新型コロナウイルスの感染拡大が原因で、観光需要は減少…。

観光業界では東京オリンピックに向けてインバウンド需要増加を見込んでいただけに、大打撃を受けてしまいました。

今までに例を見ない最悪な事態の中、観光客を誘致するため、政府や地方自治体、企業では様々なマーケティング活動を行っています。

そこで今、注目を集めているのが「DMO」の存在です。

今回は、ウィズコロナでも、アフターコロナでも、これからの地本経済において重要なカギを握るDMOについてご紹介させていただきます!

DMOとは何ですか?

DMOは「Destination Management/Marketing Organization(ディスティネーション・マネージメント/マーケティング・オーガニゼーション)の略で、直訳すると「旅行者の目的地となる地域(観光地)が一体となって観光をマネージメント/マーケティングする組織」です。

分かりやすく言うと、「DMO=官民が幅広く連携して観光地域づくりを推進するための法人」ということになります。

法人が地域と協同して観光地域作り(マーケティング・マネジメントやブランディング、商品造成、プロモーションなど)を行い観光地域の魅力を高め、観光客を誘致すれば、地域経済の活性化を図ることができます。

まさにこれこそがDMOの目的なのです。

日本版DMOの始まり

欧米の観光先進国を中心に発展してきたDMOが初めて日本で取り上げられたのは、2014年12月27日に閣議決定された「まち・ひと・しごと創生総合戦略」でした(DMOは地方創生の主体の一つとして登場)。

その後、2015年6月1日に石破茂大臣(地方創生・国家戦略特別区域担当)が経済財政諮問会議で臨時議員としてDMOを紹介したことを機に、DMOへの注目と関心が観光行政関係者を中心に高まりました。

2015年11月から日本版DMOの登録制度が開始し、12月から登録申請がスタート。

プロフェッショナルな欧米のDMO組織をモデルに日本版DMOを構築していくことが、地方創生の柱の一つとなったのです。

日本版DMO法人の種類

日本版DMO(地方公共団体と連携して観光地域づくりを担う法人)は、マネージメント/マーケティングするエリアの単位に応じて以下3区分に分かれています。

  • 地域DMO:単独市町村区域のマネージメント
  • 地域連携DMO:単独都府県、あるいは複数の市区町村をまたぐ区域のマネージメント
  • 広域連携DMO:地方ブロックレベル(複数の都道府県をまたぐ区域)のマネージメント

令和2年3月31日の時点で、日本版DMOには162件の登録があります(地域DMO:73件、地域連携DMO:79件、広域連携DMO:10件)。

日本版DMOの地域的取組事例:広域連携DMO

せとうちDMO/(一社)せとうち観光推進機構・(株)瀬戸内ブランドコーポレーション

【公式サイト】https://setouchitourism.or.jp/ja/

(一社)せとうち観光推進機構と(株)瀬戸内ブランドコーポレーションは、「せとうちDMO」として密接に連携し、瀬戸内エリア(瀬戸内を囲む7県:兵庫県、岡山県、山口県、香川県、愛媛県、徳島県、広島県)のブランド価値向上に取り組んでいます♪

ひょっとしたら、この記事を読んでいる方の中にも、しまなみ海道での絶景サイクリングを楽しんだ方もいらっしゃるのではないでしょうか?(これもDMOの取組みの一つなのです♪)

せとうちDMOでは、主に3事業(マーケティング、プロダクトマネージメント、エリアマネージメント)に力を入れ、様々な形で情報発信・プロモーション活動を行っています。

  • アート

アートツーリズム(広範に瀬戸内を捉えて、アート資産を個々のアートで繋ぐもの)の普及&定着をしています。

  • サイクリング

コース環境を瀬戸内各地で整備し、世界にも誇れる「サイクリストの聖地」としての認知度を高めています。

  • クルージング

瀬戸内の魅力を最大に発揮できるのがクルーズです!

