看護師の業務は、患者さんのベッドサイドで行う看護だけではなく、多岐に渡ります。

特に病棟看護師は、夜勤帯では少人数で全ての患者さんの安全を守らなければなりません。

そのために、様々な業務を協力して行いますが、看護師それぞれに、総合的な視野、判断力が求められます。

今回は、病棟看護師の仕事内容についてお伝えしたいと思います。

病棟看護師の大まかな仕事内容は?

病棟看護師の仕事は、患者さんの命と安全を守ることです。

そして、医師やその他の専門部署と協力をして治療を進めて行きます。

治療には、手術、抗がん剤などを含む薬物療法、放射線治療、精神ケアなど数え上げればきりがありません。

科によっても大きく変わりますが、ここでは、内科・外科混合病棟看護師の役割について説明したいと思います。

病棟看護師の仕事は大きく3個の役割に分けられる 

看護

当然ですが、この役割がメインです。

看護と言っても、ベッドサイドで手当てを行うだけではありません。

患者さんの心身の安全を守るために、様々な角度から状態を把握した上でアセスメントし、根拠を持って看護計画を立てていくのです。

誰一人同じ人間はいませんから、100人いれば100通りの看護計画があるわけです。

看護師は、どうすれば患者の安全を守りつつ治療を進められるのか、常に考え、話し合っています。

技術・知識向上

病棟看護師は、日々時間との戦いです。

計画していた看護の半分もできないことも、珍しくありません。

もっと時間をかけて話を聞きたかった、身体を拭いてあげたかった、など、自分のふがいなさに、日々反省ばかりです。

そんな日々の中、医療はどんどん進歩していきます。

ですから、常に技術や知識の向上をしていかなければなりません。

人材育成

看護師は、素晴らしい仕事だけれど、大変で辛い仕事だという印象があると思います。

現在、看護師不足は大きな問題です。

実際、資格を持っていても看護師として働いていない潜在看護師もかなり多いと言われています。

それでも、毎年新しい看護師が入職してきます。

その希望にあふれた看護師達を支え教育していくことも、先輩看護師の大きな役割です。

教育しながらも、実は自分が学ぶことがとても多いので、後輩指導を経験することも、自分にとって大きな力になります。

看護の8個の業務

情報収集

業務開始前に、必ず情報収集を行います。

受け持ち患者の病状、薬や点滴、リハビリ、入浴や清拭の必要性など、カルテを確認して、その日に行うことを確認します。

受け持ち患者が7人いれば、7人分の情報を確認しておかなければなりません。

ですから、情報収集に慣れるまではかなり時間がかかります。

ですから、それを見込んで出社するなどの工夫をします。

新人看護師にとっては、とても大変で、かなり早い時間に病棟に入って情報収集をする姿も見られます。

ワゴンの準備

電子カルテを乗せたワゴンを一人一台準備します。

そして、血圧計、パルスオキシメーター(血中酸素濃度計)、血糖測定器、グローブ、ごみ袋、手指消毒剤など、当日の看護に必要な物品を揃えていきます。

広い病棟で、ナースステーションと病室を行ったり来たりしなくて済むように、情報収集をしながら、必要物品を考えます。

数が足りないがあれば、声をかけあいながら使うようにします。

食事・清拭・入浴などの確認と依頼

検査や手術の前後では、食事をストップしたり、時間を変更したりする必要があります。

その依頼がきちんと行われているか確認し、抜けがあれば依頼をします。

また、病棟には看護助手が数名いるので、病状が安定して、自分である程度動ける患者に関しては、看護助手に依頼して、タオルを準備してもらったり、シャワーの見守りをしてもらったりします。

