まず製茶というと身近にないのでみなさんあまりイメージが湧かないと思います。

茶刈から工場で製茶してみなさんが普段飲んでいるお茶っ葉になるまで様々な工程があります。

製茶求人の仕事を順を追って説明したいと思います。

製茶の仕事ってどんな内容?

製茶の全体像をつかめるように、大まかな工程を紹介していきます。

茶刈

茶畑でお茶の葉を刈ることを「茶刈 (ちゃかり) 」といいます。

一般的には「茶摘み (ちゃつみ) 」をイメージすると思いますがそれでは自分が家で飲む分くらいしか集められません。

なので茶の木の両側に人が立ち、茶刈機という手持ちの機械に布の袋を付けてお茶の葉を刈っていきます。

茶刈機にはバリカンのような刃が付いていて小型のエンジンで動かして刈り取ります。

刈られたお茶の葉は機械の風の力で布の袋に溜まっていきます。

一杯になったらその袋はその場に置いて、また次の空の袋を付けて刈り始めます。

畑を刈り終わったり、袋がなくなったらトラックに運びます。

また大型の乗用タイプの茶刈機もあります。

稲刈りするときのコンバインをもう一回り大きくしたようなものです。

これは広くて平坦な茶畑でないと使えません。

茎の部分を「軸」と呼びます。

これはもはや「お茶の葉」ではないのでできるだけ刈らないようにしなければなりません。

かといって茶刈機のバリカンの位置をあまり高く上げてしまうと、今度は葉っぱの一部分 (先の方) しか刈れません。

軸を刈らずに、お茶の葉だけを最大限刈るのにはかなりの経験と技術が必要です。

また、製茶工程の最後の方で乾燥してから、風の力でお茶の葉だけを飛ばし、重い軸は下に落として選り分けます。

かりがね

じつは軸は、「かりがね」という呼び名で売られます。

市場にはあまり出回らないので知ってる人は少ないと思います。

一応、お茶の味はいくらか出るので非常に安価で売られます。

「茶柱が立った」などと言って喜ぶけど、あれは茎です。

輸送

布の袋に入ったお茶の葉を担いでトラックに積み込み、製茶工場に持ち帰ります。

お茶の葉は、葉っぱの中にある酵素で自然に発酵が始まってしまうので速やかに工場に運び込み、製茶を始めるか、まだ前工程のお茶が入ってて入れられないときは、日が当たらず風通しがいいところに広げておきます。

特に新茶の季節は日差しが強くすでに気温も高くなってるので要注意です。

また、新茶の若芽は柔らかくてデリケートなのでなおさらです。

これが2番、3番となるともう少し硬くて丈夫な葉っぱになるのでいくらか気を使わずにすむようになります。

お茶の葉の中に含まれる酵素で自然に発酵させたものが「紅茶」です。

製茶工程

1.蒸す

上に書いたように、放っておくとお茶の葉は自然に発酵してしまうので、蒸すことで酵素の働きを止めてしまいます。

これで緑のままで製品になります。

発酵すると茶色になります。

自然に発酵してしまうことを「焼ける」といいます。

緑茶は「焼ける」と商品価値がなくなってしまうので、発酵が始まる前に蒸して酵素の働きを止めることがとても大事です。

紅茶にするときは、あえて蒸さずに自然発酵させます。

2.揉捻 (じゅうねん)

手で「揉む」作業を機械で行います。

なぜ揉むのかというと、葉っぱそのままではなかなか成分が出てこないので、揉むことにより細胞を破壊してお茶の香りや味、成分が外に出るようにするためです。

昔は手で揉んでいましたが、今は横置きの洗濯機みたいなドラムと、巨大な石臼のような機械で揉みます。

3.乾燥

水分を飛ばすとみなさんがいつも目にしている「お茶の葉」になります。

4.袋詰め

計量して、袋に詰めます。

茶畑がたくさんある地域では個人でお茶の葉を持ち込んで、製茶してもらう方もいらっしゃいます。

紅茶にする場合は?

