仲居の仕事に興味のある方は必見です。

会社や同窓会の宴会を取り仕切る仲居の仕事内容をここで詳しくご紹介させていただきます。

誰もが見聞きする職業ではありますが、実際に働く側に立つと、また多くのことが見えてきます。

今回は男の仲居として働いていた私が、実際に仲居業務経験の中で感じたことを、カテゴリを分けてお話ししていきます。

この職業は女性が強い職業でもありますので、男性から見た目線として活用して頂けると幸いです。

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仲居の仕事にはどんなものがあるの?

基本的には、旅館やホテルの規模に業務の種類は依存します。

大規模な旅館・ホテルになれば、仕事は分業化される為に、業務のバリエーションは少なくなる傾向にあります。

逆に小規模な旅館・ホテルになれば、従業員も少なくなる傾向にある為に、1人がカバーする業務範囲が増えます。

しかし、近年は昔ながらのホテル施設は、残り続けながらも、旅館で働く人が減少傾向にあります。

その為に、大規模なホテルでも、従業員の減少が進行し、一人では抱えきれない業務を振られることも珍しくはありません。

そのような時代背景を加味しながら、働く企業を選ぶ必要があります。

主な仕事には、お客様のお出迎えから始まり、宴会場全般の仕事から、お見送りまであります。

次の項目で、それぞれの仕事内容について、もう少し細かく説明していきます。

仲居の大まかな仕事内容

宴会場の設営

宴会の形態は「御膳」か「イステーブル」に分かれます。

事前に予約担当が作成した「予約表」を見ながら、人数や会の目的を確認し、会場を設営していきます。

お客様の人数は、10数名程度のツアーのお客様から300人を超える団体まで様々です。

宴会の規模に応じて、仲居の人数が調整されてアサインされます。

その宴会をまとめる仲居リーダーの指示に従い、動くことが多いので仲居間のコミュニケーションが重要です。

鍋・焼き物・釜飯用の器具設置・固形燃料投入

提供する料理プランによって、宴会で使用する器具が変わります。

料理プランを確認して器具を設置していきます。

置く場所や向きも全て決まっていることが多いので、それも確認しながら設置する必要があります。

誰かの指示に従って設置する場合は、全体をまとめる仲居によって置く場所が違うことが多くあります。

確認しながら進めることが大切です。

固形燃料にはサイズがあります。

サイズによって火が掛かる時間が変化する為、料理によって燃料のサイズも決まっています。

これも事前に確認して、進めていく必要があります。

宴会情報の確認

宴会開始前に幹事さんと打ち合わせを行います。

灰皿の個数の確認や、お鍋に火を付けるタイミング、事前に用意するビール数の確認などを行います。

宴会をスムーズに進めるために必要なことを全て確認します。

また、お客様に誕生日の方が居る場合や、結婚記念日、大学合格記念など、そのような情報を頭に入れておきます。

ちょっとした時にお声を掛ける事で、満足度も向上します。

ほんのちょっとした気遣いの言葉が、相手にとっては大きな印象に繋がったりします。

料理プランとお品書き確認

ご夕食で提供する料理プランのお品書き確認を行います。

その季節の旬の食材やお造りは変動する為、事前に調理場で変更になる料理、お造りで使う魚を確認します。

アレルギー対応、高座椅子などの個別対応

事前情報により、お客様の中にアレルギーを持っている人も多いです。

アレルギーのお客様へは提供する料理が変わる可能性が高いので、事前にお品書きと照らし合わせて確認する必要があります。

私自身は、事前にこちらで席を決めさせて頂いて、アレルギー対応のお客様だけは一人が全て見るという対応を取っていました。

また、足が不自由で高座椅子が欲しいという要望も、基本的には宴会開始前に代表者からヒアリングして対応します。

お客様のお出迎え

大型バスで来るお客様のお出迎えをします。

お客様への館内のご案内、お部屋までのご案内、お部屋のご説明、お茶のご提供などがあります。

今挙げた業務については、ホテルや旅館によってはフロント側がやることも多くあります。

実際にお客様が到着したタイミングで、宴会の打ち合わせを幹事さんか、ツアーの添乗員さんと行います。

「事前に頂いた情報から相違はないか?」

「事前にビール・お茶・ジュースを何本用意するか?」

「日本酒・焼酎もサイドテーブルに出したほうがいい?」

「タバコの灰皿はどの位用意しておくか?」

「料理を出すペースは?」

「出し物にこちらで更に用意するものは?」

