人が精神科を受診すると聞いてあなたはどう思いますか?

自分ではないので興味が湧かないでしょうか?

それとも気の毒にと同情するでしょうか?

長い人生の合間には、家族との別れや大事なものの喪失・思わぬ大病・金銭的な不幸・災害など予想外のトラブルがあるものです。

そのような大きなストレスに見舞われると、精神的なダメージを負うことは知られています。

が、同じ規模のストレスに会っても精神的ダメージを負う人とそうではない人がいるのも、また事実です。

あるいはそのようなストレスとは何ら因果関係を認めず、発症してしまう精神疾患もあります。

人間の不思議ですね。

精神科とは一体どんな場所で、そこで働く看護師とは一体どんな存在なのか、メリットなど気になるところです。

「看護師」が自分に向いているか診断するにはこちら →

精神科の看護師の仕事内容は?

精神科では主に患者さんの全体像を常に観察しています。

もっとも、同じ精神科といっても救急体制を敷いていたり、急性期だったり慢性期だったり回復期だったりとそれによって仕事内容も違います。

患者さんとの対話も重要ですが、対話を嫌がる患者さんもいますので、寄り添って見守るだけの場合もあります。

いずれにしても患者さんの生活上の不利を排除して、少しでも社会復帰に近づけるよう寄り添う看護をしています。

薬の効果を確認する

精神科の治療は薬物治療とカウンセリングが主体です。

カウンセリングは特に看護師が関わることはないと思われます。

薬物治療は生活上でのその薬物の効果や副作用の発現を看護師が観察していくのですが、これが結構難しいのです。

一人の患者さんに対してかなりの数の薬が投薬されるのが普通ですし、精神科で使用する薬は次々と新薬が開発されているので、新たに勉強する必要があります。

昔から精神科といえば薬の煩雑さが挙げられましたが、今では更に知識の飛躍が求められているのではないでしょうか。

それでも薬が実際に及ぼす効果を確認するためには、看護師の観察が必要なのです。

記録にそれを記すことで医師もその効果の程を知ることができるわけです。

患者さんの傍にいる

急性期の患者さんにとっては傍にどんな人間がいようが関係ないかもしれません。

病状が落ち着くにつれて、誰かが傍にいてくれるのがほっとすると同時に安心できる根元ともなります。

たとえ言葉や態度で表さなくても、長く傍にいて自分を否定せず見守ってくれる人がいるのは患者さんにとって心の拠り所にもなります。

その人が自分らしくいられる環境を尊重することが精神科看護師の役割だと思います。

社会復帰を促す

日本の精神科入院歴の長さは世界でも有数ですが、最近は少しずつ変化してきているようです。

社会復帰のための訓練を入院期間中や、退院後も継続していく、できれば意欲を持って長続きできるように援助する、そのような取り組みがチーム医療で行われています。

精神科看護師の仕事内容は、こちらの記事も参考に!

精神科の看護師の仕事は他の科とどう違う?

たとえば眼科なら目のことだけに焦点を当てて治療や看護をしますよね?

他の科も大体似たようなもので、主眼となる疾患に限って治療をしていくことと思います。

しかし、精神科は主眼がその患者さん本人となる点が違います。

看護がその人の全体像を把握する必要があるのは確かなのですが、なかなか普通の診療科目ではそのような理想通りにはいかないのが現実です。

精神科はダイレクトにその患者さん本人の全体像を把握しなくては進まない科目なのです。

時間的な余裕があるように見える

急性期以外なら比較的に余裕があると思われます。

精神科でも急性期ならバタバタしていて慌ただしいものですが、それ以外だとゆったりと時間が流れているように感じるものです。

これはそのような配慮もあるし、急性期を脱した患者さんは興奮状態にはない場合が多いのもあると思います。

そのため一日を通してのんびりとした時間を過ごしているような感覚にもなるのですが、看護師は記録や観察・洞察といった作業を怠ることなくやっているのです。

安全と危険についての対策を要とする

身体拘束はできるだけ避けなければいけないのは常識なのですが、精神科ではどうしても患者さん自身や他人への危害の恐れから身体拘束をせざるを得ない実情があります。

人は体を動かせないと、循環障害やエコノミークラス症候群・廃用性症候群というような深刻な影響を体に与えることがありますので、そういった悪影響をできるだけ及ぼさせない工夫と生活上の援助を看護師は行います。

