2020年7月6日

障害のある人が働く場である就労支援事業所。

耳慣れない言葉かもしれませんが、道の駅やスーパー等で福祉事業所が作ったというパンやお菓子が陳列されているのを見たことはありませんか?

就労支援事業所ではパンやお菓子作り以外にも事務作業や清掃作業、手芸作業等、様々な作業を行っています。

今回はそんな就労支援事業所の仕事内容や求人でよくある募集内容やおススメの求人ポイント、気になる疑問等について解説していきます。

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就労支援事業所求人の仕事内容とは?

就労支援事業所には雇用契約を結んだ上で就労活動や訓練を行う就労継続支援A型、一般就労を行うための訓練や求職活動等を行う就労移行支援、年齢や障害の程度等により一般就労は難しいと思われる人等が就労活動を行い、就労スキルや事業所内の収益の向上を図る就労継続支援B型、就労移行支援等のサービスを利用して一般就労に結び付いた人たちを定着させていけるよう支援する就労定着支援の4つの事業所があります。

それぞれどのような仕事を行うのか大まかに説明していきます。

就労継続支援A型事業所

所属している事業所が行っている作業指導を行わなければならないため、まずは職員自身が作業を覚えます。

その後、新しく入ってきた利用者に作業を教えたり、既に働いてる利用者の作業の支援・指導を行ったりします。

作業に関する指導はもちろん、就労移行支援の利用や一般就労を見据え、基本的なビジネスマナー等も身に付けられるよう支援します。

利用者帰宅後は利用者の出欠やその日の特記事項等を記載する業務日誌、それぞれの利用者の様子等を記録するケース記録等の記録作業を行います。

また、送迎や給食のサービスを行っている事業所では車の運転や調理等を行うこともあります。

就労継続支援A型事業所では主に半年に1回、相談支援事業所が作成するサービス等利用計画をもとに、それぞれの利用者の個別支援計画の作成を行います。

個別支援計画とは利用者が事業所を利用する上での目標や具体的な支援内容等が記載された計画です。

作成時には各利用者と面談を行うと共に、職員間でケース会議と呼ばれる会議を行います。

作成後は利用者に説明を行い、同意を得られたらサインをもらいます。

その他にも利用者の状態が悪い時等は随時ケース会議を行います。

また、保護者や相談支援専門員、市町村等、関係機関との連携も大切な仕事です。

就労継続支援B型事業所

基本的な業務は就労継続支援A型事業所と同じとなります。

しかし、就労継続支援B型は就労継続支援A型と違い、年齢や障害の程度等により雇用契約を結びません。

そのため、体調が悪い時は休憩をはさむ等、無理なくマイペースで作業を行っていけるよう配慮する必要があります。

個別支援計画は半年に1回作成します。

就労移行支援事業所

就労継続支援A型の業務内容に加え、一般就労に結び付けるための業務も行うこととなります。

具体的にはハローワークに同行し求職活動の支援を行う、職場実習の手配をし、実習中も必要な支援を行う等です。

個別支援計画は3ヶ月に1回作成します。

就労定着支援事業所

就労定着支援事業所は上記の福祉サービスを利用して一般就労に結び付いた人を対象としています。

そのため、作業指導等はなく、利用者との定期的な面談や職場訪問等を行うこととなります。

個別支援計画は3ヶ月に1回作成します。

就労支援事業所求人でよくある募集内容とは?  

