街にあふれるポスター、チラシ、カタログやパンフレット。

こうした暮らしに身近な広告物を作るのが広告制作の仕事です。

今回はその仕事内容や、求人の現状、おすすめの求人のポイントについて、16年間にわたり広告制作に携わっている現役コピーライターの筆者が詳しく解説します。

すでに広告業界を目指している方も、まだ広告制作にピンとこないという方も、ぜひご一読いだだき、今後のキャリアの参考にして下さい。

広告制作のおおまかな仕事内容

おおまかな仕事内容

広告制作の仕事では、広告の文言を制作するコピーライター、そしてビジュアルを制作するデザイナー、さらに仕事を統括するディレクターなど各分野のプロが協働することで、ポスター、フライヤー、チラシ、カタログ、パンフレットなどの広告物を制作します。

クライアントとなる一般企業からの依頼に対してアイデアを出し合い、パソコン上で形にし、クライアントの了解を得て、広告物を印刷する印刷会社に納品するまでが、主な仕事となります。

広告制作はどういう役割を求められる?

広告が担う役割は、広告する商品やサービスをより多くの人に知ってもらい、より多く購入してもらうことです。

つまり、販売促進の一環を担っています。

広告物は、クライアントとなる一般企業、そして出版社や新聞社などのメディア、広告をマネージメントする広告代理店、そして広告物を実際に作る広告制作会社、そして広告物を印刷する印刷会社、こうした様々な業種が連携することで初めて世に出ることができます。

その連携において、中核をなすのが広告制作の仕事です。

いわば実働部隊といったところで、クリエイティブのプロとして柔軟な発想力やフットワークの軽さが求められます。

広告制作求人にはどんな種類があるの?

広告制作の求人で多いのは広告制作会社による募集ですが、他にも広告代理店や印刷会社による募集もあります。

幅広い選択肢がありますので、どんな職場で働きたいか、ある程度見当をつけてから求人を探すのがおすすめです。

広告制作求人の募集でよくある施設や事業形態のパターン

広告制作会社やデザイン事務所のスタッフ

広告制作の求人で多いのは、広告制作会社及びデザイン事務所による募集です。

広告制作会社ではコピーライター、デザイナー、ディレクター、イラストレーターなど広告に関する各分野のプロが協働して、チラシやポスターなどの紙媒体を中心とした広告物を制作します。

一方、デザイン事務所というのは、社員の多くはデザイナーであり、コピーライターはいないか少数です。

仕事内容も紙媒体だけではなく、より幅広いデザインを手掛けています。

例えば化粧品やお菓子のパッケージデザインであったり、近年ではホームページのデザインなどWeb媒体を手掛ける会社も増えています。

ただ実際のところ、広告制作会社とデザイン事務所の線引きは明確ではなく、それぞれの会社の得意分野が異なるだけに過ぎません。

広告代理店の内部スタッフ

広告代理店は一般の企業から紙媒体、Web媒体、そして電波媒体(テレビコマーシャルなど)の広告制作の仕事を受注するのが仕事の中心です。

受注した案件は通常、上述した広告制作会社及びデザイン事務所に実制作を依頼し、広告代理店はマージンを売上とします。

しかし近年では、広告代理店の多くがコピーライターやデザイナーなどの制作スタッフを社員として雇い、社内で広告制作まで行っています。

広告代理店内部の制作スタッフ数はそう多くないため、一般的には狭き門となりますが、広告代理店の内部だけあり、広告業全体のことを詳しく知ることができますし、クライアントに直接会える機会も増えます。

また、テレビコマーシャルなどの華やかな仕事に携わるチャンスも多いので、デザイナーやコピーライターとして名を上げたい人や、ゆくゆくは制作全体を指揮するィレクターになりたいというような人には広告代理店がおすすめです。

大手印刷会社の内部スタッフ

以前は印刷会社と言えば、広告物の印刷のみを請け負うのが一般的でしたが、近年では大手を中心にコピーライターやデザイナーなどの制作スタッフを内部に雇うことで、広告物の制作から印刷まで一貫して請け負う印刷会社が増えました。

