精神科の看護師が向いている人の7個の特徴や必要なスキル・適性とは?
精神科看護師求人が気になっている方は参考までにご覧ください。
精神科は「難しそう」「しんどそう」「身体が大変そう」といったイメージがあるかと思います。
もちろんそういった部分もありますが、それ故に精神科の職場では看護師が仕事を続けやすいように様々な方策がとられています。
ここでは、精神科看護師の求人の募集内容や、精神科の経験がない方が気になると思われる疑問にお答えしていきます。
精神科看護師のおおまかな仕事内容
患者さんの状態を把握する
患者さんの状態を把握することは、看護師であれば必要な仕事です。
もちろん精神科も例外ではありません。
バイタルサインはもとより精神的な症状も把握していきます。
精神疾患の患者さんは自分の状態を直接表現できない場合もあります。
また精神症状ではなく身体症状を訴える手段として、例えば「誰かがお腹の中にいる」などと幻覚や妄想のような表現をすることもあります。
そのため、患者さんの訴えていることは精神症状なのか、それとも身体症状なのかといった判断も必要になってきます。
精神的サポートとケア
精神疾患の治療では医師の治療や投薬はもちろん重要なのですが、周りの人々のサポートやケアが治癒や寛解に向けて最も重要になってきます。
入院している患者さんは看護師が関わることが一番多く、看護師の対応一つで患者さんの治療が進んだり滞ったりするとも言われます。
適切なサポートをするためには、患者さんと信頼関係を築くことが大切です。
ADL(日常生活動作)の介助
精神疾患の患者さんは自力でADLを充足できない場合があります。
精神症状によって例えば「やる気がでない」「やり方が思い出せない」「なぜしなきゃいけないか分からない」ということもあれば、「特定のスタッフがいないとやりたくない」といったこともあります。
更に拘束を行っている患者さんは危険防止のため自分で動くことを抑制されていますので、やはりADLは自力充足困難となります。
患者さんがADLを充足できるように環境調整を行ったり介助したりすることも、仕事の一つです。
暴力・暴言の対応
精神科ではどうしても患者さんからの暴力や暴言は外せない問題となります。
精神状態が不安定な患者さんは、自分に対して害をなすと感じると拒否的行動として暴力や暴言に訴える場合があります。
そういう場合は患者さんを守りつつ、自分達の身も守らなければなりません。
複数のスタッフで患者さんを抑えたり、医師に対して診察を依頼し、法律に基づいて隔離や拘束を行うことがあります。
このような場合でも決して一人きりで対応することはないので、不安に思う必要はありません。
精神科看護師求人でよくある募集内容とは?
精神科の看護師を目指す場合、最も手っ取り早いのは精神科単科の病院に就職することです。
いわゆる総合病院にも精神科はありますが、そういった病院では精神科単独の求人というのはありません。
そのため、ここでは精神科単科の病院の求人について紹介します。
給与相場
精神科と言えど看護師ですので、一般科の病院と給与相場は大きく違いません。
正職員で新卒の正看護師の場合で、諸手当込み年収300万円〜500万円といったところです。
看護師は基本給以外に夜勤手当や時間外手当がありますので、夜勤回数や時間外勤務の時間によって収入は大きく変わります。
精神科独自の手当として、一部の病院に設定されている危険手当が挙げられます。
精神疾患の患者さんから暴力を受けるリスクを考慮し設定されているようです。
勤務時間や休日、残業
病棟勤務では二交替もしくは三交替です。
これは一般科の病院と変わりありません。
休日についても、シフトで決まってきます。
残業ですが、精神科では比較的少ないと言われています。
ただし患者さんが病院から失踪したりする場合もあり、その時は時間外労働や休日でも緊急の呼び出しなどで捜索にあたったりもします。
福利厚生
精神科は患者さんとの関わり方が重要とされるので、スタッフも精神的なストレスにさらされやすい職場と言えます。
そのため、一般的な病院と同等またはそれ以上の福利厚生が整えられている場合がほとんどです。
求められる人物像・性格特性
看護師資格を持っていれば誰でも精神科看護師になることができますが、やはり向き不向きがあるのも事実です。
精神科看護師として求められている人物像を紹介します。
優しい人・性格
