行政書士という資格をご存知でしょうか。

行政書士は官公庁に提出する書類などを作成し、手続きの代行・代理を行うスペシャリストです。

例えば、あなたが飲食店を開業したいという場合、保健所から飲食店営業許可を取得する必要があります。

また深夜に飲食店でお客様に酒類を提供する場合は、警察署から深夜酒類提供飲食店営業許可を取得する必要があります。

加えて、消防署に防火関係の届け出も必要です。

いかがですか?

勿論、これらの書類作成や手続きを自力で行ってもかまいません。

しかし、煩雑な手続きを漏れなく行う自信がない方も多いでしょう。

このような時、行政書士に依頼することで役所関係の手続きを行政書士に任せることができ、飲食店開業を法律面からサポートしてくれます。

飲食店のケースは一例にすぎず、行政書士は私達の生活に一番身近な法律の専門家と言えます。

行政書士試験には、憲法、行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法及び地方自治法が中心)、民法、商法、基礎法学の知識が問われます。

そのため、行政書士は司法書士試験、司法試験突破を目指す人が最初に目指す資格としても知られており、<法律系資格の登竜門>と呼ばれます。

また行政書士は、独立開業が可能な職業でもあり、最近は主婦や若い女性にも人気の資格です。

独立開業後に必要なものとして、営業力、人脈以外に、得意(専門)分野を持つことと言われています。

行政書士の取り扱い可能な文書の数は10,000以上になるとも言われ、その業務の幅とても広いです。

この記事では、そんな行政書士の仕事内容を分かりやすく解説します。

これを読めば、行政書士に興味がある方が資格取得後のイメージを持つことができるでしょう。

行政書士の仕事は大きく3つの役割に分けられる  

行政書士はその仕事範囲が広いのが特徴です。

ここでは分かりやすく、仕事内容を大きく3つに分けて説明します。

書類作成業務

行政書士は後で問題にならないように、法的根拠をきちんと満たした書類を作成することができます。

書類と言っても、幅広く目的により以下に分けられます。

これは行政書士法に定められた行政書士のみができる仕事で、行政書士業務のメインとなります。

官公署に提出する書類

いわゆる役所に提出する書類の作成で、その多くが許認可申請書類です。

冒頭で例に出した飲食店開業のケースも、この許認可に関する書類となります。

権利義務に関する書類

権利の発生、消滅、存続を主張する意思表示の書類を作成することができます。

消費貸借契約書、賃貸借契約書といった契約書類を想像して貰えれば分かりやすいのではないでしょうか。

書類により、「この部屋を借りている(貸している)」ということを示すことができます。

他にも私達に身近なものとして、相続における遺産分割協議書などが挙げられます。

事実証明に関する書類

世の中に実在する事実を証明する書類を作成することができます。

内容証明郵便、財務諸表、許認可申請時に添付する店の配置図 、議事録の作成などが挙げられます。

許認可申請の代理業務

多くの場合、書類作成とセットで依頼されます。

本来は依頼人が提出する書類を行政書士が代理で作成して、併せて官公庁に提出することができます。

相談業務

行政書士は<町の法律家>とも言われます。

行政書士は依頼人から依頼された書類作成について相談に応じることが認められています。

例えば、この許認可を取得するために何が必要なのか、必要事項やクリアすべき問題等について相談に乗ることができます。

書類作成と併せなくても、相談料という形で報酬を得ることもできます。

いかがでしょうか。

行政書士は代書屋とも言われるほど、書類作成業務がメインの仕事です。

しかし、最近は相談業務に力をいれ、新規ビジネス提案などコンサルタント業としての強みをもつ新しいタイプの行政書士も登場しています。

行政書士が作成可能な書類8選

行政書士の仕事の大部分をしめ、独占業務でもある書類作成業務。

その書類の数は10,000以上とも言われ、ここで全てを挙げることはできません。

一例として行政書士が作成可能な8種類の書類を挙げます。

