2022年4月26日

芝居やコンサートのステージを仕切る「舞台監督」。

現場スタッフの責任者である舞台監督の役割は、仕込みから本番、バラシまでの進行を司り、全体がスムーズに流れるように考えて指示を出すことです。

今回は、そんな舞台監督の給料事情を正社員やフリーランスのパターンに分けてご紹介します。

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舞台監督の年収の相場はどのくらい?

正社員で新卒入社した場合の舞台監督の年収相場

会社にもよりますが、250万円〜270万円くらいです。

正社員で転職した場合の舞台監督の年収相場

その人のスキル等にもよりますが、お芝居では300万円〜350万円程度であれば良い方です。

演歌等のコンサート系では、350万円〜高い人では500万円いくこともあります。

フリーランスの場合の舞台監督の年収相場

公演によってまちまちで、そのときの契約によって違い、依頼主が同じでも高く支払われる場合と安く支払われる場合があります。

例えば松竹との契約で、1ヶ月公演の新橋演舞場公演の場合と三越劇場公演の場合は、三越の公演の方が20万円も安くなります。

これには劇場の客席数が大きく関係しており、それぞれ客席数が1,428人と514人で、チケットの値段も2,000円以上の開きがあるので、売り上げに応じたギャラ体系になるのです。

松竹ばかりでなく、制作会社との契約の仕方によっても違いが出てきます。

グロス(公演に関わる全ての作業を全部こなすことでいくら貰えるという契約方法)で契約する場合と、ステージ数で契約する場合とで貰えるギャラが変わってきます。

音楽関係の場合はリハーサルはほとんどないので、ステージ数で契約する方が一般的で、それなりに稼ぐことが可能です。

しかし芝居の場合は本番の前に稽古をしなければ作り上げることができず、ステージ数で契約してしまうと稽古に費やした日数はタダ働きとなってしまいます。

こんな場合は稽古手当を契約しておかなければならず、そうでない場合は1回のステージギャラを倍ちかくに設定した契約をしないと採算が取れなくなってしまいますが、要求した額に対して「高すぎる」と言うプロデューサーが多く、契約が成立しません。

したがって芝居の舞台監督は、稽古も含めたグロスでの契約が圧倒的に多いのです。

基本的に音楽系のコンサート等の舞台監督の方が貰えるギャラは多くなります。

芝居と比べてコンサートの方が大道具や小道具、出演者のギャラ等を考えると安く仕込むことができるため、利益が大きいのです。

年収にも響いてくる基本給以外のものは、どうなっているの?

賞与

会社に所属している場合は、その会社で定められた賞与を貰うことができます。

当然フリーランスの場合は賞与はありませんが、会社に入れるお金がないため貰えるギャラが会社員より多くなっています。

昇給

舞台監督としてある程度の力を持ってしまうと、ギャラ自体が上がることはあまりありません。

ギャラ単価の高い大規模な公演につくことで多くの収入が見込めるため、大規模な公演を制作するプロデューサーにつくことが大切になります。

各種手当

基本的に残業等の概念がないので残業代は見込めませんが、巡業等では食事手当や交通費が支給されます。

一般的に食事手当は、弁当か、もしくはホテルに朝食が付いていない場合は1日4,500円程度です。

公演によっては有名な人の場合は初日の御祝儀として1万円ほど頂けますが、中には2万円くれる人もいますし、最高で3万円を初日と中日にくれたスターさんもいました。

給与が高い舞台監督は何が違うの?

大物との繋がりやコネがある

大物アーティストや大物役者、有名俳優や大物プロデューサー、大物演出家等の信頼を得ている人が、高いギャラを貰いやすい環境と言えます。

大きな利潤を生めるような大規模な公演を担当することで高いギャラを貰えるということは少し考えれば理解できるのですが、そのようなポジションにはとっくに誰かがいることが常になります。

高いギャラを得るにはその様なチームに入りチャンスを狙うしかありませんが、そもそも余程のコネか運がなければチームに入り込むことすらできません。

ただ、運良く入り込めた人は能力やスキルがある程度あればどうにかなってしまうことが多いです。

彼らよりも実力のある人は数多くいますが、歌が上手いことが絶対条件ではないアイドル歌手と一緒で、実力が高ければ良いというものでもないのが現実です。

スキル

基本的に、どのジャンルにおいても平面図を読むことができなければ勤まりづらい仕事です。

段取りを組まなければならないので、想像力を働かせて経験上の知識から各スタッフがどのようにすれば良いかを考え説明できなければなりませんし、どのように進行させるかを決める決断力も必要になります。

