
編集プロダクションの転職を成功させるために!転職するために必要な心構えや上手に転職するための2個の注意点
本を作る仕事がしたいという人は意外と多いものです。
一見楽しそうで割と簡単そうにも思えます。
そんな人のために、本を作るのが仕事である編集プロダクションについて探ってみましょう。
なお、編集プロダクションは「編プロ」と省略されることもあります。
仕事の内容、編集プロダクションと出版社の違い、編集プロダクションでの仕事に向いている人の特徴、向いていない人の特徴、編集プロダクションで仕事をするにはどうしたら良いのかなどについて紹介します。
「編集プロダクションの仕事」が自分に向いているか診断するにはこちら →
本を作るのが編集プロダクションの仕事であると述べましたが、雑誌や書籍だけではなく、官公庁のパンフレットや企業の会社案内、電子製品や家電のマニュアルなどを作るのも編集プロダクションの仕事です。
簡単に言えば、印刷物全般を制作するのが編集プロダクションの仕事です。
もちろん、印刷は印刷会社が行います。
編集プロダクションでは、様々な印刷物の制作に関わりますが、話が混乱しないように実用書(資格や趣味などに関する本)を例にして制作工程を紹介します。
小説や新書などほとんど文字だけの本は、一般的には編集プロダクションの仕事にはならないからです。
実用書を作るには、まず企画が必要です。
企画ではテーマと内容、仮書名などを決め、更に読者対象や売上見込みなども考慮します。
次に著者を決めて執筆依頼をします。
このときにはもちろん締め切りも決めます。
原稿執筆を編集プロダクション自身が担当することもあります。
原稿が完成したら、それがそのまま本になるわけではありません。
原稿に対して編集者が編集という作業を行います。
誤字脱字のチェックはもちろん、問題があれば編集者が直接手を加えたり、あるいは著者に修正してもらいます。
実用書では写真やイラスト、図版なども必要になるので、その手配もしなければなりません。
デザインも重要な仕事です。
本文パターンやカバー、表紙、扉、帯などの様々なデザインが必要になります。
編集の終わった原稿を本文パターンのデザインに流し込み、写真やイラストなどを入れる作業を組版(くみはん)と言います。
組版はパソコン上で行うのでDTP(ディーティーピー:DeskTop Publishing)とも言います。
組版が終わり、それを印刷したものをゲラと呼びます。
ゲラができたら、著者と編集者が内容をチェックします。
この作業を校正(こうせい)と言います。
校正が終わり、カバーや表紙、扉なども完成すれば、まるごと一式のデータを印刷会社に渡します。
編集プロダクションは出版社ではありません。
編集プロダクションは、主に出版社の仕事を受注しています。
書籍の最後のほうに書名や発行日、著者名などが書かれたページがあります。
これを奥付(おくづけ)と呼びます。
奥付には「発行所」が書かれていて、これが出版社の名前です。
つまり、編集プロダクションは本作りの全ての作業に関わったとしても発行所にはなれません。
奥付には「編集」「編集協力」などとして、編集プロダクションの名前が書かれていることもあります。
「編集プロダクションの大まかな仕事内容」で本ができるまでの大まかな工程を説明しましたが、どれが出版社の仕事でどれが編集プロダクションの仕事であるのかという決まりはありません。
出版社の方針、本の種類、編集プロダクションの得意とする分野など、多くの要素がからむので、ケースバイケースになります。
ただし、最終的に書名や発行部数、値段などを決めるのは出版社です。
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編集プロダクションに向いている人の最低限の条件は、本を読むのが好きであるということです。
もちろん、本を読むのが好きというだけではなく、読んで理解する能力、きちんとした文章を書く能力があるということです。
校正においては細かな文字のチェックや内容のチェックをする能力などが必要になります。
本が売れるかどうかは、まずは本のテーマにかかってきます。
このため柔軟な発想力、企画力が求められます。
発想力や企画力を磨くためには、幅広い分野におけるトレンドをつかんでおく必要もあります。
専門的な知識を深めるのではなく、多くのアンテナや沢山の抽き出しを持っていることが大切です。
自分で多くのアンテナ、沢山の抽き出しを持つことも重要ですが、個人のできることには限界があります。
様々な業種に大勢の友人がいれば、新たな企画を作るヒントを貰えたり、著者探しにも役立ちます。
編集者の役割は自分で原稿を書くことではなく、著者に良い本を書かせることです。
本作りでは編集者と著者は何度も打ち合わせをすることになりますが、打ち合わせにおいて著者の良いところを見抜き、著者の才能を存分に原稿に反映させることが重要です。
