酪農の仕事はある意味特殊です。

作業そのものは誰でも経験を積めばできるようになりますが、楽しんで仕事ができるか、長く勤めていけるかは向き不向きがあります。

今回はなかなか知る事ができない、酪農業の向き不向きについてお話していきましょう。

酪農はどんな仕事?

皆さんの身近にある牛乳。

この牛乳は酪農家さんが毎日牛達から乳を集めて出荷しているからこそ、世の中に当たり前に普及しています。

この牛乳を作る事が酪農の仕事ですが、主には搾乳、餌やり、清掃の三つに分けられています。

この三つの作業を毎日繰り返して、酪農家さんは生計を保っています。

酪農の大まかな仕事内容

酪農の仕事は搾乳、餌やり、清掃の三つに分かれていると前項でもお話ししましたが、この三つの作業についてもう少し詳しくご紹介していきましょう。

搾乳

早朝と夕方の二回に分けられて行いますが、基本的には朝も夕方も同じ作業を繰り返します。

牧場によって搾乳の方法は異なりますが、ここでは一般的なものをご紹介しましょう。

まずは牛舎にいる牛達を搾乳室に誘導するところから始まります。

搾乳室は基本的に数頭しか入らない為、一頭が終わったら牛舎への通路を開放し、その後搾乳室の入口を開いて一頭入れるといった作業を繰り返します。

牛達も毎日の作業の為流れを覚えていて、出口や入り口を開くと勝手に移動してくれます。

その為作業員は搾乳室に入ってきた牛に搾乳機を取り付けて搾乳するといった作業を繰り返します。

この時、作業員は搾乳作業をしながら牛達の体調を観察し、体調が悪そうな牛やケガをして歩き方が不自然な牛、また、発情期を迎えて興奮している牛などを見分けます。

そして搾乳が終わった後に必要に応じて獣医を呼んで、投薬や種付けなどの処置を施します。

一頭一頭牛達を観察できるタイミングだからこそ、このタイミングで牛の体調管理も同時に行います。

餌やり

搾乳が終わると、今度は餌やりの時間です。

これも牧場によって手作業で行うか機械で行うか変わりますが、近年ではどこも機械で餌やりを行う事が多いです。

機械で餌やりを行う場合はミキシングという牽引車で餌の調合を行い、そのまま牛舎まで運んでミキシングからそのまま牛の口の届く位置に給餌を行います。

牧場の敷地内では大型車でも免許を必要としない為、大型免許がなくても牽引車の運転ができます。

その為牧場で働く従業員であれば誰でも牽引車を運転出来る為、上司の許可さえあれば餌やりも従業員の作業に入ります。

また、子牛の場合は大人の牛と別で餌を作る為、餌の作成は二度行う必要があります。

特に生まれたての子牛はフードではなく母乳を与える為、哺乳口のついたバケツで子牛に母乳を与えます。

子牛が生まれる度にこの作業が発生しますが、100頭近く飼育している牧場であれば毎月2~5頭ほどの子牛が生まれる為、結果的に子牛の世話は毎月発生します。

清掃

搾乳を行っている最中は牛舎に牛がいなくなる為、その間に牛舎の清掃を行います。

一日30㎏ほどの餌を食べる牛はその排泄量も多い為、牛舎には毎日足が埋まるほどの量の排泄物が溜まっています。

その為牛舎の清掃は毎日朝と夕方の搾乳に併せて同時に行います。

それとは別で、子牛の牛舎の寝藁なども排泄物で濡れが多い場合は、お昼の時間に寝藁の交換も行います。

牛舎の清掃は多い日で一日に三回行う為、清掃はまさに毎日の通常業務の中に組み込まれています。

その他業務

その他の業務となると、夏のシーズンに越冬に向けてのサイレージ作りを行います。

牧場にロール状の藁があるのを見たことはないでしょうか?

あれはサイレージといって、牛の餌です。

ロール状にした牧草をビニールで巻いて、それの倉庫に寝かせて熟成させます。

いわゆる草の漬物です。

これを一年通して牛に与える餌に混ぜる、もしくは間食用として牛舎に置いておくのですが、冬になるとサイレージを作れなくなる為、夏の間にサイレージを大量に作っておき、倉庫に保存して冬を越す準備します。

その他の作業としては、酪農家によっては広い敷地を活用して大きめの家庭菜園をしているところも多い為、雑草取りや冬は除雪など、牧場には沢山の雑用があります。

特に冬の除雪は北海道であれば毎日の作業となる為、除雪は日常作業となります。

酪農の仕事はどんな人に向いている?

