冠婚葬祭の仕事ってどういう印象でしょうか?

ほとんどの方が「婚」の結婚式を真っ先に想像するのではないでしょうか。

仕事内容的にもイメージもしやすいからだと思います。

では、ちょっとイメージしにくい「葬」の仕事ってどんな内容なのでしょうか。

リアルな仕事内容を知って頂けるように、葬儀屋の仕事を解説します。

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葬儀屋の仕事は大きく4個の役割に分けられる

まず、葬儀屋の仕事は大まかに4つに分けられます。

司会進行役(葬祭ディレクター)

葬儀当日の司会と進行を行う役割の事です。

大きい葬儀になればなるほど、今からお経が始まることや焼香の呼びかけ、お花を献花するタイミングなど、全ての段取りを指揮するようになります。

また、香典無しの葬儀となると、式の合間に数回、香典が必要ない旨を参列者に告知する必要があります。

ご遺族の方々(主に喪主の方)に段取りをお伝えしたり、段取りの変更や火葬場へ行く時間、手配を滞りなく進めることも重要な仕事の一つです。

祭壇作り

葬祭ディレクターの資格を持つものが、祭壇のレイアウトから花の飾り付けなどを指示し、時には自ら祭壇を作り込むこともあります。

葬儀会社によっても異なりますが、作り込むだけの業者へ指示のみするパターンもあれば、葬儀会社が全て担うケースあります。

家族葬をメインにしている葬儀会社では、業者は挟まず一貫して自社で完結させることが多いですが、葬儀が大きくなればなるほど、祭壇業者・花の業者など、様々な業者と一緒に作り上げることが多くなります。

例えば、50人未満の式だと、一貫して葬祭ディレクターが行う事が多く、50人を超えてくると、様々な業者と協力しながら執り行われることが多くなります。

献茶

「けんちゃ」と読みますが、なかなか聞き慣れない言葉ではないでしょうか。

「お茶子さん(おちゃこさん)」と呼ぶこともあります。

主に葬儀会場にて、弔電のお預かりや受付、精進料理の準備や、献花する際に参列者へお花を配る、おしぼりやお茶を配膳するなど、式全体の中で雑務と言われるものを全て行う人のことです。

葬式が始まる前から参列者の数を把握し、いつのタイミングで何を配膳・回収したら良いのか、献花の時間や精進料理の時間に沿って、段取りを考え行動します。

ご遺族の方から式の流れについて質問を受けたり、また喪主の方にお坊さんのご到着をお知らせし、双方がご挨拶できるように配慮することもあります。

献茶さんの仕事は、ここからここまでと範囲が決めにくく、臨機応変に動く事が必要とされます。

その為、スペシャリスト的存在の献茶さんは、基本的50歳オーバーの方々が多く、若手は少ないのも特徴です。

実際、20代前半の方よりも、ある一定の年代の方に担当してもらう方が、ご遺族が安心できるということも一つの理由としてあります。

葬儀の内容や会場の規模、葬儀会社によって献茶さんの仕事内容は大きく異なるため、求められる献茶さんの能力としては、臨機応変な対応能力といえるでしょう。

納棺師

ご遺体を清潔にし、衣服を着せ、時には化粧を施し、棺に納める技術師のこと言います。

ご遺族の意向にもよりますが、最後にお風呂に入れてあげたいという事であれば、納棺師が専用のバスタブにて入浴をさせてあげることもあり、これをシャワー式湯灌と言います。

