今回は人事部の仕事内容についてご紹介します。
皆さんは人事部の仕事というとどんなイメージを思い浮かべるでしょうか?
人によって様々と思いますが、概して「冷たい」「会社のために冷静に行動する」等あまり人情味が感じられない部署といったイメージがあるかもしれません。
確かに人事の仕事は全社員にとって公正な判断をするために時には冷静に行動しなければならないこともあります。
また人事異動や退職勧告など、会社の為に社員の人生を左右するような意思決定が必要となるシーンもあります。
しかし本当に優秀な人事担当者は、社員各人の性格や個人的な情報を把握しつつ、全ての社員が幸せに働ける様に理想の実現に向けて知恵を絞っています。
今回はそんな人事の仕事内容、向いている人・向いていない人の特徴、仕事において良い面・辛い面についてお話します。
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人事部の仕事とは?
人事部の仕事は大きく分けて三つ、「採用」と「教育」と「人材管理」です。
これら三つの業務は独立するものではなく、全て繋がっています。
三つの仕事を連動して行いながら、経営資源である「人、モノ、カネ」の内「人」をリソースとして最大限活用し、会社に貢献することが人事部の主たる仕事です。
人事部の大まかな仕事内容
人事部の大まかな仕事内容1:採用
採用には大きく分けて「新卒採用」と「中途採用」があり、それぞれ1年を通じて決まった時期に活動を行います。
「新卒採用」には大卒採用と高卒採用があり、概ね大卒採用は3月〜9月、高卒採用は6月〜9月に実施されます。
主な業務内容は合同企業説明会や個別企業説明会での会社説明、ホームページや企業用パンフレットの作成等、応募者に対する選考になります。
近年は求人数が求職数を上回っている「売り手市場」の傾向にあるため、多数の求人の中から自社を選んでもらうために「仕事の面白さ・やり甲斐」「福利厚生や教育研修制度の充実度」など、自社で働くメリットを的確に、熱意を持って伝えられるかが重要です。
また、採用担当者は学生がその企業で初めて会う人物であり、謂わば「その企業の顔、第一印象」となる人物です。
初対面で良い印象を持ってもらえる様に、身だしなみや話し方、表情の豊かさなど人間的な魅力を高める努力を行う必要があります。
選考が進むと、最終選考に合格した学生に「内定」を出し、翌年4月に入社予定者として認定します。
また「中途採用」はほぼ通年行なわれますが、一般的にUターン/Iターン/Jターン就職が多いとされる1月〜3月、8月〜10月を中心に行います。
業務の進め方は新卒採用とほぼ同じですが、中途採用の場合は即戦力としての採用が目的です。
そのため、仕事の説明を詳細に行うよりも、待遇面やキャリアステップ面等を中心に説明を行います。
人事部の大まかな仕事内容2:教育
「採用」の業務により確保した人材に対して、自社で活躍できるように育てるべく「知識」「技術」「企業理念」などを身につけさせることを目的として行います。
「採用」の成功により優秀な人材が多く入った場合は、教育にかける比重は少なくても良くなります。
ただし、仮に採用が上手くいかず自社の求める能力基準ギリギリ、あるいは少し能力不足の人材が入ってきた場合でも、教育制度の強化によりフォローアップが可能です。
先述の「人事の仕事は全て繋がっている」という根拠はここにあり、最終目標である「会社に貢献できる人材を創る」ことに向けて、全ての制度を進化させていく必要があります。
中でも教育制度は、近年その内容が企業間の競争力として注目されている分野です。
充実した教育制度を持つ企業には成長意欲の高い優秀な人材が集まるなど、採用の成功に繋がるケースも増えてきました。
教育制度の内容は企業によって様々ですが、大きく分けて「階層別研修」と「業務別研修」「自己啓発研修」の三つがあります。
「階層別研修」は担当、主任、係長など「職務」に関する研修です。
「内定者研修」「新入社員研修」では、全部門共通の知識としてビジネスマナーやヒューマンスキル、企業理念等のスキルを身につけます。
「主任研修」「監督職研修」では、階層別・職務別に求められるマネジメントスキル等について指導が行われます。
「業務別研修」は、配属される部署に特化した専門知識や技術を身につける研修です。
座学より、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の様に仕事をしながらの実地研修として行われる場合が多いです。
「自己啓発研修」は、配属先の部署や自身のキャリアに将来役立つ知識を身につけるために自主的に行うものです。
