2020年7月6日

獣医師とはどのような仕事をして、どのようなキャリア形成をしていくのかご存知でしょうか?

今やペットは家族のような存在といえる時代になってきました。

獣医の仕事は、動物の命に携わる責任重大な職業です。

ここではそんな獣医師の詳しい仕事内容や、良い面と悪い面について経験者の意見を元にご紹介させていただきます。

この記事を読んで「獣医の仕事」について詳しく知るいい機会になれば幸いです。

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獣医師とはどんな仕事?

獣医師と聞くと、一般的には犬や猫のお医者さんである「動物のお医者さん」を想像されるかと思います。

獣医師の仕事は実際は多岐にわたっており、犬や猫を診察、治療する小動物臨床獣医師をはじめとし、家畜である牛や豚の診察、治療をする大動物臨床獣医師、公務員として家畜衛生や公衆衛生を守り監視する獣医師など多くの場で獣医師は活躍しています。

また一般企業である製薬会社や検査会社等に勤務し、その知識を幅広く有効活用している獣医師もいます。

獣医師の役割とは?

動物の命を守り、救う

獣医師は人間以外の動物の診察、治療を行うことができます。

ケガをしたり病気になった動物を診察し、治療することが認められているのは獣医師だけなのです。

家畜である牛や豚を治療しなければ、農家が困るだけではなく最終的に食事をとる人間も困ってしまいます。

獣医師と農家が協力することで、おいしい肉や乳が食卓に提供されます。

また、小動物である犬や猫は、今の世の中では家族同然として扱われています。

家族と少しでも長く一緒にいられる時間を増やすためにも、獣医師による診察や治療、また、病気の予防は非常に重要です。

感染症の予防や対策を行う

獣医師は世界中に存在する感染症のプロでもあります。

細菌、ウイルス、寄生虫を原因とした感染症の予防や治療に対して、貢献することが可能です。

動物に対して罹る病気だけではなく、人と動物に共通して病気が発症する人獣共通感染症の知識を持ち、正確な予防や対策を行うことは世界的にも重要視されています。

日本の場合、狂犬病が有名です。

世界中に蔓延する狂犬病について日本が数少ない清浄国でいられるのは、この国が島国であることに加えて日本国内の過去の獣医師達と、現在の獣医師たちの努力の賜物と言えるでしょう。

食や住居に関係する衛生管理を行う

試乗に出回る肉類、流通している食品類、外食産業など、多くの食にまつわる衛生管理を請け負うのも獣医師の役割です。

その他、人々が生活するのに欠かすことのできない、様々な衛生管理を請け負います。

食べ物から水の衛生管理まで、幅広く行う獣医師もいます。

獣医師は人々が生活していくために必要となる衛生を保つことを求められています。

獣医師の具体的な仕事内容とは?

具体的な業務

小動物臨床獣医師としての仕事内容

犬や猫をはじめ、様々なペットたちの病気を診察し、治療します。

人の医師とは違い、専門科に分かれていないため、内科も外科も一人で行います。

大動物臨床獣医師としての仕事内容

牛や豚などの家畜を診察し、治療します。

また、ワクチン接種などの予防業務も丁寧に実施します。

また、繁殖指導や診断も実施します。

公務員獣医師としての仕事内容

食品や食肉の衛生管理であったり、動物愛護管理であったりを仕事内容とする公衆衛生獣医師と、大動物である牛や豚の飼育をする農家に対しての衛生管理や飼育指導を行う家畜衛生獣医師がいます。

仕事の流れ

小動物臨床獣医師の場合

一般的な動物病院では午前中にまず診察を行います。

そしてお昼からは検査や手術を行い、午後から再び診察を行います。

大動物臨床獣医師の場合

診療所を構えてはいますが、牛や豚を移動させることはできないので、獣医師がチームを組んで各農家を巡回し往診します。

往診先で診察を行い、ときには手術を行います。

公務員獣医師の場合

各施設の監視指導を巡回し、その後デスクワークとして事務処理を行います。

また、いろいろな書類の申請を受付、許可を出すようなことも行います。

獣医師の給料事情は?

獣医師の給与は、初任給で20数万円程度です。

また、年収の平均は500万円〜600万円程度(平均年齢40歳)です。

大学卒としては一般的かもしれませんが、同じく6年制である医師、歯科医師、薬剤師に比べると給与面では劣る面もあります。

獣医師の仕事で良い面とは?

多くの獣医師が思う仕事をするうえでの良い面とは何でしょうか。

やりがいがある

特に臨床獣医師として働く人が一番にあげるのがこの「やりがい」です。

動物たちを救い、飼い主や農家からありがとうと感謝される、そのことに一番のやりがいを感じている獣医師が多くいます。

自身の存在価値を確認できるとても気持ちのいいやりがいです。

仕事の幅がある

国家資格であり獣医師しかすることのできない仕事が多く存在します。

そのため、就職困難の時代であっても比較的、選ばなければ就職に困ることが少ないため、価値のある資格と言えます。

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獣医師の仕事で悪い面とは?

一方で獣医師が感じる仕事の悪い面とは何でしょうか。

給与が低く、勤務環境が悪い

動物病院を代表として、獣医師の給与はその仕事内容や時間に対して非常に低いのが現状です。

現状では開業しても院長で600万円程度の年収しか手に入らないケースも少なくありません。

また、病気に休日がないため、多くの獣医師は長時間労働を強いられ、睡眠時間を確保することさえ困難なケースは決して稀ではなく、体調を崩して獣医師を辞めるものもいます。

社会的地位が低い

他の国家資格に比べて社会的な認知度が低いため、自尊心を保てないケースがあります。

獣医師以外の仕事へ転職しにくい

国家資格を持つ人々に共通していることではありますが、その資格を活かさない生き方を選択しようとした時に、立ちはだかる壁が大きいのも特徴です。

多くの獣医師への誤解から、獣医師資格を活かさない仕事に就きたい理由が想像されにくいのが理由としてあげられます。

また、獣医師側も一般企業での就業経験がないため一般的なビジネスマナーを知らず、また、就活も経験していないため世間とのズレが大きくなっていることも理由です。

獣医師を辞めたいと感じる人の理由は、こちらを参考に!

まとめ

獣医師の仕事は幅広く、その仕事内容が請け負う社会的責任も大きいです。

そのため、獣医師は仕事にやりがいを感じて日々業務に励んでいる方が多いのですが、その一方で長時間労働や薄給であるなどのマイナス面が獣医師業界を蝕んでいます。

良い面をプラスに捉えるか、悪い面を考え獣医師を辞めるのか、多くの獣医師は常に悩んでいます。

今回の内容で、獣医師という仕事の現状を少しでも知ることができれば、今後のあなたのライフプランに役立つかもしれません。

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