2020年7月6日

保育園や託児所で勤務する保育士。

小学生女児にとったアンケートでは、毎年10位以内にランクインするほど人気の職業でもあります。

子どもたちと毎日関わることができて、とてもやりがいのある職業に感じられますよね。

一方で、保育園もブラック企業のようなものだから離職率が高い、という噂も耳にします。

実際、保育士の年収はどのくらいなのでしょうか。

給与事情に着目してまとめます。

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保育士の給与の相場はどのくらい?経験者が解説します!

保育園は、認可と認可外に分けられます。

認可保育園は児童福祉法に基づく児童福祉施設で、国が定めた基準(資格のある保育士の人数、施設の広さなど)をクリアし、自治体に認められた施設のことです。

認可保育園の中でも、公立と私立に分けられます。

公立の運営母体は市区町村、私立の運営母体は民間ですが、どちらも公費で運営されています。

一方、認可外の保育園は上記の基準を満たしていない保育園のことです。

こちらは民間の運営になります。

預け入れに際して融通が利いたり特色のある保育を行っていたりとメリットもあります。

一部の自治体を除いては基本的に公費での補助がないため、認可保育園と比較すると保育料は割高です。

その他、企業内保育所、院内託児所、ベビーホテルなども認可外保育園に分類されます。

それでは、保育士として働く場合には、一体どの園が給与が高いのでしょうか。

認可の公立保育園の正規職員の給与相場

公立保育園に正規採用となった場合には、地方公務員の福祉職の扱いになります。

地方公務員の場合は、給料表や平均月額が公開になっているため、詳しく内情を知ることができます。

平均年齢40歳の平均給与月額(手当含む)は35万円程度です。

ここから各種保険料などが引かれ、80%程度が手取り額と考えられます。

初任給は、短大卒者の場合は月給18万円、4大卒者の場合は月給20万円程度からのスタートとなります。

役所に勤める一般行政職や学校に勤める教育職と比較すると、平均給与は残念ながら低い傾向にあります。

しかし、保育士の中では安定した給与を貰うことができます。

認可の公立保育園の非常勤・パート職員の給与相場

認可の公立保育園も、非常勤の保育士や保育補助を雇っています。

勤務形態によって給与にも差があります。

とある地方都市の求人を例にとると、一日8時間程度の労働時間で週5日勤務の場合は、日給制で1万円程度でした。

また、朝の受け取りやお迎えなど保育園が忙しい時間帯に2時間程度勤務する場合や、土曜日のみ4時間勤務する場合は、時給制で1,500円程度でした。

認可の私立保育園の正規職員の給与相場

私立保育園の正規職員は、園を運営している法人に雇用されることになります。

正直、法人によって給与に差があるため、大まかな傾向を述べるのみに留めます。

私立保育園では、平均年齢35歳で平均給与月額は25万円程度という場合が多いようです。

平均年齢が公立と比較して低いのは、若い内に辞めてしまう保育士さんが多いためです。

離職の理由としては、公立保育園に合格したため、結婚や出産をするためといったポジティブなものもありますが、人間関係のストレスや給与の安さが原因となることも少なくありません。

初任給も保育園によりますが、決して高いとは言えません。

有資格者でも、未経験者の初任給は月給平均17万円〜19万円程度からのスタートです。

認可の私立保育園の非常勤・パート職員の給与相場

勤務形態によりますが、時給制が多く、安いところで1,000円程度からといった園が多いようです。

こちらも、公立より低い傾向にあります。

認可外保育園の職員の給与相場

認可外の保育園は公費の補助がなく、保育料で運営されています。

そのため、園児が集まらない園などは経営が苦しく、人件費が削減されてしまっている場合もあります。

認可外保育園は、認可保育園よりももっと給与事情に関するデータが少なく、一般的なことを記載するのが難しい現状です。

筆者の身のまわりに限って言えば、20代前半・地方都市勤務で手取り月給額が15万円程度だったので、やはり認可に比較すると安い傾向にあると言えるでしょう。

しかし、認可外の全てが安月給というわけではありません。

近年注目を集めているのが、事業所内託児所です。

その企業に勤務しているワーキングマザーのために、事業所が設置している保育所です。

運営は別の民間企業に委託されており、全国に事業所内保育所を展開している法人も増えてきています。

事業所内保育所の設置は出生率の向上を目指して国も推進しているため、補助金が下りる場合が多いです。

そのためか、事業所内保育所の求人を見ると、比較的好条件の募集が並びます。

平均して25万円程度の月給が多いようです。

ただ、認可外の施設は人員を確保されていない場合もあるので、給与の高さだけに捕らわれるのは要注意です。

今後も、このような形態の認可外の保育所は、特に都市圏において増加していくでしょう。

年収にも響いてくる基本給以外のものは、どうなっているの?

