薬剤師を辞めたいと思う4個の理由とその乗り越え方とは?
『薬剤師』という職業を聞いたことはありますか?
職業に『薬』という文字が入っている仕事の一つが薬剤師です。
薬剤師の活躍の場は病院や薬局が主です。
そのため、健康な人では薬剤師という職業があることを知らない人もいるかもしれません。
現在の医療では、薬剤師は縁の下の力持ちのような役割を担っているため、その認知度はあまり高くありません。
そのため、今回は薬剤師正社員についてご紹介していきたいと思います。
薬剤師ってどんな仕事?
薬を飲んだことがありますか?
食事は人間に必要不可欠のため、必ず食べますね。
薬は必要がなければ飲むことはありません。
そのため、一般の人が持っている薬の知識は、人により大きな偏りがあります。
体にどのような影響を及ぼすか分からないものを進んで飲む人はいないでしょう。
では、どのようにその薬の情報を得れば良いのでしょうか。
情報社会と言われている現代では、薬の名前を検索すればある程度の情報を入手することができます。
しかし、その情報があなたに合っている情報かどうかを判断することは難しいでしょう。
そんな時、あなたに必要な薬の情報を提供してくれたり薬の相談に乗ってくれる頼れる人がいます。
それが薬剤師です。
医師とあなたの懸け橋になって、あなたの飲んでいるお薬の説明をします。
薬剤師は薬の専門家であり、あなたの薬のことを一番分かっている存在です。
薬剤師の大まかな仕事内容
多くの薬剤師は病院や薬局、ドラッグストアにいます。
働く場所によってその仕事内容は様々ですが、基本的な業務は変わりません。
ここでは、薬剤師の基本的業務をご紹介しましょう。
調剤
あなたはどのような時に病院に行きますか?
- 風邪をひいたとき
- 高血圧・糖尿病・高脂血症などの生活習慣病のコントロール
- がんの治療
人によって病院に行く理由は様々です。
そこで行われる治療に必要不可欠と言って良いものがあります。
それは『薬』です。
薬は医師の処方箋があって初めて手にすることができます。
しかし、医師が処方箋を書いただけでは薬はやってきません。
それを間違いなく取りそろえる必要があります。
また、その処方箋の内容が合っているか吟味する必要があります。
この医師が記載した処方箋に基づいて薬を取りそろえて、患者さんに渡す業務を『調剤』と言います。
調剤の流れは次のようになっています。
①処方箋受け取り
病院で処方された処方箋を薬局で受け取る
②処方箋監査
処方箋に正しい情報・内容が記載されているか確認する。
患者さんに投与してはならない薬が処方されていないか、他の病院で同じ効果を示す薬が処方されていないかなど確認を行う。
③調製・取りそろえ
処方箋に従って正しい薬を用意する。
患者さんが飲みやすいように朝・昼・夕毎の用法に分包したり、粉薬の混合、錠剤を粉砕したりする。
④調剤薬監査
調製・取りそろえられたものが間違っていないかなど別の薬剤師が確認を行う。
⑤薬の交付
用意したお薬を患者さんに渡す
服薬指導
調剤の時の最終工程では、薬の交付(⑤)があります。
しかし、交付する際、ただ薬を渡すだけではありません。
お薬を適切に服用・使用してもらうために正しい情報を説明する必要があります。
これを『服薬指導』と言います。
服薬指導する内容は、次のようにまとめることができます。
①薬効
薬がどのような作用を体にもたらすか
②用法用量
薬をいつ(食後・食前・食間など)・どれくらい(1回に服用する量)服用するか
③副作用
この薬を服用することで生じる可能性のある副作用・有害事象など
これらの他に、患者さんから情報を収集して患者さんの生活リズムに合わせて服薬計画を立てたり、今服用している薬の服用状況などを確認し、医師にフィードバックすることもあります。
薬剤師のおすすめ職種の特徴とは?
