精神科の看護師が向いている人の7個の特徴や必要なスキル・適性とは?
「今までとは違う診療科で仕事をしたい!」「ゆっくり仕事ができる診療科はないかしら…」
看護師として働いていると、時には違う職場で働いてみたくなることはありませんか?
そんなとき、精神科は間違いなくおすすめ出来る診療科です。
「でも精神科って大変でしょ?」「なんだか怖そう…」
そんな思いを抱く人は多いと思います。
そこで、精神科の看護師が向いている人の特徴をピックアップしていきたいと思います。
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目次
閉じる精神科の看護師とはどんな仕事?その内容は?
例えば、毎日のバイタルサインの測定や、医師の指示による病気治療の補助など、言葉にすると一般科の看護師と同じになってしまいます。
しかし、精神科で対象となる患者さんは、精神疾患を持った患者さんです。
症状が検査などではっきり分かるわけではなく、言葉や行動から精神状態を推し量らねばなりません。
そこで、患者さんと信頼関係を築きながら、精神的なサポートをする必要があります。
そのため、コミュニケーションが大変重要になってきます。
精神科が「大変」「怖い」と思われる原因の一つが、暴力や暴言です。
精神科にはこの暴力や暴言がとにかくついて回るのは事実です。
患者さんは全力で暴力や暴言に訴えてきます。
そのため、複数で患者さんを押さえ込んだり、医師の診察により、法律に基づいて身体拘束や隔離を行うことは確かにあります。
精神疾患を持った患者さんは、自分で自分の身の回りの世話ができないことも少なくありません。
そのため、セルフケアの援助や薬の管理なども看護師が行うことがあります。
精神科では10年20年、長いと50年以上も入院している患者さんもいらっしゃいます。
そのため、主となる精神疾患以外に認知症を併発していたりするケースがあります。
さらには認知症治療のために精神科へ入院するケースも少なくありません。
そのため、認知症や高齢化による諸問題への看護も精神科の仕事内容の一つになってきています。
また精神疾患の治療に欠かせないのが周囲の人々の理解です。
そのため、患者さん本人のみならず、周囲の人々への生活指導も、精神科看護師の仕事の一つです。
~「精神科看護師」が自分に向いているか不安な人は~
精神科看護師の仕事内容は、こちらの記事を参考に!
精神科の看護師が向いている人の7個の特徴とは?
誰でも看護師として精神科で働けば、精神科の看護師ということになります。
しかし、精神科は一般科とは異なる部分もあるため、「こういった人には精神科の看護師が向いている」というのがあるのも事実です。
もちろんこれら全てを兼ね備えている必要は全くありませんし、働いてから自分を変えることもできます!
穏やかな性格
精神疾患の患者さんは、刺激に対して簡単に興奮してしまいがちです。
そのため、患者さんを興奮させないよう、穏やかな性格が求められます。
根気強い性格
精神科ではとにかく粘り強さ・根気強さが求められます。
精神疾患の患者さんは自分の世界を作り上げている場合があります。
それが例えば他者から見て「不潔」「不快」だとしても、患者さん自身がそう感じていなければ周りに迷惑をかけ続けたり、トラブルの原因になったりします。
精神科の看護師はそういった場合に、根気強く患者さんの行動変容を促していく必要があります。
また、精神疾患の患者さんは自分の世界を邪魔されたと感じたら、敵と感じて暴力や暴言に訴えるケースがあります。
そういったときにも、簡単に激昂するのではなく、根気強く患者さんと接することが、精神科の看護師には求められます。
周囲に流されない
精神科では、患者さんの症状が些細な事で変化することが良くあります。
そんなときに「自分がこんなことを言ってしまったから、患者さんの症状が悪くなってしまった…」などと、ネガティブに捉えがちな看護師は、どんどん悩みを抱えていくことになり、自分自身が疲れて精神疾患になってしまいます。
そのため、「自分がこう言ったら、患者さんはこうなってしまった。この人はこういう疾患だから、次はこういう対応にしよう」などと冷静に考え次に生かせる人に、精神科は向いていると思います。
力が強い、体力がある
精神科の急性期病棟では幻覚や幻聴の影響でパニックになったり、暴れたりする患者さんも少なくありません。
全身全霊をかけて暴れるため、抑えるためにはどうして腕力が必要になってきます。
患者さんの安全を守りながら、自分達の身も守らねばなりません。
そういった面もあって、精神科で働く男性の看護師や看護補助者は数多くいます。
また、患者さんの中には、昼夜逆転した生活となってしまっていて、一晩中興奮したり暴れたりする方もいます。
そういった場合、夜勤中であっても対応していかなければなりません。
そのため、どんなときでも業務を行っていくだけの体力も必要になります。
ストレス耐性がある
精神科看護師はとにかくストレスを感じる場面があります。
患者さんとのコミュニケーションでなかなか思い通りにいかなかったり、治療がうまくいかないこともあるため、無力感を感じることがあります。
また患者さんに暴言や暴力を振るわれることもあります。
そういった仕事上のストレスや苦しみから、精神科看護師自身が心を病むケースも少なくありません。
そのため、精神的なストレスに対してきちんと対応できる人に精神科看護師は向いていると思います。
ブランクがある
看護師をしていたものの、育児や介護のために辞めた人が、再就職に精神科を選ぶケースも多いです。
精神科では一般科と比較して医療行為が少なく、技術に不安があっても必要最低限の知識さえあれば問題無く勤務ができます。
他人と話すのが好き
精神科ではコミュニケーションが治療の根幹をなしています。
そのため、看護師は患者さんとの会話が欠かせないものとなっています。
一般科よりも患者さんとのコミュニケーションが濃密なものとなってきますので、他人と話すのが苦手な方はやりづらさを感じるかもしれません。
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精神科の看護師に必要なスキルは?
