林業の転職を成功させるためにやるべき5個のことと、上手な転職方法を解説します
林業の転職を成功させたいという方はぜひこの記事をご一読いただけたら幸いです。
「林業に転職して失敗したらどうしよう」と不安に感じている方も、今回お話しさせていただく5つのやるべき事や注意点を参考にしてみてください。
私自身も自動車関連メーカーで営業職を経験したのちに、転職で林業に就職しました。
私が転職時に経験したことも含めて、なるべく具体例を出していきますので、皆さんの悩みが少しでも晴れてたらいいなと思います。
それではお話しさせていただきます。
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林業の仕事で転職する人は多い?
転職して林業の世界に入ってくる人は沢山います。
都会の会社で働いていたけれど、実家(地元)に戻るのをきっかけに林業事業体や森林組合に転職する人。
他の仕事をしていたけれど林業の仕事に興味を持ち、山での仕事に憧れて転職する人。
田舎暮らしや自然暮らしを目的にして田舎に移住、現金収入を得るために林業を始める人。
ケースは様々ですが、おそらく林業で働く大半の人は過去に別の仕事を経験しているのではないでしょうか。
また、変わった経歴の人が多いのも林業で働く人の特徴かもしれません。
私の林業仲間には、小学校教師、IT関連会社、スポーツインストラクター、不動産会社の社長などユニークな経歴のある人達が沢山いました。
元自衛隊員の方が林業の仕事へ転職してくるケースも多いようですね。
林業への転職においては「前職が○○だったら難しい」、ということはほとんどないと思います。
どちらかといえば転職者を受け入れるのに開口部の広い業界だといえます。
林業の仕事で、転職を成功させるためにやるべき5個のこと
ここでは林業への転職にむけてやるべきことを紹介していきます。
林業は深刻な人手不足の状態にあります。
仕事に就くこと自体はあまり難しくないですが、転職したのが失敗だったと思わないためにやっておくべきことがあります。
情報収集をしよう
皆さんが林業の仕事へと転職を考えるようになったのはどんな理由からでしょうか?
自然の中で仕事ができる、ストレスが少ない環境で働ける、自分の時間を大切にできる、などなど色々あると思います。
しかし、普段の生活にはあまり馴染みのない林業という仕事。
皆さんが持っているイメージは林業の仕事の一部分にすぎないかもしれません。
転職を成功させるには転職活動前にしっかりと情報収集する必要があります。
情報収集として私が最初に行ったのは、「森林の仕事ガイダンス」に参加することです。
「森林の仕事ガイダンス」とは、新たな林業の担い手の確保、育成を目的に、林業への就業を考えている人を対象に実施している説明・相談会です。
林野庁のバックアップを受けて全国森林組合連合会が主催をしており、全国各地でもエリアガイダンスが開かれています。
ここでは各地の林業に関する情報や、林業作業の内容、就業までの流れなどについての説明を受けることができます。
また、会場にはたくさんのブースが用意されており、現場で実際に働いている人たちとの交流ブース、各都道府県、ハローワークの相談ブースもあります。
不安なことや疑問に思うことを対面で答えてもらえるので、帰宅するころには林業に対する理解が相当深まっていると思いますよ。
林業に力を入れている都道府県ならば、各々に林業就業を支援する組織や団体があるので、そういったところでの情報収集も可能です。
インターネットでもある程度の情報収集はできますが、やっぱり対話式で生の声を聞くのが一番です。
林業を体験しよう
「林業はきつい、汚い、危険」
林業についてインターネットなどで調べると、このような言葉をみつけて不安になる人もいるかもしれません。
確かに林業はきつい、汚い、危険な作業がたくさんあると私は思っています。
しかし、同じ作業であっても人によって感じ方や許容範囲は違いますし、林業にはこれらを上回るような魅力やメリットもたくさんあります。
不安な気持ちを抱えたままで林業の世界へ入るよりも、実際に林業の仕事を体験して自分に合っているかを確認してみましょう。
