地方公務員として働くメリット11選。私が感じた良いところをまとめました
安定している、終身雇用制である、といった点で話題となる公務員の中でも、地方の自治体を支える地方公務員。
時には税金泥棒と揶揄されてしまい、ストレスを感じる方も多くいる仕事ではあります。
その地方公務員の仕事内容はどのようなものであるのか。
また、地方公務員と言えども多くの人間が存在しますが、どんな職種があるのか。
今回は地方公務員の仕事内容や向いている人の特徴、キャリアやメリットについて紹介していきたいと思います。
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目次
閉じる地方公務員の仕事は大きく3つの役割に分けられる
行政職
一般企業における事務職にあたる仕事です。
行政職の採用数は地方公務員の採用の割合として最も多く、それと同時に倍率の高い職種と言えます。
行政職の仕事は多岐にわたっており、様々な部局の様々な課に配属されます。
どのような部署にも総務という仕事が存在するため、行政職の場合はこの総務の仕事であったり人事の仕事であったりを担当することになります。
また、それだけでなく様々な税金の徴収であったり、経理や庶務としての仕事をしたり、複数の許認可事務を担うなど、非常に幅広い仕事が用意されているのが行政職の特徴です。
技術職
特に理系専攻となる建築、土木、農学といった専門的な学問を学んだ人が選ぶ仕事がこちらの技術職になります。
各職種ごとに異なる専門的な業務が用意されており、その分行政職とは異なり配属先が限定的になる特徴があります。
行政職がいわゆるジェネラリストであるならば、技術職はそれぞれの専門分野におけるスペシャリストになります。
また、技術職の場合は各自治体が所持する試験研究機関のような場所での業務を行います。
必要に応じて民間や大学等の研究機関に学びに行った上で、それらを地域に還元する役割も担うことになります。
資格免許職
国家資格をはじめとした各資格を有することが大前提となる職種が、この資格免許職です。
薬剤師、獣医師、看護師、保健師などの資格免許職が存在します。
これらの仕事は技術職と同様に、配属先は限定的になります。
また、各資格がないとすることができない仕事であるため、各分野のスペシャリストとして仕事をすることになります。
行政職のおおまかな2つの業務
市役所の場合
防災や街づくりといった地域の安全や発展を担う業務、戸籍や住民票を管理しその発行を行う業務、様々な社会的弱者に対しての福祉対策や健康保険、年金の取り扱い、健康診断や予防接種のような衛生管理業務などがメインとなります。
例えば、皆さんが必要に応じて受け取りに行くことになる住民票の発行や引っ越しの際に行う転出・転入届の申請受付を仕事とする、いわゆる窓口対応業務を行っている人が地方公務員のうちの行政職員になります。
また市役所内での人事管理であったり経理管理であったり、市役所を組織として運営していく中で欠かせない業務を担うことにもなります。
では、市役所における行政職員が担う仕事を具体的に紹介していきたいと思います。
例:観光課の場合
その自治体を訪れる観光客の獲得を目的に、自治体のアピールであったり新たな観光資源の発掘であったりを業務とするのが観光課です。
今流行りのゆるキャラを使ったイベントの発案や、スケジュール管理なども行ったりします。
観光課の職員は、必要に応じて土日に出勤したり早朝や夜間の勤務になることもあり、変則的なタイムスケジュールになることもあります。
例:市民課の場合
市役所で直接市民と接することの多いのが、この市民課です。
戸籍や住民票の発行、婚姻届などもこちらの担当になります。
基本的には市役所に来庁する市民と直接対応する窓口対応業務がメインになりますが、その他に電話やメールでの問い合わせにも対応しなくてはなりません。
また、業務の内容はその人の生活にかなり密着したものになり、少しの過ちが市民に与える影響が大きく、簡単なように見えて責任の重い仕事になります。
各都道府県の場合
政策立案のような社会政治的な業務、様々な情報を都道府県民に広報する業務(県政の案内など)、産業・観光・農業等の振興に関する業務、雇用対策に関する業務、保健福祉サービスなどの幅広い業務を行うことになります。
都道府県の場合は、県民に対して直接対応する業務や県政に関する業務を担うことになります。
例えば、自動車税を始めとする各種税金の徴税も行政職員が担当する仕事になります。
滞納が続く場合差し押さえを実行するのもこの行政職員です。
例:徴税課の場合
自動車税のような都道府県民税を対象として、税の徴収を行います。
滞納が続く場合には滞納者に連絡を取り、税金を払うように催促をしていきます。
しかしながら、それでも税金が支払われないケースでは差し押さえを実行しなくてはなりません。
滞納者が預金口座に残高がある場合、残高から必要な税金分を徴収することが可能です。
また、実際に自宅を訪問し、物品に対する差し押さえを実行しなくてはならないこともあります。