お風呂までではなく、ご遺体の体を拭いてあげるのみの場合もあります。

これを古式湯灌と言います。

衣類に関しては、ご遺族の希望される衣服に着替えさせることもあれば、白装束に着替えさせることもあります。

昔「おくりびと」という映画が流行しましたが、あの映画は、この納棺師という方々の仕事を題材にしています。

また、爪を切ることや髭を剃ることも、ご希望があれば施します。

そして最後に、ワキの下などにドライアイスを入れ、鼻に脱脂綿を入れて棺に納め、納棺師の仕事は完了となります。

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司会進行役(葬祭ディレクター)の4個の業務

会場の場所の把握

ご遺族の方の到着前に、トイレの場所やご遺族やお坊さんの控室、何時に誰が会場入りするかを入念に確認をします。

司会進行は一番顔を覚えられるため、場所を聞かれたり、段取りや今後の流れについて質問を受けることが非常に多くなります。

事前に把握できることは把握し、スムーズにご案内できるように覚える作業を行います。

ご遺族(喪主)の方と最終確認の打ち合わせ

喪主の方は心神喪失状態又は、心労が相当高まっている状態です。

前日にも段取りのご説明は行うものの、覚えれる状態ではない為、葬儀当日の数時間前に、最終の確認を兼ねて打ち合わせを行います。

その際に、何時に何が行われ、いつ火葬場へ移動するのかなど、親族から聞かれるであろう内容をお伝えします。

お坊さんへご挨拶

お坊さんが到着されたらご挨拶し、喪主の方をご紹介し、何名ほどの参列者が来られて、何時に火葬場へ移動して頂くかなど、細かく詳細をお伝えします。

式によって異なりますが、お車代などをご挨拶のタイミングでお渡しすることもあります。

全て完了時に、ご挨拶と清算処理

式が終わり次第、喪主の方へご挨拶と共に、今回のご請求書をお渡しします。

その場でお支払い頂けるケースがほとんどで、後日払いでも翌日にはご精算頂く事が一般的です。

式が終わってスグに清算も気が引けますが、トラブル回避のために、当日清算を推奨している葬儀会社は比較的多いです。

祭壇作りの3個の業務

祭壇のイメージ打ち合わせ

祭壇のイメージ写真を喪主の方に見て頂き、お決め頂くようにします。

あくまでイメージ写真になるので、お花の色合いや飾り方などの細かな打ち合わせは勿論、生前好きだった音楽を式の最中に流すなど、故人を送り出すために可能な限り、遺族の思いや故人の思いを汲み取るようにします。