では、次に求人でよくある募集内容について解説していきます。

就労支援事業所には4つの種類がありますが、給与形態や勤務時間等には特段大きな違いはありません。

職種

職種としては就労指導員、生活支援員等の名前で募集されることが多いようです。

また、管理者募集の場合はサービス管理責任者という職種で募集されます。

サービス管理責任者の求人に応募する場合には一定の要件を満たし、研修を受講しておく必要があります。

給与相場

給料相場は地方と都市部で異なりますが、月給は概ね15~25万、年収は250~350万程度のところが多いようです。

ただし、これは初任給の場合であり、経験年数が増えると共に基本給や手当ては上がっていくものと思われます。

就労支援事業所の給与は病院で働くソーシャルワーカー等と比べるとやや低い傾向にあります。

就労支援事業所の求人の場合、社会福祉士や精神保健福祉士等の国家資格があればもちろん有利となりますが、必須とはされておらず、無資格者でも応募可能場合も少なくありません。

勤務時間や休日、残業

基本的に夜勤はなく、日勤の場合がほとんどです。

それぞれの事業所が行っている訓練の内容にもよりますが、土日は休みのところが多いようです。

残業は事業所によってばらつきがあります。

職員もある程度事業所が行っている就労活動の一端を担っている場合は残業することが多くなる傾向にあります。

反対に職員は指導や記録、面談等をメインに行っている事業所であれば、利用者が帰宅した後から終業時間までの間に事務作業が出来るため、比較的残業は少ないようです。

福利厚生

就労支援事業所は一般企業が運営している場合と社会福祉法人や医療法人が運営している場合があります。

福利厚生に関しては社会福祉法人、医療法人が運営している方が充実している傾向にあります。

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就労支援事業所求人のおすすめ求人のポイントとは?

では次に就労支援事業所の求人のおすすめポイントについて解説していきます。

自分の得意なことや経験したことを作業として行っている事業所を選ぶ。

就労支援事業所が行っている活動は多岐に渡ります。

そのため、自分の得意なことを就労活動として行っている事業所であれば、自身のスキルや経験を仕事でも活かすことが出来ます。

お菓子作りが得意であれば製菓作業、パソコンが得意であれば事務作業、飲食店でのアルバイト経験があれば飲食店作業等が挙げられます。

また、仕事をしながら自分の好きなことが出来るということも大きなメリットです。

仕事自体が楽しく感じられますし、事業収入を上げるための計画をたてるのも苦にはならないかもしれません。

いずれにせよ、求人を選ぶ際には就労活動の内容をチェックし、「面白そう」「これなら自分のスキルを活かせる」と思える事業所に応募することをおススメします。

医療法人や社会福祉法人が運営している事業所を選ぶ。

株式会社やNPO法人が運営している就労支援事業所より、医療法人や社会福祉法人が運営している就労支援事業所の方が給与が高く、福利厚生が安定している傾向にあります。

もちろん一般企業やNPO法人が運営している事業所が悪いというわけではありません。

しかし、やはり安定感やワークライフバランスの充実を求めるのであれば医療法人か社会福祉法人が運営している就労支援事業所をおススメします。

しかし、どんどん新しいことをしていきたいというバイタリティ溢れる方であれば物足りなく感じるかもしれません。

そういう方は医療法人や社会福祉法人よりも自由度の高い、一般企業やNPO法人が運営している就労支援事業所をおススメします。

欠員補充より増員の求人を選ぶ。

これは福祉の求人に限ったことではないかもしれませんが、欠員補充の場合は人間関係や労働環境に難ありの場合があります。

そのため、気になる求人を見つけたら過去、どの程度の頻度で募集を行っていたが確認しておくことをおススメします。

頻繁に募集しているようであれば要注意と言えるかもしれません。

また、欠員補充に比べ増員募集は事業運営が良好であるという安心感があります。

過去、頻繁に募集しているようでなければ狙い目と言えるでしょう。

就労支援事業所求人や仕事についてよくある疑問

では、最後に就労支援事業所求人や仕事についてよくある疑問にお答えしていきたいと思います。

障害のある人とどんな風に関わったらいいのか分からない。

障害のある人と関わった経験がある人はそんなに多くはないでしょう。

関わったことがないと障害のある人たちはどのような人なんだろうと不安に感じることもあるかもしれません。

怖いのではないか、話しが通じないのではないかと思う人もいるでしょう。

しかし、心配は無用です。

そもそも就労支援事業所を利用している人たちは中度から軽度の障害がある人がほとんどであり、重度の人はほとんどいません、そのため、意思疎通は出来ると思っていただいて問題ないと思います。

