動物病院で働く獣医師は、どんなことをしているのでしょうか。

仮に、飼い主として動物病院に訪れたときも、その裏側、見えない部分がどうなっているのかは分かりませんよね。

動物病院を受診しても、普段は診察室で会うだけの獣医師が、動物病院ではどのようなことをしているのか、仕事内容について詳しくご説明したいと思います。

動物病院獣医師の仕事は大きく4個の役割に分けられる

動物病院で働く獣医師には、主にどのような役割があるのでしょうか。

獣医師といえば診察をしているイメージが強いと思いますが、動物病院における獣医師の仕事はそれだけではありません。

動物病院内での獣医師が請け負う仕事については大きく4つに分けることができます。

それは、診察、手術、入院管理、そして、受付会計です。

それらについてご紹介したいと思います。

診察

多くの病院では午前と午後に診察時間を設けています。

診察は獣医師の請け負う大切な仕事の一つです。

それぞれの飼い主から、ペットの情報を聞き出し、その病状に合わせて治療をしていきます。

必要に応じて、採血をしたり、エコー検査をしたり、レントゲン写真を撮ったりします。

診察では、内科外科などの分野に関係なく、総合診療をしていくのが一般的です。

動物病院によっては犬猫だけではなく、うさぎやハムスターといったエキゾチックペットと呼ばれる、本来は野生動物である動物の診察を行うこともあります。

薬を処方する際は、処方する薬の調剤も行います。

動物の体は人間に比べると非常に小さいため、1錠まるまるの錠剤では大きすぎるケースが大半です。

そのため、半分にしたり4分の1にカットしたりする作業を行い、包装しなおすことも行っています。

手術

外科手術が必要な場合は、手術を行います。

麻酔の管理も含め、執刀、助手、すべて獣医師が行います。

一部の動物病院では、獣医師の監督の元、動物看護師が手術の助手をしたり、麻酔の管理を行います。

去勢、避妊手術といった予防目的の手術から、骨折などの修復手術であったり、がんの摘出手術など幅広い内容の手術を行います。

動物病院によっては、内視鏡や腹腔鏡を用いた処置を行います。

また、抜歯やスケーリングといった歯科処置も行います。

こういった手術の際、執刀医、助手、麻酔管理と3人の人間を必要とすることが多いです。

簡易な処置の場合は、2人のときもあります。

少なくとも執刀する者は獣医師でなくてはなりません。

入院管理

動物の状態によっては入院をして管理をしなくてはなりません。

その入院した動物たちの治療だけでなく、世話も含めて獣医師の仕事になります。

食事を与えててもいいかどうかの判断などをしながら、入院室の清掃等の管理も行います。

排泄物の状態等から、その動物の状態を推測することも大事な観察ポイントになります。

入院中は細かなケアが必要になります。

こまめな体温測定などを行い、病状の把握をする必要があります。

受付、会計

動物病院のシステムにより異なりますが、少数での運営をしている動物病院であるほど、獣医師自身が、受付をしたり会計をしたりすることも多くなります。

そのため、動物病院では、飼い主さんと最初から最後まで獣医師とともに行動することもありえるのです。

受付の際は、簡単な問診をしてカルテを出す作業を行います。

会計の際は、診療費を伝えて会計し、必要に応じて服薬指導や食事の指導を行います。

診察時おける3個の業務

診察時における問診と身体検査

診察における重要な仕事は、その問診と身体検査です。

飼い主から話をよく聞き、動物たちの現状を把握します。

いま一番なにに困っているのかや、いつから症状が出ているのかなどをうまく聞き出し、それを問題解決につなげていくのです。

動物病院における獣医師の仕事は、人間における病院の小児科医師の仕事と似ていると表現されることもあります。

それは、病気をしているであろう本人が、病状を説明できないという点が同じだからです。

子どもも動物も、自分で自分のことを説明できません。

そのため、いちばん身近な存在である親=飼い主から話を聞き、病気について考えていかなくてはならないのです。

診察時における各種検査

診察を進めるにあたって、検査が必要になるケースが多くあります。

血液検査やエコー検査、レントゲン検査などがあげられます。