そのため、お金を徴収されることで泣き崩れる人や暴言を吐く人、暴力に訴える人が出てくることもあり、この業務は精神的に負担が大きい仕事でもあります。
例:人事課の場合
各自治体には必ず人事課が存在します。
特に都道府県の場合、母体が大きくそこで働く地方公務員の人数も非常に多くなります。
適正な人事評価のもと個人の希望や適性を考慮し、それぞれの部署に欠員が出ないように上手く異動を考え実施するのが人事の仕事です。
また、採用試験を実施し、新たな地方公務員を採用する際も人事課の果たす役割が大きくなります。
これらの業務内容は、都道府県民に対してではなく地方公務員に対しての業務になりますが、多くの人員を適正に動かしていくことは、自治体にとって大切な業務となります。
そのため、人事課は特に年度末にかけて非常に忙しくなります。
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技術職の各種業務
技術職として採用された後は各専門分野におけるスペシャリストとして仕事を行うことになります。
ここでは一例を紹介したいと思います。
建築職の場合
都市計画を担う業務や、各自治体の公共施設の維持管理をする業務などを行います。
大学等で建築学を専攻した人が主に希望する職種になります。
各自治体には公共の施設が必ずあります。
県庁や市役所、公営の図書館であったり、公園なども含まれます。
これらを維持管理したり安全管理していくのが、建築職の役割になります。
土木職の場合
建築職と同様に都市計画を担う業務であったり、道路や河川の整備及び維持管理をする業務などを行います。
例えば県道を増設したり、もしくは綺麗に舗装し直したりを計画し、民間会社に工事を発注するのが業務になります。
また、河川の氾濫を防ぐために堤防を築いたり、安全管理のために啓発活動を行ったりします。
農学職の場合
農業振興であったり、農業発展のための研究業務であったりの仕事を担います。
日本全体として現在一次産業である農業は衰退の傾向にあり、高齢化も進んでいます。
そんな農業の現状について調査し、若者の就農を支援する事業を計画したり、地域の特産物を新たに研究開発して農業そのものだけでなく町おこしをしていくような業務をします。
また、単純な農業だけでなく、少しずつ話題になっているジビエの活用をするなど幅広い仕事を行います。
資格免許職の様々な業務
資格免許職も、技術職同様に各方面のスペシャリストとして採用され働くことになります。
資格が必要なため、技術職以上に少数で構成されていることが多いです。
医師の場合
公衆衛生行政を担う業務を行います。
特に、医師の場合、各地に設置された保健所の保健所長となります。
保健所長は、保健所の運営に関わる全ての業務を把握しなくてはなりません。
各医療機関の衛生指導、薬物管理、母子健康の指導、難病に苦しむ人への支援、HIVの検査や動物の引き取り処分などまで、非常に幅広い業務が保健所では行われています。
それらの業務を統括するトップとして、公衆衛生の維持向上を図ります。
保健師の場合
保健師は地域住民の保健指導や健康管理が主な仕事となります。
保健師の仕事には、精神疾患の方を相手にしたり、母子健康の発展のために働くことも含まれます。
また、特定の難病に指定されている病気に苦しむ人たちに対して支援事業を行います。
各地域にある医療機関を定期的に監視して、医療行為に問題がないかや病院の衛生管理に問題がないかについて指導していく仕事も行います。
エイズや麻疹といった感染症に関するエキスパートでもあるため、感染症の広がりがないかや、パンデミックの発生時に対しての緊急対応などを実施します。
薬剤師の場合
麻薬の取締、薬局の開設許可、飲食店の営業許可や衛生指導のような幅広い業務に携わることになります。
また環境衛生として、理美容所や公衆浴場の衛生管理指導であったり、食品を取り扱う飲食店やスーパー、コンビニの衛生指導も行います。
例えば食中毒が飲食店で発生した時に、飲食店にかけつけ衛生指導をすると共に、食中毒の原因調査をしたりするのも、薬剤師が担う業務の一つになります。
地方公務員の良いところ
やりがいを感じるポイント
地方公務員の場合、業務を実行する中で利益を追求することはあまりありません。
結果としてその業務自体が赤字になろうとも、その地域に住む人達にとってプラスになることであれば行って良い場合もあります。
ですので、単純にお金のためではなく、本当に人のためになる仕事をすることができます。
もちろんその人の信条によるところも大きいのは事実ですが、お金儲けではなく、誰かの役に立てることにやりがいを感じられるでしょう。
決して直接的に感謝されるような仕事ではないかもしれません。
地方公務員の業務の多くは、存在していた当たり前を維持することが目的です。
ですので、当たり前であるが故に感謝を感じる人が少なく、お礼を言われる場面は少ないかと思われます。
しかしながら、縁の下の力持ちとして、目にははっきり見えなくとも、誰かがやらなくてはならない仕事が地方公務員の仕事です。
その使命感に燃える人には、非常にやりがいのある仕事と言えるでしょう。
地方公務員のやりがいは、こちらの記事も参考に!
