
安定というキーワードで注目されている地方公務員。
親が子についてほしい職業でも上位にくる昨今です。
では、実際に地方公務員になるには、どのようにすればいいのでしょうか。
地方公務員になるための流れと、必要なことや、就職後のこと、さらには地方公務員の転職事情についてまで、幅広くご紹介します。
地方公務員になるには?
地方公務員には、都道府県に奉仕するものと、市町村に奉仕するものとの、大きく2つに分けることができます。
どちらの場合でも、地方公務員になるためには試験を受けて合格しなくてはなりません。
多くの自治体では、毎年公務員試験を実施しており、一次試験としてが筆記試験が行われ、二次試験として小論文や面接が行われます。
場合によっては三次試験まで実施している自治体も存在します。
これらすべての試験を合格してようやく晴れて地方公務員になることができます。
公務員試験の多くは5〜6月に一次試験が行われ、そのひと月後くらいに二次試験が実施されます。
多くの自治体では試験日が同じであるため、複数の自治体を併願で受験することは難しいかもしれませんが、試験日を他の自治体とずらしているところがないわけではありません。
少しでも採用のチャンスを広げたい人は、全国の色んな自治体の採用情報をチェックしておきましょう。
基本的には各自治体のホームページに春頃になると採用情報が掲載されますので、そちらをチェックしていきましょう。
地方公務員になるために勉強しておくべきこと
公務員試験は各自治体が個別に試験を実施しており、詳細は各自治体により異なってきます。
しかし、多くの自治体ではまず一次試験として筆記試験が設けられています。
この筆記試験の対策として、一般教養の試験対策が必要になります。
一般教養試験では、文章理解(英語や現代文)、時事、社会科学、自然科学(物理、化学、生物、地学)、数的処理(数的推理、判断推理、空間把握、資料解釈)、人文科学(日本史、世界史、地理、思想)と、幅広い内容での問題が問われます。
また、直近の内容を含めて時事問題も問われますので、こちらも同じく勉強しておく必要があります。
その後、二次試験としての面接対策だけでなく、いろんな作文の練習(小論文の練習)を行っておきましょう。
公務員試験は一般企業の採用試験とは少し異なる点が多いのと、採用が決定される時期が遅くなりがちなのが特徴です。
試験を受ける際に一般企業と併願される方は多いと思いますが、試験の違いをしっかり理解しておくことは重要です。
必要に応じて公務員予備校に通うなど、対策を講じておくべきです。
というのも、公務員人気は非常に高く、倍率も10倍を越えてきます。
独学での対応も可能ですが、心配な人は予備校に通うことをおすすめします。
持っておくべき資格とは?
基本的に、行政職と言われる事務職や、土木、畜産といった技術職の場合資格は必要ありません。
一方で、資格免許職というものが存在し、これに受かるためにはその資格の取得が大前提となります。
この資格免許職ですが、医師、看護師、保健師、薬剤師、獣医師、管理栄養士、栄養士、学校栄養士、幼稚園教諭、保育士、教員、司書、社会福祉士、学芸員、臨床心理士、精神保健福祉士、衛生監視員、助産師、作業療法士、理学療法士、臨床検査技師など多くの資格免許職が存在します。
例えば、保健師の場合は国家試験を受けて保健師の資格を取得した上で、さらに各自治体の実施する公務員試験を受けて合格してようやく地方公務員となることができます。
行政職や技術職では、特別な資格は必要ありませんが、試験に合格するためには資格を持っておくと有利になると考えられます。
外国語に関する資格を持っている方はひとつの強みになるでしょう。
今の日本には多くの外国人が訪れています。
実際に移住する方も決して少なくはありません。
そのような方々と接していく時に外国ができるということは強みになります。
もし、まだ試験までに時間があるようでしたら英検やTOEICなどを受けてみるのも手です。
地方公務員の就職先や募集状況は?
地方公務員の就職先は各都道府県もしくは各市町村になります。
応募状況は各市町村により毎年異なります。
必要に応じて採用数は増減するため、毎年同じ数ではないことは抑えておきましょう。
技術職や資格免許職の場合は、通常5〜6月ごろに実施される試験に加えて、採用数が必要数に満たない場合、二次募集が行われるケースがあります。
例えば、東京都では毎年5月に試験が実施されており大学卒程度の行政職の募集は、2018年度で約320人となっています。
地方公務員の主な就職先
地方公務員は、各都道府県もしくは各市町村に奉仕する仕事です。
その後、採用された自治体の職員として、様々な配属先を2〜3年毎に異動していくことになります。
県庁や市役所などの本課での勤務

各自治体の大元となるのが県庁や市役所等になります。
地方公務員の多くはここで働くことになります。
数多くの出先機関からの書類や報告をまとめたり、他の自治体との連携をとったりします。
出先機関での勤務
自治体の持つ各出先機関での勤務があります。
地方名+総合庁舎などの名前の建物内で、さらに細分化された地域の統括を行います。
本課では役所間での業務がメインになりますが、出先機関では直接都道府県民や市町村民との交流のある業務内容が多くなります。
地方公務員の働き口はどの程度あるの?
