皆さんは林業の仕事にどのようなイメージを持っていますか?

木を切る仕事、木を育てる仕事、このあたりは出てきても具体的な仕事内容をイメージできる人は少ないと思います。

今回は、林業の仕事にはどのような人が向いているのか?

林業においていかせる経験や、林業として働くことのメリットとなど。

林業就業の経験がある著者がこれらについて解説をしていきます。

林業の仕事はどんな仕事?

あまり知られていませんが、日本は国土面積の70%を森林が占めている森林大国です。

その貴重な森林(資源)を育て、有効に活用し、人々の生活に生かすのが林業の仕事です。

また、先人の残してくれた森林を絶やすことなく、次の世代に受け継いでいくことも林業の大切な役割となっています。

林業の大まかな仕事内容

林業は「山でおこなう農業」と言われています。

広大な山の敷地で苗木を植え育て、成長した樹木を伐採して収穫し、それを売る産業です。

仕事上の役割とは?

林業は森林から木材などを生産する経済活動が主な役割ではありますが、近年では地球温暖化防止に対する期待も大きく、森林の整備や保全などが林業の重要な役割の1つになっています。

大まかな仕事内容は以下のとおり、季節ごとに内容を変えて一年を通して行われます。

植栽

3年ほど畑で育てた木の苗を森に植えていきます。

植え付けは苗の成長を考慮して、春または秋に行います。

下刈り、除伐

せっかく植え付けした苗木も、放っておくと雑草や雑木に成長を妨げられてしまいます。

植栽後の5~7年間は、これら雑草等の刈りとり作業を毎年夏に行います。

枝打ち

苗木は植えてから10~15年で4~8mの高さに成長します。

成長すると枝が多くなり、森の中に光が入らなくなることで森林環境を悪くしてしまいます。

また、節が表れることにより木材価値を低下させてしまいます。

これらを防ぐため、梯子などにのぼって枝を切り落とす作業をしていくのです。

秋から春の寒い時期に行います。

間伐

木が順調に育ってくると森の中の密度が増していきます。

そのままにしておくと木が細く弱ってしまうため、こみ具合に応じて伐採をしていきます。

農業で野菜を育てる際の間引きと同じ考え方です。

主伐

大きくなって利用できるようになった木を伐採します。

伐採した木は丸太にして山から搬出し、市場や製材所などへ運ばれて行きます。

地拵え

主伐した跡地をきれいに片付け、次の植栽(再造林)の準備をします。

林業の仕事はどんな人に向いている?

