紙媒体が市場を縮小しつつあるといわれる昨今ですが、フリーペーパーや有料誌など、まだまだ多くの情報誌が店頭に並びます。

雑誌編集の仕事内容はどのようなものなのでしょうか。

今回は季節感やトレンドが出やすく、幅広い世代をターゲットにする、グルメ雑誌を例に紹介します。

雑誌編集の仕事は大きく6つの流れで進む

まずは業務の流れについてご説明します。

雑誌編集の仕事は、基本的に以下のサイクルで進んでいきます。

  • 1.企画立案
  • 2.予算の見積り
  • 3.取材
  • 4.ライティング、デザイン制作
  • 5.印刷データを印刷会社へ渡す
  • 6.次号の企画立案

それではそれぞれの仕事について詳しく見ていきましょう。

企画立案

グルメ雑誌は季節感がとにかく大切です。

また、ファッション誌ほどではないにしても、その時々のトレンドなども重要です。

月刊誌であれば、発行日の1か月先を目指した季節・情報を載せるのが基本です。

そのため、企画立案は季節感やその時々のトレンド、タイアップする広告企画などを考慮しながら構成を考える必要があります。

グルメ雑誌は基本的に以下のような構成のものが多く見られます。

  • メイン企画(飲食店関連)
  • サブ企画(飲食店が主だが、物販などもあり)
  • 連載もの(コラムなど。幅広いジャンルを扱う)
  • 情報枠(イベント情報など)

※この他に広告掲載枠などもありますが、今回は割愛します。

メイン企画とは

グルメ情報誌であれば、メイン企画は自ずと飲食店関連になります。

どのジャンルの飲食店の、どの料理をピックアップするのかを精査し、載せたい情報をピックアップしていきます。

例えば、イタリア料理店をメイン企画にしたいとなれば、その中でもパスタ料理をメインにするのか、ピザのみに絞って掲載するのか、または各店のコース料理をピックアップするのか、様々な方面からスポットを絞り込みます。

また、メイン企画によってある程度ターゲット層を絞りこんだりすることも可能です。

少々強引な例えをすれば、和食をメイン企画にすると比較的高い年代層に買ってもらえる、スイーツをメインにすれば、若い女性をターゲットにできるといった具合です。

サブ企画とは

サブ企画は飲食店関連の中でも「年齢が限定されやすいもの」または「コアな層に支持されるもの」になりやすい傾向があります。

例を挙げると、お酒を取り上げた企画は自ずと20歳以上と限定されますし、注目度は高くても比較的好き嫌いが分かれやすいパクチー料理などはメイン企画に取り上げにくいためサブ企画に流れやすくなります。

もちろん企画としてはサブとなるので、飲食店のみならず物販などを含む場合もあります。

例えば「母の日のプレゼント」を企画として取り上げるとすれば、飲食店のほかに、「お母さんにプレゼントしたい小物」などと打ち出せば、飲食店以外の商品を掲載することができる、という具合です。