本作りでは原稿の内容が大切なのはもちろんですが、書店で本を手に取ってもらうためにはデザインも重要です。
デザインは一般的にデザイナーが担当しますが、編集者はデザイナーにデザインの指示をしなければなりません。
自分でデザインができなくても、デザイン的なセンスのある人が編集プロダクションに向いていると言えます。
テレビドラマに雑誌の編集者が登場することもありますが、編集プロダクションの仕事はテレビドラマのようにかっこ良いことばかりではありません。
本作りは地道な作業の連続です。
仕事をコツコツとこなしていくことが必要になります。
肉体労働に向いている人が編集プロダクションに向いているというのは、ちょっと大げさな表現ですが、しかし冗談でもありません。
はじめからタイトなスケジュールであるとか、原稿執筆が大幅に遅れたが出版時期を遅らせることはできないなどの理由で、仕事がかなり忙しくなることは珍しくありません。
2日や3日の徹夜ができる体力が、実際に必要になる局面もあります。
そういう意味では、編集プロダクションの仕事は肉体労働であるとも言えるわけです。
とにもかくにも、仕事の受注先である出版社の要求に応えなければならないのが編集プロダクションです。
編集プロダクションで仕事をするなら、きちんとした読み書きの能力が必要であると述べました。
これを逆に言えば、読み書きレベルが水準以下である人はもちろん、水準程度である人も編集プロダクションには向いていません。
自分の意見や企画にダメ出しをされた時、もともとの自分の考えにこだわってしまう人も編集プロダクションには向いていません。
編集プロダクションが、例えば原稿執筆やデザインなどを担当したとき、それにダメ出しをされたら、素直にもっと良いものにしなければならないからです。
複数の処理を同時に行うマルチタスクという言葉はコンピューター用語ですが、最近はビジネス関連でも使われるようになりました。
一冊の本ができるまでには編集、校正、イラストや写真の手配、デザイン発注など多くの工程があります。
このため、マルチタスクに向いていない人は編集プロダクションにも向いていません。
ましてや、出版社でも編集プロダクションでも、一冊の本しか担当していない人は滅多にいません。
編集プロダクションでは、かなり高機能なマルチタスクが求められると言って良いでしょう。
本の制作には、多くの人が関係します。
編集プロダクションの編集者は、著者、出版社の担当者、印刷会社の担当者、デザイナー、イラストレーター、カメラマン、DTPオペレーターなどとの報連相(報告・連絡・相談)が欠かせません。
報連相が苦手な人は、編集プロダクションの仕事にも向いていません。
特に、自分が分かっていることを、相手も分かっていると思い込んでしまうタイプの人は本作りに向いていません。
仕事が忙しければ残業もしなければなりません。
時には徹夜が必要なこともあるでしょう。
遅めに出勤してかなり遅めに帰るというのが、一般的な編集プロダクションの特徴です。
定時に出勤して定時に帰りたいという人は、編集プロダクションに向いていないと言って良いでしょう。
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就活時に大学の成績が良くはなくコネもなかったため、仕方なしに編集プロダクションに入ったという人も少なくありません。
編集プロダクションでスキルを積めば、出版社の中途採用に応募して、即戦力のほしい出版社に採用されることもあります。
あるいは仕事が優秀であれば、仕事先の出版社からスカウトされることもあります。
出版業界は、よく“つぶしのきかない”職種と言われます。
出版社や編集プロダクションを辞めても、大抵の人は出版業界で生きていきます。
編集プロダクションで主にライティングの仕事をしていた人ならば、フリーのライターになるという道もあります。
編集プロダクションで仕事をしていると、DTPを覚えられる場合もあります。
発想力や企画力に限界を感じる、人間関係があまり得意ではないという人であれば、DTP会社に就職してDTPオペレーターになるのも良いでしょう。
もちろん、DTPオペレーターとして編集プロダクションに就職するという手もあります。
編集プロダクションの中には、Web制作専門のプロダクションもあれば印刷物とWebの両方を手がけるプロダクションもあります。
Web制作においても、編集の仕事は必ず必要になります。
紙の本がなくなることはないでしょうが、将来が明るいということは決してありません。
紙の本に見切りをつけて、Web制作の仕事に就くのも良いでしょう。
文部科学省などが「留学生30万人計画」を策定したのは平成20年のことでした。
日本学生支援機構の調べによると、平成28年の留学生総数が約24万人、平成29年の留学生総数が約27万人となっていて、留学生は年々増加しています。
ほとんどの留学生は来日するとまず日本語学校に1年〜2年通い、それから大学や大学院を目指します。