薬剤師の活躍する場は、主に病院と薬局です。
そのため、薬剤師の求人の多くはこの2つが大部分を占めます。
薬剤師は、このざっくりとした枠組みの更に細かな条件を選定することができます。
また、薬剤師は仕事のやりがいを求めることができつつ、仕事の安定も両立させることができる数少ない職業です。
薬局・ドラッグストア薬剤師
薬剤師の代表的イメージ像
薬剤師と聞いて思い浮かべるのは、薬局やドラッグストアに勤務している薬剤師でしょう。
病院から貰った処方箋を持っていくと、必ずここで薬剤師に出会うことができます。
薬局・ドラッグストアに勤務している薬剤師は、調剤や服薬指導を中心に仕事を行っています。
近年では、地域医療に力を入れているところも多く、在宅訪問を行ったり無菌ルームで高カロリー輸液の調整を行っている薬局もあります。
病院薬剤師
薬剤師の専門性を発揮することが出来る環境
病院に勤務している薬剤師は、基本的業務に加えて様々な業務が存在します。
学生の時に学んだ多くの知識を存分に発揮できる環境があります。
その病院の規模により業務は多岐にわたりますが、比例して業務量は増加していきます。
- ①病棟業務
- ②無菌調整(抗がん剤、高カロリー輸液)
- ③院内製剤
- ④研究
卸薬剤師
医薬品は薬局や病院に無限に存在するわけではありません。
工場で作られた医薬品が現場まで来るには、きちんと流通される必要があります。
医師が適切に処方箋を書き、薬剤師が問題ないと判断したところで、一番大切な薬がなければどうしようもありません。
数えきれないくらいある医薬品メーカーがある中、それぞれが独立して流通を担うと返って非効率となってしまいます。
これを効率化するため、卸を一旦経由することでスムーズな流通が可能となるわけです。
卸に勤務している薬剤師は、調剤や服薬指導などに関わることはありませんが、医薬品の適正管理や情報収集などを担い、治療を滞ることなく遂行できるように日々サポートしてくれています。
行政薬剤師
調剤や服薬指導を行わない点では卸薬剤師と同様です。
行政の薬剤師は、保健衛生や食品衛生などを担当しています。
また、麻薬撲滅運動や食中毒の検査なども担当しており、医療現場での活躍はありませんが、薬学の知識を用いた業務を行っています。
災害発生時には避難所に出向き、避難者の食事や排泄などの衛生状況を整えることで貢献しています。
薬剤師正社員でよくある募集内容とは?
薬剤師は飽和したなどとよく言われますが、それは都心のごく一部に限定されています。
地方では薬剤師不足が深刻な問題となっており、薬剤師の高齢化が盛んに言われています。
そのため、薬剤師の正社員は比較的容易になることができます。
給与相場
薬剤師の平均年収は600万円~650万円程度とされています。
職種で分けるとドラッグストア > 薬局 > 病院 > 卸 > 行政の順になります(地域によりばらつきあり)。
薬剤師の年収については、こちらの記事を参考に!
勤務シフト、休日
病院薬剤師
基本的に、月曜日から金曜日まで勤務となり、暦通りのシフトになります。
休日は土日祝日が該当し、プライベートの予定を立てやすいのがメリットです。
病院によっては、夜勤や待機といった勤務体系があり、夜の業務が存在します。
薬局
暦通りなのは病院と同様ですが、門前の病院に合わせるため、木曜日と土曜日がお昼までの半日勤務となる場合もあります。
ドラッグストア
ほとんど薬局と同様となります。
しかし、一部の店舗においては土日出勤があるため、休みが不規則になることも多々あります。
卸
病院や薬局の営業日に仕事があるため、月曜日から土曜日の勤務で基本的に日曜日がお休みになります。
しかし、病院は日曜日も稼働しているため、不足の薬剤購入の連絡があればそれに対応しなければなりません。
夜勤はありませんが、待機が存在します。
行政
暦通りで且つ定時終業が可能な職種です。
もちろん夜勤も存在しません。
求められる人物像
薬剤師はお薬の正しい情報を患者さんに伝えなければなりません。
インターネットでこのような情報があったなど曖昧な知識で回答してはいけません。
知ったかぶりをせず、分からないことは分からないとはっきりと言える人が重宝されます。
もちろん知識があることに越したことはありませんが、分からなければ調べれば良いのです。
たとえ時間がかかったとしても、命に関わるため正しい情報が必要になります。
そのため、薬剤師に求められる人物像としては誠実さが求められます。
必要なスキルや資格、経験
薬剤師に求められるスキルや資格は、ご存知の通り国家試験の合格です。
では、薬剤師になったその後について紹介したいと思います。
薬局・ドラッグストア薬剤師
薬局やドラッグストアの薬剤師は、病院で処方された薬剤を扱います。
近年では、医薬品として特許の外れた、国が認めた同一有効成分の医薬品であるジェネリック医薬品の使用が推奨されています。
そのため、同じ有効成分でもそれを製造している会社の数だけ薬が存在します。
薬には刻印といってその薬がどの薬であるかを判別する印が記載されてます。
これを素人が判断するのはとても大変です。
よって、薬局・ドラッグストアの薬剤師はこの刻印を覚えていることが経験として生きてきます。
また、プラスアルファの資格として、「スポーツファーマシスト」という資格があります。
これは、スポーツ選手の故意でないドーピングを未然に防ぐことを目的としています。
