2020年7月6日

今や場面を問わず耳にすることも多いニートという言葉。

正しくその言葉の意味を把握せずに、揶揄して使われることも多い表現かもしれません。

ニートとは、正確にはどのような状態を指す言葉なのでしょうか?

そして、ニートになってしまう理由や遠因は一体何なのでしょう。

ニートとは何かということと共に、そのきっかけは一体何なのか、原因はどのようなことなのかを、掘り下げてみたいと思います。

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ニートとは?

現代日本において、一人歩きしてしまっている印象もある、ニートという言葉。

元々はNot in Education, Employment or Training, の頭文字をとったNEETという言葉で、イギリスで生まれた言葉です。

若年無業者とも言います。

日本での若年無業者定義は15歳~34歳で、働いておらず、家事や通学をしていない若者のことを指して言う言葉ということになります。

「子供・若者白書」の平成28(2016)年版までは年齢の区分が15歳~34歳になっていました(参考として35歳~39歳のデータも載っています)。

現状を鑑みて平成29 (2017)年版より若年無業者のデータは15歳~39歳のものに変更が行われたようです。

なお、子供・若者白書平成30(2018)年版によると、平成29年時点で、若年無業者の数は71万人にのぼっています。

また、ニートには、引きこもりというイメージが付随している場合も多いのではないでしょうか。

本来ニートにという言葉には引きこもりという意味は含まれているわけではありませんが、学校や仕事に行けずに自宅に引きこもり、家族以外と交流のない状態を指す引きこもりと混同および同一視されているようです。

ニートになってしまうきっかけや原因とは?

どういったことが、ニートになってしまうきっかけになるのでしょう?

ニートになりやすい性格やタイプというものがあるのでしょうか。

その理由や原因、きっかけなどは一様ではありませんが、そこには傾向や、共通する要因などがあるのかもしれません。

きっかけとなり得る事柄や、ニートになりやすい性格的傾向などを詳しく見ていきたいと思います。

ニートになる人とならない人、その差は一体なんなのでしょうか。

学校生活のつまずき

学校に行きにくい、行けなくなってしまった…ということが続いた結果、不登校に陥ってしまったり、中退してしまったりと学校生活につまずいてしまったことがきっかけになっていることもあります。

一度つまずいてしまうと、ルートから外れてしまったと感じることも多く、元のように学校に行く、あるいは改めて学校や仕事という場に居場所を見いだすということが難しくなってしまうのです。

当たり前のように小学校、中学校、高校と進み、そこで就職するか、大学に進学後に就職するか、というのがいわゆる「普通」のルートだということになっていますね。

自分もそう思っているし、社会的にそういうことになっている、となんとなく思っている人も多いのではないでしょうか。

その「普通」から外れてしまったりはじかれてしまったりすると、学校に行く、働く、という「みんながしている」「当たり前」の生活が送れないような気がしてしまいます。

就職失敗

就職活動がうまくいかなかったという場合もあるでしょう。

希望通りの会社への就職がかなわなかったことがきっかけで、ニートになってしまうということがあります。

また、就職自体は問題なくできたけれど、仕事の内容や職場環境に適応できずに退職してしまうということもあります。

その場合は、一度は就職をして仕事を始めている分だけ、「できなかった」「うまくなじめなかった」という経験をしているため、新たな仕事を探して就職するということに心のハードルが高くなる傾向があるようです。

学校生活でのつまずきと同様、今いる場所=学校や職場がすべてという固定観念にとらわれてしまいがちです。

そこから一度でも離脱してしまうと、もうどこにも居場所がないと感じられてしまうのです。

実際には、学校も会社もたくさんありますし、学校以外で勉強することができることや仕事をするために、必ずしも会社に行かなくてもよいということになかなか目が向けられなくなってしまいます。