そのため、動物から血液を採血したり、お腹の中の臓器の状態をみるためにエコーを使ったりしなくてはなりません。

これも、獣医師が診察時に行う大切な仕事内容になります。

人間の場合、レントゲン撮影には専門の技師がいたりするのですが、動物病院にはそのような専門職の方が存在しないため、すべて獣医師と動物看護師が協力しながら検査を行っていることがポイントになります。

カルテの作成

カルテを記入することは、診察における大事なポイントになります。

今後の治療方針や治療計画にも影響します。

大事なことを忘れないためにも、診察中からしっかりとカルテを記入している獣医師が多いと思います。

カルテの中身は、身体検査等で把握した現状に加え、薬の処方箋や今後の治療方針が記入されることになります。

とくに獣医師が複数いる場合は、誰がみても理解できるカルテの内容にしておくことが大切です。

また、薬の処方などに間違いがないようにすることもとても大切です。

体の小さな動物の場合、一桁の違いが大きな問題になるからです。

手術時の3個の業務

執刀

手術時、メインの術者として執刀を行うのが獣医師の仕事です。

骨折の整復をしたり、異物を取り出したりするような作業がこれにあたります。

獣医師の場合、診察担当と手術担当に分かれていることはまずありません。

診察をしている獣医師が、診察時間後に手術をすることになります。

助手

執刀する術者のサポートをするのが助手の仕事になります。

器具を渡したり、術野がきれいに見えるように保持したりするような作業を行います。

助手は動物看護師が担うこともありますが、多くは獣医師が行います。

麻酔管理

動物にかけた麻酔の管理を行います。

その動物の状況にあわせて、麻酔濃度や酸素濃度の調整を行います。

麻酔をかけるところから、覚醒に至るまで、しっかりと監視しなくてはなりません。

入院管理時における2個の業務

入院している動物の治療

メインは入院している動物の治療になります。

点滴の量を調節したり、決まった時間に投薬したり、様々な治療を行います。

診察時にはできない細かい継続した治療を行うことができます。

入院している動物の世話

治療と同時に、動物たちの世話も行います。

食事の管理や排泄物の処理、必要に応じて散歩に連れて行くなどします。

受付、会計時の2個の業務

受付

動物病院を訪れた人たちのカルテを出し、おもな来院理由を伺います。

会計

当日の診療費の会計を行います。

このときに薬が処方されている場合は薬を渡し、服薬指導も含めて実施します。

また、食事管理の指導が必要な際は、最適なフードの提案に加えて、その食事管理方法についても指導します。

動物病院獣医師の仕事の一日の流れは?

業務内容はこれまで紹介してきたとおりになりますが、では、実際に動物病院で働く獣医師の一日はどのような様子なのでしょうか。

一般的な例をあげながら、動物病院における獣医師の一日をご紹介したいと思います。

出勤時

出勤してから午前の診察時間が始まるまでに、入院している動物の治療を行います。

服薬したり検査をしたり、スムーズに行うことが重要です。

9時から診察の始まる動物病院の場合、おおよそ8時〜8時半ごろに出勤し、すみやかに入院している動物たちの治療に取り掛かります。

午前の診察

多くの動物病院は午前の診察を9時から12時としています。

この3時間、訪れる動物たちの診察を行います。

この間も、入院している動物がいる場合は間を見て、入院動物の様子をチェックしていきます。

手術など

午前の診察が終了後、手術を行います。

また、長時間かかると予想される検査や治療の処置もこの時間に行います。

これらが終わるのが平均して午後2時〜午後3時頃になります。

昼休み

手術等が終了後、昼休みになります。

多くの獣医師は昼食後、カルテのチェックや獣医雑誌を読んだりと、勉強しています。

しかしながら、連日の激務の場合は、軽く仮眠を取るなどして、午後の診察に備えます。

午後の診察

午後の診察も、午前と同様に行います。

多くの動物病院は、午前の診察と同じように3時間の診察時間を設けており、終了時刻が19時〜20時ごろになることが多いようです。

しかしながら、20時に訪れた動物が重症であった場合、検査や治療に時間がかかり、すべての診察が終わるのが21時をまわっていたというケースも決して珍しくはありません。