宅建業免許登録

宅建業を営むために、国土交通大臣または都道府県知事から宅地建物取引業免許を受ける必要があります。

旅館営業許可

ホテルや旅館、簡易宿泊所など報酬を受取、人を宿泊させる営業をしようとする人は、都道府県知事からの許可が必要です。

旅館業営業許可申請書には、申告書、見取図、配置図、配管図などを添付する必要があります。

産業廃棄物収集運搬業許可

産業廃棄物を運搬するには、都道府県知事の許可が必要になります。

産業廃棄物を積む場所、降ろす場所、全てに都道府県知事の許可が必要となるため、注意を怠ってはいけません。

また爆発物、毒性のあるものなど特に管理が必須な産業廃棄物の運搬には、特別管理産業廃棄物の運搬許可が必要になります。

一見関係がないと思われる建設業であっても、必要になるケースもあります。

産業廃棄物収集運搬業許可を得るためには、能力、経営、施設などの条件もあるため、行政書士事務所によっては条件面から取得に向けてサポートをするところもあります。

学校法人・宗教法人設立許可

学校法人を設立しようとする人は所定の事項を決めた上、所轄庁の認可を受けなければなりません。

所轄庁は、文部科学大臣もしくは都道府県知事になります。

同様に宗教法人を設立しようとする人も都道府県知事、もしくは文部科学大臣の認証を受け登記を行う必要があります。

行政書士は、これらの許認可に必要な申請書類の作成を行います。

貸金業登録

金銭の貸付を反復して行う貸金業を営む場合は、貸金業の登録が必要になります。

登録を行わない業者は闇金業者として摘発対象になります。

登録には都道府県知事もしくは財務局長に登録申請書を提出しなくてはいけません。

貸金業法の改正もあり、新規参入は難しくなってきています。

そのため、取扱い経験がないという行政書士事務所もあります。

医薬品販売業許可

医薬品の卸販売を行うためには営業所毎に許可を必要とします。

具体的にはその営業所がある都道府県知事に申請し許可を受けなくてはなりません。

医薬品店舗販売業許可申請書の他、店舗平面図などの添付書類が必要です。

一般貨物自動車運送事業許可

荷主の依頼を受けて、荷物を運搬する業務を一般貨物自動車運送事業と言います。

街中で緑のナンバープレートをつけて走るトラックなどは、運送業に用いられる貨物であることを示しています。

一般貨物自動車運送事業を営むためには、国土交通大臣もしくは運輸局長の許可を受ける必要があります。

一般貨物自動車運送事業許可のハードルは高く、許可申請の前に役員法令試験や運輸局の書類審査があります。

行政書士事務所によっては法令試験の対策も含めたサポートを提供しています。

許可の申請には、申請書の他に運行管理体制書、事業場見取図など複数の書類が必要です。

古物商許可

古物商を営むためには、営業所がある都道府県の警察署(公安委員会)に対して申請し許可を取る必要があります。

古物商許可申請書類に加え、各種添付書類を提出しなくてはなりません。

これらの許認可申請は、行政書士を通さずに自分で作成して提出することも可能です。

実際、会社などでは総務部や法務部などの特定部署が行うこともあります。

しかし経験や知識もない状態で煩雑な書類を漏れなくやるためには、時間もかかります。

不備のある書類を提出した場合、許可が下りないばかりか営業が先延ばしになり、経済的損失を伴うことも想定できます。

このため、多くの人が不安を解消しスムーズに許認可を取得するために行政書士のサポートを受けています。

司法書士との仕事内容の違い

行政書士と似た名称の資格として司法書士があります。

同じ書士ですが違いを簡潔に説明すると、書類の提出先が違います。

行政書士は<行政>のため国や地方自治体の行政機関に提出することが多いです。

一方、司法書士は<司法>のため、法務局や裁判所が主な提出先になります。

司法書士の仕事は登記または供託に関する手続きの代理、裁判所への訴状や告訴状の作成、簡易裁判所での代理人業務など司法への関わりが強いことが特徴です。

どちらも法律の専門家ですが、行政書士にしかできないこと、司法書士にしかできないことが行政書士法や司法書士法に定められています。