看護師に対する一般的なイメージとして「優しそう」というものがあるかと思いますが、人あたりが良く優しい人は精神科に特に向いています。
相手の立場に立って物事を考え、思いやりを持って優しく接することができる人は、精神科の看護師に向いています。
しかし、ただ優しいだけではだめです。
次に挙げる人物像・性格もまた必要になります。
冷静に物事を考えられる
精神科、特に閉鎖病棟に入院している患者さんは、スタッフのことをよく観察しています。
閉鎖病棟では患者さんと関わる人は、自分以外の患者と病棟の看護師や補助者、医師など限定的な状態になっています。
患者さんの中には、病院や病棟の規則に反していても自分のやりたいことを実現するためにスタッフを取り込んでしまおうとする人も少なからず存在します。
そういった場合に、優しいけれども冷静になれない看護師やスタッフは格好のターゲットになってしまいます。
病院や病棟の規則は治療のために設けられているものであり、例え患者さんのお願いでも最低限必要なラインは守らなければなりません。
時にはできないことはできないとキッパリと伝えたり、距離を置いたりすることができる冷静さが必要になります。
人の話をじっくりと聴くことができる
精神科では患者さんの心のケアが必須です。
そこで、患者さんとのコミュニケーションが非常に重要となります。
他人と話をするのが苦にならない性格であると同時に、人の話をじっくりと聴くことができない人は患者さんと良好なコミュニケーションを取ることができません。
心のケアのためには、看護師が一方的に話をするのではなく患者さんの話をじっくりと傾聴する姿勢が求められます。
相手のペースに合わせて行動できる
精神科ではその病態によって、一般科よりも長期間にわたって入院している患者さんも少なくありません。
1年2年はもちろんのこと、長い場合だと50年以上になっている方もいます。
長期間入院している患者さんに対しては、やはりゆっくりと時間をかけて看護していくことになります。
そのため、患者さんのペースに合わせることができる性格の方が精神科看護師には向いていると思います。
完璧を求めない
骨折や外傷の治療とは違って、精神科の治療では治療計画や看護計画通りに行かないことの方が多いと思ってください。
症状が落ち着いていると思ったら、次の日にはかなり悪い状態になっていることは往々にしてあります。
看護計画を立てたとしても、その通りに進むことはむしろ少ないかもしれません。
そういう点では、完璧に計画をこなそうとしない、完璧を求めない性格の方が向いているかもしれませんね。
体力がある
暴れたり興奮したりしている患者さんを抑える時はもちろん、夜中にひたすら起き続けている患者さんと関わる際にはどうしても体力が必要になってきます。
個人的にジムに通って鍛えたり、ランニングやサイクリングをしたりしている看護師も多くいます。
精神科の看護師が向いている人の特徴は、こちらの記事を参考に!
必要なスキルや資格、経験
看護師または准看護師の資格があれば、精神科看護師になることができます。
新卒やブランクがあっても問題ありません。
精神科看護師おすすめ求人のポイント
精神科看護師の求人で、一般科と比較して特におすすめできるポイントを紹介します。
残業が比較的少ない
一般科の病院では業務に追われてなかなかカルテ記載ができなかったり、夕方に緊急入院が入ったりして何時間も残業せざるを得ない…などといったことがあるようです。
精神科では急性期病棟を除いて入退院が少なく、また業務も比較的少ないことから、何時間も残業せざるを得ないようなことは少ないようです。
急性期病棟についても、入退院が多いとは言え何時間もかかるようなことはないようです。
尚、朝食や夕食の介助のために、残業や早出がシフトに組み込まれている場合はあります。
この場合も、するべき業務が終われば帰ることが可能です。
その他に突発的な急変や救急対応がないわけではないですが、精神科では急変は多くなく、救急車で搬送されてくる患者さんもさほど多くありません。
実際の残業時間は求人情報では分からない部分もありますが、精神科ではこういった傾向です。
ワークライフバランスが充実させやすい
残業が少ないことと関連しますが、仕事が終わった後の予定を入れやすいのでプライベートの充実に繋げることができます。
またシフト勤務で曜日に関わらず希望した休みを取りやすいことから、子どもの学校行事や夏休みの家族旅行なども比較的計画しやすいです。