薬剤師は、薬の専門家として俗に言う「なんちゃってドーピング」を防ぐことも仕事の一環です。
地域貢献にもなるので、意外と人気の高い資格になります。
また、「小児薬物認定薬剤師」「漢方・生薬認定薬剤師」「プライマリーケア認定薬剤師」「在宅療法支援認定薬剤師」など薬局薬剤師が取得できる専門資格があります。
これを取得しているということは、この該当分野に精通していることに繋がります。
かなりのアピール材料となるでしょう。
病院薬剤師
病院薬剤師は多くの場合、認定や専門などの資格がアピール材料となります。
「日本医療薬学会認定薬剤師」「日病薬病院薬学認定薬剤師」「がん薬物療法認定薬剤師」「がん専門薬剤師」「感染制御専門薬剤師」「精神科専門薬剤師」「妊婦・授乳婦専門薬剤師」「HIV感染症専門薬剤師」などの資格は病院薬剤師会や日本医療薬学会が認定しているもののため、その価値も大きいものとなっています。
簡単には取得することができませんが、持っているとその価値を存分に発揮してくれます。
また、病院薬剤師として働く上では、大学病院などの大きな病院も外せません。
ここで他の薬剤師に差をつけるのであれば、薬学博士や医学博士などの博士の学位を持っていることも強みになります。
卸薬剤師・行政薬剤師
実際のところ、この2つの職種については、必要な資格やスキルはありません。
ただ、持っていたほうが良い経験はあります。
それは、臨床現場で働いていたという経験です。
ここで働こうとする薬剤師の多くは、臨床経験を経ずに就職してしまいます。
そのため、法律を知っているだけでは通用しないことや実際ではこのように運用をしているなどの臨床経験が乏しいといったデメリットが存在してしまいます。
この部分を補う経験値は誰にも勝るものとなるでしょう。
福利厚生
住宅手当、通勤手当など諸手当は充実しているところが多いです。
薬局では、これにプラスして薬剤師手当が存在します。
薬剤師手当で上乗せされているため、基本給は実はそれほど高くありません。
そのため、ボーナスは意外と多くないのが薬局の特徴です。
薬剤師になるために知っておきたいこと
薬を集めるだけの仕事ではない
薬剤師は処方箋を見て該当する薬を集めるだけと思われているイメージがあります。
事実、私も薬剤師になるまではそのように思っていました。
しかし、薬剤師は、薬学(薬理学・薬物動態学・生化学など)を用いて、頭の中で仕事をする職業です。
そのため、どれだけの量の知識を用いても、外から見ている人に伝わりにくいといった特徴があります。
ただ集めるだけなら誰にでもできますが、飲んではいけない飲み合わせや注意する服用方法、重大な副作用のリスクをきちんと伝えることなど、薬剤師にならなければ分からない仕事は多く存在することを一つ覚えておきましょう。
コミュニケーション能力が必要
薬を集めるだけの仕事ではないと紹介しました。
しかし、薬についてどれだけ多くの知識を持っていてもそれを患者さんに伝えることができなければ宝の持ち腐れになります。
患者さんから必要な情報を収集し、薬の知識をきちんと伝える能力が薬剤師には求められています。
6年間大学で勉強をしないと薬剤師になることができませんが、ここ数年はこのコミュニケーション能力が問われています。
話すことをせずに薬剤師になることは不可能と言って良いでしょう。
正社員として求められるものとは?
薬剤師と言っても一会社員に違いありません。
ここで求められるものについてご紹介しましょう。
すぐに辞めないこと
薬剤師は国家資格であることが強みですが、一部経営者にとってはデメリットになりうることがあります。
それは、離職率が高いことです。
ある調査では、就職後3年の内にその半数が離職してしまうといったデータがあります。
職場に不満を持った、より良い環境を見つけてしまった、やりがいを感じることができないなど理由は様々ですが、現時点より好条件の職場に転職する薬剤師は後を絶ちません。
現在の職場を辞めても次の職場がすぐに見つかる点は、働く会社員としてはとても魅力です。
しかし、経営者としては、薬剤師数の確保は死活問題です。
いくら転職が容易であっても、一社会人として簡単に仕事を辞めてしまうことはしないようにしたいものです。
向上心を持ち続けること
離職をせずに継続的に働いている薬剤師に多く見られますが、向上心がなければ薬剤師は務まりません。
日々変化する医療に対応できないどころか、新薬について勉強できなければ薬剤師として先はありません。
新しい薬の記載がある処方箋が来てもそれが何の薬かが分からなければそれは薬剤師でなく患者さんと同じです。
また、診療報酬は、2年に1回更新されます。
これについてもきちんと勉強しておかないと、働いている職場ではお金を稼ぐことが難しくなります。
いくら薬剤師の給料が高いと言っも、そもそも稼ぐことができなければ意味がありません。
どの職業にも言えることかもしれませんが、向上心を忘れないようにしましょう。
まとめ
薬剤師は国家資格で安定した収入が期待できるため、とても人気のある職業です。
事実、年収も全国平均より高くなっています。
その分仕事に対する相応のやりがいを求めても良い仕事の一つであると思います。
ご飯を食べていけないことは決してありません。
しかし、それだけに留まらず、自分のなりたい薬剤師像を目指して正社員になりましょう。
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