教えてもらえると安心しました。

実際に私がスタッフとして働いていた時、ご案内・監視のスタッフに質問をするお客様がいることに驚きました。

質問は、私自身したことがなかったですし、して良いと思っていなかったからです。

他の先輩スタッフがとても丁寧にお答えしているのを見て、私も先輩方のようになりたいなと思いましたし、これから美術館へ行って疑問に思ったことがあれば聞いてみようと思いました。

また、海外のお客様が多いことがとても良いことだなと感じました。

ヨーロッパの美術館へ行くと、色々な国の人を見かけますが、日本の美術館はあまり見かけたことがありませんでした。

最近はテレビで日本の美術館が海外で注目されているという番組を見たことがあったので、これから先もお客様が増えていくと良いなと思います。


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