また、看護師一人では難しい患者の場合も、身体を支えるための補助をしてもらいます。

助手も、かなり広い範囲の業務を受け持っているので、その依頼も朝のうちにしておきます。

リーダー看護師との業務調整

ナースステーションに常に待機をして、医師や看護師、技師などと連絡を取り合い、看護がスムーズに行えるように統括するのがリーダー看護師です。

一般的に、その病院で決めた年数や規定をパスした看護師が日替わりでリーダー業務を行います。

看護師はベッドサイドに行く前に、リーダーと当日の業務の打ち合わせをし、リーダーに確認してもらうことや、スケジュール調整をしてもらうことを伝えます。

リーダーは、変更や連絡が入り次第、受け持ち看護師に伝えて業務を進めて行きます。

とても重要な業務のひとつです。

ベッドサイドでの看護

これが、一般的に皆さんが思い浮かべる業務だと思います。

挨拶から始まり、ベッドサイドの環境整備、バイタルチェックを行い、当日の検査やリハビリ、点滴の予定などを患者さんと確認します。

病状が軽快して自由に動ける患者さんの場合、病棟外に出かけることも多く、点滴やリハビリの時間になっても帰ってこないことや、点滴をしたまま散歩しているうちに、点滴が終わってしまって、点滴ルートが詰まってしまうこともありますので、注意が必要です。

忘れやすいことは紙に書いてベッドサイドに貼っておき、誰が見てもわかるようにします。

また、患者の様子を観察し、必要であれば時間を作って話を聞くこともあります。

手術や検査の準備

手術や検査を安全に受けられるように準備をすることも大切な業務です。

手術や検査の内容説明と、術前術後に必要な訓練(寝たままのうがい、痛みの少ない起き上がり方、呼吸訓練など)、食事制限や着替え、家族への連絡、同意書の準備など、どれも必ず時間までに済ませ、呼ばれたらすぐに向かえるようにしておかなければなりません。

引き継ぎ

自分の業務時間が終わったら、次の勤務帯の看護師に引き継ぎます。

引き継ぐ看護師も情報収集をしていますので、その日あったトピックや必要事項を簡潔に伝えていきます。

事故を防ぐためにも、出来るだけ途中になっていることは自分で解決してから引き継ぐようにするほうが安全です。

ワゴンも清潔にし、整頓してから受け渡します。

記録

業務が終わり、同じ勤務帯の看護師の業務の手伝いが必要ないか確認をしてから記録に入ります。

看護をしながら、その場で電子カルテに記載できなかったことを、改めて整理して記録していきます。

ここで、必要なことを簡潔に記録することで、次の情報収集がしやすくなります。

記録が全て終わったら、業務終了です。

技術・知識向上のための3個の業務

勉強会への出席

病院の規模によっても違いますが、定期的に様々な部署が主催する、勉強会が開かれます。

基本的には、日勤から夜勤に引き継ぎが終わる時間帯で行われますが、なかなか理想通りに業務は終わりません。

ですが、勉強会の予定も頭に入れて、業務をうまく調整して出席をするようにします。

筆者も、何とか引き継ぎまで終わらせて、後でも問題ない記録を残して勉強会に出席し、また記録に戻るというようなスケジューリングをしていました。

研修や技術テスト、レポート作成

病院で決められた教育方針に基づき、一年ごとに研修スケジュールが組まれており、技術テストやレポートの提出が決められています。

例えば1年目は採血、2年目から3年目で点滴ルートの留置、その後リーダー研修など、少しずつレベルアップしていきます。

研修では、別の病棟の同期と一緒に行うため、研修を通して結束が固まっていきます。

専門看護師、認定看護師、看護学校教員への道

経験を積んでいくと、自分の興味の深い分野が見えてきます。

そして、病院の協力を得ながら、専門的な分野の勉強をすることができます。

専門看護師には、がん専門・小児専門・家族支援専門など11種類、認定看護師には、緩和ケア・皮膚排泄ケア、感染看護など21種類があり、あらゆる専門看護の技術と知識が学べます。

また、看護学生の実習受け入れなどで、教育分野に興味を持った看護師は、看護学校教員のための特別なカリキュラムを受けることで、資格を得ることができます。

人材育成の2個の業務

プリセプター

プリセプターとは、新人看護師の教育係のことです。

ちなみに、教育される新人看護師はプリセプティと呼ばれます。

何でも相談できるお姉さん的な役割で、業務や技術、知識面はもちろん、精神的にも支えになってくれます。

プリセプターの上にも、もう一人指導係がつき、総合的なアドバイザーとなります。

このプリセプターは、だいたい4年目くらいから行いますが、指導することの難しさや、プリセプティが成長する姿をみられる喜びや、逆に大切なことに気づかされることもあり、指導側にも大変有益な経験となります。