また、自分のやりたいジャンルによってはあった方が良いというスキルもあります。

音楽系の人は譜面が読めることは大切ですし、楽器ができるなら尚良いです。

ダンス系も譜面が読めることは大切で、ダンスの振りの名前も知っていた方が段取りがスムーズになります。

役職

会社に所属しているのであれば、各会社の役職に就ける場合があります。

舞台監督専門の会社はそれほど人数が多くないため、社長や専務、部長くらいしか役職はありません。

勤続年数

人によって様々ですが、会社に入っている場合はその会社で定年まで勤めることになり、その後もフリーランスとして仕事は続けられます。

フリーの場合は定年がないので、身体と頭が動く内は続けていくことが可能です。

地域

基本的に稽古場はその公演の都度、主催者が選びそこに通って稽古することになりますが、公演に関しても会場は決まっているのでその場所に行くことになり、1ヶ月公演などは決まった劇場での公演です。

巡業は、全国各地の会館やホールへ行くことになります。

別名「旅公演」とも呼ばれていて、大抵が1日ないし1週間程の滞在でまた違う土地へ移動ということになりますが、夜は自由なので各地の美味しいものを食べたり地酒を飲んだりして楽しめます。

最近の交通の進化や利便性の向上により、昔は宿泊しなければならなかった場所でも電車で帰ることができるようになってしまったため、朝早くに家を出て夜遅くに帰ってくるなど、自分の家から遠めの公演地だと通勤するのには大変です。

大阪、名古屋、京都、博多等での1ヶ月公演

これらの大都市には商業の専用劇場があり、ひと月公演を行う場合、近郊のホテルやウィークリーマンションに滞在して単身赴任状態で仕事をすることになります。

ひと月の滞在なのでそれなりに街を散策することができ、楽しく過ごせます。

舞台監督の給料の決まり方

フリーランスの場合は、制作者との話し合いにおいてそのときのギャラが決まります。

大抵は打ち合わせから稽古、本番バラシまで一つの公演全ての業務を全うして全部でいくらというグロスでのギャラが多く、場合によっては一公演いくらという公演回数でのギャラ設定もあり得ます。

会社員の場合は、所属する会社で定められた給料を貰うことになります。

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舞台監督で給料を上げるためにやるべきこと

商業芝居の場合は、主演者との仕事上の関係を深め確実に公演に呼ばれるようになることで、制作者に貢献度の高さをアピールしてギャラのアップを相談します。

一つ目は、木頭を打てるようになって、日本舞踊などの単価の高い仕事を取れるようになること。

二つ目は、パンフレットのあらすじ等を書けるようになって、公演のギャラのほかに原稿料も貰えるようになること。

ちなみに、松竹の新橋演舞場で売るパンフレットのあらすじの原稿料は10万円ほどでした。

三つ目は、大きな公演に関与すること。

やることは同じでも公演の規模でギャラが違い、大きな公演ほどギャラ単価が高くなります。

給料をアップさせるための求人の選び方

大規模な公演を手がける会社を選ぶ

有名な人が出演している公演ほど入場料も高く、公演会場も大きくなり利益が上がることが見込まれますので、ギャラ単価が高くなりがちです。

そのような人が出ていれば御祝儀を頂けることも多いので、ギャラ以外の副収入も見込むことができます。

また、松竹や東宝などの大会社の仕事ができるところの相場が高いです。

テレビ局がバックについている公演等も、相場が高く設定されやすいです。

賞与や昇給制度をチェック

会社に所属している場合は賞与や昇給を見込むことができますが、賞与は一般職に比べて決して高くはありません。

雀の涙程度だと考えて下さい。

フリーランスはその都度の契約ですので会社員よりギャラは高いですが、昇給や賞与もその中に含まれますし保険や福利厚生等も関係なく営業も自分でしなければならないので、安定を望むのならば会社に所属することが大切になります。

交通費や福利厚生にも注目

会社に所属している場合は交通費は会社持ちになることが多く、福利厚生も所属会社の提供によって受けることが可能です。

経験者が教える、実際に給料がアップしたのはこんなとき

同じ仕事でも、中間に入る会社の搾取がひどかったことが発覚し、別会社になったときにギャラが大きく違いました。

前の年に同じ仕事で2ヶ月拘束で40万円程度だったのが、翌年会社が変わったことで90万円貰えたことがあります。

これは給料がアップしたわけではなく、搾取がなくなり正当に貰えるようになったというケースです。

舞台監督をやりながら同じ作品の演出助手を兼任することで、2人分とまではいかなくとも1.5倍くらいのギャラを受け取ることが可能です。

1ヶ月40万円の舞台監督料に、演出助手料が20万円ほど上乗せされました。

まとめ

いかがでしたか?

生涯舞台監督という人もいますが、舞台監督を経て脚本家や演出家、美術家になる人も大勢いて、むしろそのような役職になる通過点として舞台監督をしている人が多いです。

舞台監督の経験で次のステップとしてなりやすいポジションは、演出助手というポジションで演出家の補佐をする役目なのですが、この仕事を舞台監督が兼任する現場も少なくありません。

この記事を読んで、舞台監督の仕事に興味を持たれた方は、是非はじめの一歩を踏み出してみて下さいね。

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