生活環境の変化

引っ越しや家族の構成の変化など、生活環境が大きく変わることがあります。

実際、このような変化によって引き起こされるストレスは、かなり大きなものです。

うまく適応ができればいいですが、うまくいかなかった場合、引きこもってしまうようなことも。

引きこもることで、当然仕事や学校には行けなくなっているということですので、必然的にニートになってしまうということになります。

進学や就職などにより、家族と離れて一人暮らしを初めてするというような場合には、特にその傾向が強いかもしれません。

学校や職場という環境も変わり、住まう土地も生まれ育った土地ではなく、生活のすべてを自分でこなさなくてはならなくなります。

家族関係が良好であればあるほど、一人暮らしそのものにストレスを感じがちです。

また、「一人でもちゃんとしなくては」「きちんとできる」と思いがちな人ほプレッシャーも大きくなりますし、思い通りにならなかったときのダメージが大きくなる傾向があります。

生活習慣の乱れ

前述の「生活環境の変化」に挙げた引っ越しなどによる環境の変化、初めての一人暮らしのストレスなどは、生活習慣の乱れという形で表面化してくることが多いでしょう。

生活リズムが乱れがちになって、昼夜逆転生活を送ってしまうようなことも。

昼夜が逆転していては、通勤通学を含む日常生活を送るのは困難になります。

フェイドアウトするようにニートになってしまった、というようなことにもなりかねません。

生活のリズムが崩れてくると、精神的にもスッキリしなくなり、やる気が起きなかったり、人と会うのがおっくうになったりすることもあります。

決まった時間に起きて、決まった時間に家を出るということができなくなると、学校や仕事に行けなくなり、ニートになってしまうというわけですね。

ひきこもり

これまで述べてきたことが、複合的に絡み合っているともいえますが、学業や就職でのつまずきや環境の変化などをきっかけに、引きこもってしまった結果ニートに転じていくということは大変多くなっています。

もちろん、心の問題が大きいため、1+1=2というように単純にいえることではありません。

学校に行かなくなって…引きこもるようになって…ニートになった…と、ベクトルをつなぐように、ニートになっていった過程を断じることは、きっと本人にも難しいでしょう。

働けなくなって、そのために引きこもり、そのことでさらに傷ついている、というような人も少なくありません。

ただ、やはりきっかけやことの順番は前後しても、学業なり仕事なりに何らかの形で挫折をしていたり、引きこもりの状態にあったりするという人が多いようです。

人間関係

これも、前の項目とかぶってくる部分が多々あるかと思いますが、学校や職場での人間関係がうまくいかなかったために学校中退や、退職をしてしまうことがあります。

当人以外は些細な行き違い程度だと思っているようなことから、苛烈ないじめやパワハラもあります。

学校や職場といった、外の世界に居場所がなくなってしまった(と本人が感じている)ために、そこと距離を置いてしまった結果ニートになってしまうというわけです。

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ニートをやめて、働き始めるには、まず何からやればいい?

働く意思を持ち始めたところから、すでにニート脱却は始まっています。

そうはいっても、つまずいたりキャリアが途切れたりしてしまっていることが、どうしても気になりますね。

失敗をしていても活躍できる社会、一億総活躍社会を目指そうという働き方改革が後押しになるかもしれません。

また、ニートをしていたことが不安だという人が利用できる制度や施設などもありますので、紹介していきたいと思います。

相談する

ニートや引きこもりといった、子供や若者の抱える問題の解決を支援するために制定されたのが子ども・若者育成支援推進法です。

この子ども・若者育成支援推進法に基づいて、様々な支援が展開されています。

ニートや引きこもりであることについて、相談ができる機関には、子ども・若者総合相談窓口、ひきこもり地域支援センター等があります。

地域全体で連携をとってサポートしていこうという取り組みになっています。

抱え込んだ思いを、相談できるところがあるということを知るところから。

少し思い切って、アクセスしてみてください。

しっかり話を聴いてくれますよ。

ネットワークの中で、必要な機関、しかるべき窓口につないでいってくれるはずです。

目指すところは就職することだということを、伝えてみることが、何より大事です。

引きこもりやニートの支援をしているNPOなどもありますので、住んでいる地域に利用できそうな会館がないかどうか調べてみるといいでしょう。

地域若者サポートステーション

若者の働きたい気持ちをサポートしてくれるのが、地域若者サポートステーションです。

自信がなかったり不安を感じていたりという気持ちも問題、無業期間(ブランク)があること、スキルや知識の不足など、これから働きたいという若者が抱える問題の解決のために力を貸してくれるところです。