お手軽なのは、市町村などで開催されている林業体験ツアーやボランティア団体主催の森林整備体験などに参加することです。
林業の厳しい部分はあまり体験できないかもしれませんが、山で体を動かして働くということは体感できるでしょう。
私が一番おすすめするのは「林業就業支援講習」の受講です。
「林業就業支援講習」は全国森林組合連合会が各都道府県で実施するもので、林業への就業を希望する人を対象に就職支援をしてくれる講習です。
座学講習、林業体験、職場見学などを実施して林業に就職するために必要な知識や資格を身につけさせてくれます。
5日間の体験コースもありますが、可能であれば20日間の実習コースに参加したほうが良いでしょう。
実施講習をした後で資格の取得もできるので、今後の就職活動が有利になります。
また、私が受講した都道府県では講習最終日に林業事業体との個別面談会が開催され、そのまま就職先が内定する人もいました。
平日を含む20日間なので就業中の人は難しいかもしれませんが、可能な人はぜひ申し込んでみてください。
資格を取得しよう
林業ではチェーンソーや刈り払い機の使用、重機の操作、木材の加工など様々な技術が必要です。
そのため林業に関する資格や免許も多数存在します。
資格がないと就職できないわけではありませんが、ある程度の技術力があることが証明されるので就職活動には有利になります。
仕事をしていく中で、車両系建設機械や玉掛け、移動式クレーンなどの資格が必要になってきますが、この辺りは就業してからの取得でも大丈夫です。
林業事業体によっては資格取得する際に、補助金制度を利用できる場合もあります。
私も「緑の雇用制度」で雇用してもらい、働きながら計画的に資格取得をさせてもらいました。
上記の資格取得にかかるお金は高額なので、就業前に個人で取得するのはなるべく避けたいところです。
転職前の取得におすすめなのは、「伐木作業(チェーンソー)」、「刈払機取扱作業者」、「はい作業主任者」などです。
これらは資格取得にかかるお金や時間も少なく、就職活動時にやる気をアピールできる資格だと思います。
就業に資格は絶対ではないと説明しましたが、普通自動車免許だけは必須になると思います。
仕事の時はもちろん、通勤や、田舎に住む場合は生活にも必要になります。
普通時自動車免許をまだ持っていない人は最優先に取得するようにしましょう。
林業について勉強しよう
少し遠回りになりますが、林業の仕事をしていく覚悟のできている人は、林業関係の学校で勉強するのも良いかもしれません。
転職のために4年生の大学(林学科)に入学することは大変ですが、大学によっては社会人コースを設けているところもあります。
おすすめなのは、近年全国で相次いで開講をしている林業大学校です。
実践的な林業を学ぶことができる学校で、専修学校の認可を取ったところだけではなく、自治体の農林部署の管轄や社団法人が運営しているところもあります。
伐採や搬出などの現場作業はもちろん、森林科学や経営学、流通やIT技術など、林業をするために必要なことを幅広く教えてもらえます。
私が転職活動をしていたころは学校の数もまだ少なく、存在自体を知りませんでしたが、当時近くにあれば入学していたかもしれません。
現場での仕事をメインに考えている人は学校へ行かなくても転職は可能だと思いますが、林業会社での管理職や木材関係の商社、公務員などを目指す人は学校へ行くことで就職が有利になると思います。
ちなみに学校へ行かなくても、林業に関する書籍などはたくさん出ているので時間があるときに読んで勉強すると良いでしょう。
体力をつけておこう
林業の仕事を始めて新人のころは仕事量(出来高)が先輩よりもかなり少ないと思います。
しかし、作業現場に向かうために重たい荷物を担いで急峻な山道を登っていくのは、先輩も新人も変わらない条件です。
現場へ移動するだけでもかなりの体力が必要になってきます。
私は就職前に林業作業のアルバイトを経験しましたが、その時に自分の体力の無さを痛感してランニングや登山を始めるようになりました。
体力は仕事をしていく中で徐々についていきますが、就業序盤で挫折してしまわないように体力つくりもしておきましょう。
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転職するにあたっての必要な心構え