世界有数の「滞在型クルージングリゾート」形成を目指しています。

「瀬戸内の食」における魅力を国内外に発信すると同時に、瀬戸内の食を思う存分堪能することができるレストランの充実を図っています。

  • 宿

旅行の目的にもなるような魅力的なホテル・旅館の充実を目指しています。

  • 地域産品

魅力あふれる地域の特産品を、国内外で認められる「ブランド」へと成長させています。

瀬戸内エリアを思う存分満喫することができる取組みになっているので、機会があれば実際に現地に足を運んで「せとうちDMO」の取組みに触れてみたいですね♪

日本版DMOの地域的取組事例:地域連携DMO

(一社)ふらの観光協会

【公式サイト】https://www.furanotourism.com/jp/

北海道の富良野・美瑛エリアでは、(一社)ふらの観光協会を中心に6市町村(北海道美瑛町、上富良野町、中富良野町、富良野市、南富良野町、占冠村)が「富良野・美瑛」のブランディング活動を行っています。

地域が一体となって取組んでいるこのDMOでは、主に下記のような楽しい取組みがされています♪

  • 独自の景観を楽しむ「田園テラス」計画

美しい眺望の場所にベンチを設置し、五感を開放することができる空間と時間の拠点としています。

ここで、住民や異業種の方々との交流を図ってみては?!

  • スキーホスト育成

地域のボランティアガイドに「地域観光情報」「接客技術」「自然の基礎知識」を習得してもらい、コンシェルジュ的なスキーホストとして外国人旅行客の満足度をアップさせています。

  • 2次交通の仕組み整備

「夏場のガイドつき循環バス」「冬場のイブニングシャトルバス」「サイクリング環境の整備」などを通して、来訪客の回遊&滞在長期化を図っています。

  • 外国人旅行者に対する観光マナー・交通安全啓蒙活動

地域住民と外国人旅行者のトラブルをなくすため、観光マナー&交通安全を啓蒙するチラシを多言語で作成しています。

都会では絶対に味わうことができない解放感!

旬の食材も含めて富良野・美瑛エリアを満喫してみたいですね♪

(公社)ツーリズムおおいた

【公式サイト】https://www.visit-oita.jp/

日本一の湧出量、源泉数を誇る大分県。

別府や湯布院といった温泉リゾートをはじめ、豊かな食と大自然が魅力の観光地として有名です。

大分県では、(公社)ツーリズムおおいたを中心に、宿泊施設が集中しているエリア(大分市、別府市、由布市など)から県内各地に旅行者が周遊できる仕組みづくりを行っています。

具体的には、県域が一体となりマーケティング実施を行うための具体的な議論の場づくり&PDCAサイクルを回す仕組みづくりをはじめ、旅行商品などを販売するシステムの構築(キュレーションメディア機能)に力を入れています。

※キュレーションメディア:特定のテーマで分かりやすくまとめられた情報発信サイト。

大分県では地域との連携強化を通して、隣県・域内DMO組織や観光協会などと様々な活動を共同で行う仕組みづくりを徹底しています!

日本版DMOの地域的取組事例:地域DMO

(株)島原観光ビューロー

【公式サイト】http://shimabaraonsen.com

長崎県島原市では、地域DMOとして観光組織を一元化することで非効率な観光運営を廃止し、マーケティング、プロモーション、施設運営、観光コンテンツの充実などを連動させた観光サービスを提供しています。

  • 謎解きゲーム・キャッスルモンスター、島原城・夜の陣

夜の島原城を活用し、体験型イベントをスタート!

スマホを使った謎解きをはじめ、懐中電灯で照らしながら各階を進んでオリジナルBGMやテーマカラーを楽しむなど、幻想的な夜の島原城を思う存分楽しむことができます。

  • 島原コスプレの乱、島原城グランピング

島原城にグランピングで宿泊したり、施設を利用した多彩なイベント(コスプレなど)を開催したりしています。

  • しまばらめぐりんスキーム

しまばらめぐりんバスを土日祝に運航させるなど2次交通網のインフラを整備し、地域経済活性化のサイクルを生み出しています。

  • 湧水庭園「四明荘」を有料化にする

無料施設から稼ぐ施設へと移行させることで地域経済を活性化させていきます。

長崎県島原市は、(株)島原観光ビューローを中心に時代に合った楽しいイベントを多数開催して地域経済活性化を積極的に行っています。

(株)阿智昼神観光局

【公式サイト】http://www.hirugamionsen.jp

長野県阿智村では、地域資源を有効活用することで観光客の滞在時間や消費額の増加に効果を上げています。

特に注目したいのが、環境省から「日本一星の観測に適した場所」だと認定されたことに着目して考えられた「日本一の星空」という地域ブランディング戦略です。

阿智村全体を「星の村」と位置づけ、星空ナイトツアーを開催!

