みなさんは、医療機器メーカーと聞いてどの会社名を思いつきますか?

オリンパス?テルモ?ニプロ?といったところでしょうか?

どれも世界的に有名な会社なので、ご存知の方も多いと思います。

いまや医療機器のマーケットは3兆円を超える市場規模となり、業績も右肩上がりです。

この業界自体の裾野も様々な分野で広がりを見せていますが、どのような仕事内容のイメージをおもちでしょうか?

例えば「お仕事は何をしていますか?」と訊ね、「医療機器メーカーです」と聞くと、多くの方は病院でのドクターとのやり取りを想像されるのではないでしょうか。

もちろん、それも間違ってはいません。

しかし医療機器も、病院で使う大きな機器から家庭用で使う機器まで様々です。

つまり医療機器は病院などの医療の現場だけではなく私たちの日頃の生活にも身近に携わるため、その活動範囲も多岐にわたるのです。

今回は、その医療機器メーカーの年収について、営業職の場合の一例を紹介したいと思います。

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医療機器メーカーの年収の相場はどのくらい?経験者が解説します!

正社員

大手企業の場合、年収800万円以上が平均と言われています。

もちろん、職種にもよります。

医療機器メーカーと一つの枠で括っても研究職、事務職、営業職など様々ですが、特に営業職は年収幅が大きく変わる傾向にあります。

理由は「インセンティブ方式(歩合制)」をとっている会社が大半だからです。

私が在籍していた会社を例に挙げると、年収は約800万円~2500万円、賞与は年に2回ありました。

1回の賞与を、営業成績トップの社員達は”帯”で貰います。

”帯”とは1000万円のことです。

頑張りしだいでチャンスが得られる、夢がある業界ですね。

契約社員

これも在籍していた会社の例ですが、年収約350万円~400万円。

正社員の1/2程でした。

しかし、営業職において正社員以外の雇用形態は稀です。

理由は専門的な知識が必要であること、ある程度拘束時間が必要となることなどが考えられます。

派遣社員

契約社員と同じく、営業職での派遣社員の採用はほぼありません。

ちなみに、事務職であれば派遣社員の採用も少なくはありません。

派遣社員ではありませんが参考までに、新卒で入社した社員の平均的な年収は200万円~250万程度でした。

基本給以外の内訳はどうなっているの?

賞与

年に2回が一般的であるようです。

年2回の場合、上半期と下半期に分かれて支給されます。

成績上位だと、1000万円単位の賞与が貰えました。

新人社員の賞与は20万円程でした。

昇給

昇給の条件・タイミングは会社によって様々です。

私の会社では役5,000円ごとの昇給幅でした。

各種手当

このあたりは特に会社による違いが大きいので、参考までに私の勤めていた会社の例を紹介します。

土日休みの年間128日休み。

賞与、交通費全額支給、各種社会保険完備、住宅手当、家族手当(子供1人に付き1万円/月)。

役職手当、資格手当、退職金制度、財形貯蓄制度、報奨金制度。

社員旅行(売り上げによります)の行き先は毎年海外でした(ハワイ、台湾、グアムなど)。

それも、最も旅費が高い年末年始の時期でした。

給与が高い人は何が違うの?

