就職や転職をする際の仕事選びのなかで、比較的よく目にするジャンルとして「医療」の領域でのお仕事があるかと思います。

日常生活に深く関わる医療の分野だけに、何となく親近感がある一方で、実際にどのようなお仕事があるのかよく分からない業界でもあるのが、この医療という分野になります。

いくつかある医療業界でのお仕事の中で、今回は「医療機器メーカー」とはどのような仕事なのか解説をします。

「医療機器」と言っても、一体どのようなものを取り扱うものなのか、なかなか分かりにくいと思いますので基本的な部分から、メーカーでの仕事の特徴などを詳しく解説していきます。

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医療機器メーカーとはどんな仕事?

先ず「医療機器」について簡単に説明をすると、病院やクリニックなどの「医療機関」において検査や治療などに使用をする専用の機械を「医療機器」と呼びます。

この医療機器は、家庭や企業などで使用される「家電」や「電気機器」などと同じ機能や性能、外観であっても「薬事法」における規制をクリアした厚生労働省が、医療現場での使用を認めた特別な機械となっており、医療機関において、医療行為に使用される機械は、ほぼ全てこの医療機器として認定されたもののみとなります。

このような医療機関向けの医療機器を製造している企業を「医療機器メーカー」と呼びます。

医療機器メーカーでの仕事には、概ね以下のようなものがあります。

  • 医療機器の開発、製造
  • 医療機器の販売
  • 医療機器の修理などのアフターフォロー

上記、3つの仕事が、医療機器メーカーにおける主な業務内容となります。

医療機器メーカーの役割とは?

医療機器メーカーが、市場において果たしている役割にはどのようなものがあるのでしょうか?

医療そのものの発展への寄与

少々大げさに聞こえるかもしれませんが、医療機器メーカーが社会的に果たしている最大の役割りは、医療そのものの発展に対する寄与となります。

「医療行為」そのものは、医者など医療従事者にしか許されていないものとなり、直接的に医療を支え、発展させているのは医療従事者の方々となりますが、その医療行為には、必ず「医療機器」が欠かせない存在としてかかわっています。

医療従事者が行う医療行為を、より安全且つ、より効果的なものとするためには「医療機器」は必要不可欠な道具なのです。

また、新しいテクノロジーを搭載した医療機器が開発されることによって、これまででは実現することが難しかった高度な医療行為を可能とすることによって、医療機器が医療行為の質を向上させることも少なくありません。

このように医療機器メーカーが、医療機関や医療従事者たちと日々、新たな医療機器を開発し、製品化することによって社会全体の健康増進が図られていくというのが、大きな意味での、医療機器メーカーが目指す役割となります。

医療の安全性を保つこと

新たな医療技術の革新を進めていくという、「攻め」の役割りについて触れましたが、もう1つの重要な「守り」の役割りと言えるのが医療の安全性を保つこととなります。

前述の通りに、現代医療では医療機器の存在が不可欠となっており、医療現場と医療機器は切っても切り離せない関係となっています。

医療機器を用いて行われる「手術」や「生命維持」などといった重篤な医療行為は、そこで発生するトラブルが患者さんの生命に直結をするというリスクを常にはらんでいるため、その安全性を保つということは、即ち、社会における生命の安全を守ることと同義となります。

日本全国の医療機関で365日、24時間動き続けている医療機器の安全性を保ち続けるということは、新たな医療技術を生み出していくこと以上に、医療機器メーカーにとっては重要な役割であるということを忘れてはなりません。

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医療機器メーカーの具体的な仕事内容とは?

具体的な業務

新製品の開発

医療機器メーカーに限ったことではありませんが、「メーカー」と呼ばれる製造業の最上流に位置する企業の最大の業務内容は「製品開発」にほかなりません。

製品開発力の差が、企業力の差に直結するほど、新しい技術を生み出していく力、業務というのはメーカーにとっては、最も重要な企業力と言えます。

製品製造

そして、開発の次に重要となるのが、実際に製品として形にしていく「製造」のプロセスです。

いくら優秀なブレーンが揃い、開発を行っていても、安定した「製造」を継続することが難しければビジネスとして事業展開をしていくことは不可能と言えます。

メーカーと呼ばれるポジションの企業にとっては、先ずはこの「開発」と「製造」2つの機能が充実してはじめて安定したビジネスを、より長期にわたって継続することができる源となるのです。

企画・マーケティング

開発や製造よりも、より市場に近いポジションで行われる業務が「企画・マーケティング」部門での業務です。

製造された製品について、どのような形で販売をしていくかを、市場調査や分析作業を行い、計画化するのがこの部門の役割りです。

いかに製品力が高く、革新的な製品だったとしても、市場に対するPR手法や価格などの適正さがなければ、モノは売れません。

医療機器メーカーのように社会性が高く、利益重視ということが表に出しづらい企業と言えども、営利企業である限りには開発・製造した製品が売れなければ全く意味がありません。