各自治体で毎年募集がありますが、同時に年齢制限が設けられていることがほとんどです。
出身地でなければ受からないということもありませんので、興味のある自治体を受けることも可能です。
地方公務員の転職事情
公務員で転職を行う方は珍しいといえますがゼロではありません。
多いケースとしては、地方公務員の方が、別の自治体を受験するケースがあります。
例えばとある県庁で勤務されていた方が、別の市役所勤務を希望して転職するということがあります。
この場合は人によりますが、行政職であった方が再度行政職を志望するケースや、技術職で働いていた人が行政職を志望するケースなどいろんなパターンがあります。
技術職は理系専攻の専門分野ですが、大卒資格があるため行政職の志望も可能であるからです。
また、さらに少なくはなりますが、地方公務員を経て民間企業への転職をしたり、大学での講師職等に就くケースもあります。
一般的に、地方公務員の業務内容は民間企業へ活かせるケースが少ないため、このパターンでの転職は困難になりがちです。
逆に、民間企業を経験した方が地方公務員になるケースは意外と多くあります。
経験した業務により、民間企業での経験も加算され、採用された時点での給与がプラスに働いたり、役職が上がったりすることがあります。
今の地方公務員は民間感覚を大事にすることを求められているため、一定の年数が経つと民間企業への派遣研修を実施している自治体もあるくらいです。
そのため、民間経験のある人はマイナスにはならず、むしろ多様性を大切にするためうまくアピールすれば採用の可能性が上がるかもしれません。
地方公務員の平均給与はどれくらい?
各自治体により多少の差はありますが、初任給で見ると、大卒でだいたい約18万円前後が基本給となり、これに地域手当など様々な手当が加算されていくことになります。
月額給与はだいたい20万円前後になることが多いです。
また、地方公務員の職員の平均年齢は42歳程度になりますが、この場合の平均給与が月額32万円前後です。
地方公務員の将来性
発展性のある業務内容ではありませんが、自治体の運営はそこに人がいて住み続ける限り続くものになります。
そういう意味では公務員の仕事はやはり「安定」のキーワードを持つことになります。
将来、もし景気が明るくなったとしても給与にあまり反映されることはないですが、今の日本では将来的に景気が大きく回復する可能性は低いと考える方が良いでしょう。
そのため、現状が維持できるという点では、ある意味地方公務員は将来性の高い仕事と言いかえることもできます。
年功序列+定年年齢の延長

公務員では仕事を続ければ続けるほど、少額ではありますが確実に給与が上がります。
よほど倫理違反でも行わない限り、それは保証されています。
また、人口減少が問題視されている昨今では、定年の年齢を60歳から延長する方針になっており、より長く働くことが可能と考えられています。
倒産はしない
民間企業と違う点ですが、どれだけ赤字運営であっても倒産ということが起きないのが地方公務員の特徴です。
また、それと同時に赤字運営が原因でのリストラ(クビ)もありません。
地方公務員に向いている人
では、地方公務員に向いている人はどのような人なのでしょうか。
地方公務員の仕事は特殊なものではありませんが、税金を扱う以上厳しい目で見られる仕事でもあります。
そのような仕事を任せられる、責任をもって請け負える人が求められています。
ルールや規範に重きを置ける人
地方公務員の仕事は法律や条例を遵守しなくてはなりません。
そのため、日頃から自分を律することができ、決められたルールや倫理規範のようなものをきっちり守ることができる人が求められています。
また、それらのルールが大切であることをしっかりと認識していることが大切になります。
コツコツと真面目に続けられる人
地方公務員の仕事は決して華やかなものではないかもしれません。
どちらかというと、その地域で生きる人達を下から支えていく、いわゆる縁の下の力持ちとなるような存在です。
その為、一見地味と思えることでも、コツコツ継続できる人が地方公務員に向いています。
広い視野を持つことができる人
地方公務員の多くは、いろんな業務を行わないといけません。
スペシャリストではなくジェネラリストであることが求められています。
また、異動のたびに新しいことを受け入れなくてはなりません。
また、接する人々も千差万別です。
色んな考え方をされており、民間企業のようにターゲット層の存在する仕事ではありません。
そのため、視野が広く柔軟な対応ができる人が向いています。
ストレス耐性のある人
地方公務員の多くは、公務員を無条件に嫌う人からの嫌がらせやクレームを受けることになります。
「公務員のくせに」なんていうフレーズを聞いたことの有る地方公務員の方は多くいることでしょう。
こういったクレームや仕事量の多さに対して、やはり精神的に辛くなってしまいうつ病になってしまう方も決して少なくはありません。
ですので、気分転換をうまくできる人やストレスとの向き合い方をよく知っている方は、公務員になった後もうまく仕事を続けていけるでしょう。
経験者が語る!できる地方公務員はこんな人
実際の地方公務員で、仕事のできる人とはどんな人なのでしょうか。
また、どのような人が尊敬されていたり重宝されていたりするのでしょうか。
それについて解説していきたいと思います。
誰にでも平等に対応することができる人
地方公務員の仕事はルールに則って行わければなりません。
そのため、場合によってはできないこともあるでしょう。
そのようなときに、はっきりとできないことを説明できる人は、その他の対応もうまくできる人です。
老若男女どのような方にも平等であることが地方公務員の倫理ですが、これをきっちりと貫ける人は少ないかもしれません。
柔軟な考え方ができる人
ルールや規範を守ると言っても、頭が固くなって視野が狭くなってはいい仕事ができません。
困難に直面した時に、ルールをもう一度見つめ直し、その上で地方公務員として何ができるのかを考えることのできる、いわゆる頭の柔らかい人は、様々な仕事や困難な仕事にも対応することができる人です。
そのためそういう人は自然と昇格も早くなりますし、部下からも信頼を得ることができます。
まとめ
今回は地方公務員になるための流れと、地方公務員として働くことの特徴などについて紹介しました。
地方公務員は採用後2〜3年毎に転勤があるため、幅広い業務を経験することができます。
一方で、一度公務員となると民間など他企業や他業種への転職は困難になる傾向もあります。
地方公務員を仕事にしようと考えられている方は、ぜひ職務内容や自身が受けたいと思う自治体のことについてよく知っておいてほしいと思います。
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