このヒアリングの精度が後の作業効率を大きく分けるので、とても大切です。

起こり得ることを全て想定して、事前にヒアリングする力が必要になります。

料理を宴会時間までに付ける

料理を付ける順番と、宴会何分前にどの料理を付けるか等、全て決まっています。

私が働いていた時には、前菜を付け始めるのが宴会開始時間の90分前、お造りを付けるのが15分前などの決まりがありました。

また、料理を置く場所や、お皿の向きまで決まっているので、最初は覚えるまでにとても苦労します。

ちなみに海外から来るお客様は、到着する時間が読めない傾向が強いです。

そのような傾向も頭に入れながら、料理付けを行っていきます。

宴会の対応

宴会開始後は、ドリンクの対応がメインになります。

全体のドリンクの注文が落ち着くまでは、ひたすらドリンクを出すことに専念します。

お客様間で注ぎ合うことが多い為、ドリンクのお酌等の仕事はそこまで多くないです。

ドリンクが落ち着いたら、宴会時間を考慮して、料理を提供していきます。

私が宴会を持っていた時は、「デザートを宴会終了前の20分前に出す。」ところから、逆算して料理を出すタイミングを決めていました。

宴会終了後の片付け

宴会終了後は食器の回収、残飯の片付けを行います。

イステーブルや御膳の片付けは、基本的には朝食も同会場で行うように予定を組む為、片付けは発生しないことが多いです。

朝食対応

基本的には夕食と同じ流れになります。

食器の設置から、料理付け、朝食対応と片付けまでがセットです。

お客様のお見送り

事前に聞いておいた出発予定時間に、大型バスをお見送りします。

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仲居の仕事はどんな人に向いている?

「仲居は体力勝負」

「仲居は物凄く辛そう」

沢山のイメージがあると思いますが、大変であることは間違いないと思います。

しかし、僕自身は過去経験した業務の中では、楽しみながら出来た仕事であると感じます。

ここからは、私の目線で、仲居に向いている人を、まとめていきたいと思います。

これはあくまで一個人の意見なので、多くの情報と比較しながら見て頂けると、とても嬉しいです。

体を動かすことが好きな人

仲居の仕事は体力勝負です。

女性が多い業界ですが、男目線で見ても「物凄く体力的に大変」と言うのが、率直な私の感想です。

ちなみに私は3ヶ月で10キロ痩せました。

しかし、常に座った状態で仕事をすることが苦痛に感じる人には、仲居の仕事に向いていると感じます。

接客が好きな人

仲居はホテルスタッフの中でも、お客様に近い仕事と言えます。

「接客を学びたい」と感じている人にはおすすめの職種です。

時にはお客様からチップを貰ったりすることも多いです。

ちなみに私は夏休みなどの繁忙期にはチップだけで、5000円ほど貰ったこともあります。

自分の考えを恐れずに伝えられる人

仲居には必ず、何十年も旅館で働いている「姉さん」と呼ばれる、ベテランの仲居さんが居ます。

基本的にはその方々の指示に従って動きますが、「それぞれの仲居によって料理の付け方が違う」「新しい料理のプランなので料理付けの仕方が分からない」などの疑問点が作業をしていて、必ず出てきます。

出てきた疑問点を恐れずに聞くことや、返された言葉に対してどう返すかを考える力が、当たり前のようで仲居では大事なことです。

ベテランの仲居は、基本的に全て分かっていることを前提に、話を進めてきます。

不明点を聞くだけで、怒り出したりする人も中には居ます。

しかし、聞かずにやった先には、より怒られる未来しか見えません。

そんな人間関係にも怯まない強い心が必要です。

業務の効率化にこだわれる人

ある程度の業務を覚えてきたら、一通りの作業をどうすれば短く出来るかを、考えながら工夫出来ると宴席もスムーズにまとめられます。

出来たことに満足せずに、「更に効率良く進める為にはどんな情報を聞くべきか?」「手が空いている時間に何をしておけば後工程を短縮出来るか?」そのような形で、より工夫を繰り返して効率化することで、長年働いている仲居の信頼を得る近道になります。

本式着物の着付けを覚えたい人

これは女性限定ではありますが、仲居の仕事をするに辺り、着物の着付けは避けられません。

なので、仲居の仕事をすると、着物の着付けが物凄く早く出来るようになります。

ちなみに、出勤初日に着物の着付けをする人は、着付けをするのに2時間掛かる場合もあるそうです。

それが回数を重ねるごとに、時間が短くなると女性の仲居から聞いたことがあります。

逆に仲居の仕事に向いていない人の特徴は?