仕事の内容が大体わかったところで、林業はどんな人に向いているのかを解説していきましょう。

自然を愛する人

仕事をする場所は基本的に山の中です。

朝から夕方まで1日中自然の中で過ごすことになります。

良くも悪くも天候の影響をダイレクトに受け、昆虫やヘビ、イノシシなどと遭遇して驚くことも度々です。

お昼休憩時にスマホゲームをやろうとしても、携帯の電波が入らないことだってよくあります。

それでも自然を愛する人にとっては、とても充実した1日になるのではないでしょうか。

普段から登山やキャンプを趣味にしている人にも最適な仕事だと思います。

自然に生えている山菜やきのこなどを採って自宅に持ち帰ることもできますよ。

体を動かすのが好きな人

林業においても近年は機械化が進み、高性能林業機械と呼ばれるものが導入されるようになってきました。

しかしながら、機械が入れないような場所や、機械では難しい作業もたくさんあり、まだまだ肉体労働の側面は強く残っています。

力はそれほど必要ありませんが、体力は必要になってくるでしょう。

5kg近くあるチェンソーと燃料、オイル、その他必要な道具一式を持った状態で、急斜面や足場の悪い道を歩いて移動します。

また、夏場には日陰のない場所での下刈り作業などで驚くほど大量の汗をかくことになります。

しかし、必死に食らいつきながらこれらを繰り返していけば自然と筋肉がつき、身体全体が引き締まってきます。

最近はジムに通う人が増えているようですが、林業の仕事をすればジムに通う必要はありません。

林業従事者でメタボ体系の人と出会うことはほとんどありませんよ。

注意力のある人

林業の仕事をする場所は決して安全が確保されている作業場ではありません。

事故の発生率、死傷者の発生率を他の産業と比較してもあきらかに高いのがわかります。

「死傷者発生率」(林業)年千人率 26.9% (建設業)年千人率 5.0% (全産業)年千人率 2.3%

木を伐倒する際に倒す(倒れると予想する)方向を誤って他の作業者のいる方へ倒してしまったり、自分が木の下敷きになってしまうことも考えられます。

倒した木の枝払いなども急な斜面の上でチェンソーを使用するため、少しの油断で大けがをしてしまう危険性があります。

自分だけでなく他人を傷つけないためにも、常に注意力を持ちながら仕事に取り組める人が向いているでしょう。

協調性のある人

注意力と同様に、安全に仕事をしていくために求められることです。

周囲に気を配ることができない人はどんなに個人技能が優秀でも、林業には向いていないかもしれません。

また、林業は経済活動の一業種なので、当然作業効率やコスト管理などの数字はついて回わります。

仕事の工程毎は一人作業であっても、各工程間での連携が一か所でも滞ると仕事が止まってしまうこともあります。

より良い仕事をしていくために協調性は欠かせないでしょう。

プライベートの時間を大事にしたい人

林業では基本的に残業がありません。

山中ではおひさまの光を照明代わりにして仕事をするので、日が暮れると必然的に仕事ができなくなるのです。

そのため現場から家が近くの人だと、17時半ごろには帰宅して一杯やっている人もいます。

仕事が終わってから趣味の時間に没頭したり、家族とのコミュニケーションの時間をつくったり、副業をしたりするのもいいかもしれませんね。

仕事だけで一日が終わってしまうのが嫌だという人には向いていますよ。

環境保護に貢献したい人

林業は持続可能な森林生態系を生み出す重要な産業です。

林業の仕事内容である植栽、保育、間伐、伐採などは森林火災の防止、土砂災害防止、水源の涵養などの公益的機能につながります。

また、木材を生産する過程においては化石エネルギーを消費するのではなく、逆に二酸化炭素を吸収して光合成をおこなうので、大気中の二酸化炭素濃度の上昇を抑制することができる特性を持っています。

林業はその活動により、健全な森を生み出すことによって人々の飲む水や生活環境はもちろん、生態系やは地球まで守ることができる重要な役割をもつ産業なのです。

歳をとっても永く働きたい人

これは個人差があるかもしれませんが、林業の世界では70歳を過ぎてもバリバリ現役で働いている人がたくさんいます。

仕事が好きだから、人材不足だから仕方なく、お金のため、理由はいろいろあると思いますが、毎日山に登って作業をすることによって健康的に過ごせているのかもしれません。

林業はいわゆる技術職です。

これから先も定年を気にせずに永く働くことができる仕事だと思いますよ。

ダイナミックな仕事がしたい人

伐採時期に達した立木は直径50cm以上、樹高10~20mもの大きさに成長します。

これをチェーンソーを使って切り倒すときには、ものすごい衝撃と迫力を感じることができます。

その時の緊張感や達成感も他の仕事ではなかなか味わうことができませんよ。

強い信念を持って取り組める人

前述の内容でも感じとられたかもしれませんが、林業は体力を必要とし、危険な作業も多く、給与水準も決して高くない産業です。

実際に仕事に就いた数カ月後に、「こんなはずじゃなかった」と挫折して辞めてしまう人が多いのも事実です。

しかし、これらを払拭するたくさんの魅力ややりがいがあることは間違いありません。

厳しさに負けず、林業を自分の生業として生きていくという強い信念のある人が向いているでしょう。

林業の仕事をするために活かせる、今までの経験は?