スキル・モチベーション

正直、特別な資格が必要なわけではありません。

医学に詳しい専攻を取っていなければならないということもありません。

実際に私の大学の専攻も「ビジネス」でした。

PCスキルに関しては、Word、Excel、PowerPointが人並みに使える程度のレベルでした。

もちろん事前知識があるに越したことはありませんが、入社してからの学習意欲…つまりモチベーションの高さがその後の営業スキルに大きく関係します。

入社後は先輩社員について現場を一緒に回ることになりますが、そこでます営業手法だけではなく提案するにあたって必要な医学の知識、機器の説明などを覚えていきます。

割合で言うと、営業6:医学2:機器2といったところです。

営業職である限り、実際の現場で求められる提案ができなければなりません。

営業活動を通して常に新しいことを学ぶ意欲がある人こそが現場で求められ、結果的に実績もお金もついてきます。

役職

一般的に、社内の役職階級と給与額は比例しています。

定量的な評価がしやすい営業職では、数字の実績で役職が決められやすいと言えます。

ただし役職が上がればそれだけ部下が増えることとなり、その分マネジメントが求められます。

マネジメント力は個人差がかなりあります。

営業に長けていることと、マネジメント力があることとはまた別の話です。

勤続年数

日本の多くの企業では、年1回や2回の定期的な昇給機会があり、年齢や勤続年数、成績に応じて給与水準が設定されています。

年齢が1歳、または勤続年数が1年上がるごとに基本給がアップする企業が多いようです。

とは言え、私の勤めていた会社の平均勤続年数は5年~10年程度でした。

営業職の場合、他社からの引き抜きもあったり、また決して楽な世界ではないので、入社1年未満で辞めてしまう社員も少なくありません。

個人的には、3年目から仕事が面白いと感じてくると思います。

その理由は、知識と営業力がある程度備わりそこに経験がついてくるまでが約3年、後は数をこなせば自然に数字がついてくると思うからです。

3年以下で辞めてしまうのは非常にもったいないと思います。

地域

都内での仕事が主になりますが、他県の都市部に営業に行くこともあります。

他県に行く際は、「そこの地元住民ですか?」と言われるほど徹底的に調べてから行きます。

営業は商品を売るのがもちろん第一の目的ですが、自分を売り込むのが先です。

それには、自分から相手に近づかなければ話ができません。

アンテナの高さ

私が営業に配属された時からずっと言われていました、「アンテナを高く」と。

これは、営業を辞めた今でも非常に有難い言葉だったと思う程大切にしている言葉です。

例えば、家を出てから会社に向かうまでに駅でも電車でもボーっとしているAさんと、常に何か新しいことはないか?面白いことはないか?と周りに興味を持ちながら出勤するBさんとでは、1年後の営業スキルはまるで異なります。

私自身は、情報収集のためにタクシーの運転手さんと話すことが多かったです。

新聞は、5大紙(読売、朝日、毎日、日本経済、産経)を毎日読んでいました。

どこで、どのような話がきっかけになるか分かりません。

商品知識だけを高めても売れる営業にはなれないのです。

自分の話に、付加価値をどれだけ付けられたか?

それには、顧客のニーズや社会を知る必要が大いにあります。

雇用形態ごとの給料以外における良い点と悪い点

正社員

これは会社によって様々です。

今回は、あくまで参考の一つとして私の経験談をご紹介します。

良い点:私の担当先では残業がほとんどありませんでした。

もちろん営業職なので顧客優先なところはありますが、基本的には残業はなかったです。

悪い点:キャリアアップのための、国内外を含めた転勤が多いです。

転勤の可否や希望は訊かれますが、将来昇進に影響するケースが多く、同じ場所で働き続けるのは難しい傾向にありました。

私は、将来的に結婚や子供のことを考えるとこの会社に長く勤務するのは厳しいと思っていましたが、結婚を真剣に考えた時には幸い本社に残ることができました。

しかし同期は海外転勤となり、完全に差をつけられた気がしました。

契約社員

良い点:基本的には転勤・異動がありません。

これは、私にとって非常に魅力的でした。

悪い点:雇用期間に定めがあり、また契約更新がなければ自動的に退職となります。

3年で退職していく人が多かったです。

派遣社員

良い点:時間通りに働き、基本的に残業等もなし。

悪い点:派遣社員の場合、原則として同じ派遣先の同じ部署で3年を超えて働くことはできないことになっています。

これに関しては企業による違いはありません。

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経験者が教える、実際に給料がアップしたのはこんなとき

優秀な営業を真似する

私は入社2年目まで営業成績が伸び悩み、いわゆる落ちこぼれ組に属していました。

どちらかというと医学の勉強を主にしていたため、営業に必要なスキルが何かを理解できていませんでした。

芽が出たのは、営業としてのコツを掴んでからです。

そのコツを掴むために取り組んだこととは?

