行政書士と聞くと士業の仕事の一種であり、難関試験を突破して高収入が望める仕事とイメージする人がいるかもしれません。

他には、行政書士と司法書士の違いよく分からないという人もいるかもしれません。

行政書士の資格試験は、どちらかというと司法書士を目指している人が、司法書士のすべり止めもしくは実力試しとして行政書士の試験を受けるというのをよく聞くかもしれません。

 

行政書士の仕事は、一体どのようなもので、行政書士をしていると何が大変・辛いつらいことで、何がやりがいなのか、意外と分からないことが多くあります。

この記事では、行政書士の仕事に関して、イメージしづらい実際のところを深く掘り下げていきたいと思います。

 

 

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行政書士のおおまかな仕事内容とは?

行政書士の主な仕事は、書類作成の代行・代理業とコンサルティング業です。

代行業とは、何でも代行するのではなく、個人や法人などの官公署へ提出する書類を申請者に代わって書類を作成し、許認可申請の代行を行うことです。

ちなみに「代行」と「代理」の違いについて一例を挙げますと、文言の修正が有る場合など訂正印が必要な場合に申請者の訂正印ではなく代理人である行政書士の訂正印で修正ができるなど、その権限に違いがあります。

許認可ですが、例えば飲食店を開きたい人は、飲食店を開くにあたり開業手続きをしなければなりません。

開業手続きを申請して許可を得るのは、簡単なようで実はとても労力と時間を要します。

それは官公署宛の書類のため、記入漏れや記入ミスがあると一から書き直しになることもあるからです。

飲食店を開きたい人がこの申請作業だけに時間を取られてしまうと、他の準備ができなくなってしまいます。

行政書士はそのような個人事業主や経営者に代わって開業手続きの書類を作成し、官公署へ申請代行を行っています。

他には、建設業をするにあたり許可申請を代行するのも行政書士の仕事ですし、産業廃棄物収集運搬業の許可申請を代行・代理するのも行政書士の仕事です。

行政書士の仕事で大変だと思う5つのこと

行政書士の仕事が分かったところで、行政書士の仕事は何が大変なのか気になるところです。

難関試験と言われている行政書士の資格は資格を取得したら仕事はすぐに貰えるのでしょうか?

どのようなところが行政書士をしていて辛く感じるところなのでしょうか?

ここでは行政書士の仕事で大変なことについてまとめてみました。

クライアントの獲得

行政書士の仕事は、資格を取得したら仕事が貰えるわけではありません。

行政書士は、資格を取得して日本行政書士会連合会に登録したら行政書士として活動することができます。

言い換えると、未経験でもそのまま独立開業することが可能です。

しかし、行政書士は資格を取得して行政書士になったら仕事が舞い込んでくるわけではありません。

行政書士として活動するためのクライアントは、自ら獲得しなければなりません。

行政書士の仕事をするためにクライアントを集めることは、行政書士として一番大変なことになります。

「コネがある」や「知り合いから仕事がもらえる」などの状況なら良いのですが、何のコネもなく一からの場合は、このクライアントをどれだけ獲得できるかが行政書士として成功できるかどうかに関わってきます。

SNSやHPを駆使して集客する人もいれば、地道に足で稼ぐ人もいます。

クライアント探しに答えがないことも、行政書士として大変なポイントになります。

仕事上のコミュニケーション

行政書士の仕事で大変なことはコミュニケーションになります。

「独立開業して一人で仕事を始めたら上司や同僚などの職場のしがらみはないはずなのに何故?」と思う方もいるかもしれませんが、仕事上のコミュニケーションが大変なのは行政書士も変わりません。