通信教育や資格取得、社外セミナーの受講などが中心となります。
企業によっては専用のパンフレットを作成する、受講料や資格取得費用の補助をする等、社員自らが学ぶ意欲向上のサポートを行っています。
人事部の大まかな仕事内容3:人材管理
「人材管理」は、「採用」により入社してきた人がより良い環境で仕事をしながら成長できる様に、社員各人の抱える目標やライフプランなどを把握し、適宜対応することを目的とする仕事になります。
また、勤怠管理や給与計算、社会保険等の手続き、源泉徴収税や住民税など税金関係の手続き、健康診断の実施など労務管理面からの社員サポートも行います。
性格も価値観も十人十色な社員を把握し会社の共通とする目標に向けて足並みを揃える、また自分の夢や目標を会社で働くことで実現できるように、社内の規則規定や業務マニュアルを活用しながら問題解決を行います。
仕事内容として、まずは人事情報の把握が必要です。
採用段階に提出される「履歴書」や「職務経歴書」をはじめとし、入社後も人事考課などの「評価履歴」、どのような教育研修を受講したかといった「教育履歴」、また面談により将来どのような仕事をしたいかといった「キャリアステップ」等を情報収集し、「人事マスター」として個別に管理します。
社員の夢や目標は刻々と変化しますし、結婚、出産、介護といったライフプランの変化についても対応が必要です。
そのような変化に柔軟に対応し、社員各人の人事情報を更新します。
そして、キャリアアップの時期と判断した時や問題の解決が必要と判断した時は人事異動を行います。
人の評価は多様で、各部署の様々な思惑がある中でそれを調整しつつ社員各人の内情を把握しながら行う人事異動は、人事部の問題解決手法としては最も効果的です。
ただしその反面、新たな問題が発生したり社員の退職の引き金となったりする恐れもある為、慎重に行わなければなりません。
適切な人事異動を行う為に、日頃から社員各人を深く把握する必要があります。
その為には人事情報の把握と管理、また人事情報が自然と集まるように従業員と信頼関係を築いていくことが大切です。
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人事部の仕事に向いている人はどんな人?
このように業務が多岐にわた人事部ですが、それではどのような人が人事部の仕事に向いているのでしょうか。
その特徴を何点か挙げてみたいと思います。
人事部の仕事に向いている人1:人間観察力のある人
人と密接に関わることが必要な仕事のため、「この人物はどんな人間だろう?」と人への興味を持ち、観察力を強く持つ人は人事部門に向いています。
人を観察するというと何だかミステリーに出てくる探偵のように思われる方もいるかもしれませんが、「適材適所」との言葉があるようにその人の能力を正確に把握しそれに合った仕事を用意するのは、人事部門にしかできない仕事です。
多くの人事情報や自身の観察眼を基にその人の「適性」を見極めるのも人事部に必要な能力です。
またそのような仕事を通じて培った観察力は、「採用」の際の面接力として自社に合った人物を見極める為に必要となります。
人材採用においては会社にもそれぞれ風土があるため、その風土に合った人材か、またどの部署で活躍することができるか、採否の判断だけではなく採用後の配属先をも見越して決定する際に、人間観察力が必要です。
人事部の仕事に向いている人2:裏方に徹することのできる人
人事部門の仕事の主役は「人」であると、先ほどご説明しました。
そのため、人事部の仕事の成果は成長した社員に帰属するものとなります。
社員が成長したのは人事部のおかげではなくあくまでその人の努力の賜物との前提で仕事をする為、人事部の担当者の評価については、営業職等と比較して評価されにくい仕事であると言えます。
そのような状況を不満とせず社員の歓びを自分の歓びへと繋げられるような人の方が、人事部に向いていると言えます。
人事部の仕事に向いている人3:情に流されない人
人事部の仕事は人に関わる仕事であり、人によって正解とする状況は変わるので、「完全に全員が満足する」仕事をすることは限りなく難しいと言えます。
そのような状況で仕事をする時に必要なのは、「会社全体にとってどうなのか」という組織優先の価値観です。
り一時的な情に流されず全体利益のために判断することが人事部の仕事として求められる時があります。
社員各人に対して「公平」な判断をすることはそれぞれの能力や価値観が違うため困難ですが、会社組織としてのルールや価値観に則った「公正」な判断をすることは可能です。