また、故人の写真をご準備頂くように手配をしたり、香典を受け取る場合の香典返しの商品なども決めます。

その他、親族の方々の衣装について、レンタルする必要がある場合は衣装の手配も行います。

この打ち合わせで、式の規模や参列者の人数なども具体的に決めてしまう形になります。

規模や参列者の人数が分かれば、衣装・お花・料理(仕出し)・献茶さんの人数など手配ができるようになります。

祭壇作り

当日、祭壇を作る為の準備を早朝から行います。

業者の入り時間、香典返しの品物が到着する時間、お花が届く時間など細かく確認をします。

滞りなく進んでいるかどうか、随所で確認を行いながら、合間に喪主の方との最終打ち合わせと祭壇の確認を依頼し、了承を得ます。

その他、香典返しの袋詰めの指示や、献花の際のお花準備を行い、式のお時間ギリギリまで最終調整を行います。

撤収作業

火葬場へご遺体も親族の方も移動された後は、撤収作業に移ります。

事前に喪主の方に、お花の束を幾つ用意をするかを確認しておき、撤収前に花束を作り枯れないようにしておきます。

その後、祭壇を片付けていきます。

花の撤収が終わってから祭壇の骨組みを撤去し、その他の盆提灯や仏具関係など、細かな物を片付けていきます。

基本的に30分~40分ほどで撤収作業は完了します。

撤収作業は早く終わらせなければ、次のお葬式がある場合に迷惑を掛けてしまうことも考えられるため、時間との勝負になります。

献茶の2個の業務

宗派と当日の流れを確認

宗教によって式の流れなど全て異なります。

宗派によって精進料理があるのか、お坊さんを呼ぶのか、香典があるのかなど、献茶さんは当日のスケジュールに沿って動く必要があるため、事前に把握しておきます。

会館の把握と参列者の把握

献茶の仕事は、館内の案内や親族の方々の案内、着替えのお手伝い、焼香のタイミングなど、細やかなフォローをすることになります。

全て把握した上で、献茶さんとして臨機応変に対応できるようにしなければなりません。

葬儀には同じものはないためマニュアルが存在しません。

その時々に応じて対応しなければ、式全体の進行も悪くなってしまうこともあります。

だからこそ、事前に把握できることは把握しておくのが一番だということです。

納棺師の3個の業務

当日朝に、訪問先の確認とメンバー確認

基本的に当日の訪問先は事前に予約が入るため、朝一に確認を行い、何時にどこへ向かうのか確認します。

大体、1チーム2~3名で動く事が多いです。

その為、誰が運転し遺族からの要望をお聞きするかなど、その日の役割分担を決めて現地へ出発します。

平均で1日4訪問ですが、季節の代わり締めなどには7~8件訪問することもあります。

要望の聞き取り

遺族からのご要望をお聞きします。

湯灌、化粧、御着替えなどという順番になりますが、着せたい洋服があればお預かりし、使ってほしい化粧品などがあれば、それを使用したメイクを行います。

また湯灌も湯船に入れてあげる方が良いのか、身体を拭いてあげるのみなのかも、ご遺族の希望をヒアリングします。

中にはご遺族の方も一緒に納棺作業をしたいと言われるケースもありますので、その場合は出来る限り一緒に行うなど、思いを汲み取ります。

大体、要望の聞き取りから納棺するまでの時間として、平均90分ほどとなります。

備品交換と衛生管理

会社へ帰社後は、車に湯船を積んでいることもあるため、衛生面に配慮しなければなりません。

消毒作業やタオルなどの備品交換を行い、翌日の作業に影響が出ないように点検を行い、業務終了となります。

冠婚関係との仕事内容の違い

同じ式の執り行いでも、全く違うのが冠婚関係の仕事です。

陰と陽というように、冠婚はお祝い事になるため、スタッフの声色や表情までも全く異なります。

冠婚の場合は、満面の笑みでお出迎えや受け答えをすることが、正しい接客スタイルです。

一方で、葬儀関係は電話対応も、明るくハキハキされている方はいらっしゃらないと思います。

落ち着いた声色で丁寧な話し方をする方が多いでしょう。

ご家族の気持ちに寄り添って、という基本の考え方は一緒でも、TPOをわきまえた対応となると全く別物になるのです。

葬儀屋の仕事の良いところ

ここからはこの仕事の良いところをいくつか挙げていきます。

やりがいを感じるポイント

ありがとうの言葉をもらえる

お礼を言われるとは想像できない仕事ですが、しっかりと誠心誠意ご対応すると、お礼を言われるものです。

故人の最後となるため、故人の為にできる限りのことをするというのが大前提ですが、それだけではなく、残された遺族の気持ちを汲み取り、悲しみを乗り越えて頂くためにお手伝いすることも、葬儀屋の仕事です。

気持ちの整理をするお手伝いになりますので、式が全て終わった際に、感謝の言葉をもらえることも多々あります。

「〇〇をしてくれて、喜んでくれていると思う」や、「私たちの気持ちを汲み取ってくれてありがとう」など、涙を流しながらお礼を言われると「この葬儀を担当して良かった」と思えます。

専門的知識を身につけられる

冠婚のマナーなどを知っている方は多いですが、「葬儀のマナーや知識などは持っていないし、不安」と思われる方が大半です。

葬儀の場合は、突如訪れることが多く、心の準備もできていないケースが9割を占めます。

これはどうしたらいいのか、こういう時はどうするべきなのかということを、的確にアドバイスすることで、安心感を持って頂けるようになります。

遺族の気持ちになり、不安なところや疑問点などを先回りしてお伝えし、安心して頂くことは、葬儀会社にしかできない、謂わば技です。

面白いポイント

宗派による違いを学べる

葬儀は、宗派によって段取りも進め方も全て異なるため、覚えれば覚えるほど、できる仕事の幅が広くなります。

例えば準備物なども、佛教、浄土真宗、理教、創価学会など、それぞれで準備するものが全て異なります。

創価学会はそもそもお坊さんを呼びません。

理教はお酒やお米をお供えしますし、浄土真宗では必要ありません。

このように宗派だけで用意するものが全て異なるので、把握できればプライベートでも役立つ知識です。

目に見えて仕事の幅が広がったことが分かるのは、やはり面白いものです。

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まとめ

どの仕事でもそうですが、特に葬儀会社で働くことは、メンタル面で結構負荷が掛かる仕事です。

ですが、無くてはならない職業でもあります。

目に見える喜びは冠婚に比べて少ないかもしれませんが、やりがいや面白い部分もあります。

イメージではなく、正しく職業を理解して頂けたら嬉しい限りです。


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