そして入院生活上での危険の除去(その患者さんにとって危険と考えられるあらゆる要素)を含めた安全対策が重要となります。

看護記録が重要

これは施設によっても違うのかもしれませんが、私の知る範囲では精神科は看護の業務の中でも看護記録 が重点を占めるようです。

「日々の観察や判断を全て記録に残す必要がある」や「身体拘束をしている患者さんは特にそう」といった声があります。

記録の仕方に悩むという看護師もいるようですね。

「看護師」が自分に向いているか診断するにはこちら →

看護師として精神科で働くメリット6選 

精神科で働く看護師の多くがやりがいを感じて業務に励んでいます。

長く続ければ続けるほど、精神科看護の奥深さを知りその道のエキスパートに進む人もいます。

精神科での勤務が看護師にとってどのように魅力的なのか、そのメリットについてお話していきますね。

時間外勤務がほとんどない

精神科では突発的で予測できないような、慌ただしい場面はほとんどありません。

急変もほとんどないので急性期以外なら、その日の業務が終われば定時で帰れると思います。

そのため仕事が終わってからのプライベートの予定も組みやすいのがメリットといえるでしょう。

身体面での疲労が少ない

処置や検査など何かと時間に追われる業務が多い他の科に較べて、それらの時間があまりないのでゆったりと患者さんに関わることができます。

そのため、体の疲労度が少ないのがメリットの一つといえます。

これは結構、大切な事柄だと個人的に考えるのですが、やはり身体面での疲労が募っていくと人はどうしてもゆとりを持つことができません。

身体の疲労は精神面での余裕を持つ幅を削っていく可能性もあります。

もちろん身体面での疲労があって、体で身に付くスキルもあることは否定できません。

若いうちはそのような体験をどんどん、していくべきだと思うし体力と気力が充実していれば、若くなくともそれは可能でしょう。

自分が何を求めているかで変わることですが、身体面での疲労を少なくしたいと思う人は精神科はお勧めの科の一つです。

患者さんの変化に気がつくことができる

精神科の患者さんは、自分の意思や思いを適切に言葉で表現することが難しい患者さんが多いのですが、一人の患者さんとじっくり向き合うことでその人の言葉に出さない思いや感情を、看護師は読み取ることができます。

例えば普段の行動様式からちょっと外れた事をその患者さんが行っていたら、看護師は「あら、いつものあれをしないわね」と不信に思い、患者さんの症状の悪化の前触れかもと予測します。

もちろん、このような予測がいつも当たるわけではないのですが、患者さんの日々の生活や行動を把握している看護師は、ちょっとした患者さんの変化を敏感に捉えることが可能です。

それは、治療の手助けともなります。

患者さんとの信頼関係を築くことができる

長く患者さんと関わっていくうちに、その人の病状や性格、背景にある問題点などを理解するようになり、患者さんからも信頼されるようになります。

信頼感を表す仕草を患者さんがみせてくれるようになると、やはりこの仕事をやっていてよかったと嬉しくなるものです。

普段、滅多に笑顔をみせてくれない患者さんが笑ってくれたり、「ありがとう」などの言葉を聞くことは精神科看護の醍醐味かもしれません。

コミュニケーション能力が磨かれる

精神科では対話が重要です。

そして、人の行動の意味を考えることも重要です。

ある患者さんが自分には心を開いてくれないのに、別のスタッフにはいろいろな話をして信頼関係を築いているような場合があります。

このような時はどうしても悩みますが、患者さんにとってはそのスタッフと一緒にいることで居心地の良さを感じることが多いものです。

自分が未熟だからもっと勉強する必要がある、と奮起したり、あるいは人には様々なコミュニケーションの方法があるのだから、そのスタッフとは違う方法で対処してみようと考えたり。

一人の患者さんに対するコミュニケーションのアプローチの仕方も多角的に捉えられるように成長します。

精神科では人とコミュニケーションをとるのがいかに難しいかを理解でき、その能力が鍛えられます。

将来の仕事の選択肢が広まる

人間の心理面・精神状態への知識を持つことで、今後の仕事の選択肢も広めることができます。

医療関係では同じく精神科なら経験者として、職場を変えても優遇されることでしょうし、他の診療科でも特に最近は高齢者の増加に伴って認知症の患者さんがどこの病院にもいますので、精神科のスキルを活かすことができるでしょう。

その後のキャリアについて

人の心理について精通し、コミュニケーション能力も備わっていれば、精神科看護のプロとしてそのまま進むこともできますが、医療の現場以外にもこのスキルが有利になることがあります。