問題に直面した際にいかにして「全体視点での公正な判断」ができるかも、人事部においては求められる能力です。
人事部の仕事に向いている人4:秘密を守れる人
機密情報を守ることは、まず第一に必要とされる要素です。
人事部は機密情報を取り扱うため、絶対に人事部から外部へ情報漏洩があってはなりません。
機密情報は会社の情報であったり従業員の個人情報であったりと様々です。
そのような情報を管理しているという自覚を持ち情報管理を徹底して秘密を守り通すことができる人材が、人事部には向いていると言えます。
プライベートでも平気で他人の情報を漏らしたり噂を言いふらしたりするような人は難しいでしょう。
人事部の仕事に向いている人5:論理的な思考の人
一つのことを倫理的に考える人は、人事職に向いています。
例えば業務で取り決めなければいけない案件があった際に、場あたり的に内容を決めてしまうと後々取り返しのつかないことになってしまいます。
なぜなら、管理している情報が個人情報であるため、重要な情報のみを取り上げてしまうと網羅性を欠いてしまい、関連する情報を見落としてしまう恐れがあるからです。
論理的に物事を考える人は、業務でも活かすことができます。
取り扱う情報を分析し、解決先までを考えていくプロセスをロジカルに説得力を持って行うことができるはずです。
人事部の仕事に向いている人6:勤務先の会社風土が好きな人
その会社で働くことや仕事の価値観、会社風土に共感でき、それを大切に思っている人は人事職に向いています。
人事部の業務では会社の内部情報を管理することが多いため、会社風土に共感できていれば、責任を持って情報管理がしやすいでしょう。
その会社で働くことが好き、仕事が好きというのは働く上で非常に仕事もやりやすく、業務上での自分の成長にも繋がりやすくなります。
仕事を続ける上でそのようなプラスの感情を持つことは良い傾向にあるため、人事部には打ってつけの人材です。
人事部の仕事に向いている人7:協調性のある人
プライベートでも協調性のある人は人事職に向いています。
もちろん、協調性というのはどの仕事でも必要とされる重要な要素です。
特に人事部の場合、人事部内でもチームメンバーと連携を取るだけでなく、他部署との連携が多く必要となってきます。
協調性があることにより、仕事の作業効率も大幅に上がります。
人事部が他部署との連携のもとで業務を行う場合、少なくとも時間を要する仕事となることは間違いありません。
そこで協調性が活かせる場面としては、様々な意見交換をする際に自分の意見を伝えつつ相手の意見も考慮して考案することができるということです。
協調性を活かせる人はそのような場面での段取りもスムーズに行えるため、効率的に業務を進めることにも繋がります。
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人事部の仕事に向いていない人は、どんな人?
人事部の仕事に向いていない人1:野心的な人
人事部の仕事は、仕事での成果が営業職等と比較して数値化しづらい面があります。
また個人情報を多く扱う特殊な仕事のため、他部署と比較して高い評価を受けやすいということもありません。
努力して高い評価を得たい、短期間で出世したい、自身の仕事が目に見える形で評価されることを望むような野心的な人は、仕事に対する明確な評価が得がたいことに対して不満を感じるかもしれません。
人事部の仕事に向いていない人2:おおらかな人
自分とは価値観がのまるで違う大勢の社員に対応していかなければいけないのが人事部の仕事です。
社員とやり取りする際には「石橋を何度も叩く」慎重さが必要になりますし、細かなことに関しても考慮して対応しなければいけません。
常に様々な物事に対して神経質すぎるほど配慮する必要があるため、あまり細部に拘らない大らかな人は、従業員からの反発を招いてしまうなど上手く仕事を回せない可能性があります。
人事部の仕事に向いていない人3:情け深く、冷静な判断ができない人
社員のために細部まで配慮した上で、時には会社の全体利益のために社員への配慮を犠牲にすることも、人事の仕事としては必要です。
一人一人の社員に対して人事情報を集め、その人のことを考えるとどうしても情が移ることもあるかもしれません。
しかし情に流されず、時には冷静に、会社にとって必要な判断を従業員に強いる必要もあるため、愛情が深い人は業務を行っていく上でストレスになってしまう恐れがあります。
人事部の仕事にむいていない人4:我が強い人
我が強い人も人事には向いていないと言えます。
協調性とは対照的に、自分の意志が強すぎる人は人事部には向いていません。