午後の診察後

午後の診察終了後も、入院動物の治療をしたり、必要に応じて緊急の夜間手術を行ったりします。

そのため、動物病院を出るのが22時以降になることも珍しい話ではありません。

動物病院の一日は長い

このように動物病院における獣医師の一日がとても長いことが分かると思います。

ときには、昼休みがほとんど取れない日もあります。

それゆえに獣医師の仕事は体力勝負な部分があります。

体調を崩さないように自己管理をしっかりしておかなくては、動物たちの治療どころではないという点もあります。

動物病院獣医師のやりがいや面白いポイントとは?

動物病院で働く獣医師が感じる、やりがいや面白さとはどういうところになるのでしょうか。

先程ご紹介したように、動物病院で働く獣医師の一日はとても長く、精神的なストレスに加えて、体力的にも辛い部分を抱えながら働いている獣医師がほとんどです。

そのようななかで、動物病院で働く獣医師たちが、日々なにを考えたり感じたりしながら仕事をしているのか、これらについてご紹介したいと思います。

動物病院獣医師の仕事のやりがいとは?

獣医師の多くは、動物病院で働く獣医師にあこがれを抱いたり、逆に失望したりしながら、獣医師になることを志してこの仕事についたという人が多くいます。

命を扱う現場なので、獣医師の多くはストレスや緊張と戦いながら仕事をしています。

そんな獣医師が動物病院で働き続ける理由となる、そのやりがいとして一番に挙げられるのは、元気になった動物をみることと、その飼い主の見せる笑顔です。

事実、動物病院で勤務する獣医師は長時間労働になり、先程あげたように命を扱うためストレスが非常に高い仕事です。

欧州の研究論文では獣医師の自殺率が非常に高いことが危惧されているほどです。

それでも、こうして多くの人が獣医師を続けているのは、おそらくその獣医師たちが使命感とともに、飼い主の笑顔に喜びを感じているからと言えるでしょう。

動物病院獣医師の面白いポイントは?

獣医師のなかでも、動物病院で臨床獣医師として働くなかで、やりがいとは別に、その仕事自体に面白さも存在します。

命を仕事にするのに面白いとは何事か、と言われるかもしれませんが、面白いというよりは興味深いポイントと捉えていただけると分かりやすいと思います。

ひとつは、病気を治す面白さです。

やりがいである飼い主の笑顔をみるためにも、試行錯誤をしながら治療を行いその結果として動物が元気になる。

この過程に獣医師としての医療行為の面白さがあります。

もうひとつは、つねに同じではない毎日があることです。

たとえ同じ病気であっても、その動物ごとに細かな症状も異なりますし、治療に対する反応も変わってきます。

その違いが難しさの原因でもありますが、それゆえに常に試行錯誤していく面白さがあるのです。

まとめ

動物病院における獣医師の役割について今回はご紹介してきました。

動物病院の裏側の面、なかなか覗けない部分で獣医師がどのように仕事をしているのかを少しでも分かっていただけたらと思います。

動物病院は小さな企業であることが多いため、獣医師も獣医師としての仕事以外の多くのいわゆる雑務と呼ばれる作業をこなしています。

しかしながら、それらの雑務も、動物の状態を把握することには欠かせなかったり、飼い主の不安を取り除くために必要だったりと、無駄なことは一つもありません。

今後、動物病院を訪れる機会がある際は、そのような視点で獣医師をみてみるのも面白いかもしれません。

また、獣医師という仕事に興味のある方の参考になれば幸いです。


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