賞与

公立保育園の正規採用の保育士であれば地方公務員の扱いになり、年2回の賞与が支給されます。

年間でおおよそ4ヶ月分程度が支給されます。

私立保育園の正規採用の保育士は、園を運営している法人によって賞与の支給額や回数も異なります。

公立と同額程度か、下回る場合が多いようです。

非常勤やパート採用の場合は賞与は支給されないか、支給されても寸志程度です。

昇給

公立保育園の正規採用の保育士は、勤務年数を重ねる内に徐々に昇給をします。

退職まで勤め上げた場合には、月に45万円程度の給与になります(手取り額とは異なります)。

しかし私立保育園の保育士は、運営母体にもよりますが昇給が35歳程度で頭打ちになると言われています。

そのため、公立保育園での採用を目指す保育士が多いのです。

各種手当

主な手当は、通勤手当、時間外勤務手当、住宅手当、扶養手当、地域手当などでしょう。

東京都などの大都市圏はこの地域手当の額が大きく、地方との収入の差になっています。

給与が高い人は何が違うの?

勤務先が公立か私立か

公立の方が私立より高い傾向にあります。

雇用形態が正規採用か非常勤か

賞与額が多く貰える分、非常勤より正規採用の方が高いでしょう。

勤務地が都市圏か地方か

地域手当の差から都市圏の方が給与が高く、また求人も多いでしょう。

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雇用形態ごとの給料以外における良い点と悪い点

安定の公立認可保育園

なんと言っても、公務員という安定した立場は魅力です。

私立保育園は、法人の経営状態によれば倒産や人員削減のリスクが伴いますが、公立保育園にはそのような危険はありません。

だんだん昇給することが分かっているため、ご自身のライフプランも立てやすいでしょう。

また、公立の方が園の規模が大きい傾向にあるため、広い園庭や教室でのびのびと過ごすことができます。

職員数も多いため、若輩の内は先輩に教わりながら勤務することができるので安心でしょう。

しかし、公立保育園の場合は採用倍率が高いというデメリットがあります。

公立保育園で採用されるためには、自治体が実施している採用試験に合格しなければなりません。

採用試験を受けるためには保育士免許を持っているか取得見込みであること、年齢が30歳(もしくは35歳以下)であるといった条件があります。

採用試験には、筆記試験と実技試験があります。

倍率は自治体にもよりますが10倍から人気の地域では20倍を超えるところもあり、なかなかの高倍率です。

非常勤などをしながら何年も受け続ける人もいます。

また、採用試験に合格してから勤務先が決まるため、実際に就業するまでにはタイムラグがあります。

すぐに働き始めたいという人には不向きでしょう。

また、公立保育園内での定期人事異動があるので同じ園に長期勤務ができません。

特色ある保育ができる私立認可保育園

認可の私立保育園では、基本的に異動はありません。

一つの園に長く勤務することができるため、0歳児が卒園していく姿を見守ることができたり、中には受け持った園児の子どもをまた保育する、なんてこともあります。

愛着を持って長く勤務できるというのは魅力ですね。

更に、幼児教育に力を入れ独自性を打ち出している保育園もあり、自分の学んできたことや目指す保育に合致すれば、大きなやりがいを持って働くことができます。

また、公立に比較すると私立の方が平均年齢は低い傾向にあります。

若者同士で悩みを相談したり愚痴をこぼしたりできるのは、ストレス発散に効果的でしょう。

ただ、勤務先の保育園の方針に馴染めないと仕事が苦痛になります。

また、保育士同士の確執があったり自分のやりたい保育が受け入れてもらえなかったりすることもあり、すぐに退職や転職してしまう保育士もいます。

働き方も保育内容も多彩に選べる認可外保育園

個人的には、一番面白みがあると感じるのが認可外保育園です。

勤務形態も園の特色も、とてもバリエーション豊かです。

公立保育園は、平準化された保育を行っています。

それは素晴しいことですが、保育士からするとやややりがいに欠ける面も・・・。

認可外保育園の中にはあえて認可を受けず独自性を貫いている園もあります。

例えば、インターナショナルスクールのように英語教育に力を入れている園、子どもの身体能力を高めるために裸足での外遊びや体操教室・ヨガ教室を開催してくれる園、リトミックやダンスに力を入れており外部講師を呼んでいる園など、枚挙にいとまがありません。