そこで、市場においてどのように認知度を高め、効率よく売り上げを上げていくか戦略を考える業務も重要な仕事になります。

営業

市場の最前線となる現場で、売上拡大のために活動を行うのが「営業」部門となります。

医療機器メーカーの場合に、そのユーザーであり、クライアントとなるのは医療従事者となるため、基本的には、病院やクリニックにおいて医者や看護師、検査技士の方々へ直接的な製品PRを行う仕事になりますが、メーカーの多くが「代理店」を活用した間接営業を行うことが中心となるので、医療機器メーカーに所属する営業の場合この代理店に対する販売促進などが営業行為となる場合が多いです。

アフターフォロー

一般的な電気製品などと異なるのが、医療機器については定期的なメンテナンスや修理が必要となる点です。

これらの医療機器に関するメンテナンスの義務は、基本的には医療機関側に課されるものなので、施設で設けている管理基準などに基づいて、定期的なメンテナンスをメーカーに依頼をするのが一般的です。

このようなメンテナンス業務や、故障した機器の修理などを行うこともメーカーにとっては重要な業務となります。

医療機器メーカーはどういう人と仕事で関わるの?

医療機器メーカーの仕事のなかで関わりを持つ人について解説をします。

医者

医療機器メーカーにおいて、最も重要な関わりを持つのが「医者」の方々です。

医療機器を使用できるのは「医療従事者」のみとなり、そのなかでも最も医療機器を重視するユーザーは「医者」の方となります。

開発部門であれば、開発中の機器に対する意見を求めるオブザーバーとして、そして営業の立場であれば直接的な製品ユーザーであり、購入に関する決定権者となる医者の存在を無視することはできません。

看護師、各種技士

医者と同様に、医療機器を使用することができる「医療従事者」に該当するのが看護師、そして検査技士の方々です。

治療機器については、医者のみが使用することとなりますが、心電計や脳波計といった検査機器についてはその使用者は、看護師や技士の方々が中心となるため、彼らも医者同様に重要な製品ユーザーとなります。

販売代理店

営業部門などのメンバーが、最も関わりを持つ人のひとりとなるのが「販売代理店」のメンバーです。

直接営業を医療機関に行わず、販売代理店が代行をしているエリアなどでは、彼らが直接営業を行う重要なキーパーソンとなります。

販売代理店となるのは、その多くが「医療商社」というポジションで、様々なメーカーから製品を仕入れて、医療機関に販売をする企業です。

複数あるメーカーから、自らの企業を選択してもらえるように、日々情報交換を行うことが重要な業務となります。

販売代理店と、確かなパートナーシップを構築するということも、メーカーにおける重要なミッションと言えます。

医療機器メーカーの給料事情は?

医療機器メーカーの給料事情についてですが、給与水準が高いのが特徴と言える業種です。

職種にもよりますが、主任クラスで700~1,000万円、マネージャークラスともなれば1,000万円以上が一般的となります。

医療機器メーカーでやりがいを感じること

医療機器メーカーにおけるやりがいは、どのような部分にあるのでしょうか?

社会貢献度が高い

医療機器メーカーに勤めるなかで、やりがいをもっとも感じられる部分は、「社会貢献度の高さ」にあります。

自らが取り扱う製品が、病気で苦しむ人たちを救い、自分自身や家族などを含めた多くの人たちの健康的な生活を支えていることが、日々の仕事の中で感じられるというのは大きなやりがいとなります。

医療機器メーカーの仕事で大変なこと

医療機器メーカーの仕事において大変な部分とはどこにあるでしょうか?

社会的な責任が大きく、時にはプライベートが犠牲になることも。

やりがいの部分の裏側にあるのが、社会的な責任の大きさとなります。

取り扱う製品に、万が一の不具合や故障が発生してしまうと、患者さんの命が危険にさらされるリスクが医療機器にはあります。

そのため、そのような不具合対応には24時間、365日の対応が求められるため、ときとして夜中や休日などの対応が発生します。

大きな責任のある仕事だからこそ、高い報酬と大きなやりがいがあるということを認識することが需要です。

まとめ

医療機器メーカーでの仕事について解説をしました。

社会における健康を安全に保ち、病気で苦しむ人に将来に対する希望を与えられるのが医療機器メーカーの魅力となります。

反面、大きな責任と常に向き合いながらの仕事となるため、決して楽なことばかりではありませんが、社会的に重要な役割を担い、価値の大きな仕事に従事できることに誇りが持てる、魅力的な仕事でもあります。

給与水準としても高めに設定をされている業界ですので、興味がある方は是非、チャレンジしてみることをオススメします!

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