サブ企画は読者に知ってもらいたい情報を盛り込んだり、編集者の好みを反映したり、メイン企画と比べて比較的自由度の高い企画といえます。

連載ものとは

連載物とはあるテーマに沿った短編記事を長期にわたって掲載する情報枠です。

基本的に編集部外の外部の人に委託することが多い枠となります。

ジャンルは料理レシピ、医療、趣味など、多岐にわたります。

一見、編集者の趣味嗜好を載せていい枠のように見えますが、しっかりした時事性が必要とされる枠です。

例えば、高齢者の自動車事故が話題になった際、自動車販売会社に「予防安全」に特化した車についてのコラムを依頼してみる、などです。

連載ものに関しては、掲載側は販促につながり、読者側は知識を深めることができるという双方へのメリットが大切になります。

広告のような押しつけがましさのないように、いかに物販という利益につなげるか、情報収集力と構成力が問われる枠といえます。

情報枠とは

基本的に電話やメールなどの簡単な取材で掲載できる、あまりお金の絡まない情報を扱う枠です。

購入者をできるだけ増やすため、地域のイベント情報や耳よりな情報などを掲載します。

雑誌作るには、季節感に加え、トレンドなどへの敏感さも大切になります。

「売れる雑誌」を作るにあたり、常日頃の情報収集力も必要となってきます。

企画立案では、今号はどの年代層に見てもらいたいのか、その点を考慮しながら掲載情報を絞り込んでいくのが大きな役割となります。

予算の見積り

企画内容が決まったら、その企画ごとにどの程度の予算で進めるか、配分を考えます。

予算はその企画ごとに大きく変わりますが、お金が発生するのは主に以下の場合です。

  • 撮影を外部に依頼する場合
  • 記事作成を外部に依頼する場合
  • 取材費が発生する場合
  • 出演者への報酬

ここで言う「外部」とは、フリーランスのライターやカメラマンなどを指しています。

外部に委託するのは楽そうに見えますが、複数の外部の人間を使えば使うほど統括したり、ディレクションしたりする能力も必要になります。

また、出演者の報酬に関して言えば、雑誌という強みを生かし協力を募ることで費用を抑えることができます。

例えばモデルを使うとなった場合、モデルの着用する衣服を広告掲載という形で衣料販売店に協賛を依頼すれば、モデル使用料は発生しても、衣服の広告掲載費でその分を回収することができる場合があります。

このように、あらゆる場面をどのように利益につなげていくかを考えることも、予算を決めるうえで重要な要素となってきます。

取材

取材をするにはまず、アポイントを取ることから始めなければなりません。

有料掲載の場合は取材先に直接出向き、企画の趣旨を説明して掲載許可をとるのが一般的です。

掲載料金が発生する場合は断られることも多く、交渉テクニックも必要になります。

どのような趣旨でどのような企画を考えているかを相手に伝え、納得してもらった上で取材を行います。

出版会社や編集部の規模によっては、営業と取材班が分かれている場合や、取材班の中でも、ライターとカメラマンが分かれている場合もあります。

また、取材自体を外部に委託する場合はライターやカメラマンに的確な指示をし、出来上がってきた記事をディレクションしなければなりません。

このように、編集者になるには高いコミュニケーション能力が要求されます。

ライティング、デザイン制作

取材した情報をまとめ、掲載記事にする作業です。

ライターはデザインナーへ原稿をわたし、誌面に反映してもらいます。

掲載紙面の形に仕上がったもの(校正紙)を見返し、間違いがなければ取材先へ校正紙をわたし、確認してもらいます。

取材先からOKが出たら、記事作成の業務は終了です。

印刷データを印刷会社へ渡す

すべての記事が掲載誌面の形に仕上がり、掲載情報に誤字脱字がなければ、印刷データを印刷会社に渡します。

発行部数や委託する印刷会社の規模にもよりますが、おおむね1週間~2週間程度で納品となります。

印刷や製本、検品などにかかる日数を考慮すると、月刊誌の場合おおむね2週間程度で1~5までの作業をこなさなければなりません。

とにかく「締め切り」に追われるのが日常ですが、取材先がなかなか校正紙を見てくれない、外部委託したらライターが姿を消した、掲載予定の店の店主が長期不在で取材ができない、など思わぬハプニングもあります。

印刷会社では基本的に印刷ダイヤがしっかり決められているため、締め切り日をずらすことが難しく、記事のチェックがすべて終わったころには外が明るくなっていた、ということも多々あります。

日々の業務のほかにも意外に頭を下げるシーンが多いのが編集という仕事の特徴でもあります。

次号の企画立案

次号の企画は前号で予告しなければならないため、あらかじめ年間企画をざっくり練っておくのが一般的です。

しかし、やはり時事性と話題性がすべてのため、時と場合によっては前号で予告した内容と大きく変わる場合ももちろんあります。

発行ペースが早ければ早いほど、次々に企画を考えなければならないという苦労があります。

取材をしながら次の企画を頭の片隅で考えたり、休日は体は休んでいても頭の中は企画のこといっぱいということも日常茶飯事です。

雑誌編集の仕事の良いところ

雑誌編集を通して身につくスキルはとても多いと思います。

例えば電話での受け答えや、目上の人に対する言葉遣い、様々なジャンルの職業に触れ、取材することで身につく知識などです。

知らないことを知る楽しさや、知っていることをさらに深く知る楽しさがあります。

また、取材するにあたりある程度の予備知識が必要になる場合も数多くあり、自ら進んでなにかを調べるという自主性も自然に身につくと思います。

さらに、小さな規模の編集部であれば、営業・取材・カメラ撮影・ライティング・デザイン指示まですべて一貫して行う場合があるので、高い専門スキルが身につく可能性があります。