意外かもしれませんが、緑茶も紅茶も葉っぱは同じです。

製茶工程の一番最初に「発酵」させるかどうかです。

「発酵」させると「紅茶」になります。

紅茶にする場合は上の1.の「蒸す」工程をしません。

言葉は悪いけれどそのまま放置しておくことで、お茶の葉にもともと含まれている酵素で自然に発酵が始まります。

茶畑の管理

お茶の葉を刈って製品にするまでは以上ですが、それ以外にもちろん茶畑の管理をしなければなりません。

草取りと草刈り

一番大変なのがこれでしょう。

そして、1年中続きます。

特に、お茶の木の上につる草などが生えていると、茶刈のときに一緒に入ってしまいます。

草刈り機も手持ちの物と、乗用タイプがあります。

芝刈り機と同じです。

肥料、農薬を撒く

肥料袋を軽トラに乗せて茶畑まで運びます。

中まで入れないことが多いのであとは手で運ばなければなりません。

畑の中の道が広くて平坦なところでは、機械で撒くこともあります。

中刈り

お茶の木は他の植物と同じように年々大きくなっていくので、人の胸の高さくらいに剪定しなければなりません。

これを中刈り (ちゅうがり) といいます。

1つは作業しやすくするためですが、伸びたいように伸ばしてしまうと枝や幹が太くなり、お茶の葉も大きくてゴワゴワと硬くなってしまうからです。

番茶

お茶の仕事は5月の新茶だけでなく、その後、2番、3番とあとから出てきた葉っぱを収穫します。

番茶と呼ばれているのは、この2番、3番のお茶です。

秋にもう一度収穫することもあります。

逆剪 (ぎゃくせん)

茶刈は機械を使ってバリカンで茶の木の頭を撫でていくのでお茶の葉がみんなその方向に寝てしまいます。

そこで、今度は反対側から刈って寝ているお茶の葉を起こすんです。

これを「逆剪」といいます。

その他

山仕事 (林業)

それでも、お茶だけでは一年を通して仕事がないので山仕事を兼ねているところも多いです。

じっさいに山に行って木を伐採したり、伐採した木をトラックに積んで材木市場に運びます。

杉、桧の林の下草刈りをしたり、林道の草刈りをしたり、林道を作ったりもします。

お茶の季節でないときにやるので必然的に冬が多くなります。

椎茸栽培

椎茸の原木を切り、菌を入れて、椎茸を作ったりもします。

お茶のシーズン以外の作業内容も、求人で確認したほうが良いでしょう。

製茶求人でよくある募集内容とは? 

大きな工場は少なく、1人でいくつもの仕事をこなさなければならないので畑の作業から、工場内の作業まですべて含みます。

職種 

基本的に、畑の農作業と、工場内で機械を扱い製茶する仕事が募集されます。

製茶の幅広い作業に携わる仕事です。

大きな製茶会社であれば、事務や品質管理、営業職のポジションで募集があることもあります。

給与相場

15万円~25万円くらいで出ていますが、じっさいに25万円ももらえるところはないでしょう。

よくても20万円くらいだと思います。

正直、30万円を謳っているところは怪しいですね。

また、天候に左右されるので季節によっても変わります。

勤務時間や休日、残業

農林業、製造業全般に言えることですが、だいたい日曜日だけ休みというところが多いです。

祝日も仕事です。

外の仕事だから夜はそんなに遅くないと思うかもしれませんが、工場は夜でも動いているのでそうとはかぎりません。

特に、5月のゴールデンウィークあたりから新茶が出るときは1年でいちばん忙しいので、夜の12時過ぎまで動いていることもあります。

その時期は1か月くらい、日曜日も休めません。

求人がある地域

お茶の栽培が盛んなところで求人が出ています。

やはり、静岡県が多いですね。

あとは鹿児島県、島根県、京都府 (京都といえば宇治茶です) などがあります。

福利厚生

残念ながらほとんどのところがないでしょう。

複利厚生も求める場合は、求人に記載が無くても、個別に連絡して確認をした方がよさそうです。

求められる人物像

体力

とにかく、体力が必要です。

机に向かう仕事より、外の仕事が好きな人に限られます。

茶刈は2人でやる仕事

また、茶刈は基本的に2人でやるので、相手のことが考えられる人、コミュニケーションを取れる人が求められます。

1人で作業したい人はラインの工場などで単純作業をやったほうがいいでしょう。

求人、募集について

茶畑や製茶工場は個人でやっていることが多いのでハローワークに出る求人はほんの一部です。

もし、近くに茶畑があれば直接行って「仕事はありませんか?」とか「お茶の仕事がしたいんですけど」と聞いてみるのも一つの手です。

リクナビNEXTなどで「製茶」で検索すると、製茶会社での事務や営業、品質管理などの職種で募集が出ていることもあります。

製茶のおすすめ求人のポイント

農作業全般に言えることかもしれませんが、毎日、お茶の成長が見られます。

また、茶刈はただ刈ればいいというものではなく、お茶の木の表面に出た若葉だけを刈り取らなければならないので、始めてすぐにうまいようにできるものではありません。

いわば職人の技術です。

また、手持ちの機械の場合は2人で作業するのでお互いの息が合わないとうまくいきません。

工場内の機械についても乾燥時間などは時期によって葉っぱの含水量や、まわりの温度、湿度も変わるので経験により判断しなければなりません。

製茶の仕事についてよくある疑問

大変なことは?