自分の意見をいつでも通したいという自己主張が強い人は、他部署どころか同じ人事部のチームメンバーとも連携が取りづらくなってしまいますいです。
自分の意見をしっかり持つことは大変良いことですが、。
その意見を他人に強要することは良くありません。
協調性がない点は人事部の業務を行う上でマイナスとなってしまうので、我の強い人には不向きです。
人事部の仕事に向いていない人5:すぐカッとなる人
すぐにカッとなる人も、人事部は向いていないと言えるでしょう。
短気な性格の方は、人事部の業務上向いていかないものが多々あります。
人事部の業務は人と関わることも多く、決して対峙する人が良い人だけとは限りません。
時には嫌なことを言われてしまったり、会社の全体利益実現のために嫌われ役とならざるを得ない場面もあります。
そのような時にすぐカッとなってしまうと、事態を収拾することができなくなってしまいます。
冷静に対応することが求められるため、すぐカッとなり怒りを露わにしてしまうような人は向いていないかもしれません。
人事部の仕事に向いていない人6:物事を深く考えずに判断を下してしまう人
物事を深く考えずに判断をしてしまう人は、人事部には向いていません。
人事部の業務においては、吟味しなければならない案件が多数あります。
そのような精密な案件の数々に対して表面的に対応してしまう人は、後で大きな失敗を引き起こしてしまう恐れがあります。
人事部の業務で失敗は許されません。
その仕事が事前に対策をしっかりと練っていた上での失敗でも、多方面に影響を与えてしまうためです。
軽率な行動ともとれるような楽観的に業務を行う人は、向いていないでしょう。
人事部の仕事に向いていない人7:メンタルが弱い人
精神的に打たれ弱い人は、人事部に向いていません。
ここまでにいくつかご紹介しましたが、人事部は様々な社員との対応が必要で、且つ嫌われ役にならざるを得ないシーンもあり得ます。
いつ自分が罵倒罵声を浴びるか分かりませんし、少しでも何か言われてすぐに落ち込んでしまうようなメンタルの弱い人は向いていないでしょう。
人事部の仕事に向いていない人8:デスクワークが苦手な人
デスクワークが苦手な人は、人事部に不向きな恐れ面があります。
デスクワークで行う業務自体は仕事を行いながら慣れることができるので、技術面での苦手な部分は克服できます。
しかし、椅子に座って集中して業務を行うこと自体が苦手な場合、それも厳しいでしょう。
個人情報を取り扱うことが多い人事職の業務は、基本的にデスクワークです。
席を外して外出したり、研修を行ったりすることもありますが、情報漏洩等の守秘義務がある職場ではデスクワーク中心の業務も多くあります。
業務における技術面ではなく、デスクワークをすること自体に苦手意識がある人は人事部には向いていないでしょう。
人事部の仕事に向いていない人9:責任感の無い人
人事部に一番求められるものこそ、責任感です。
どの仕事でも欠けてはいけないものですが、特に人事部は責任が重い仕事をすることが多く、取り扱う情報も個人情報等重要なものばかりです。
責任感がないと、業務に多大な影響を及ぼすことになります。
無責任な人が人事部の仕事をすることによって、あってはならない失敗を起こしてしまうことが予想されます。
また、機密情報関連の仕事を軽率に扱う等不正行為が起きてしまうかもしれません。
日々の業務に責任感を持てない人は、人事部のみならずどの仕事でも上手くいくことはないでしょう。
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人事部の仕事で良いところ
人事部の仕事は「人」が主役であると先述しましたが、人の成長を明確に数値化することは難しいです。
その人がどの程度成長したか、どれほど能力がついたかを測るためには、例えば評価や社内試験の点数等の指標がありますが、それは人事の仕事成果ではなく本人の努力に準ずることが多いです。
人事の仕事に対する評価は、例えば売上数値が明確に表れる営業職などと比較するとイマイチ分かりづらくなってしまいます。
それでも人事の仕事をしていてこんな時は嬉しい、やりがいを感じられる、というような事例をご紹介します。
採用した社員が活躍していると嬉しい
自分が採用に関わって新入社員研修等で指導した人材が、管理職などの会社の経営に直接携わる人材に成長したときは嬉しく感じます。
また、新卒採用時の合同企業説明会等で上手くプレゼンができ、学生に対して会社に興味を持ってもらい多くの企業の中からこの会社を選んでもらえた、そのきっかけが自分だったというのもとても誇らしいことです。