障害があるというと特別なことのように感じますが、そんなことはありません。

障害はあくまでもその人の一部であって全部ではありません。

自分より幅広い知識を持っている人もいますし、真似できない特技を持っている人も沢山います。

結局は人対人の付き合いなので何も心配することはありません。

ただ、障害ゆえに配慮が必要な部分があるだけです。

それでも不安を感じるならば就労支援事業所が運営しているカフェに行ったり、就労支援事業所で開催される行事に参加したりしてみてもいいかもしれません。

イメージがガラッと変わると思います。

就労支援事業所で働くためには福祉系の資格を持っていないとダメ?

もちろん社会福祉士や精神保健福祉士等の資格を取得していると有利になります。

なぜならば社会福祉士や精神保健福祉士等の有資格者を雇用すると加算が付き、事業所側に入る収入が多くなるからです。

しかしながら、必ずしも福祉系の資格を取得していなければならないというわけではありません。

近年病院で働くソーシャルワーカーに関しては有資格でなければならないという風潮となってきています。

それに対し、就労支援事業所では求人募集の際、必ずしも有資格者のみを募集するわけではありません。

無資格者にもチャンスはありますが、自分自身のスキルアップのためにも被支援者の利益のためにも、是非社会福祉士や精神保健福祉士等の資格を取得されることをおススメします。

就労支援事業所の仕事でスキルアップしていくには?

無資格の場合はまず社会福祉士、精神保健福祉士の資格を取得することをおススメします。

どちらの資格も実習はあるものの通信教育で国家試験受験資格を取得することが出来ます。

特に精神保健福祉士は4年生の大学を卒業していれば通学で1年、通信で1年半という比較的短期間での国家試験受験資格の取得が可能です。

そのため、転職を考えている方や福祉職として働きながらスキルアップとして資格を取得したいという方にもおススメです。

また、国家資格取得後のスキルアップの道としてはサービス管理責任者という資格があります。

サービス管理責任者その名の通り、各事業所に必ず配置しなければならない責任者です。

細かい要件はありますが、一般的には社会福祉士、精神保健福祉士等の有資格者は5年、無資格者は10年の実務経験が必要となります。

要件を満たした後、各分野に応じた研修を受け、サービス管理責任者となることが出来ます。

また、もう一つの道としては相談支援専門員があります。

相談支援専門員もサービス管理責任者と同様、一般的に社会福祉士、精神保健福祉士等の有資格者は5年、無資格者は10年の実務経験が必要となります。

ただ、相談支援専門員のメインの仕事は希望者が福祉サービスを利用する前に作成するサービス等利用計画に関連する計画作成業務になる等、就労支援事業所の仕事とは大きく異なります。

国家資格を取得し、実務経験を満たした後は、このまま就労支援事業所でスキルアップを行うのか、それとも違う立場から福祉の仕事を行うのか、自分と向き合って決める必要があります。

就労支援事業所での仕事の将来性は?

就労支援事業所の仕事は将来性のある仕事といえます。

現在は国は精神科病院に入院している人や入所施設で生活している人も、出来る限り地域で生活していけるように支援しなさいという方針を示しています。

地域で生活していく際、日中活動の場は必須となります。

また、現在は一般就労に結び付いた後の定着支援にも力を入れており、就労定着支援事業所という新しいサービスも始まりました。

これからもこの動きはどんどん加速していくものと思われますので、狙い目の仕事ですよ。

まとめ

今回は就労支援事業所の仕事や募集内容、おススメポイントやよくある疑問について解説していきました。

就労支援事業所の仕事は自分も楽しみながら社会にも貢献出来るとてもやりがいのある仕事です。

福利厚生も充実しているところが多い為、仕事もプライベートも充実させることが出来ますよ。

是非目指してみてはいかがでしょうか。

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