上記の作業を毎日行う為、その作業を苦なく行える人でないと酪農の仕事は向きません。

では、具体的にどんな人であれば酪農の仕事に向いているのでしょうか。

自然が好きな人

牧場はその性質上田舎の辺境な土地に建てるため、必然的に大自然の中で仕事をする事になります。

特に周りに山のない場所での牧場となると、朝と夕方は地平線が見える為、朝日と夕日がこれ以上ないほどキレイに見えます。

また、都会のような光源が周りに全くない為、牧場の夜空は天然のプラネタリウムとなります。

空気も澄んでいる事から、牧場の夜空は文字通り満天の星空です。

また、四季の移り変わりが明確に見られるのも牧場ならではの魅力であり、特に秋は辺り一面紅葉となる為、その風景野中での牧場の仕事は実に気持ちのいいものとなります。

こうした大自然の中での仕事が好きな人であれば、酪農の仕事も長続きするでしょう。

動物好きな人

牧場の仕事のもう一つの魅力は動物とこれ以上ないほど密接に関われる事ではないでしょうか。

酪農は出産から老衰まで生涯を通して携わっていける為、馬や乳牛の飼育であれば家畜に対する愛着もひとしおです。

また、数多くの家畜がいる牧場であっても、餌やりなどを毎日行っていると牛達はこちらの顔も覚えてくれる為、こちらが近づくとすぐに近寄って来てくれる牛達も多くいます。

その純粋な瞳に近くで黙って見つめられると、まるで心を洗われるように癒されます。

作業のほとんどが牛達の世話となる事と、乳牛であれば出荷によってお別れをする事もない為、動物好きな人であればまるで家族のように愛着が湧いて、可愛く感じる事でしょう。

こうした作業は動物好きな人にとっては、苦にならない作業ではないでしょうか。

将来酪農の開業を目指している人

酪農業は、生活の一部となっている牛乳の生産がメインの仕事となる為、将来を通して安定して需要のある職種と言えます。

しかも、家畜の数が多いほどシンプルに売り上げの上がる仕事の為、酪農業は安定して稼げる仕事と言えるでしょう。

その為、お金を稼ぎたい人にとっては稼げる仕事として一つのビジネスモデルとなります。

業務を手広く行える人であれば、単純に牛乳を出荷するだけでなく、チーズやヨーグルトの販売製造、それを使ったレストランの営業など、酪農業は幅広くビジネスのチャンスがあります。

そもそも乳製品の基本材料となる牛乳を自分の牧場で生産出来る為、こうしたサービス業も低いコストとリスクで始める事ができます。

酪農業はお金を稼ぐ事を目的とした野心家にとっても、魅力的な職種と言えるのではないでしょうか。

酪農の仕事をするために活かせる、今までの経験は?

酪農の仕事は誰もが想像できる通り肉体労働です。

ましてや環境としても特殊な為、この仕事には向き不向きが非常に分かれます。

では、そんな酪農業に転職する人はどんな経験であれば前職のスキルも活かせるのでしょうか。

動物に携わる仕事

当然といえば当然ですが、家畜もまた動物です。

人間のように言葉を理解して動いてくれない為、動物相手の仕事は一般の社会人のスキルは基本的に通用しません。

ですが、動物園やペットトリマーなどの仕事を経験している方であれば、その経験はそのまま酪農業にも活かせるでしょう。

もちろん搾乳の作業は酪農業独特の作業となる為、動物相手の仕事をしていた人にとっても初めての作業となりますが、動物の体調を観察したり、言葉の通じない動物とどう接したらよいかなど、動物相手の基本スキルはそのまま活かされるでしょう。