これは、人と関わる人事の仕事の醍醐味と言えます。
合同企業説明会などでプレゼンする際は、「例え学生が一人しか来なくても、その一人が将来自社の社長になると思って対応する」ようにしています。
これは人事担当者としていつも心掛けていることですし、実際にそうなったりすることもあり、面白いです。
社員教育等が実を結ぶと嬉しい
研修や指導などで携わった社員が学んだことを実際に現場で活かせていると、研修や指導の成果が実感でき「やって良かった」と思えるはずです。
社員の成長を手助けできたと体感し、今後の研修や指導も頑張ろうと前向きな気持ちになれます。
多くの人と関わることで、自分自身も大きく成長できる
人事の仕事は、人を通じて社内の営業職と事務職の社員双方に関わる仕事です。
そのため、当然多くの人と関わることになります。
例えば営業職周りであれば取引先、事業所のある地域の住民の方、学校の教職員の方々。
事務職周りであれば、社会保険事務所や税務署、労働基準監督署、ハローワーク等官公庁職員の方から、人材紹介や教育研修等のサービスを行っている企業担当者、マスコミ関係、給与計算などのシステム関係会社の担当者までと多岐にわたります。
営業職、事務職の括りだけではなく広い視点で物事を考えなければいけないため時には悩むこともありますが、会社全体を通じてより広い視点で物事を判断するスキルを身につけることができます。
新たな人事制度策定で、会社の業績UPに貢献
社員を採用し、育成した後に評価を行うのが人事制度です。
人事制度は主に「評価制度」と「給与制度」の二つに分かれます。
評価制度は「公平」である必要はありませんが、頑張った人には報いる「公正」な制度であるべきですし、そうすることで従業員のモチベーションアップにも繋がります。
そのような制度を策定するのは、会社の中で一番社員を知り、社員に「どう頑張れば良いのか」を伝えることができる人事担当者です。
公正な制度の下で社員が自身の目標を明確化して努力し始めた時、会社の業績は必ず上がります。
そのように会社全体を変えられる仕事に対して中心となって携われることは、やはり大きなやりがいに繋がります。
会社の業績状況がすぐ把握できる
人事部に携わると、会社の業績や会社の環境などが直接分かる立ち位置にいることになります。
会社の状態を把握した上で採用条件をまとめたり人事異動を決定する部署にいるため、他部署の社員よりも会社の業績状況を細やかに把握しやすいです。
その代わり守秘義務等も多く存在し、情報漏洩しないための責務も担う必要があります。
しかし、業務の重さや責任感を実感できるため、慎重に仕事を行わなければならないという緊迫感こそがやりがいとも言えます。
人事部の仕事で辛いところ
人事職は事務の手続き関連の業務も多い一方、対人の業務も多い職種です。
そのため様々な人との対応が必要になるので、愚痴の一つや二つこぼしたくなるほど辛いこともあります。
もちろん個人情報などの漏洩問題に発展することはあってはなりませんが、社員からすると実際に個人情報を取り扱っている部署と思われているため、何かあると怒りの矛先が人事担当者に向けられたりするケースもあります。
いわゆる「とばっちり」となってしまうことも多いようです。
では人事の仕事において辛いところとは、どのようなケースでしょうか。
採用が上手くいかないと批判の対象に・・・
人事担当が採用面接を担当する際、大幅に募集する新入社員等の採用面接を行います。
しかし、いざ新入社員を採用して配置したとしても、実際に全員が就業し続けるというわけではありません。
現場で上司とそりが合わない従業員が辞めてしまう、人間関係が上手くいかない、業務内容に沿わない働きをしてしまう等採用した社員が問題を起こしてしまうと、怒りの矛先が採用した人事担当者に向けられることもあります。
面接したときは良い印象だったのに蓋を開ければ…といったケースも少なくありません。
しかし責任を持って採用したと言っても、採用後の社員の働きまで人事として完全にカバーしきれるものではない上に採用してみないと分からない面もあるため、ある程度は仕方ない部分もあります。
社内評価等で社員との関係が気まずくなることも
社内評価に対して社員からクレームが来たりすることもあります。
社員本人が今季は悪くない働きができたと思っていても、いざ評価が出てみると本人が想定していたよりも低く、不満を訴える人もいます。
その不満を人事担当に直談判したり、直接ではないにしても間接的に人事担当へ向けて悪口を言われたりすることもあるようです。
結果、人事であるというだけで他部署の社員と上手くいかなかったり気まずくなってしまうということもあります。