精神科と言えど看護師は看護師です。
そのため、看護師資格があることは前提になってきますが、それ以外に必要なスキルはどうでしょうか?
ここでは、精神科看護師を目指す上で必要になるであろうスキルを紹介していきます。
相手のペースに合わせることができる
精神科では、患者さんとのコミュニケーションが重要です。
しかし、精神疾患の患者さんは自分の思いをうまく伝えることができなかったり、一方的にまくし立てることしかできなかったりします。
うまくコミュニケーションを取ることが難しくても、相手のペースに合わせて思いを引き出していける、そんなスキルが重要になってきます。
待つことができる
精神科ではとにかく時間がかかる場面が多いです。
患者さんに質問をしてもなかなか返事が返ってこなかったり、一つのことをするのにとにかく時間がかかったりということもあります。
患者さんはスムーズにコミュニケーションを取ることが難しかったり、何かをするには自分なりのルーチンをこなしてからでないとできなかったりするケースが多いです。
そのため、患者さんのペースに合わせる必要が出てくるので、じっくりと待つことができるスキルも重要です。
自分を気持ちを抑えることができる
相手にペースに合わせたり、待つことができる部分と重なってきますが、自分の気持ちを抑えるスキルも求められます。
患者さんが興奮して支離滅裂な事を言っているときに、看護師も興奮して頭ごなしに怒鳴ったのでは患者さんの症状を悪化させる一方です。
冷静に患者さんが落ち着くのを待ったり、自分の気持ちは脇に置いて、どうして患者さんはそういうことを言うのか、冷静に判断できるスキルが求められます。
患者さんと信頼関係を築くことができる
精神疾患の治療において、看護師は重要なポジションを占めています。
特に入院している患者さんと最も多く関わるのは看護師です。
そのため、看護師と患者さんの関係は非常に重要になります。
もしも患者さんが看護師に対して不信感を抱いた場合、治療に悪影響が出てしまいます。
患者さんに信頼される看護師である必要があります。
観察力がある
言葉では大丈夫と言っていても、表情が大丈夫そうでないなど、患者さんの仕草や表情の変化に、患者さんの思いが込められていることはよくあります。
そういったちょっとした変化を観察することができる力は求められます。
最低限の医療技術を持っている
具体的には「注射」「採血」「与薬」「ADLの介助」程度です。
高齢者の病棟になると、「褥瘡の処置」「点滴管理」「経管栄養」なども含まれる場合があります。
一般科のように、身体的な急性期は滅多にないため、ごくごく基本的な技術さえ身についていれば大丈夫です。
~自分でも「精神科看護師」ができるか?~
精神科の看護師の仕事経験は、その後どんな職種・仕事に活かせる?