面白いポイント
より便利な都市を作るにはどうしたら良いか、より多くの人が幸せに生きるためには何ができるのか、そういった大きなテーマを考えることができるのも地方公務員の仕事の特徴です。
特に、自分の生活に欠かせないものを支える業務が多いのもポイントです。
ですので、例えば上下水道を管理する部局で仕事をすれば、水一滴を供給するのにどういったことが必要であるかを学ぶことができます。
その仕事の大切さを改めて知ることができ、現状を維持することの難しさや複雑さも学べるでしょう。
日常生活をただ送るだけでは気づくことのできなかったことに出会える可能性もあります。
また、地方公務員の多くは2年〜3年毎に異動があります。
そのため、幅広い業務を経験することが可能です。
技術職であっても、その範囲内で多岐にわたる業務が用意されています。
そのため、配属先の異動があるたびに新鮮な気持ちになることができ、これが地方公務員の面白いポイントであると言えます。
地方公務員の仕事はどんな人に向いている?
ライフワークバランスを大切にしたい人
地方公務員の中には、残業を毎日行っていたり、休日出勤を経験したりする人もいます。
しかし、地方公務員は有給休暇の取得がしやすかったり産休育休制度が充実していたりと、生活がし易く福利厚生が充実しています。
ですので、仕事中心の生活ではなく、休日や余暇を充実させたいと考えている人にはオススメできる仕事と言えます。
変化を受け入れられる人
地方公務員の仕事は維持管理が多く、今ある「当たり前」を支えていく仕事です。
そのため、常に変化や革新を求める人には向いていないかもしれませんが、一方で変わらないことを好む人には向いていると言えます。
しかしながら昨今の現状では、地方公務員にも新しい時代にしっかりと追従していくことが求められるようになってきました。
そのため、決して変化することを嫌うような意固地な人には向いていないと言えます。
大切なのは、現状を維持しながら変化を受け入れる余裕を持つことになります。
そのため、安定を好みながらも柔軟な対応ができる人は、地方公務員に向いていると言えるでしょう。
コツコツと真面目に取り組む人
地方公務員の仕事は決して面白いものばかりではありません。
いわゆるルーチンワークと言われる画一化された業務も数多く存在します。
そのような業務でもしっかりと真面目に取り組む事ができる人は、地方公務員に向いていると言えるでしょう。
柔軟な考え方のできる人
地方公務員の仕事はルールや規範を大切にする仕事です。
あくまでも法に則って仕事を行うため、場合によっては四角四面な対応を取ってしまうケースがあります。
また、時代の変化にもついていく必要もあります。
接する各自治体に住む人たちは十人十色、千差万別の考え方を持つ人達です。
ですので、こういった多くの多様性に対して柔軟に対応できる人は地方公務員に向いていると言えるでしょう。
また、柔軟な対応は2年〜3年ごとにある異動の際にも役立ちます。
異動した先で全く違う仕事をするのが地方公務員の仕事の特徴ですので、柔軟に対応できる人はこの異動も上手く受け入れることができるでしょう。
接客が得意な人
新人の内は、窓口業務を命ぜられることが多いです。
住民に合わせた言葉遣い(時には方言を使用することも)、気配りができることが必須条件でしょう。
また、役所にはややこしい行政言葉で書かれた制度が沢山ありますので、それを解釈し分かり易い言葉で説明できる能力も必要です。
NOと言える人
お客様が神様である一般企業であれば、お客様の要求に答えるため努力をしますが、公務員の場合一番大事なのは法令に基づいて業務をすること、です。
住民の方から要望があり、それが頑張ればできそうなことであっても、法律に定められていないことに関しては「できかねます」と答えなければなりません。
これは簡単そうに見えて結構難しいことです。
NOと言える勇気がある方は公務員向きです。
物事を客観視できる人
NOと言える人が向いていると前述しましたが、ただNOと答えるだけでは役所の評価も自分の評価も落ちるばかりです。
要望を客観視し、数多の法令の中からできることを探し提案する必要があります。
住民の方の心理に寄り添いすぎると、NOと言いづらくなってしまいます。
だから、客観視できることが大事です。
マルチタスクができる人
特に小さな自治体になると、一人の職員が多数の仕事を受け持つことになります。
全てを自分で管理しながら並行して進めていくためには、マルチタスクの能力が重要です。
普段から練習しましょう。
地方公務員で働くメリットとは?
