音響の仕事はどんな人に向いているの?仕事内容や向き不向きについて解説します
音響の仕事といってもその内容はそれぞれ多岐に渡ります。
ミュージシャンのコンサートや演劇の舞台など比較的大きな現場でリアルタイムに仕事を行う場合もありますし、地方のライブハウスや地域のイベントなど比較的小さな現場で行う仕事もあり、活躍するシーンや状況はそれぞれです。
ここでは大まかに音響の仕事に向いている人、向いていない人を実際の現場に照らし合わせた形でご説明させていただきます。
目次
閉じる音響の仕事の大まかな仕事内容は?
音響の仕事とは主に「会場全体に音楽や人の声を流す役割」を担う人のことです。
英語ではPublic Addressと呼ばれ、「公衆伝達」と訳されることもあります。
現場によって「PA」「音響」「マイク担当」「ミキサー担当」など呼ばれ方はそれぞれですが仕事の本質は同じです。
主に裏方の業務となり決して表に出るような仕事ではないですが、音量だけでなく音質を聞き分ける能力が必要となり、特殊な仕事と言えます。
コンサートやライブなどを成功させるには絶対不可欠な仕事で、音響さんの腕次第でそのイベントの良し悪しが決まると言っても過言ではありません。
音響の仕事はどんな人に向いている?
前述したように音響の仕事は現場ごとに規模が違うので、それに応じて求められる能力や人間性も変わってきます。
ここでは代表的な例を挙げて現場ごとに向いている人、向いていない人を紹介します。
コンサート会場での仕事
コンサート会場は比較的規模が大きく、また予算や人員も多くかかっています。
そのため現場は非常にピリピリした雰囲気です。
また音響担当であっても演奏中の音管理だけすればいいというわけではなく、スピーカーやマイクやその他機材などの設営に携わる場合がほとんどです。
向いている人~コンサート会場での仕事~
ある程度重いものを運ぶことが出来る人や、機敏に動くことが出来る人は設営時にスムーズに仕事をこなすことができるでしょう。
またアーティストなどの演奏時には一瞬たりとも気が抜けない状態になるので、集中力が高く、かつ視野の広い人が向いていると言えます。
また、音質管理に関しても高い技術が求められるので、日々勉強を怠らない人が向いています。
不向きな人~コンサート会場での仕事~
体力に自信の無い人、ピリピリした雰囲気の苦手な人、集中力のない人は不向きだと言えます。
また音響担当はチームで仕事をすることが多く、その際は同じ会社の人だけでなく外部の委託業者やフリーランスの人がチームに加わることが多くあります。
そういった人ともうまくコミュニケーションをとる必要があるので協調性のない人もこの仕事には不向きと言えるでしょう。
ライブハウスでの仕事
ライブハウスでは主に出演アーティストの演奏時の音調整を担います。
ライブハウスでは大掛かりなセットを組むこともなく、音響席もライブハウスに既にあるので、設営の仕事をすることはありません。
またプロ・アマチュアを問わず、様々なアーティストと交流を持つことになります。
向いている人~ライブハウスでの仕事~
純粋に音だけを担当することが多いので、力仕事が苦手な人にも向いています。
また、コンサート会場とは違い出演アーティストとの距離が非常に近くなるので、「信頼して任せられる人だ」と思ってもらうことが大事になり、出演者が気持ちよく演奏できる雰囲気作りが出来る能力が必要です。
また、アマチュアのライブでは中学生や高校生の出演者も多く、中には態度の悪い出演者やお客さんの相手もしないといけませんので、対人関係でも冷静に対応できる人が向いています。
不向きな人~ライブハウスの仕事~
出演者が気持ちよく演奏できる場を作ることが大前提ですので、無愛想な人や高圧的な態度をとる人は不向きと言えます。(一昔前はそういったとっつきにくい人達ばかりでしたが、今はかなり変わってきています)
また小さなライブハウスでは音響担当がライブの進行役も兼ねていることも多いので、時間配分が苦手だったり、人前でしゃべることが出来ない人は不向きと言えます。
地域のイベントなどでの仕事