簡単なことでした。

売れている人の真似を徹底的にすることです。

プライドが高い人はこれができません。

売れているのには必ず理由があるため、とにかく観察し学ぶのです。

その結果、自分が今まで努力してきたよりも簡単に成績&収入アップに繋がりました。

ライバルを見つける

営業をしている方であれば、当たり前なことと思うかもしれません。

しかし、あえて言いたいです。

ライバルは、人を成長させるために不可欠な存在だと。

個々の成長に相乗効果が生まれ、会社にとっても有難いことだと思います。

営業は数字が全ての世界なので、ライバルがいることで競争心が掻き立てられます。

ライバルに年間売上で負けた時には、涙が出るくらい悔しいです。

今までに上司に言われた言葉の中でも印象的だったのは「営業は悔しい思いをした人間ほど伸びる」というものでした。

モチベーションも維持できるため、ライバルは本当に必要な存在だと感じます。

明確な目標を書く

入社したての私は具体的な目標がなく、入社を決めたのも単純にお給料が良いという理由のみでした。

しかし、営業職は単純ではありませんでした。

医学の知識があっても売れない。

機器の説明が完璧にできても売れない。

毎日必死に働きましたが、働く目標が具体的でなかったのでお給料もなかなか伸びませんでした。

しかしある時から、

「いつまでに主任になる!」

「このマンションに来年までに住めるようになりたい!」

「このブランドのバックを年内には買いたい!」

と書き出してみると、意識が変わりました。

そして、意識が変わったことで行動も変わりました。

どんどんと目標が達成できるようになってくると、これらが叶う職業に就いているだという実感も湧いてきました。

それからは、明確に掲げた目標を目指し達成することをモチベーションにして懸命に働くことができました。

この働き方は、こんな人におすすめ!

正社員

成果に応じた評価を求める人

そもそも私が医療機器メーカーに勤めるようになったきっかけも、給与面が良かったからです。

当時独身だった私は、旅行が大好きだったので1年に2回は海外旅行に行きました。

成績が良ければその分お金もついてきたので、高い目標を常に作っていました。

エコノミークラスで行っていた海外旅行も、最終的にはファーストクラスで行けるようになりました。

成果を上げることが昇格や昇給に繋がりやすいため、貪欲に常に高い目標を持ち、達成することに喜びが持てる人に向いています。

冷静な判断ができる人

医療機器メーカーの営業は、手術現場に立ち合うこともあります。

えっ?と思いますよね。

機器を売るのが目的なのに、なぜ手術現場に?と。

その理由は、医療機器の適正且つ安全な使用のために操作方法の説明や動作確認を行うためです。

ある意味、度胸が必要かと思います。

私も最初に研修の身で手術現場についた時には、かなりの緊張で前の日から眠ることができませんでした。

予想外の事態にも決して動じず、物事を冷静に対処・判断できる度胸のある方に向いています。

契約社員

少しでも良い給与条件で働きたい人

他業界よりも医療機器メーカーの平均給与は良いと言われています。

近年、日本の医療業界は高齢化社会の進行と共に着実に成長を続けており、医療機器メーカーの業績も伸長していることが理由だと考えられます。

契約社員で勤めて経験を積み、その後正社員になる方法も一つです。

派遣社員

医療機器メーカーでの派遣社員の方は、事務関係の仕事が主となります。

給与額は、他業界の事務職とあまり変わらないことが多いようです。

まとめ

世の中、お金が全てではない。

その通りだと思います。

しかし、お金があることで心理的にもゆとりが生まれ、精神的に豊かな人生が送れることも事実です。

医療機器メーカーは扱う商材が医療機器であるため、難しいイメージを持たれがちです。

一部の部署はそのイメージ通り専門的な知識も求められますが、営業職はは違います。

営業の部署は常に良い人材を求めています。

高学歴や、専門資格も必要ありません。

働く上でのやりがい、生きがいは後からついてきます。

医療機器メーカーの営業職はとにかくお給料が良いです。

サラリーマンが一生(約40年)働いて稼ぐ平均収入は2億円程ということですが、医療機器メーカーの営業では約10年でその額に到達できるとも言われています。

単純に計算すると、平均の4倍の給与を貰っていることとなります。

そうなると、見える世界や価値観、行動範囲も変わってきます。

私は医療機器メーカーで働いて、知識だけでなく他分野で人脈が作れたこと、お金を稼いだことが今でも財産になっています。

もちろん全ての医療機器メーカーの景気が良いわけでは決してありません。

会社を選ぶ際には、会社の業績や雇用条件をよく調べること、そしてもし営業職を選ぶのであればインセンティブ方式がある会社を私はおすすめします。

この記事が、医療機器メーカーの仕事をしたいと思ったあなたの参考になれば幸いです。

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