キャリアコンサルタントや産業カウンセラーのような専門家がしっかり話を聞いてくれますし、セミナーや講座などで、働くために必要な力を少しずつ身につけることも可能です。

地域若者サポートステーションも、様々な機関とネットワークを構築しています。

自治体や学校、ハローワークなど、必要な支援が受けられるようにつないでくれます。

就職すればそれでおしまいということではなく、「こんなハズじゃなかった」「思っていたのと違う」…といったミスマッチやスキル不足などで離職することなく、仕事を続けていける形での就職ができるよう支援(定着支援)をしています。

ハローワーク

実際に求人を見てみるのなら、ハローワークに行ってみるのもいいでしょう。

求人票から読み取れる情報を元に、自分が働く姿をイメージしてみるのもいいかもしれません。

賃金や仕事の内容など、実際の条件を見てみることで、現実的な仕事に対する感覚が養われることでしょう。

国の行政機関であるハローワークは、「最後のセーフティネット」として機能しています。

いざ求人を出している会社に応募してみよう!ということなら、ハローワークで紹介を受けます。

また、応募書類の書き方や面接の受け方なども、ハローワークで支援を受けることができます。

先に挙げた地域若者サポートステーションでも、書類作成支援や模擬面接が受けられます。

行きやすいところへいって大丈夫。

ここでいう「行きやすさ」というのは、立地や交通アクセスだけではなく、相談しやすい相談員がいる、気後れせずに入っていける、といった通うにあたって心理的ハードルの低いところという意味です。

無理なく訪ねていけるところを見つけてくださいね。

そしてハローワークでは、職業訓練を実施しています。

3ヶ月程度の短いものから、半年~1年という長期間の訓練もあります。

就職の希望がある人が身につけることで、就職がしやすくなるスキルを身につけたり、就職に結びつく資格を取ることができたりするのが職業訓練です。

外に出てみる、相談をしてみる、就職に対する不安を拭ってみる…と段階を追って進んでいった先に、「こんな仕事がしたい」と考えられるようになったら職業訓練を検討してみるのもいいのではないでしょうか。

ハローワークで仕事を探すときは、こちらの記事を参考に!

就職に有利な制度

ハローワークで紹介を受けて求人に応募する際に、採用されやすさを上げるような制度がいくつかあります。

職業経験やスキルが少ない応募者を雇い入れることで、事業所(会社)に助成金が支給されるという制度があります。

これはトライアル雇用助成金といい、ニートだったために職業経験が少なかったり知識や技術がなかったりする場合にはぜひ利用してほしいものです。

人材開発支援助成金という制度もあります。

こちらも、人材の育成のために支給されるもので、雇い入れた労働者に訓練を受けさせるため事業所に対して支給されます。

現時点で経験や技術が乏しくても、しっかり育成してもらえるように支給される助成金になっています。

まとめ

つまずいてしまった、無業の期間が長くなってしまっている、ニートをずっと続けたいわけではないけれど何から始めればいいのかわからない…

そんな想いがあるかもしれませんが、大丈夫!

話を聴いてくれる人がいます。

相談できる場所があります。

不安を解消して、足りないものを補っていくための機関や制度もあります。

たしかに、ニートを脱却するのは簡単なことではないかもしれません。

それでも、前を向いて進んでいこうという気持ちさえあれば、手助けをしてくれる人もいますし、利用できるものもたくさんあります。

大切なのは、諦めてしまわないことです。

働きたいな――そう思ったときから、ニートではない次の生き方が始まっていますよ。

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