最近増えてきているのが、地域イベントなどでの仕事です。
各地方で地域活性化のために住民参加型のイベントを行っていることがありますよね。
各地でのお祭りやヒーローショーなどもこのカテゴリーに入ります。
会場は大型ショッピングモールや公園、広場など地域の生活に根差した場所になることが多いです。
向いている人~地域のイベントなどでの仕事~
こういった現場ではイベントのプランナーや行政の担当者、地方テレビ局の取材担当など多くの人と関わることになるので、そういった人達にも愛想よく失礼のない対応ができる人が向いています。
またイベント自体の規模が小さいので、ほとんど場合は音響担当は一人で全てを担当することになり、機材トラブルなどにも対処しないといけません。
音質の事だけを勉強するのではなく、機材の取り扱い方なども熟知していなくてはならず、そういう意味では得意・不得意分野を作らずオールラウンダ―的な能力が必要になります。
不向きな人~地域のイベントなどでの仕事~
ほとんどの場合、現場は野外になるので、炎天下、極寒、雪など様々な気象条件に左右されます。
暑い、寒いが苦手な人は避けた方がいいお仕事です。
和やかな雰囲気で行われることが多く、来場者さんに満足してもらうことが第一優先ですので、クオリティ自体はあまり高いものは求められません。
なので、純粋に音響の腕を磨きたいという人にはお勧めできない仕事です。
音響の仕事をするために活かせる、今までの経験は?
一口に音響の仕事といっても求められる能力は複数あります。
純粋な音響技術は日々の勉強と経験でしか養えませんが、他にも意外な経験が役に立つことがあります。
コンサートスタッフ
アルバイトなどでコンサートの運営や設営に携わったことがあれば、現場の雰囲気や仕事のスピード感はある程度わかると思うので音響の仕事をする上では有利に働きます。
バンドや演劇サークルでの活動
出演者と音響という立場の違いはありますが、同じ現場で音響の仕事を間近に見ていたという経験は役に立ちます。
また音楽や演劇は音とは切っても切り離せない活動なので、音響の仕事を始める際にも興味の持ち所や目の付け所が変わってくるでしょう。
趣味でコンサートやライブをよく観戦する
これは単純に「いい音質の音楽」に多く携わっているという意味です。
コンサートやライブではプロの音響担当が細かく音質管理をしているので、そういった場に多く出向いていると自然と耳が鍛えられ「いい音質」の基準がぼんやりながらもわかるようになります。
自分で音を作るときは、まずはそういった自分なりの基準を活かしていけるので、役に立つ経験と言えます。
音響の仕事をするメリットとは?
どんな仕事でもメリットデメリットは必ず存在しますが、ここでは音響の仕事ならではの、他の業種では味わえないメリットを紹介します。
常に音楽と触れ合える
これが理由で音響の仕事を選んだ人もかなり多いのではないでしょうか?
もともとライブやコンサートが好きだったり、自分でバンドをやっていたりする人も多くおり、そもそも純粋に「音楽が好き」という人にとっては常に音楽と触れ合える職業なのでメリットは大きいです。
好きなアーティストやバンドに直に触れ合える
ライブハウスで音響担当をしていると大好きなアーティストがツアーで回って来た、という話はよく聞きます。
自分の憧れの存在と一緒に仕事をする機会がある。
これはほかの職業ではなかなか味わえない感覚でしょう。
ライブで意気投合し打ち上げに参加したという話もたくさんあり、そこで連絡先を交換したりすることもあるようです。
フリーランスでも仕事を受けやすい
大規模なコンサートは別ですが、地域のイベントやちょっとしたライブなどではフリーランスの人が仕事を請け負っていることが多くあります。
この場合は時給〇円ではなく、1現場〇万円という形での報酬になります。
自分の機材を持ち込む場合とすでに用意されている場合があります。
仕事の依頼は地元の音響会社やイベント会社から来る場合がほとんどなので、人脈作りが重要になります。
その後のキャリアについて
この仕事についた後のキャリアアップの道は?