よって、広告制作に携ることを目指す方にとっては、就職・転職のチャンスは広がっていると言えます。

外注スタッフ

広告制作会社やデザイン会社では、社内だけで仕事が回らないこともしばしばあります。

そのような時のために、仕事を外注できるスタッフを募集する会社もあります。

今すぐ仕事の発注があることを確約するものではありませんが、在宅で仕事をしたいフリーのデザイナーやコピーライターにとっては、仕事を効率よく受注するための良いチャンスです。

広告制作求人の募集でよくある職種

コピーライター、ライター

コピーライターとはもともと広告物の文言を制作する職種を指します。

ポスターなどに掲載されている短いキャッチコピーから、パンフレットに掲載されている長文の文章まであらゆる文言を制作します。

しかし近年では、雑誌にエッセイ文やインタビュー記事を寄稿するいわゆる「ライター」との線引きが難しく、広告制作の場面でも、取材やインタビューなどライターと同じような仕事をすることがあります。

そのため、広告制作求人でも「コピーライター募集」と記載しているものもあれば「ライター募集」と記載しているものもあります。

実質は呼び方の違いに過ぎないことが多いので、あくまでその会社がどんな仕事をしているかを重視して下さい。

グラフィックデザイナー

広告制作におけるデザイナーというのは、一般的にはグラフィックデザイナーのことを指します。

パソコン上でIllustratorやPhotoshopなどの各種ソフトを使って、ポスターやチラシといった紙媒体をデザインする仕事です。

企画立案、レイアウト、入稿データの制作と、長いスパンで1つの案件を手がけます。

なお、インターネット全盛の近年では、Webページをデザインし、レイアウトや構成などを設計するWebデザイナーを雇用する会社も増えています。

ディレクター

ディレクターは広告制作の過程全体を指揮する役目を担う職種です。

広告制作会社やデザイン会社で実績を積んだデザイナー、もしくはコピーライターがディレクターになることが多いです。

そのためディレクターを募集する求人を見かけたら、中途採用だと思ってほぼ間違いないです。

例外として、広告代理店や印刷会社が新卒を採用し、実務経験なしでディレクターを育てることもあります。

どういう事業形態や職種が良いか決まっていますか?

広告代理店か広告制作会社かなど、その事業形態次第で働き方や給与、待遇が異なります。

この記事も参考に、あらかじめ業界について調べて、どんな形態の会社で働きたいか考えてみましょう。

また少なくとも、自分がデザイナーになりたいか、コピーライターになりたいか等、職種についての希望ははっきりさせておく必要があります。

入社後に職種を変える人もいますが、ごく稀なケースで、容易なことではありません。

広告制作求人でよくある募集内容とは?

