怖そうだとか、大変そうと言ったイメージを持たれやすい精神科ですが、そこで働く看護師がどんな仕事をしているか気になったことはありませんか?

ここでは、精神科看護師が現場で実際にやっている仕事の内容について紹介していきます。

精神科看護師の4個の大まかな仕事内容

精神科病棟看護師

他の一般科の病院と同様、病棟での看護師が一番多く、また仕事としても多くあります。

入院患者さんの看護を行うため、日勤だけでなく夜勤もあります。

なお精神科では、精神保健福祉法に基づき、患者さんの入院形態が分かれています。

大きく分けると、患者さんの同意で入院する「任意入院」、精神保健指定医1名の診察と家族等の同意で入院する「医療保護入院」、精神保健指定医2名の診断により都道府県知事の措置で入院する「措置入院」の3種類です。(これ以外に精神保健指定医1名の診察で72時間以内に限り入院させることができる「応急入院」などもあります)

各病棟には、それぞれの入院形態の患者さんが混在している場合が普通です。

精神科の病棟はいくつかの種類に分かれています。

病院により異なる分け方もありますが、概ね次のような種類があります。

精神科急性期治療病棟および精神科救急入院料病棟

どちらも、精神症状が悪化した急性期の患者さんを対象にした病棟です。

急性症状が落ち着くことを最優先として、患者さんの状態を把握し、症状にあった治療を行う病棟です。

「精神科救急入院料病棟」は「スーパー救急病棟」と呼ばれ、精神科救急医療において高規格の病棟です。

人員配置や施設基準が従来の精神科よりも高規格となっており、運用面でもいくつか条件が課されています。

精神科療養病棟

精神症状が安定化・慢性化し、中長期的な治療・療養が必要な患者さんが入院する病棟です。

社会的な事情から、50年以上も入院している患者さんがいることもあり、家庭復帰・社会復帰が困難になっている患者さんがいることも少なくありません。

認知症病棟

認知症による周辺症状(大声や介護抵抗など)で、在宅や施設での生活が難しくなった患者さんが入院する病棟です。

周辺症状が落ち着き、在宅や施設へ復帰できるような治療を行っています。

身体合併症病棟

精神科では長期にわたって入院することで高齢化に伴い、精神症状だけではなく、身体的な疾患を抱えていることも少なくありません。

そういった身体的な疾患の治療も行えるよう、身体合併症病棟として設けている病院もあります。

また身体合併症病棟では看取りを行っているケースもあります。

児童青年精神科病棟

子どもの心の問題、具体的には児童思春期の発達障害や精神疾患に対応する病棟です。

自宅から離れ、状態に合わせた治療・看護を行います。

また集団生活や集団での治療プログラム、院内学級などを設置している病院もあります。

医療観察法病棟

心神喪失等の状態で、殺人や強盗、放火など重大な他害行為を行い、不起訴や裁判で無罪判決となった患者に対応する入院病棟です。

この病棟に限り、精神保健福祉法ではなく医療観察法に基づいた運用がなされています。

そのため、医療観察法により指定された、全国約30箇所の入院医療機関で運用されています。

精神科外来看護師

精神科の外来やメンタルクリニックにも看護師はいます。

外来やクリニックでは比較的症状の軽い患者さんが来院されます。

医師の診察の補助の他、患者さんや家族の相談を受けたり、説明や指導などを行います。

精神科訪問看護師

精神科訪問看護は、精神疾患のため、外出が難しかったり、生活に補助などが必要な方を対象としています。

一般科の訪問看護同様の仕事の他に、精神状態のケアやチェックなどを行います。

精神障害者施設・精神科デイケアの看護師

精神障害者施設には、就労支援を行う施設や入居型の施設、通所型の施設など、様々な形態の施設があります。

いずれも精神疾患を持ち、日常生活や就労が困難な利用者に対して、生活訓練や指導、職業訓練などを提供して社会復帰を図る施設になります。

また、精神科デイケアは日中にレクリエーションやグループ活動などを行い、他者との付き合い方を学んだり、日常生活を送る際の不安に対処出来るようにするものになります。

デイケアは施設だけでなく病院に設置されているケースもあります。

精神科病棟看護師の9個の業務

先ほども述べたように精神科の病棟にはいくつかの種類がありますが、ここでは精神科病棟看護師全般に共通している業務を中心に紹介します。

バイタルチェック(身体管理)と患者の観察

検温や脈拍数などのバイタルサインを確認します。

これらは一般科でも行われる事ですが、精神科では精神状態によって意識障害が発生したり、薬の副作用に伴う腎不全・肝不全などが起きたりするケースもありますので、患者さんの状態を把握し、ちょっとした変化を見逃さないようにすることが大切です。