以前はそのような幼児教育は、専業主婦や比較的時間や家計に余裕のある家庭が幼稚園や習い事で行わせるものでした。

しかし近年は、共働きをしたいが子どもに質の良い教育を受けさせたいというニーズが高まっており、保育料が多少高くても認可外の保育園に入れたいという場合があるのです。

因みに、認可外の場合は保護者の就労条件などは設けられていないので、専業主婦のお母さんでも預けることができます。

融通を利かせられるというのも認可外の強みです。

また、勤務時間も多様です。

中には、深夜や日祝、年末年始なども預かり保育を実施している認可外の保育園もあります。

深夜帯の給与は、日勤に比較して高額であることが多いです。

例えば非常勤で働く場合には、ダブルワークで沢山稼ぐ!という働き方も可能になります。

認可外保育園は預ける保護者のニーズによって運営されることが多く、週末に休めなかったり深夜勤務があったりと不定期な勤務になることが多いです。

また、子どもの人数に対する人員不足な部分もあり、保育士の負担が重くなる可能性もあります。

保育士の給料の決まり方

勤続年数

公立保育園の正規採用であれば、勤務年数に応じて昇給することができます。

私立保育園でも昇給はありますが、一般的に35歳程度で頭打ちと言われています。

役職

管理職や主任保育士になることで、管理職手当を貰うことができます。

その額は幅が大きく、5,000円から4万円程度までです。

7年以上の経験を経た中堅からベテランの保育士の内、所定の研修などを受けたものが任命される場合が多いそうです。

この働き方は、こんな人におすすめ!

公立保育園の正規職員

できれば一生保育士として安定した働き方をしたいという方には、公立保育園での正規採用をおすすめします。

公務員という身分になり、人員削減の心配はありません。

産休や育休の制度も整っています。

勤務年数に応じた昇給が見込めるため、生涯賃金に換算すると私立保育園での勤務とは大きな差が生まれます。

年齢制限があったり採用倍率が高かったりと不安要素もありますが、一度挑戦してみても良いのではないでしょうか。

認可や認可外の私立保育園

自分の行いたい保育がある、独自性のある保育園で働きたいという方は私立保育園がおすすめです。

保育士求人に特化した求人サイトでは、法人や保育内容からお仕事を検索することもできます。

自分の考えに合致した保育園で勤務することができれば、大きなやりがいを感じられるはずです。

法人によっては、公立に負けないぐらい待遇の良いところもあります。

上手に情報収集しながら、理想の勤務先を探せると良いですね。

あえての非常勤・パート職員

ダブルワークをしたいという方は、あえて正規採用を目指さないという手もあります。

独身で自由が利く内は、深夜保育などを組み合わせると正規採用よりももっと稼げる!という場合もあります。(日給1万円で20日働けば、もう正規採用の初任給に並びますからね)

また、すでに結婚をしていてご主人の扶養内で働きたいという方もいるでしょう。

その場合は、シフト調整が可能な非常勤という立場が良いのではないでしょうか。

また、担任を持ちたくないと考える方もいるでしょう。

担任を持つと、沢山の書類仕事に追われ、子どもと関わる時間が少なくなってしまうことがあるのです。

担任ではない立場だと、勤務時間いっぱい子どもの保育に専念できる場合もあるそうです。

非常勤でも担任を持つことはありますが、書類関係は正規職員が任されるのでその分の負担は軽くなります。

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まとめ

保育士として勤務する場合には、自分自身が行いたい保育や雇用形態にマッチする園を探すことが大切です。

良い勤務先が見つかれば、やりがいがある充実した保育ができるでしょう。

勤務時間や雇用条件も園によって様々なため、自分のライフスタイルに合わせた求職活動ができると良いですね。



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