それは、行政書士の仕事相手が官公署の人であること、そして人によっては協力的ではないことです。

行政書士が申請する書類は記入ミスや記入漏れがあってはいけませんし、中には分からないことや新しい項目などがあれば確認しなければなりません。

しかし、人によっては丁寧に教えてくれるケースもありますが、逆に不親切に対応されることもあります。

このことは弁護士や司法書士と一緒に仕事をする場合も同様で、コミュニケーションがとても重要になります。

弁護士や司法書士も官公署同様、仕事の質問などに対して親切に対応してくれる人とそうでない人がいます。

スケジュール管理

行政書士の仕事で大変なことは、スケジュール管理です。

独立開業してある程度仕事が軌道に乗ったら人を雇う余裕が出てくるかもしれませんが、最初は当然一人で仕事を始めるため、様々なスケジュールは全て自分で管理しなければなりません。

仕事のアポイントや打ち合わせ、休みの管理などまで自分でやらなければなりません。

独立開業している場合は、クライアント探し、クライアントとの打ち合わせ、書類作成や許可申請以外にも経費処理、経営に関する作業や書類も自ら行わなければなりません。

その上でスケジュール管理もしなければならないので、かなり大変な作業です。

景気に左右される

行政書士の仕事は、意外かもしれませんが景気に左右されるケースがあります。

何故なら、景気が下がると起業を控える傾向にあるため、飲食店開店や許可申請の依頼はどうしても影響を受けてしまいます。

司法書士や弁護士などの他の士業は景気の影響を受けないイメージがあるためか、行政書士も景気の影響を受けないのではないかと考えている人も多いかもしれませんが、士業の中では割と景気の波に左右されるケースがあります。

法改正など情報更新や新情報に常にアンテナを張る

行政書士の仕事は書類作成だけでなく、コンサルティングをするケースがあります。

法律だけでなくトータルのコンサルティングをするためには、マーケットの状況だけでなく、法律以外の業界に関する知識を習得しなければなりません。

また、法改正などは誰かが教えてくれるわけではありませんので、しっかりとアンテナを張り常に最新の情報を入手しておかなくてはなりません。

プロとして間違った情報や古い情報を提供すると信頼を失い、仕事がなくなってしまうリスクがあります。

業務をしながら常に最新の情報を自分で取得しにいくことは容易ではないため、行政書士の仕事をしていて大変に感じる瞬間です。

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行政書士のやりがいとは?

行政書士の大変な部分について先ほど紹介しました。

今度は逆に、行政書士としてのやりがいについて紹介していきます。

行政書士の仕事は、どういうところにやりがいを感じるのか気になるところです。

行政書士の仕事を考えている人や行政書士の資格を考えている人はぜひ知りたいところです。

行政書士の仕事において、やりがいを感じるところはいくつかありますので参考にして下さい。

人助けができること

行政書士の仕事は、クライアントから依頼内容を伺い、知識などを活かして許可申請などの書類を作成しなければなりません。

「飲食店を開業したいけど、申請に時間が取れない」、「建設の許可が必要だけど仕事が忙しくてなかなか進展しない」など忙しい人や、「申請したいけど知識がないからどうやっていいかわからない」といった人達がいます。

このような人達に代わって専門知識を生かしながら申請を行うことで、人助けをすることができます。

このような仕事は、その人達からとても感謝されますので、行政書士がやりがいを感じるところと言えます。

独立開業して仕事ができること

行政書士は、資格取得し日本行政書士会連合会に登録して行政書士として活動を開始すると同時に独立開業することができます。

独立して働くことは、上司や同僚などの職場での人間関係のしがらみはありませんし、自分で全て管理するため、クライアントとのアポイント、仕事のペースなどは、ある程度自分のペースでできます。

国際業務に携わることができる

行政書士の仕事の中には、外国人のビザ取得の申請代行や帰化申請代行などをサポートする仕事があります。

「日本に滞在したいけどビザが切れてしまう」、「日本に帰化したいけど申請に時間を取れないから代行してほしい」などこれから外国人労働者を受け入れいていく方向にある日本の現状を見ても、今後ニーズが増えるであろう仕事に携われるということは、行政書士としてのやりがいを感じることができるでしょう。