またこの際の関わりから患者さんの精神状態も観察することができます。

セルフケアの介助

入浴介助やひげ剃り、口腔ケアなど、身支度に関わる事や、食事・排泄の介助など、患者さんの身の回りのケアになります。

精神疾患の患者さんでは自分の身の回りのことが自分ではできにくくなっているケースがあります。

精神状態が悪く、自分で自分の事ができなかったり、他者から見ると不潔でも患者さん自身は清潔だと思い込んでいたりします。

そういった際の介助も大切な仕事となります

診察の介助

医師の診察の介助となります。

患者さんによっては自分の状態をうまく医師に伝えられないことがありますので、日頃観察している看護師が状態を医師に伝えることも必要になります。

薬の管理・与薬

精神科での治療において、薬は重要な位置を占めています。

患者さんによってはたくさんの種類の薬を飲んでおり、また自分が飲んでいる薬に関する情報を知りたがる患者さんもいます。

さらに内服を欠かさず継続しなければ効果を発揮できない薬などもあり、患者さんが確実に内服しているかを確認することが極めて重要となります。

なお、内服薬以外にも静脈注射や筋肉注射などもありますので、医師の指示が出た場合には注射を行うこともあります。

検査業務

採血やレントゲンの検査など、一般科で行われる検査と同様の業務も行います。

血液中の薬物濃度を調べるための採血や、高齢者によく見られる肺炎などの確認のためのレントゲン検査などです。

医療処置

高齢化により寝たきりとなった患者さんの褥瘡処置や、自傷行為による傷の処置など、一般科と比較すると数は少ないですが、医療処置も業務の中にあります。

生活指導

精神疾患の治療では、薬だけではなく、本人や周囲の人々の理解と協力が必要になります。

そのため、そういった人々への生活指導も重要な仕事です。

暴力・暴言への対応

精神疾患の患者さんは、時に暴れたり看護師等スタッフに対して暴言を吐いたりすることがあります。

特に急性期病棟ではこういった事態への対応も業務の一つになります。

カルテ記入

行った看護やケアをカルテに漏れなく記入することも重要な仕事です。

精神科外来看護師の5個の業務

アナムネの聴取

アナムネとは患者の既往歴の事ですが、そのほかにも家族構成や現在服用している薬、アレルギーなども尋ねます。

精神科外来やメンタルクリニックでは、特に初診の患者さんの場合に、患者さんから趣味や生活歴なども聞きます。

精神疾患において、過去の生活歴が症状に与えている影響が大きく、またいつぐらいから精神的な症状が出ているのかと言った病歴の把握に繋がるからです。

医師の診察の介助

医師がスムーズに診察できるようにします。

内科などと違い、医師と患者だけで診察することがほとんどのため、聴取したアナムネや自身が観察したことを医師に伝え、診察の手助けとします。

また医師が鎮静薬等の注射や、何らかの処置の指示を出した場合にはそれを実施します。

生活指導

病棟看護師でも取り上げましたが、生活指導の部分は精神科外来やメンタルクリニックでは特に重要になります。

入院していれば日頃から看護師や病棟スタッフが関われますが、外来ではそういうわけにはいきません。

そのため、どのような生活を送ったら良いかや、内服の重要性を伝えること、また困ったときの相談先などを伝えることが必要になります。

病棟との連携・申し送り

入院施設のある病院では、外来で診察した結果、入院治療が必要となる場合があります。

また入院施設がないクリニックでも、他院での入院が必要と判断されるケースもあります。

そうしたときに、それまでの外来での経過や、どういった理由で入院することになったかなどを病棟や入院先の病院へ申し送ることが必要です。

また、患者さんが退院する際にも、病棟看護師と連携し、入院中の経過を把握し、外来でどのような関わりが必要かを判断することも大切です。

カルテ記入

病棟と違い、外来ではさほど看護師が記入する内容は多くありませんが、看護師が観察したことや、行った処置などを記入します。