林業は危険性の高い仕事である
林業の説明会や講習においても「林業は危険性な仕事」と何度も聞かされます。
林業での事故率は全産業平均の12倍以上となっており、その多くが伐採や集材中におきた事故だとされています。
しかしこのように事故が多い仕事だからこそ、法律などでも厳しく規制をされています。
また、就業してからも安全対する教育、指導はずっと厳しく行われていきます。
事故は危険を危険だと認識できていないときに起きてしまうものです。
就業したら自分が普通よりも危険な環境で仕事をしていることを自覚して、常に慎重に行動することを忘れないでください。
長く続けるべき仕事である
林業の仕事は、山や木を相手にして様々な道具を使用する技術職です。
作業内容は四季や木の成長具合によって変化し、相手にする木も1本1本異なるので仕事を極めるまでには相当の時間と経験が必要です。
林業の仕事で1人前になりたければ、あきらめずに継続していく覚悟で挑んでください。
また、林業の仕事は辞めてしまったときの潰しがききにくい仕事だと言われます。
挫折して早期に辞めた後の転職活動は少し大変かもしれません。
良い面もあります。
本人次第ですが、林業には定年がありません。
70歳を超える高齢の方も現役でバリバリ働かれていますよ。
良くも悪くも自然の中での仕事である
「林業は山の中での仕事」というイメージは誰もが持っていると思います。
四季を身近に感じながら、おいしい空気、静かな環境で仕事をすることは林業の魅力の1つです。
しかし、自然豊かな場所だからこそ天候や気候の影響をまともに受け、毎日のように虫やヘビに遭遇します。
私はイノシシにお弁当を盗られたこともあります。
携帯電話の電波が届かない場所も沢山あります。
これら動物との遭遇や山中の不便さも、楽しみながら仕事ができると良いですね。
田舎に移住する必要があるかもしれない
当然ですが林業は山に囲まれた地域で盛んに行われています。
林業事業体を検索しても、ほとんどが田舎に所在していると思います。
求人募集があっても現在の住まいから通えない場合は移住をしなければいけません。
空き家を安く貸し出す制度を設けている自治体も多いので、必要が生じたら問い合わせてみてください。
林業の転職で年収を上げるためにやるべきこととは?
管理職に就くための勉強
林業に限らず仕事で年収を上げるには、まず役職に就くことだと思います。
現場作業であれば基本的に班単位で行動することが多く、まずはその班のリーダー(班長)になることが必要です。
フォレストリーダー(現場管理責任者)、フォレストマネージャー(統括現場管理責任者)という資格があり、必要就業年数を満たしていれば研修を受けて取得することができます。
また、森林組合などで事務方の管理職になる場合は、管理のほか経営学や法律など、様々なことも勉強しなければいけません。
これを目指すには、林業大学校などへ通って事務系職員として就職するのが近道かもしれません。
自分で起業する
給与水準は地域や仕事内容によっても差はありますが、林業の年収は一般企業の平均と比べると低めの水準になっています。
苗木から樹木を育てる過程は国の補助金で賄われている部分が大きく、収入に直結する伐採や搬出においてもコストが多くかかることが一つの要因です。
自然環境にとっても重要な仕事ですが、今のところは補助金を使用することで成り立っているのが現状です。
しかし、林業の仕事でも年収1,000万円を稼ぐ人たちもいます。
自分で起業をして、個人事業主や会社代表として仕事をしている人たちです。
その人たちに共通しているのは、林業をきちんと商売として考えて、常に新しい方法を取り入れながら仕事をしていることです。
高齢者率が高く、担い手が不足している林業では、若い世代の起業に対して協力的です。
補助制度等も充実しているので、数年間修行したのちに独立起業を考えてみるのも良いかもしれません。
まとめ
以上、林業に転職するための方法や注意点などを説明しましたが、いかがだったでしょうか。
厳しい内容が多かったかもしれませんが、納得して転職すればきっとすてきな林業人生が送れると思います。
皆さんの転職が成功することを心から願っています。