キャリアアップとしてはフリーランスになり多くの現場をこなし、より多くの収入を得ることを考えるか、もしくは有名アーティストの専属スタッフになるかでしょう。
どちらも非常にやりがいのある道です。
他の仕事にもこの経験を活かせる?
正直なところ専門性の強い業種なので、他業種で通用する経験というものはあまり多くはありません。
ただイベント会社では音響が扱える人は重宝されるので、そういった分野では経験が役に立つでしょう。
技術者ではなく開発者になる人も
音響の勉強を追及していくと、既存の機材では自分の目指す音が作れないと感じるようになる人は多いです。
そういった人は、自分の目指す音を完璧に再現するための機材を自分で作ろうとします。
そのため機材メーカーに転職したり、自分で工房を立ち上げたりする人も相当数います。
実際に世の中に出回っている有名機材は、開発者ではなかった人が自分のこだわりのために試行錯誤して作り出し、その後一般に受け入れられたというケースも少なくありません。
音響の仕事をするために覚えなければいけないことは?
音響の仕事の一番大事ことは「きちんと音を出すこと」です。
どれだけ腕が良くても配線が苦手だったり、機材の取り扱いが出来なかったりでは意味がありません。
まずはそれを覚えてから耳を鍛え音響技術を磨きましょう。
配線の構造を理解することは必須
ものすごくざっくり説明すると、音響というのは「音源から出た音をスピーカーで鳴らす仕事」ということになります。
カラオケを思い浮かべるとわかり易いですが、音源(人間の出す声)をスピーカ―から鳴らしていますよね。
厳密には人間→マイク→カラオケ機材→スピーカーとなるわけですが、この音の流れの構造を理解することが音響の仕事の最も重要な能力です。
難しいのは音源からスピーカーへ行く間に様々な機材を経由していることですが、それも各機材の性質や役割を理解すれば、配線は割とスムーズに行えます。
反対にそれがわかっていないときちんと配線を繋いだつもりでも音が出なかったりします。
耳を鍛えるために周波数の勉強もしよう
周波数って聞いたことがあるでしょうか?
〇KHzという単位で表されますが、一般的にはなかなか馴染みのない単位でしょう。
これもざっくりいうと音の高さを表す単位で、周波数が低ければ低音、高ければ高音ということになります。
カラオケで鳴るドゥン、ドゥンというドラムの音などは低い単位の周波数が強調された音になります。
つまり音響の仕事をする際に、自分の作った音が「低音が足りないな」と感じた場合に、どの単位の周波数を強調すればいいかということは知っておかなければならないことです。
このように音質と周波数の関係は必ず勉強しなくてはなりません。
機材の名前など専門用語は必ず覚えよう
ミキサー、モニター、コンデンサーマイク、シールド。
この中でいくつ言葉の意味がわかりますか?
これらは初歩の初歩ですが現場では他にもたくさんの機材の名前が飛び交います。
音響に限らずですが、自分の仕事道具の名前は最低限覚えておきましょう。
まとめ
音響の仕事というの他の業種に比べ専門性が高く、特殊な能力も求められるものです。
また、一般的には裏方の仕事なので、何をする仕事なのかわかりにくいことも多いと思います。
ですがここで紹介したように一口に音響の仕事といっても現場ごとに求められるものは変わってきます。
もし、「音響の仕事に付きたいけど自分に向いている仕事なのかわからない」という人がいればこの記事から現場ごとに求められる能力を分析し、「自分に合っていそうだな」というものを選んでください。
そういった所から少しずつ音響のことを知り、覚えなくてはならないことや勉強すべきことを学び、徐々に知識を付け、スキルアップしていくのがいいでしょう。
体験で働いてみたいという人は、ライブハウスやコンサートスタッフなどのアルバイトに応募するのもおすすめです。
実際に音響の仕事を探すときは、こちらの記事を参考に!