給与相場

コピーライターかデザイナーか、またディレクターかにもよりますが、平均的には、新卒及び未経験の場合で月給20万前後からスタート。

賞与や昇給制度については会社により違いが大きく、賞与も会社の業績次第ということもあります。

勤務時間や休日、残業

週5日勤務、1日8時間労働を打ち出しているところが多いようです。

しかし、広告制作の仕事では残業がつきものと考えておいて間違いはありません。

ただし近年は残業規制の傾向が強いので、いかに効率よく、素早く、就業時間内に仕事をこなすか、という観点を持って働く必要があります。

福利厚生

一般的には大手の広告代理店や印刷会社の福利厚生は充実しており、なかには住宅補助や特別休暇制度を設けている会社もあります。

また、小さな広告制作会社でも産休・育休制度を整えている会社もあります。

ひと昔に比べれば、働きやすい環境づくりに取り組む会社が増えているのが現状です。

勤務場所

小さな広告制作会社やデザイン事務所では、社員数が10人にも及ばないこともあり、家族経営のような和気あいあいとした雰囲気で仕事ができる傾向にあります。

数十人をかかえる会社となると、広告制作会社及びデザイン事務所としては中規模と言えます。

いくつかの支社を持つ大規模な会社や、全国主要都市に支社を持つような広告代理店、印刷会社に勤める場合は、転勤を命じられることもあります。

そのため、地元で働くことにこだわる方は、支社を持たない地元密着型の小・中規模の広告制作会社を選ぶことをおすすめします。

逆に、場所にこだわらず色々な経験をして成長したいという方には、大規模の広告制作会社、大手広告代理店や印刷会社をおすすめします。

求められる人物像

アイデアと体力、どちらも必要になる広告制作の仕事。

求められる人材像をいくつか紹介しますので、自分に向いている仕事かどうかを考える参考にしてください。

根気強い

他社に打ち勝つような企画を自分やクライアントが納得いくまで考え、企画が採用された後は、それをパソコンでコツコツと形にするには、根気強さが必要です。

広告物の印刷スケジュールはあらかじめ決められていることが多く、締め切りがあるため、途中で投げやりになることなく完成度の高い作品を仕上げることが評価につながります。

コミュニケーション力が高い

打ち合わせなどで社外の人と顔を合わせることも多く、社内ではチームワークで仕事を進めることが多いので、コミュニケーション力が高いと有利ですし、自分自身も楽しく仕事を進めることができます。

クリエイティブである

商品購入につながるような広告を作るには、ありきたりな型に収まらず、人がハッとするような「新しさ」や「面白さ」、あるいは人の心の琴線に触れるような「深さ」を提供する必要があります。

クライアントに「さすがプロ」と思ってもらえるような、クリエイティブさが求められます。

日ごろから本を読んだり、流行のものを試したりと好奇心旺盛、且つ、研究熱心な人が向いています。

広告制作のおすすめ求人のポイント

未経験者OK

求人の多くが経験者、中途採用を募る中で、稀に未経験者OKの求人もあります。

その求人を見つけたら運が良いと思って前向きに検討しましょう。

未経験者OKということは、新人を一から指導するだけのゆとりがあるか、あるいは新人用の比較的地味で簡単な作業が用意されているということです。

華やかな仕事内容ではない可能性が高いですが、未経験者にとってはとりあえず広告業界に入って勉強するチャンスです。

その会社で基礎的な技術を身に付けて、転職してステップアップするという道も開けます。

福利厚生の充実

何かと多忙な広告制作において、福利厚生が充実していることをアピールしている求人があれば、優良企業である確率が高いです。

休暇や手当が充実しているほど、長く働きやすいので、仕事内容もさることながら、環境を重視したい人は、よく勤務時間や有休日数などを確認して下さい。

自分に合った広告制作の求人の選び方

ここでは広告制作の求人を探す時のポイントをいくつか紹介いたしますので、ご自身にとって、何が仕事上で重要なのか考えながらご一読いただき、実際の求人を見る時の参考にしていただければと思います。

【選び方①】雇用形態から探す

雇用形態はアルバイト、パート、正社員、契約社員のいずれかです。

未経験者の場合、アルバイト・パートから初めて経験を積むのも1つのキャリアプランです。

なお、広告制作会社や広告代理店のなかには、臨時で人手が必要になった時に人材派遣会社に声をかけて人材を紹介してもらい、契約社員として採用することもあるので、広告業に強い人材派遣会社に登録しておくのも1つの方法です。