カレンダー通りに休みがもらえる
イベント等がない限り、カレンダー通りに土日祝日をお休みすることができます。
また、やむ負えず休日出勤した場合も、必ず別の日に振替休日を取ることができます。
忙しすぎて休む暇がない時期の場合、休みをお金に換算し請求することも可能です。
夏休み、年末年始の休暇も、他の企業と比べると比較的取りやすい環境です。
クビになりにくい
飲酒運転等法律に反する行いをした場合以外は、基本的にクビになることはありません。
ミスをして上司に呼び出され責任をとらされる、なんてこともありませんので、ミスを恐れずにのびのびと仕事をすることができます。
有給が多い
一般企業よりもらえる有給の日数が多く、年間で20日取得することができます。
また、有給を消化しきれない場合、次年度に引き継ぐこともできます。
転勤が少ない
地方公務員は転勤が少ないです。
県庁や姉妹都市に出向し、転居を伴う転勤をすることが稀にありますが、基本的にその地域に根を下ろし生活することができます。
そのことから、若い内にマイホームを持つ職員も多くいます。
ローン審査に通りやすい
公務員は不況に強く安定した収入が得られるという世間一般のイメージが確立しているため、車や家を買う際に銀行のローン審査に通りやすいです。
大きな買い物をする予定がある方にはかなり魅力的です。
また、銀行によっては公務員であれば利率が低くなるローンもあります。
婚活に有利
前述した通り「安定した職業」というイメージが強い公務員ですので、結婚相手には最適です。
結婚したい職業ランキングには、男女共に必ず上位にランクインします。
地方公務員で仕事をするために活かせる、今までの経験は?
Word、Excel等のオフィスソフトのデータ入力
アルバイト等でパソコンを使ってのデータ入力をしたことがある方は、その能力をしっかり活かすことができます。
県に報告する書類は基本的にExcelで作成し、鏡文等はWordで作成しますので、この二つのソフトが使えるかどうかでお仕事の進度が違ってきます。
地域行事への参加
自治体の行事には大体その地域の行政が関わっています。
参加することで職員の仕事を間近で見ることができますし、職員や地域住民に顔を覚えてもらうことで実際に公務員として働き始めた時に上手く地域に溶け込むことができ、参加したことがない職員に比べると明らかに働きやすい環境をつくることができます。
小さい自治体であればあるほど、行事への参加が重要となります。
各種ボランティア
公務員は、その地域の住民にとってメリットとなることは何なのか絶えず考えていくお仕事です。
ボランティアに参加することは、人に対して何をすることで喜んでもらえるか考えるヒントになると思います。
積極的に参加し、自分の引き出しを増やしていきましょう。
スポーツ
地方公務員は主にデスクワークなので、体力をつけるスポーツは関係ないのではないか、と思われがちです。
体力はあるに越したことはありませんが、重要なのはスポーツによって培われる協調性です。
職員全員が同じ方向を向くことによって、自治体のより良い未来は形成されていきます。
公務員は和を乱すことは絶対厳禁。
よって、採用面接でも、部活動に熱心に取り組んだかどうか、継続して取り組むことはできたのかというところは、面接官の関心が集まるところです。
また、自治体によっては生涯スポーツに力を入れていることから、スポーツ経験があるかどうかを尋ねられる場合もありますので、スポーツはしておくと良いですよ。
その後のキャリアについて
地方公務員で仕事をした後のキャリアアップの道は?
基本的に公務員は永久就職が多く、転職して別の仕事に、という人は少ないです。
大多数は主事→参事→係長→課長補佐→課長→部長といったように、勤続年数によってキャリアアップしていきます。
自治体によっては昇級試験があります。
しかし転職の際も、公務員をしていたという実績は採用枠の少ない公務員試験を突破したということに繋がるので、重宝されるでしょう。
他の仕事にもこの経験を活かせる?
オフィス関連のソフトを使いこなして仕事をさばいていくので、行政以外の事務職でも通用します。
また、行政と連携を図っていきたいと考えている企業もあるので、そういった企業に転職する際には行政と企業のはし渡しができる存在として重宝されます。
更に、行政は一般企業とは違ったものの見方をする必要がありますので、一般企業でアイデア出し等をする際は、他人とは一風変わったアイデアを提案できるはずです。
まとめ
地方公務員の仕事が非常に幅広いものであることに加え、一言で地方公務員と言っても様々な職種があることが理解していただけたかと思います。
多くの幅広い業務に対して柔軟に対応していくことが地方公務員には求められています。
地方公務員の仕事内容をよく理解し、その上で地方公務員を目指していくことができれば、実際に地方公務員として仕事に当たる際にプラス面に働くでしょう。
地方公務員を目指す方は、こちらの記事を参考に!
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