農業の仕事

酪農の作業の中には農業に近い作業もあります。

それは牧草刈りやサイレージ作りといった作業となりますが、それらの作業はまさに農業そのものです。

食べる相手が人か牛かの違いです。

その為農業で培った農業機械の運転のスキルはそのまま活かされますし、ミキシングを使った餌やり作業であれば、ミキシングの運転にもその経験は活かせます。

土木の仕事

酪農業とは全く違うように思える土木の仕事ですが、冬対策の知恵や重機の運転など、酪農業にも活かせる経験はいくつかあります。

また、そもそも土木の仕事で培った根性と精神力は、そのまま酪農業でも活かせるでしょう。

というのも、酪農業で一番必要なのは根性となります。

過酷な環境での肉体労働となる為、根性がない人はすぐに辞めてしまいます。

しかし酪農業は経験を積むことでしか得られないスキルが非常に多い為、長く勤めてくれる人でないと面接をしたとしても採用されません。

その点土木の仕事をしていた人であれば、肉体労働に対する免疫も強い為、酪農業の過酷な環境での肉体労働でも耐えられるでしょう。

そういった点で言えば、土木の経験を酪農業に活かす事はできます。

酪農で働くメリットとは?

乳製品が安価で手に入る

酪農業は無限の如く牛乳を生産する事が出来る為、牧場によっては従業員にタダで牛乳を提供しているオーナーさんもいます。

牧場でタンクから直でもらえる牛乳は熱処理をしていないため、これ以上ないほど濃厚な牛乳が堪能できます。

また、乳製品を製造販売している牧場であれば、その販売している乳製品を社員価格で購入できる事も珍しくありません。

福利厚生があまり充実していない牧場の唯一ともいえる社員特典でしょう。

その後のキャリアについて

この仕事についた後のキャリアアップの道は?

酪農業は非常に過酷な環境での肉体労働となります。

基本的に屋外、もしくは屋外同然の環境での作業となる為、冬は凍えるほど寒く、夏は家畜の排泄物が臭う為、劣悪な環境での肉体労働となります。

そんな環境で培われた根性は、他のどんな肉体労働に就いたとしても、その苦労が軽く感じる事でしょう。

想像してみてください。

北海道とはいえ夏は35℃を超える事もある環境で、排泄物の臭いが充満しハエも無数に飛んでいる環境です。

そんな環境で泥沼のように溜まっている排泄物を掃除し、重たい餌を何度も何度も担いで運んだり、子牛が生まれれば当然のように残業が発生し、その残業は子牛が生まれる限り延々に発生する仕事です。

冬は毎日除雪の作業が発生し、水も凍る環境の中でほとんど素手で搾乳作業を強いられる事になります。

屋内とはいえほとんど野外に近い環境の為、気温は外気と同じ。

そんな環境で夏の作業と同じ作業を繰り返します。

これだけ過酷な仕事を長年続けていれば、その後どんな肉体労働の仕事に就いたとしても音を上げる事はないでしょう。

そしてその培われた根性は、基本的にどんな仕事をしても通用する為、酪農の仕事は精神を鍛え上げる事ができる仕事と言えます。

自分にあった酪農の求人の選び方や注意点

酪農の仕事は特殊です。

向き不向きが非常に出る仕事の為、求人は慎重に選ばないと思わぬ環境での仕事を強いられることになってしまいます。

ではどんな点に注意すると、失敗しない就職活動を実現できるでしょうか。

最後は酪農での就職活動に失敗しない為の注意点についてご紹介しましょう。

設備についての情報を確認する

今の時代牧場も機械化が進み、牧場によってはほとんどの作業を機械がしてくれるところもあります。

しかも、設備が充実している牧場であれば売り上げも多く安定している為、給与も酪農の相場の中では高めとなります。

作業が楽になるばかりでなく給与まで高いとなると、そこを選ばない選択肢はないのではないでしょうか。

誰だって楽して稼ぎたいものです。

その為、酪農の仕事で就職活動をするのであれば、設備の整った牧場で働く事をおススメします。

家族経営か企業経営かを確認する

人間関係に不安のある方は、家族経営か企業経営かを確認しておくと良いでしょう。

温かい環境で仕事をしたい場合は家族経営の牧場を、ある程度距離感を保ちたい場合は企業経営の牧場を選ぶと良いでしょう。

まとめ

いかがでしたか?

酪農の仕事は非常に特殊で、向き不向きが非常に分かれる仕事であるにもかかわらず、その仕事を体験する機会は狙って行動でもしない限り巡ってくることはありません。

その為経験者の情報は非常に貴重な情報と言えます。

未経験で酪農の仕事に興味のある方は、色々な情報を得て、あれこれ想像をしてみて、自分に向いてるかどうか検討してみてください。

実際に酪農の仕事を探すときは、こちらの記事を参考に!


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