看護学生の受け入れ

看護師の役割には、看護学生の指導もあります。

病棟では学生指導看護師が決まっており、全面的にサポートしていきますが、その他の看護師は、普段の業務をしながら見守りや指導をします。

学生の実習計画を確認し、見守りが必要な技術の場合は一緒に立ち会います。

とにかく忙しい看護師の先輩方に質問するだけでも、学生にとっては大変なことですが、先輩看護師も、自分の業務で手一杯な中、なんとか学生の指導をする時間をやりくりして作ります。

その実習を通して、働きたい病院を決める学生も少なくありません。

とにかく、看護学生の実習は体力的、精神的に過酷を極めますので、先輩看護師にとっても、学生時代の実習は、それぞれ、苦い思い出も良い思い出もるはずです。

ですから、学生をきちんと指導したいという気持ちが強いです。

病棟看護師に向いている人 

看護師にも色々あります。

クリニック勤務や、健診センターなど、様々な舞台で活躍している看護師ですが、病棟看護師には、どのような人が向いているのでしょうか。

コミュニケーション能力が高い人

病棟では、コミュニケーションを密に取り合い、看護を進めて行きます。

報告なしに黙々と業務を進めるのは、事故の元です。

看護師は複数の患者を受け持っていますので、同時に看護が必要になることもあります。

その時は、他の看護師が対処をして、きちんと報告をします。

コミュニケーション能力が高ければ高いほど、安全な看護が提供できると言えます。

視野が広い人

複数の業務の優先順位を考えながら進めなければいけないため、常にあちこちにアンテナを張っていなければなりません。

近年では、看護師二人でペアを組んで看護をする病院も増えてきていますが、その場合は、相手の行動を確認しながら自分も動きます。

ナースコールや、すれ違う患者さんの様子、ベッドサイドの環境、ナースステーションの様子なども、常に観察しながら動き、視野を広く持って行動することがとても大切です。

スケジューリングが上手な人

病棟看護は、スケジューリングが命です。

情報収集をしながら優先順位を素早く考え、一日のスケジュールを組み立てていく必要があります。

同時にできること、病棟を離れなければいけないこと、時間が決まっている処置など、色々ある中で、優先順位が高い順に決定していき、その合間にできることを効率良く組み立てます。

病棟看護師の大変な点や難しい点

病棟は、当然ですが、24時間365日ノンストップです。

皆が一丸となって、バトンを渡しながら、看護を絶やさずに提供しなければなりません。

大変なことは様々ですが、特に大変な点をまとめてみました。

シフト勤務

病棟勤務では、夜勤があります。

病院によってシフトも違いますが、2交代の場合は夜勤帯を含む長時間勤務になります。

その勤務を乗り切るため、夜勤帯の休憩できちんと仮眠することに、慣れることが大切です。

休息が取れないまま勤務を続けては、安全に看護ができません。

そして、一人でもダウンしてしまうと、患者さん一人に対する看護師の数が減ってしまいます。

シフトに合わせて、体調管理をすることも看護師の大切な仕事です。

他職種との連携

病院では、病棟での看護だけでなく、他職種とも話し合いながら必要な看護を行っていきます。

医師はもちろん、専門看護師、認定看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士など、様々な科との連携が必要です。

毎日の看護で手一杯になってしまうと、なかなか相談する時間が取れず、もどかしい思いをすることがありますが、病棟カンファレンスで出来るだけ話し合うようにして、問題を解決していきます。