過酷な編集プロダクション勤務に疲れたという人は、水準以上の読み書き能力を活かして日本語学校の日本語教師になるのも良いでしょう。
編集プロダクションで仕事をするには、どうすれば良いのでしょうか。
就職先としての編集プロダクション探し、必要な資格やスキルについて紹介します。
編集プロダクションで働くためには、コネがない人は求人情報を探して応募することになります。
ネットで「求人 編集プロダクション」「転職 編集プロダクション」といったキーワードで検索すれば、多くの求人情報が出てきます。
あとは自分に合っていると思える編集プロダクションにどんどん応募するだけです。
編集プロダクションに入るのに資格は不要です。
資格がなくても安心して応募してください。
もちろん、持っている資格が編集プロダクションの仕事に役立ちそうであれば、有利に働くこともあります。
例えば語学書の編集プロダクションの場合、語学の資格が要求されることもあるでしょう。
編集者を養成するための「日本エディタースクール」という学校がありますが、編集という仕事について知りたい人はここで勉強してみるのも良いでしょう。
ただし、編集プロダクションで働く人たちは現場で叩き上げてきたタイプが多いので、面接で「日本エディタースクールで勉強しました」と言っても大きな効果は期待できません。
資格と同様、必要なスキルや経験もありません。
ただし、資格と同様で、自分のスキルや経験が応募先の編集プロダクションとマッチすれば有利に働くこともあります。
例えば自動車関連の編集プロダクションであれば、自動車の知識は必須でしょう。
コンピュータ関連の編集プロダクション、あるいはWeb制作プロダクションであれば、コンピューターやネットの知識、プログラミングスキルが役立つでしょう。
学歴についてですが、編集プロダクションに就職するには大卒が基本になるでしょう。
もちろん有名大学であればあるほど有利な面もありますが、大学の知名度はそれほど気にする必要はありません。
大学中退であっても、編集者の求人に応募してみる価値はあります。
大卒であることを要求しない編集プロダクションもあるので、大卒ではない人は探してみましょう。
DTPオペレーターであれば、大卒かどうかは問われないのが一般的です。
一見きれいで楽しそうにも思える本作りの仕事ですが、けっこう大変な仕事でもあることを理解していただけたでしょうか。
それでもやっぱり本作りの仕事がしたいという人は、編集プロダクションへの就職にチャレンジしてください。
もちろん、編集プロダクションではなく出版社に就職するという道もありますが、編集プロダクションのほうが採用のチャンスがはるかに多いのは事実です。
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編集プロダクションへ転職したい方が知っておくべき情報を今回はまとめてみました。出版不況と呼ばれる中、編集プロダクションの業務は非常に厳しくなっています。業績が悪化する会社も多く、転職を編集プロダクションで成功させるにはそれなりの覚悟や意欲が必要とされます。編集プロダクションで年収を上げるための転職をどう成功させるかや、上手な求人の選び方もここで詳しくお話していただきますので、興味のある方は最後までご覧ください。編集プロダクションの転職で注意したほうが良い2つのことブラック企業編集プロダクションはハードワークであることが多く、深夜に及ぶ残業や休日出勤も日常茶飯事とも言われています。その上給料も安
編集プロダクションの年収を皆さんご存知でしょうか?編集プロダクションは、「給料が安い」というイメージがつきまとっています。ハードワークなのに収入が割りに合わないと言われていますが、本当なのでしょうか…。今回は気になるその実態に迫ってみましょう。また、編集者の給料を上げる方法や、編集プロで働いてみたい方におすすめな求人の選び方までしっかりご紹介させていただきます。編集プロダクションの給料の相場はどのくらい?正社員で新卒入社した場合の編集プロダクションの給料相場会社によって幅がありますが、月給で14万円〜18万円程です。正社員で転職した場合の編集プロダクションの給料相場転職の場合は、経験値やランク
編集プロダクションの仕事について今回は詳しくお話しさせていただきます。編集プロダクションといとはいったいどんな職業なのか?その実態は一般的にはあまり知られていません。編集プロダクションの仕事内容って何をしているのか、出版社とはどう違うのか、どんな人たちが働いているのか…。「ブラック」と言われることも多い業種ですが、実際はどうなのか…。今回はそんな編集プロダクションはきつい職業なのか?リアルな内容をこの記事でぜひ知っていただけたらと思います。編集プロダクションはどんな仕事?編集プロダクションは、出版物の企画や編集作業を出版社に代わって行う会社です。出版社の「下請け」といった要素が強いのですが、出