【選び方②】職種から探す

広告制作における主な職種は、コピーライター(及びライター)、デザイナー(グラフィック/Web)か、ディレクター。

稀にイラストレーターを募集していることもあります。

いずれも未経験者の場合は、どの程度自習で技術を身に付けているか、どれ程やる気があるかをアピールするしかありません。

【選び方③】会社の事業形態から考える

広告制作の求人を出す会社には、大きく分けて、広告制作会社(あるいはデザイン事務所)、広告代理店、印刷会社の3つの形態があります。

実制作の中核(つまり作業)を担うのは広告制作会社です。

広告代理店や印刷会社では、クライアントとなる一般企業と広告制作会社の間をつなぐディレクション(統括)やマネジメント(管理)の役割も担います。

【選び方④】給与や雇用条件から考える

一般的には大手の広告代理店、印刷会社であるほど給与や雇用条件は良くなります。

しかし例えば、大手の広告代理店で契約社員として採用されるか、小さな広告制作会社でも正社員として採用されるか、どちらが良いかはあなたのキャリアプラン次第です。

小さな会社であれば出世して将来社長になることも夢ではありません。

【選び方⑤】エリアから考える

当然ながら人口の多い都市ほど求人も多いですが、就職には有利です。

しかし、地方都市に住んでいる方でも、東京や大阪、福岡などに本社を置く広告代理店や印刷会社の支社が置かれていることも多いので、一度調べてみる価値はあります。

また、地方の方が制作予算は低い傾向にありますが、広告業界では「地方では限られた予算で工夫するため、かえって優れた広告物が生み出されている」とも言われます。

必ずしも高予算=良い仕事ではないということです。

広告制作求人についてよくある疑問

広告制作の仕事にどうやったら就けるの?という疑問を始め、未経験者の方が抱く疑問に答えます。

そもそもどうやったらコピーライターやデザイナーになれるの?

コピーライターやデザイナーになるのに資格や免許は必要ありません。

ただ、いきなり未経験で就職しても即戦力になりにくいので、民間の講座や専門学校に通って基礎技術を身に付けてから就職活動に取り組むケースが多いです。

コピーライター志望の場合、広告関連企業が主催する養成講座に通うのが定番です。

そこでは技術を身に付けるだけではなく、講師である現役コピーライターに出会い、人脈を築くこともできます。

デザイナー志望の場合、多くは専門学校に通って技術を身に付けます。

また、大学進学を考えている方は、コピーライターなら文系学部、デザイナーなら芸術系の学部をおすすめします。

全くの未経験者でもできる?

誰しもが初めは未経験者です。

ですが未経験者なりに面接でアピールできるだけの最低限の技術は必要です。

筆者(コピーライター)の場合、コピーライターを養成する講座に通って、そこで制作した作品を持ち込んで就職しましたが、同僚の中には、スクーリングなしで、まったくの異業種(旅行業界)から未経験で入社した方もいました。

その方の場合、会社が課題を出し、文章力の確かさを確認して採用したようです。

国語の成績や文章を書くのが得意であれば、面接だけでも受けてみる価値はあります。

デザイナーの場合も、未経験者を一から育ててくれる会社も稀にあります。

しかし、パソコンが使える、ソフトが使えるなどの最低限の知識・技術は必要になりますので、自習しておくことをおすすめします。

面接で聞かれることは?

新卒や未経験者であれ経験者であれ、作品を求められることが多いです。

例えば民間の講座や専門学校で作った作品や、個人が趣味で作ったオリジナル作品です。

会社によっては面接時に課題が出されるので、それに対して作品を作って提出します。

面接で会社が判断したいことは、能力の他に、長年続けられるかといった本気度や、社風に合うか、チームワークに必要なコミュニケーション能力が十分あるかなど、特に他の業界と変わりません。

下積みとかありそうなんだけど?

特に下積みというようなものはなく、一般的な企業と同じと考えて良いでしょう。

もちろんいきなり大きな案件を一任されることは稀です。

入社したら先輩の仕事ぶりから仕事の流れを学びながら、仕事の一部をお手伝いしながら、少しずつ自分の仕事を獲得していきます。

しかし、むしろ実力やコミュニケーション力次第でどんどん起用してもらえる世界なので、早い段階から活躍できることもあります。

まとめ

いかがでしたか?

広告制作の仕事についてイメージが少し広がりましたか?

また、求人についての疑問は解消しましたでしょうか?

広告制作の仕事に就くには、まずはインターネットで色々な広告制作会社を調べることから始めることをおすすめします。

そして求人を見つけたら、とにかく業界に飛び込んでみることも検討してみてください。

広告制作の仕事は一度ノウハウを身に付けたら長く続けられる仕事でもあります。

この記事を読んで下さった方のご健闘とキャリアアップを心から願っております。