精神面のケア

いつも時間に追われている病棟看護師。

患者さんは、そんな看護師の姿をよく見ています。

「忙しそうだから」と気を使って言いたいことを言えない患者さんもいます。

そして、思いを吐き出せないまま、心に溜めてしまうこともあり、精神的な苦痛に繋がってしまいます。

ですから、ベッドサイドにいる少しの時間で、きちんと患者の体調と表情、言動を観察し、必要な時には時間をつくって、患者の心の声に耳を傾ける必要があります。

家族看護

患者だけでなく、その家族も看護の対象です。

なぜなら、大切な家族の危機に直面し、家族も様々な危機に陥っているからです。

ご家族の様子もきちんと観察し、安心してもらえるように声掛けをし、要望があれば出来る限り話を聞いて、相談に乗るようにします。

専門家のアドバイスが必要であれば、他職種にきちんと引き継ぎます。

病棟看護師の仕事の良いところ

やりがいを感じるポイント

看護師は、患者の安全と病状の改善を願って、日々看護を続けます。

その中で、病棟看護師にしか味わえない気持ちや、やりがいがあります。

入院から退院まで見守ることができる

手術や処置などによって期間はそれぞれですが、患者さんとは一定の期間毎日顔を合わせます。

入院当初から見守り、適切な医療と看護の提供により、病状が改善していくのを見るのは、大変嬉しいことです。

そして、元気に退院される姿を見るのは、これ以上ない喜びです。

心の交流

患者にとって、頻繁に受け持ちになって、自分のことをよく分かってくれている看護師は、安心できるものです。

担当になって、ベッドサイドに行ったときに、「あら、またあなたで嬉しいわ。」などの声を聞くと、とても嬉しかったものです。

特に新人看護師のうちは、知識と技術が追い付かず、とにかく患者に対する思いだけで突っ走っていましたが、そんな姿を見て、「いつも優しくしてくれてありがとう。良い看護師になってね。」と言って下さる方もいました。

そんな心の交流は、忘れられない宝物になります。

看護師同志の信頼関係

病棟では、看護師歴30年以上のベテラン看護師から、新人看護師まで、様々なキャリアの看護師が一緒に働きます。

もちろん、命を預かる厳しい仕事ですから、仲良く楽しく、ではありません。

新人の時は、毎日厳しく指導され、いつも落ち込んでいました。

でも、それは患者の安全第一だからこそで、当たり前のことです。

でも、何かあった時には、その厳しい先輩方が助けてくれました。

どうしていいか分からない私を冷静に導いて、一緒に軌道修正をしてくれ、どうしてミスが起こったのか、残業して一緒に考えてくれました。

そうやって、信頼関係が築かれていくのは、病棟看護師のやりがいの一つになります。

メリット 

病棟で働くと、看護の一連の流れをひと通り学ぶことが出来ます。

始めの何年かは、かなり厳しいですが、そこで学んだことは、その後の看護師人生において大きな力になります。

具体的に、どんなメリットが考えられるでしょうか。

看護技術

採血、注射、点滴ルート留置、医師の処置の補助、清拭、点滴や胃瘻の管理など、看護技術の基礎が身につきます。

病院の規定によって、その都度テストを行い、チェックをしてもらえるので、安心して看護に活かすことができます。

最新の看護

医療も看護も日々進化していきます。

病棟看護師は、前述したように、勉強会や研修によって、看護を学び続けていくことができます。

また、病院内の専門看護師、認定看護師が習得した最新の知識や技術を共有することができるのも大きなメリットですから、積極的に勉強会に参加することをお勧めします。

収入の安定

看護師は高収入だと言われています。

ですが、それは病院によっても違いますし、一概には言えません。

ただ、夜勤をすることによって、夜勤手当がつくのでその分収入が増えるということです。

でも、夜勤は精神的にも体力的にも厳しいですから、金額だけを見て、収入が多くていいね、ということにはなりません。

それだけ責任のある仕事を、長時間しているので、手当が付くのは当然と言えます。

それに、高齢社会の今、看護師の需要が減ることはまずありませんから、安定した仕事であると言えます。

まとめ

いかがですか?

病棟看護師の仕事が少しご理解いただけたでしょうか。

筆者自身は、素晴らしい仕事だと思っていますが、本当に厳しい世界だとも実感しています。

患者に対する奉仕の心がなければやっていけない一方、実は、患者さんから得ることがとても多く、人生においてとてもいい経験になります。

実際に、看護しているつもりが、逆に元気づけられることばかりでした。

病棟看護師だから得られる大きなやりがいと喜びは、経験してみないと決して分からないと思います。

そんな経験をしてみたい方は、是非チャレンジしてみてください。


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