次に、仲居の仕事に向いて居ない人の特徴を、いくつか挙げていこうと思います。

実際に経験した私だからこそ、よりリアルな部分をまとめていきます。

周りがほぼ女性という中で仕事が出来ない人

この仕事は女性社会で、男性はかなり少ないです。

その為に、周りが女性という環境の中でも、仕事が出来る人でないと働くことは難しいと感じます。

ちなみに私が感じた感覚ですと、女性同士ですと暗黙的に「同じ宴席はNG」もかなりあります。

私は基本的に中立的な立場に居たので、女性同士の仲居の悪口は結構聞こえて居ました。

仲居を続けられない原因のほとんどは、ここにあると感じて居ます。

そして仲居の姉さん方は男性と女性に対しては対応が大きく違うことも感じます。

女性に対しては強めに聞こえる指示も、男性に対しては柔らかくなったりするのを感じます。

早起きするのが苦手な人

仲居の仕事は基本的に朝が早いです。

朝5時出社というのも少なくありません。

その為、「朝起きるのがとても辛い」という方にはとてもキツく感じると思います。

私自身は、大学時代に新聞配達の仕事を4年していたこともあって、生活リズムが基本は朝型なので、苦しさは感じませんでした。

接客が苦手な人

仲居は宴席で起こり得ること全体の把握と、仲居の間でもコミュニケーションが必要になります。

「人と接する仕事がしたくない」

「お客さんを怒らせた時が怖い」

サービス業でのクレームは切っても切り離せない要素です。

私自身もクレームに直面することがありますが、ホテルや旅館側に原因がない場合でも、謝らないといけない場合もあります。

これはサービス業全般に言えることなので、その部分が受け入れられない人には、難しいと思います。

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仲居の仕事の良いところ

「接客」を学びたい方にはとてもお勧めできる職種です。

カラオケを歌わされたりもするので、仲居の仕事は、レストランのホールに比べても、感覚的にはお客様の距離はかなり近いです。

お客様と会話しながらお仕事をする場面も多いので、言葉の使い方や、相手が求めていることを察する力も身に付けることが出来ます。

やりがいを感じるポイント

「また来年もここで宴会するよ」

「来年もうちの宴会担当してね」と言われると、とても嬉しい気持ちになります。

努力した結果が、お客様の言葉に反映されるので、達成感がとても掴みやすい仕事であると感じます。

面白いポイント

「お酒飲みなよ」と言ってお酌して頂いたり、「細かな部分も対応してくれてありがとう」とチップを貰うことがあります。

仕事ではありながらも、言葉遣いには気を遣いながらも、一緒にその宴席を楽しんだりすることもあります。

「どうすればより良く過ごして貰えるか?」を考えた先の行動が、結果として返ってくることに楽しさを感じます。

仲居の仕事で活かせる、今までの経験

ここでは、仲居の仕事で生かせる経験や技能について、まとめてみました。

「どんなスキルがあれば重宝されるのか」

私の主観ではありますが、いくつかご紹介させて頂きます。

外国語を話すスキル(主に英語・中国語・韓国語)

近年のホテルや旅館を見ると、日本人のお客様は土日などの休みの日に多く予約が入ります。

しかし平日には予約自体が入らない為に、どの旅館・ホテルも海外のツアーのお客様を呼ぶことが増えています。

お客様としては、台湾と韓国の方が多いです。

日本で有名なホテルグループは、海外採用も力を入れ、語学堪能なスタッフを揃えています。

しかし、海外から来るスタッフは、日本独自のお客様の接し方や、おもてなしの常識等を一から覚える必要があります。

その為、日本人で外国語も喋れる人は、物凄く重宝されます。

ひとつの武器として、英語や中国語を勉強しておくと、仲居の仕事でも生かすことが出来ると思います。

飲み屋さんのホール経験がある人

仲居の仕事に近い職業は何かを考えてみると、飲み屋さんのホールは少し近い感覚があります。

会社の飲み会になれば、30人〜50人規模で貸切もあり、ドリンクから料理まで出すのは仲居と一緒です。

そんな意味では、飲み屋のホール経験がある人は、仲居の仕事では少し有利に働くかもしれません。

ホテルや旅館で働いていたけど仲居ではなかった人

例えば、フロントしか経験がなかったとしても、仲居として働いた時に、フロント側がやりやすい動き方を察して行動することが出来ます。

他部署とのコミュニケーションには、とてつもなく大きなストレスを伴います。

しかし、他部署を一度経験しておくと、どんな動きをして欲しいかを読み取ることが出来ます。

仲居としてのスキルは一旦置いておいて、他部署が望んでいる動きを察して出来ることは、とても重要なスキルになります。

その後のキャリアについて

この仕事についた後のキャリアアップの道は?

仲居には、正直なところを言うと、明確なキャリアアップはありません。

例えば旅館やホテルで仲居経験を積んで、より大きなホテルや旅館運営グループにステップアップする方法がベストかと感じます。

他の仕事にもこの経験を活かせる?

結局は持っている仕事に対して、どんな意味付けが出来るのかに活かせるかどうかは依存します。

仲居の仕事をして私が意識したことは、「いかに仕事を効率化出来るか」に時間を割いていました。

周りが当たり前にやっていることを疑い、更に効率的に進める方法を試行錯誤することは、キャリアチェンジ後も生きる力だと思います。

まとめ

いかかでしたでしょうか?

今回は仲居について、私の個人の経験も含めてまとめさせて頂きました。

仲居という職業は、時代とともに旅館のあり方も変わり、絶対的な人数はどんどん減っているのも現実です。

しかし、私は仲居を経験して、相手に自分の考えを伝える力と、効率良くタスクを進めていく力を身につけることが出来ました。

勿論、厳しい業界ではありますが、その分、達成感も大きい仕事です。

仲居という仕事を知りたいと感じている方に、少しでも参考になって貰えると嬉しいです。

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