退職勧告をしないといけない場合も・・・
これらは稀なケースですが、社員が重大な問題を起こし退職を迫られた時には人事担当者が退職勧告をしなければなりません。
入社手続きならまだしも、退職を迫るのは人事担当者でなくとも誰も進んでやりたくはない業務です。
本来、支店がある企業であれば管理職が勧告をしますが、それでも収拾がつかないほど大きい問題に発展したときには人事が対応しなければなりません。
意図せず、社員の細かな情報を知ることになってしまう
業務上の様々な手続きの際に、人事部は社員の個人情報を取り扱います。
手続き上やむを得ないとは言え、時にはあまり知りたくない社員の個人情報が入ってくることもあります。
もちろん業務上のことなので、守秘義務が発生する上、他に漏洩することはあってはなりません。
そういった予期せぬ心労が重なり、退職してしまう人も多いようです。
採用や退職などでのトラブルも少なくない
採用の時に雇用契約内容と相違があったり、退職時に退職金を巡ってトラブルが起きたりなど、人事契約周り時にはトラブルがつきものです。
そのようなトラブルを解消するのも、人事の仕事です。
対人のトラブルであるため、もちろん個人面談も担当しなければなりません。
中には心ない言葉をかけてくる人も少なくないようです。
そういったトラブルを解決するのも仕事になるため、ストレスに感じる場合もあります。
人事の仕事の成果は分かりづらい
他業種から見ても、人事部の評価や実績については不透明な一面があります。
もちろん人事職を経験したことがある人からすれば、どのような職務体系か理解してもらえる半面、人事職未経験の人からは「何をやっているか分からない部署」と思われることも多いようです。
これだけ精密な仕事をしているのに、業務が一般的に分かりづらいために困ってしまう場面も少なくありません。
人事部の仕事をするにあたり、覚えるべきこと
社会保険や労働保険、税金等の知識
給与計算や福利厚生、年末調整の業務の際に必要となります。
外部に委託するなど直接業務を担当しない場合もありますが、手配するにあたって関連する部署、料率、計算方法など必要最低限の知識は身につけておきましょう。
社会保険労務士の資格を取ったり、また資格を取らないまでも勉強したりすることは知識の習得に大いに役立ちます。
社内組織や部署情報の把握
社内組織や部署について、広く情報を把握することは必須です。
また「その部署にどんな社員がいるか」「メンバー間の人間関係はどうか」「ある業務の担当者がいなくなった場合、次の候補となるのはどの社員か」等、社員に関する情報も常に把握しておく必要があります。
人事部の仕事で高められるスキル
コミュニケーション能力
社員全員とのやり取りを行うシーンも多く、スムーズなコミュニケーションを行うにあたり、コミュニケーション能力が磨かれます。
相談事や悩み事など多くの依頼が全社員より届くため、コミュニケーション能力、また相手の話をしっかりと把握して聴く能力「傾聴スキル」も高めることができます。
情報取集能力
職種を超えた社員全般にわたる人脈、また社員とのコミュニケーションを密に図ることで現場での人間関係や仕事に対する課題など、多くの情報が集まってきます。
多くの情報が集まるため、集まった情報を的確に分析して整理する「情報整理力」も身につけることが可能です。
まとめ
今回は、人事部の仕事内容、仕事が向いている人・向いていない人、仕事の良い面・辛い面についてご紹介しました。
先述のように、人事部の仕事は人と密接に関わる仕事です。
人は経営資源の三つ「人、モノ、カネ」の内の一つとして、投資が必要なものです。
そのような人を「人財」として創り上げることで会社に貢献していくのが、人事部の職務です。
その職務を全うするためには、人を信じ人に託すことのできる度量の広さ、人の成功を自分のことのように喜べる奉仕の心、また時には会社の全体利益のためにシビアな判断を断固として行える決断力などが必要です。
刻々と変化する問題に対して、対応することが求められます。
時には社員から心無い対応を取られてしまうこともありますが、反面、人事にしか解決できない問題も多くあります。
頼られたり、感謝されたりすることも多い仕事です。
社員に対して最大限の愛情を持って「尽くす」、またシビアな判断をせざるを得ない時もありつつ教育やキャリアアップ等を通じて会社に貢献できる人材を「創る」。
このように「人に尽くし、人を創る」ことが、人事部の使命になります。
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