クライアントが増えた時

行政書士の仕事は、資格取得して日本行政書士会連合会に登録してそれで仕事がもらえるわけではありません。

当然、日本行政書士会連合会から仕事を斡旋してもらえることもありません。

全ては自分でやらなければなりません。

独立開業するにしても副業にするにしても、自分でクライアントを開拓しなければなりません。

行政書士を継続できるかどうかはこの活動にかかっています。

クライアントを見つけて仕事をし、クライアントが他のクライアントを紹介してくれたり、SNSやHPなど様々な方法でクライアントを獲得して増えていくと行政書士の仕事に対してやりがいを感じることができます。

知識を増やすことができる

行政書士の仕事は、申請許可だけでなく相続に関しての仕事もあります。

他にも在留ビザ関係、帰化許可など国際的な仕事やNPO設立などの許可申請代理などがあります。

業務の幅が広いため、様々な知識を増やすことができます。

誰もがやっている行政書士の許可申請業務では熾烈な競争がありますのでクライアントを獲得するのに大変ですし、分野が限られてしまいます。

様々な業務を手がけることで、幅広く知識を吸収することができます。

知識を増やすことで仕事がしやすくなりますので、やりがいに繋がっていきます。

ただし都市部などで開業する場合は、取扱う業務を絞りその専門性を磨くことで他士業の方などから依頼を受けるケースもあります。

業務効率という面においては、ある業務に特化した方が仕事効率は良いと言えます

行政書士のお仕事、ぜひおすすめします!

行政書士の仕事のやりがいや行政書士の仕事が大変なことについて色々と紹介してきました。

気になるのは行政書士の仕事でおすすめできるところは何かです。

行政書士の仕事をしたい人や行政書士の仕事に興味がある人にとってそのポイントはとても知りたいところです。

一人でも始めることができる

行政書士の仕事は、資格を取得してしまうと一人でも独立開業することができます。

ほとんどの士業の資格は、資格取得後どこかの事務所などで研修や仕事を覚えるための期間があるのに対して、行政書士はクライアントがいればすぐにでも独立開業することができます。

アジアと関わることができる

意外と知られていないのが、行政書士の仕事は国際業務に携われることです。

それは、外国人のビザ申請手続や雇用の手続きを始め、外国企業の日本法人設立の際の申請など海外と日本を繋ぐ架け橋の一役を担うことができます。

この度、外国人の在留資格制度についての法改正がありました。

これにより、外国人が益々日本に来ることになり、国際業務に携わる行政書士のニーズは高まると予想されます。

副業としても活かせる

働き改革や年金があてにできないと言われている世の中では永久就職という概念がなくなり、将来に対して不安を抱える人が増えてきています。

何か手に職をつけたい、代えのきかない仕事をしたい、と考えている人も少なくありません。

行政書士の資格は一度取得すると独立開業することができるだけでなく、現行の仕事をしながら副業として仕事をすることも可能になります。

続けたいだけ現役を続けられること

行政書士の仕事は一度独立開業して仕事をすると定年がありません。

現役で仕事を続けたい人は一般企業の定年の年齢を超えても働き続けることができます。

もちろん、定年の年齢を機に仕事を若干調整することも可能ですし、今まで同様に仕事をし続けることも可能です。

行政書士の中には、定年後に資格を取得して行政書士になる人もいます。

まとめ

行政書士の仕事は意外と身近な業務が多く、人の役に立てる仕事でもあります。

行政書士の仕事について知らなかった人は、この記事で、意外と身近な業務をこなしている行政書士の仕事を理解してもらえたことでしょう。

行政書士の仕事をするためには行政書士試験に合格しなければなりませんし、合格してもそこがゴールではなく、そこから初めてスタートとなります。

努力次第で仕事を増やすチャンスがある行政書士の仕事は、楽して稼げる仕事ではありませんがとてもやりがいのある仕事です。

行政書士の仕事に興味のある人は、ぜひ行政書士の資格にチャレンジしてみて下さい。

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