富士見台高原ロープウェイヘブンスそのはらで星空観賞イベントを楽しむことができます♪

  • 地域通貨「スターコイン」

地域通貨「スターコイン」を導入して地域経済の活性化に役立てています。

(スターコインは、70を超える施設での利用ができるほか、様々な特典を受けることができます)

  • 観光拠点施設「ACHI BASE」

観光案内所としての機能だけでなく、地域資源を活用したお土産店、セレクトショップ、アウトドアグッズのレンタルショップ、サンリオキャラクター「キキ&ララ」カフェ、星空コンセプトバーなど、様々な顔を持つ施設として活躍しています。

  • 地域住民参加型のイベント&体験教室

観光地域づくりに対する地域住民の意識を高めるため、「村内全域ライトダウンイベント」や「日本一の星空ナイトツアー村民DAY」などを開催し、新たな魅力の創造を行っています。

阿智村では、(株)阿智昼神観光局を中心に様々なDMOの取組みを通して「星」を楽しむことができるようになっています♪

(株)ディスカバーリンクせとうち

【公式サイト】http://www.dlsetouchi.com

広島県尾道市では(株)ディスカバーリンクせとうちが中心となり、残したい風景や建物、人との関わりを最優先に地域DMOの取組みを行っています。

尾道の魅力を再発見して発信したい!

まちづくりを通して雇用と事業を創出したい!

未来にこの街並みを繋いでいきたい!

そんな想いから、様々な取組みを行っています。

  • ONOMICHI U2

海運倉庫をリノベーションしてつくられた施設で、中にはホテル、レストラン、ベーカリー、サイクルショップが入っています。

また、地域企業とのコラボ商品が販売されているほか、伝統産業品(備後絣や帆布など)が用いられたクッションや椅子が使われています。

  • ONOMICHI SHARE

海運倉庫の2階部分をリノベーションしてつくられた施設で、「働く」と「遊ぶ」をテーマとしたシェアオフィスとなっています。

  • ONOMICHI DENIM PROJECT

備後地方のデニムと尾道の魅力を発信する取組みです。

職人がこだわりを持って作ったデニムを、尾道で生活する様々な職業の人(大工や漁師、住職や農家など)が1年間穿くことで、ユーズド加工では出せない個性あるユーズドデニムを誕生させるという世界初のプロジェクトです!

人の生活から生まれたストーリー溢れる本物のユーズドデニム。

どんなものなのか、尾道に足を運んで実際に見てみたいですね♪

(一社)気仙沼地域戦略

【公式サイト】http://k-ships.com/

宮城県気仙沼市では、(一社)気仙沼地域戦略が中心となって柔軟な観光振興への取組み活動を行っています。

気仙沼市における地域DMOの取組みで注目したいところは、スイス・ツェルマットの取組を参考に「気仙沼クルーカード」を導入し、DMOが一元的管理しているところです。

これにより、効果的なマーケティング活動と運営資金の確保(有効期限切れポイントを活用)が可能になっています。

【気仙沼クルーカードとは?】

ポイントを貯めて様々な特典が受けられるほか、観光スポットやイベント、おすすめの店の検索ができるカードです。

現在はスマホ版のアプリもあります。

その他気仙沼市では、具体的なDMOの取組みとして気仙沼での暮らしをちょっと覗くことができる「ちょいのぞき気仙沼」、気仙沼の魅力を再発見できるワークショップ「ば!ば!ば!の場」などを開催しています。

まとめ

コロナ禍で観光需要が減少する中、アフターコロナの日本経済のカギを握るとして大きな注目を集めているのがDMOという取組みです。

今回は、地域それぞれの特色を活かして行われているDMOの取組み事例をご紹介しました。

実際にその土地へ足を運んで、それぞれの取組みを肌で感じてみてはいかがでしょうか?!