やりがいを感じるポイント

自分が取材し、書き上げた原稿が印刷され、雑誌として完成した瞬間でしょう。

店頭に並んでいるものを実際に手に取ると、やり遂げたという気持ちになります。

また、取材に協力してくれた店舗で「売り上げが上がった」と言われた時や、読者アンケートはがきなどで自分の記事を褒められた時が最もやりがいを感じる瞬間といえるでしょう。

編集者は一般的な会社員よりも激務といえるでしょう。

しかし、激務だからこそ味わうことができるやりがいも、もちろんまたあります。

完成した時の達成感ややりがいは、日々の苦労から生まれてくるものでもあるといえます。

面白いポイント

雑誌を作ることとは、話題性に乗ることも大切ですが、話題性を作ることもできる仕事です。

極端に言えば自分の趣味・嗜好を企画として立てられることなどが面白い点だと思います。

例えば、アイスが好きで好きで仕方ないという場合であれば、地域の産直などで販売している独自性のあるアイスをピックアップして企画として取り上げるなど、「趣味を仕事にする」ということができやすい職業だと思います。

また、様々な職業の人と交流が持てるという点も雑誌編集の醍醐味です。

私生活ではなかなか対面できない人とも話ができたり、それによって知識が豊富になるというところも面白い点だと思います。

雑誌編集の仕事に必要なスキル

雑誌編集をするにあたって、特別な資格は必要ありません。

情報を収集する力はもちろん、高いコミュニケーション能力に加え、「面白い」と思うことを積極的に見つける探求心が最も大切です。

雑誌編集というと、華やかなイメージを持たれやすい職業ですが、実際にはデスクワークや電話対応、原稿チェックなど地味な作業がとても多いのも事実です。

また、様々な取材を時間通りにこなしていかなければならないため、物事を柔軟に考え、気転の効いた行動がとれるかどうかも大切になってきますし、ライターやカメラマン、デザイナーをまとめなくてはならないため、人間関係を上手に築いていくことも重要です。

上記の能力は日々の業務をこなしていくと、自然と身につく能力ではありますが、基本的に時間に追われ、残業の多い職業だといえるでしょう。

体力に自信のあることも外せない条件になります。

雑誌編集についてよくある疑問

ノルマはあるの?

会社や編集部の規模によりますが、雑誌とは基本的に有料掲載の記事広告料・広告料・販売単価で成り立っているため、ノルマがないとは言い切れません。

無料情報誌の場合は雑誌自体の販売収入が見込めないため、広告料のノルマは高くなる傾向にあるようです。

服装は自由なの?

もちろん会社によりますが、基本的にオフィスカジュアルが一般的です。

規定はなくても男性はスーツの方が多いようです。

また、取材によってはスーツの着用が必要になるシーンもあります。

面接ではどんなことを聞かれるの?

最も重視されるのはやはり主体性があるか、探求心があるかという点だと思います。

基本的な日本語の使い方や文章作成能力などを見るために、作文や筆記テストを行うことも多いようです。

また、全業務を通してコミュニケーション能力が重要となるので、きちんとした受け答えやができるかどうか、柔軟な発想ができるかどうかなどを見ているように思います。

まとめ

編集者とは、華やかなイメージがある仕事ですが、締め切りに追われ続ける苦労の多い仕事でもあります。

苦労の多い分、出来上がった雑誌を手に取った時の達成感はひとしおです。

ある一定のスキルのみならず、様々な知識やスキルが必要になりますし、もちろん業務を通して身につく能力もたくさんあります。

結果も目に見える形で現れるので、やりがいを感じやすい仕事だといえます。


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