介護施設での看護業務
現在の精神科は、一般社会と同様、高齢者の患者さんが増えています。
そのため、高齢者の患者さんへの対応スキルを身につけることができ、介護施設での看護業務に生かすことができます。
メンタルクリニック
メンタルクリニックは、診療科としては心療内科や精神科を掲げていることが多いです。
入院設備が無く、また訪れる患者さんも病院ほど重くない症状の方がほとんどです。
また医療処置も採血や心電図などの基本的かつ簡単なものがメインとなるため、一般科のクリニックよりも業務の負担が少ないです。
さらにメンタルクリニックは予約制を取っている所でほとんどのため、仕事にゆとりを持って行えます。
訪問看護ステーション
訪問看護ステーションには高齢者向けや小児向けなど、いくつか種類があります。
もちろん精神科を専門にした訪問看護ステーションもあります。
精神科専門の訪問看護ステーションには、看護師だけでなく、精神保健福祉士や作業療法士なども在籍していて、一つのチームを組んで利用者さんの生活を支えています。
また精神科を専門にしていなくても、高齢者の認知症患者のケアには精神科の技術が生かせます。
更に、ターミナルケアを中心にした訪問看護を行っている施設の場合、患者さんや家族のメンタルケアも必要になってきます。
その際には精神科での経験が十分生かせることでしょう。
コールセンター
コールセンターには医療や健康に関わるコールセンターがあります。
例えば製薬会社や医療機器メーカー、さらには健康食品メーカーなどのコールセンターです。
生命保険会社や国、地方自治体がそれぞれのサービスの一つとして健康相談などのコールセンターを設置・運営しているケースもあります。
コールセンターでは傾聴・受容し、相手の気持ちを引き出したり、必要な情報や指導を提供する必要がありますが、精神科では自然とそういったスキルが身につくため、一般科だけの経験の看護師に比べて、より向いているのではないでしょうか。
また、医療や健康に関わるコールセンター以外でも、やはり相手の話を聞いたり何を必要としているのかをきちんと見極めるスキルは必要ですので、全く違うジャンルのコールセンターでも精神科で培った技術が生かせることでしょう。
慢性期疾患に強い内科外来やホスピス
完治することがない慢性期疾患や、ターミナルケアを行っているホスピスでも精神科での経験を生かすことができます。
医療処置や看護技術は確かに精神科よりも多くなりますが、こういった病院・施設で重要なのは、患者さんに対する説明や指導、さらには患者さんの心のケアになってきます。
職場で求められる技術について、就職後に覚えることが必要になりますが、しかし精神科で養った患者さんの心に寄り添う事ができる技術は、転職後の大きな武器になることでしょう。
看護学校の教員
日本の看護学校で、精神科の経験のある教員がいる看護学校はおよそ5割程度しかありません。
一般科と比較して、精神科での勤務や経験は、やはり独特な面があり、そういった経験を将来の看護師へ伝えていくことも重要です。
また精神科で培われたコミュニケーション技術は、学生へ教える際にも生かすことができます。
営業職
営業職もまた、精神科の経験が生きることと思います。
相手の要望や思いを引き出す技術は精神科で培われる技術そのものだからです。
~経験を活かして、「精神科看護師」以外の仕事を見てみたい人は~
精神科看護師のやりがいはコレ!
患者さんの笑顔を見る事が出来たとき
精神科の患者さんは厳しい表情をしていたり、パーキンソン症候群によって仮面様顔貌になっていて表情があまりないことも少なくありません。
そのような中でも、自分の行ったことに対して、微かに笑顔が見れたり、表情の小さな変化があったりすると、「やってよかったな」と感じます。
患者さんとしっかりと向き合う看護ができる
精神科の看護師は、患者さんと向き合い、接する時間が他の一般科よりも長く濃密です。
そのため、患者さんを通じて、看護師自身が人間として成長できます。
患者さんとしっかりと向き合う看護を理想とする看護師にとっては理想の診療科ではないでしょうか?
教科書通りではない治療や、同じ疾患でも全く違う症状に出会える
精神科では時に教科書通りにはいかないことがあります。
治療法も、学校で教わった通りではなかったり、そもそも明確な治療法が確立されておらず、ドクターや看護師などが試行錯誤で行っていたりすることがあります。
また同じ疾患でも、患者さんによっても全く違う症状を見せることも良くあります。
そのため、日々、新しい発見や学びができ、それに伴って自分のスキルを向上させることもできます。
自分のコミュニケーション技術の向上を実感できる
新卒で入職したときはなかなかコミュニケーションが取れなかった看護師でも、精神科での勤務を通してコミュニケーション技術を向上させ、数年後にはその技術を存分に発揮して活躍している看護師もいます。
相手の気持ちを引き出す技術は、精神科でこそ養われる部分があると思います。
そういった自分自身の成長を実感できるのも精神科看護師として働く魅力でありやりがいだと思います。
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まとめ
精神科はまだまだ一般的なイメージが良くない部分があると思います。
しかし、精神科で勤務することで、コミュニケーション技術を学び、相手の思いを引き出す看護技術を身につけると、他の一般科に転職したときだけでなく、その後の人生に必ず役に立つと思います。
皆さんも是非一度、精神科での勤務を考えてみませんか?
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