精神科訪問看護師の3個の業務

利用者さんの看護

主治医より発行された訪問看護指示書に基づき、看護を提供します。

一般科の訪問看護同様、体調確認や服薬状況の確認が業務になります。

精神科特有の看護としては、在宅で社会生活が送れるよう、精神的な支援を行うことです。

例えばパーソナリティ障害や広汎性発達障害の利用者さんに対して、約束事を決め、次回の訪問時に達成出来たかどうかを確認、できなければどのようにしたら達成出来るかを振り返るなど、利用者さんの疾患に応じた対応が必要になります。

服薬状況の確認も、本人の訴えだけでなく、表情や部屋の状態、服装など、内服できていないと表れてくるであろう変化を見逃さないようにすることが求められます。

他職種連携

利用者の状態を元に、例えば状態が悪ければ主治医に連絡し、緊急性があれば入院等も検討されます。

また、訪問看護だけで無く、利用者さんが利用している障害者施設や病院などと連携し、情報を交換していきます。

書類の作成や記録

訪問看護を実施するために必要な看護計画書の作成や、訪問看護記録、医療機関への報告書、入院先への看護添書の作成も業務となります。

精神障害者施設・精神科デイケアの看護師の4個の業務

利用者の状態把握・健康管理

精神疾患の利用者さんは、日々の生活に対し、何らかの障害を抱えていることがほとんどです。

そして、そういった障害が時に精神症状の悪化に繋がる事があります。

自立した生活が送れるよう、また送れなくなった場合には必要に応じて主治医へ連絡、診察へと繋がる事ができるよう、状態を把握し、健康状態を管理します。

服薬状況の確認・指導

訪問看護と同様に、服薬状況の確認は大切な仕事です。

レクリエーションやアクティビティ活動の手伝い・見守り

精神障害者施設や精神科デイケアは、慢性期で在宅生活を送っている利用者さんの居場所として機能しています。

作業療法士が中心となって様々なレクリエーションやアクティビティ活動をプログラムしており、そういった活動の手伝いや見守りも精神障害者施設や精神科デイケアの看護師の業務になります。

緊急時の対応

万が一、利用者さんの状態が急変したり、精神状態が著しく悪化した場合には、速やかに救急対応やかかりつけの病院へ連絡したり、救急車の要請を行ったりします。

病院併設の精神科デイケアの場合は、当直医師や担当医師へ連絡を行い指示を仰ぎます。

精神科看護師のやりがいやおすすめポイントとは?

精神科看護師の仕事のやりがいとは?

精神科では、例えば外科などと違って、治っていく過程がはっきりしていなかったり、人によって全く違う症状を示していたりします。

そのため、教科書通りにはいかないことが多々あります。

そんなときに周りのスタッフと協力し試行錯誤して看護を行った結果、患者さん・利用者さんの状態が良くなったときに、努力が報われたと感じ、達成感を得ることができます。

精神科看護師の仕事のおすすめポイントは?

なんといっても精神科はコミュニケーションが重要になります。

筆者自身、コミュニケーションは苦手な方ですが、精神科での勤務を通して、コミュニケーション技術が向上してきているのを実感しています。

また、イメージほど仕事はきつくありません。

患者さんが暴れたりすることは確かにあります。

しかしそういった際は複数の職員で、患者さんのみならずスタッフの安全も確保しながら対応しますので、決して一人で立ち向かう訳ではありません。

そのため、気持ちにゆとりを持ちつつ仕事をすることができます。

まとめ

精神科看護師は様々な場面で活躍しています。

今回は取り上げませんでしたが、近年多発している自然災害による被災地へ精神科看護師がボランティアとして派遣され、被災者の心のケアに努めていることもあります。

精神科看護師は、患者さんや利用者さんの心と生活を支えることのできる仕事です。

興味を持たれた方は是非、精神科看護師を目指してみてはいかがでしょうか?


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