体力

まずなんと言っても「体力」です。

1年365日外にいるのですから、夏は暑く、冬は寒いです。

雨も降ります。

場合によっては雪も降ります。

斜面

茶畑は急斜面にあることが多いです。

平らな土地は田んぼにするのが1つの理由ですが、もう一つの理由として茶畑は水はけが良い山の急斜面に作られることが多いです。

作業は急斜面で茶刈機を使い、お茶の葉が溜まった袋を担いで上り下りしなければならなのでけっこう大変です。

雨の日はどうするの?

茶刈はできません

お茶の葉は濡れてお互いにくっついてしまうと、蒸すときにも一枚一枚に熱が加わらず、美味しいお茶にならないので茶刈はできません。

なので、雨の日は工場内の作業をしたり、休みにして、代わりに日曜日に出勤になったりします。

また、肥料も雨の日に撒くとお茶の葉の表面にこびりついたりするのでやりません。

山仕事もしません

山も雨の日は危ないので仕事をしないのが普通です。

足を滑らしたりして大怪我をするおそれがあるからです。

工場内の片づけ、機械、道具の手入れなど

普段できないメンテナンスなどをします。

特に、新茶の季節は朝から晩まで機械も人間も動いていて止めることができないので、雨の日はちょっとした休息になります。

茶刈の機械や、草刈りの道具などの手入れもします。

この辺の気持ちの切り替えがすぐできないと辛いかもしれません。

向いている人は?

とにかく部屋の中より、外にいるほうが好きな人

茶刈はほぼ1日外にいます。

ただ、お茶の葉が焼けないように2~3時間おきに工場に持ち帰らなければなりません。

これがちょうどいい気分転換にもなります。

ルーチンワークでなく、いろんなことがやりたい人

大企業の流れ作業と違い、ほとんどすべての作業に関わります。

外の茶刈の作業に始まって、それをトラックで工場に運び、今度は製茶の機械を動かします。

覚えること、やることは山ほどあります。

いろんな仕事に挑戦したい人には合っていると思います。

自分の技術や知識が伸びていくのに喜びを感じる人

手持ちの機械でも、乗用の機械でも、どれくらいの高さで刈るのかは人間が判断しなければなりません。

それを探っていくのが楽しいという方。

いわば職人気質を持っている方。

機械や、重機を扱うのが好きな人

乗用の茶刈機や、山仕事では道を作るためのパワーショベル、伐採した木を積むためのグラップル、木を山から出すためのフォワーダなどの重機も使用します。

大きな会社では木を伐採する大型のプロセッサやハーベスタなどを所有しているところもあります。

このような重機を扱うのが好きな人はいいかもしれません。

どこにでもあるわけではないので、山仕事もするのか、どんな重機を持っているのかは個々に確認してください。

会社でそんなに茶畑を持ってるの?

ある程度は持っていますが、個人で持っていて、高齢化が進み畑の管理ができないので製茶工場に管理を依頼している人が多いです。

茶刈や製茶はもちろんのこと、放っておけばどんどん雑草に埋もれていきます。

田舎では田んぼや畑をやめてしまっても草ぼうぼうにしておくと、周りから苦情を言われるので最低でも草刈りだけはしなくてはなりません。

自分でもお茶を飲むのでその分だけもらってあとは買い取ってもらう人。

あるいはお茶はいらないので全部あげます。

その代り、畑はきれいにしておいてくださいという人など様々です。

また自分で刈って、製茶だけ頼みに来る人もいます。

まとめ

かなり特殊な仕事だと思います。

数ある農業の中でもまた特殊だと思います。

茶畑がきれいに刈れたら達成感があります。

大変なこともあるけれど、ちょうどいい季節なら、作業して畑で一休みするのは気持ちいいです。

また、自分が刈った葉っぱがだんだん製茶になっていくところも目に見えるので面白いですよ。

近くに茶畑があるところに住んでいる方ならちょっと試してみてはいかがですか?