精神科の専門ナースになる

精神科認定看護師や日本精神科医学会認定看護師、または精神看護専門看護師などのスペシャリストを目指す道があります。

それぞれ条件や研修内容は違いますが、いずれにしても精神科分野を極めたい人にはお勧めで、自分の成長の糧ともなるでしょう。

他には、認知症認定看護師や認知症ケア専門士などの資格があります。

増え続ける認知症の人への支援を行いたい看護師に人気の資格でもありますね。

それ以外にも心理カウンセラーの資格を取りたいという人もいます。

医療現場以外にも活躍の機会はある

ストレス社会の今は、大きな企業なら定期的にストレスチェックも実施されているように、メンタルヘルスへの関心が高まっています。

企業の産業看護師は、精神科での経験が活かせるものの一つと思います。

医療関係でなくとも、人を癒す、人の話を聴くことが主要な職業ならこの精神科でのスキルは活かせます。

例えば、心理カウンセラー、接客業、営業職など様々です。

自分にあった精神科看護師求人の選び方

一口に精神科といっても、働き方はいろいろです。

病院かクリニックか、訪問看護かといった選択肢もありますし、病院でも急性期、救命、慢性期などに分かれていてその仕事内容も違います。

【選び方①】雇用形態から探す

子供が小さかったり家族の事情から、時間の融通が利く職場環境を叶えたい時はパートを選ぶという方法があります。

実際、精神科ナースの平均年齢は結構高くなっています。

これはある程度、他の科で経験を積んでから精神科に移る人が多いせいもあるかと思いますが。

常勤の職員としてもパートとしても、自分の生き方に沿った雇用形態を選べます。

【選び方②】給与や雇用条件から考える

転職の際は看護師の求人サイトに登録して、いろいろと条件を見比べてみるといいですね。

自分の望む、給与や雇用条件などの細かな所を担当者に伝えて情報を教えてもらえるので便利ですよ。

【選び方③】業態から考える

病院でも病棟によって業務が大きく変わるのが精神科です。

急性期や救命なら一般科とほぼ同じような看護を提供することとなるでしょう。

慢性期だと、一般科で行われる看護ケアや処置は極端に少なく、その分一人の患者さんとの対話が主な仕事となります。

その業務内容から自分がやりたい看護を考えて、病院を選ぶ必要があります。

病院以外では、クリニックや訪問看護ステーションなどでの精神科を選択するという手もあります。

自宅で生活する患者さんの生活支援やケアを行いますが、症状は安定している患者さんが多いのでスタッフも余裕を持って患者さんと接することができるのが魅力ですね。

「看護師」が自分に向いているか診断するにはこちら →

まとめ

心の不調が体に影響を及ぼすことは幅広く知られています。

昨今は、依存症の分類も多く付け加えられるようになりました。

メンタルヘルスへの関心が高まりつつありますね。

それだけに、看護師なら精神科看護をいずれしてみたいと願う人は多いようです。

精神科という分野は人を惹きつける魅力があるのかもしれません。


関連キーワード

精神科看護師求人

精神科看護師求人についてもっと深堀りした情報を見る

精神科看護師の転職を成功させるために!狙い目な病院の3個の特徴と上手に転職するための3個の注意点

精神科の病院と言うと、皆さんはどのようなイメージをお持ちですか?看護師の皆さんなら、必ず一度は実習で行っているはずです。その実習で、精神科看護は「好き」と「嫌い」がはっきり分かれる分野ではないでしょうか。私は実習での経験から、「怖い」「大嫌い」というイメージを強くしたため、新卒で選んだ病院は精神科の(絶対)ない、急性期の総合病院でした。私と同じように、精神科は「怖い」「独特」などのイメージを持っている人も多いと思います。そんな私が、ひょんなきっかけから精神科単科の病院に転職した経験を基に、精神科の転職について書いてみたいと思います。精神科看護師の転職で注意したほうが良い3個のことこんなはずじゃ

精神科看護師の仕事はどんな人に向いているの?向き不向きやキャリアについて解説します

精神科看護師と聞くとどのようなイメージがありますか?医療行為が少ない分楽な印象もあるでしょうか。私自身も興味がある分野でありながら、なかなか選択肢には上がりませんでした。子育てをきっかけに、現在は精神科病棟の亜急性期病棟で勤務していますが、定時で仕事が終了することがほとんどで、プライベートとの両立はしやすいといえます。一般科に比べて男性スタッフも多く、また新人からベテランまでさまざまな看護師がいます。どのような人が精神科看護師の仕事に向いているのでしょうか。精神科の看護師はどんな仕事?一般科に比べて圧倒的に点滴などの医療行為は少ないです。ですが患者さんへの投薬、食事や生活についてのアドバイス、


精神科看護師求人に関するコラム

精神科看護師の給料はどのくらい?私の周りの相場や給料の決まり方を紹介します

大変そうなイメージを持たれやすい精神科の看護師ですが、どんな仕事をしていて、どれくらいの給料をもらっているか気になりませんか?ここではそんな精神科看護師の給料について紹介します。精神科看護師の仕事内容は?そもそも精神科看護師はどのような仕事をしているかを紹介します。患者さんの症状や精神状態、身体症状の把握バイタルサインはもちろんですが、精神科ではそれ以上に精神状態の把握が重要です。精神疾患の患者さんは、自分の状態を把握したり他人にうまく伝えたりすることができないことも少なくありません。また興奮や暴言・暴力と言った手段で自分の気持ちを表現することもあります。患者さんの行動や言動などから精神状態を

精神科看護師の仕事内容21個の業務。経験者が教えます!

怖そうだとか、大変そうと言ったイメージを持たれやすい精神科ですが、そこで働く看護師がどんな仕事をしているか気になったことはありませんか?ここでは、精神科看護師が現場で実際にやっている仕事の内容について紹介していきます。精神科看護師の4個の大まかな仕事内容精神科病棟看護師他の一般科の病院と同様、病棟での看護師が一番多く、また仕事としても多くあります。入院患者さんの看護を行うため、日勤だけでなく夜勤もあります。なお精神科では、精神保健福祉法に基づき、患者さんの入院形態が分かれています。大きく分けると、患者さんの同意で入院する「任意入院」、精神保健指定医1名の診察と家族等の同意で入院する「医療保護入