病院によっては、リフレッシュ休暇や院内のスポーツサークルなどで気分転換や趣味活動をサポートする制度が充実している場合もあります。
こういう部分はしっかりと確認する必要があると思います。
充実したスキルアップ制度
新卒ではプリセプター制度、中途採用ではクリニカルラダー制度を用いて院内外の研修に参加し、精神科看護師としてのスキルアップを病院としてサポートしています。
院外の研修では日本看護協会や日本看護連盟の研修はもちろん、精神科看護師の団体である日本精神科看護協会(日精看)の研修もあります。
スキルアップ制度が充実しているかどうかは、看護師としてステップアップするために欠かせない項目です。
二交替か三交替か
精神科に限りませんが、二交替か三交替かは求人を見ていく上で注意すべきポイントになります。
自分がどちらで働く方が楽かはよく見極めておく必要があります。
筆者の働く病院では両方あって、比較的忙しい病棟は三交替、そうでもない病棟は二交替だと言われていますが、病院によって全ての病棟が二交替または三交替の場合もあります。
求人を見る際は、どのような交替勤務体制をとっているかについても確認しておいた方が良いかと思います。
精神科看護師についてよくある疑問
精神科看護師として働きたいと思っている人が抱く疑問をピックアップしてお答えしていきます。
面接ではどんなことを訊かれますか?
なぜ精神科で働きたいのかを訊かれることが多いようです。
また病院によっては、どのような病棟で働きたいかを訊かれることもあるようです。
精神科の急性期病棟や慢性期病棟などいくつかに分けている場合は特に理由を訊かれます。
夜勤ができるかどうかも問われるかもしれませんが、夜勤ができなくても日勤のみの勤務ができる場合もありますので、事情を説明して働きたいという熱意をアピールすると良いでしょう。
精神科未経験ですが、大丈夫ですか?
全く問題ありません。
精神科看護師の中には、一般科から精神科に転職や異動してきた看護師も数多くいます。
また新卒でも精神科を選択し、看護師としてキャリアを積んでいる人もいます。
精神科では一般科とやや異なった対応が求められる部分はありますが、院内外の研修や先輩達からのOJTにより学んで成長することができます。
職場の雰囲気はどうですか?
病院や病棟により異なる面はありますが、一般科と比べれば落ち着いた雰囲気です。
精神科の看護師は、例えば救急の看護師よりも優しく落ち着いた雰囲気で、ある意味のんびりしているところもあります。
また、男性看護師が多く活躍しており、病院によっては男性の師長もいるので、女性だけの職場とは違った雰囲気ではないでしょうか。
患者さんは怖くないですか?
感じ方は人それぞれかと思いますが、筆者は怖くないです。
もちろん、精神疾患の患者さんは突然大声を上げたり暴れたりすることはあります。
しかしそれらは病気がそうさせている面がありますので、落ち着いた時は本当に穏やかに話ができたりします。
自分達でも不快な時には怒ったり叫んだりすることありますが、患者さんはその発露が唐突だったり普通と違う状況やタイミングであるわけです。
驚きはしますが、疾患のせいだと思えば怖いとは思いません。
医療行為が少ないのでは?
確かに、精神科では医療行為…例えば注射や外科的処置などは少ないのが事実です。
そのため、そのような行為をバリバリ行いたい人には向いていないかもしれません。
しかし看護師は、医療行為だけでなく患者さんとのコミュニケーションもまた大切だと思います。
精神科ではコミュニケーション能力を鍛えることができますので、もし将来一般科へ転職しても役立つことでしょう。
大変なことはありますか?
患者さんが暴れたりしているとどうしても力尽くで抑えなければならなくなる場面がありますので、そういった時は大変と感じることがあります。
しかし暴れた患者さんが落ち着かれた後で笑顔で会話できたりしたときには、やりがいを感じるのも事実です。
まとめ
精神科の看護師の特徴や求人について紹介してきました。
精神科は一般科と比較するとコミュニケーションに重きが置かれており、自分の対人能力を試すことができます。
また落ち着いた雰囲気で仕事ができるため、自分が行いたい看護をしっかりと実践していくことも可能です。
ぜひ皆さんも精神科で看護師をしてみませんか?
~自分にはどの看護師の仕事が向いているか?~
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