このため、ダブルライセンスを取得する人も多いことが挙げられます。

行政書士と司法書士の両方を取得することで幅広い業務が可能となり、他事務所との差別化を図ることができます。

行政書士のやりがいを感じるポイント

行政書士として働いてみて、やりがいを感じるポイントをご紹介します。

誰かの役に立つことができる

街の法律家として、様々な人から相談を受けます。

新しくビジネスを始める人にとって、許認可をスムーズに取得することは重要であり、同時に不安を抱えるポイントになります。

忙しい上に、不安を抱える依頼主の相談に乗りながら許認可申請のサポートをし、無事に許認可が下りた時は、行政書士としてもほっとします。

また、依頼主から感謝されるのも嬉しいですね。

自分の専門性に特化した仕事ができる

行政書士の仕事は幅広いため、全てをこなすよりも得意分野や専門分野を持った方が良いとされます。

私の知人は語学に堪能だったため、在留資格認定証明書交付申請、在留期間更新許可、永住許可申請、再入国許可、在留資格変更許可など外国人の手続きに強みを持つ行政書士として活躍しています。

自分の経験や強みを活かしながら仕事ができるため、やりがいを感じます。

自分のスキル次第で事業を開拓することができる

行政書士は独立開業することが可能です。

自分の強みを生かし、コンサルタント的要素を取り入れることで、まだ誰も行っていないようなサービスを提供することも可能です。

これは行政書士に認められた業務範囲が幅広いことに関係しています。

ライフスタイルに応じて働ける

行政書士の受験資格には学歴や年齢制限がありません。

そのため、行政書士試験の受験者の中には、育児や介護などで一度会社を辞めた人が多いのも特徴です。

実は私も妊娠中に仕事を辞め、通信教育を利用して行政書士を取得しました。

今は育児と両立しながら、パートの行政書士として働いています。

将来的には経験を活かし、独立開業をしたいと思っています。

ライフスタイルの変化に柔軟に対応しながら働ける点も大きなやりがいです。

行政書士に向いている人

コミュニケーション能力に自信がある人

今まで行政書士の仕事は書類作成がメインであると書きましたが、実はその書類作成にあたり依頼主との綿密な打ち合わせが必要です。

困っていることを聞きだし、相手のニーズに応じた書類を作成するためには、コミュニケーション能力が必要です。

また行政書士は独立開業が可能な資格ですが、ただ依頼を待っているだけでは仕事は来ません。

営業と人脈づくりのほか、既往顧客からの紹介も必要です。

コミュニケーション能力を持ち、人との信頼関係を構築できる力が求められます。

根気強い人

行政書士の作成可能書類は10,000以上と書きました。

依頼が来て、今まで作成したことがないような書類を作成するケースもあります。

様々なことを調べながら複雑な書類作成を行うには、粘り強い根気が求められます。

事務処理能力が高い人

許認可申請などは、必要書類の漏れや誤記があると申請が通りません。

また、契約書など後でトラブルがないように権利関係を定める書類の場合、不備があっては本末転倒です。

行政書士としての信頼にも関わります。

正確性に加え、スピードも大切です。

許認可申請の場合、依頼主は許認可が下りることを前提で、業務開始の計画を立てています。

もし自分の仕事が遅いことで開業や営業が遅れれば、依頼主は経済的・社会的損失を余儀なくされます。

このように、高い事務処理能力と計画的に業務を遂行することが行政書士には求められています。

まとめ

いかがでしたか。

行政書士は幅広い法律知識を持ち、依頼主の相談にのりながら、書類作成を行います。

行政書士法の改正により、今まで認められていなかった遺産分配、交通事故の示談書作成などにも関わることができるようになり、活躍のフィールドは広がっています。

また、独立開業できる国家資格として人気の高い資格で、行政書士の数自体が増加してもいます。

今後は、行政書士として成功する人と成功しない人で二分化していくことが予想されます。

自分の強みを生かし、きめ細かいコンサルタントサービスをすることが今後生き残る肝になるでしょう。