林業の仕事内容は一昔前と比べても大きく変化してきています。

産業としてさらに成長するために、新しいモノ、コトを取り入れながら仕事の領域を拡大しているのです。

皆さんにとって意外に思うことが活かせるかもしれません。

土木、建設業などの経験

林業の仕事に一番近い産業は土木業ではないでしょうか。

これまで土木業を経験された人の中には、チェーンソーで木を切り倒したり、森林組合などから受注して山に道を作ったことがある人もいるかと思います。

これらの経験者であれば即戦力として歓迎され、林業の仕事にも違和感なく対応していけるはずです。

私の職場の同僚にも土木業から転職してきた人が数人おり、活躍されてました。

パソコンなどITのスキル

林業もコンピューターを活用する場面が増えてきました。

現場仕事を管理するためのソフトや測量専用のソフト、高性能林業機械もすべてコンピューターで管理されています。

困ったときにはもちろん専門の業者もいますし、職場にコンピューターに詳しい人が少しはいるかもしれません。

しかし、まだまだ圧倒的に高齢者の多い林業の世界。

次々に導入されるソフトに対応できる経験や能力があれば重宝されること間違いなしです。

営業職や管理職などの経験

林業の現場作業において他人と関わる機会はあまり多くありません。

それに魅力を感じて転職してくる人もたくさんいます。

しかし、現場の班長になるとそうも言ってはおられません。

経営者や事務職員との打ち合わせや報告業務、班員の管理、下請け業者の調整など。

事務系の職員ともなれば営業職的な要素がもっと強くなってきます。

林業においてキャリアアップを目指す人は、営業職や管理職の経験を活かすと近道かもしれません。

SNSの活用

森林組合や林業事業体でもInstagramやTwitterなどを活用するところが増えてきました。

新しく入社した若者が率先してやっているのかもしれません。

飲食店や雑貨店ではないので直接商売に結び付くことはないですが、求人の募集や自社のイメージアップにはとても有効のようです。

高齢者の多い昔ながらの事業体にあえて飛び込み、新しい風を吹き込むのも良いのではないでしょうか。

林業として働くメリットとは?

心身に良い環境で仕事ができる

林業のメリットといえばやはり大自然の中で働くことだと思います。

自然に触れることでリラックスし、きれいな空気を吸いながら仕事ができます。

自然環境は時に厳しいこともありますが、そのだけより身近に四季を感じることができるでしょう。

ご飯がおいしくなる

身体を動かした後に大自然の中でたべるお昼ご飯は格別です。

シンプルなおにぎりでもこれまでに食べたことないくらい美味しく感じることができます。

その後のキャリアについて

この仕事についた後のキャリアアップの道は?

森林組合や民間林業事業体の作業班で働く場合、将来的には班長になってチームを纏めながら仕事の進捗管理などを行うのが一つの道です。

森林組合などの事務系職員であれば、部門長や役員などへとキャリアアップしていく道もあると思います。

最近少しずつ増えているのが、数年現場作業員として働いたのちに独立起業をするパターンです。

資源も需要もあるのに木を切る事業体が少ないことが近年林業の抱える問題の一つになっています。

林業においての独立起業は特に重宝され、それに伴う国や自治体の補助制度も手厚い傾向にあるようです。

他の仕事にもこの経験を活かせる?

林業は専門の技術や知識を必要とするため、その経験を他の仕事に直接活かせることは少ないかもしれません。

しかし林業の仕事を経験すると天気、水、空気、命などを強く意識するようになってきます。

生きていくのに欠かすことのできないこれらに敏感になることは、どのような仕事にも活かせることだと思います。

まとめ

以上、林業の仕事についてまとめてみましたがいかがでしたでしょうか?

危険な部分、厳しい部分もありますが、たくさんの魅力があることがわかっていただけたと思います。

林業に興味があり、少しでも自分に向いていると思う人は、体験イベント等に参加してみてはいかがでしょうか。

みなさんが林業という仕事で成功されることを心から願っております。


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