
臨床検査技師の仕事はどんな人に向いているの?向き不向きやキャリアについて解説します
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臨床検査技師の仕事内容とは?経験者が教えます!
近年、珍しく臨床検査技師にスポットの当たるドラマが放送されていたのですがご存知でしょうか?
2016年放送の「フラジャイル」で、病理診断医を務める長瀬智也をサポートする役として登場していた野村周平が組織票本を作成する病理検査技師。
また2018年1月放送の「アンナチュラル」では、石原さとみ演じる法医解剖の介助役として東海林夕子がこれまた病理検査技師をしていました。
どちらもたまたま病理検査技師でしたが、臨床検査技師の仕事内容はこれに留まらず、かなり幅広く業務を行っています。
働いている場所も様々で、病院やクリニック等の医療機関、検査・健診センター、治験や医療機器メーカー等があります。
ちなみに男女比は3:7と、女性が多い職業となっています。
「臨床検査技師(以下、検査技師)の仕事をしています」というと、「レントゲンを撮る人ですか?」(放射線技師)とよく間違えられます。
日常生活の中であまり目にしない職業なので、どんな仕事をしているのかピンとこない人の方が多いと思います。
そこで一つ、具体的な例で検査技師の仕事を見てみましょう。
例えばあなたが謎の腹痛に襲われて内科などの病院に駆け込んだとしましょう。
駆け込んだあなたは最初に問診票に今の症状や状況を記入します。
「お腹が痛い」「今朝からじわじわと…」「持病は…」「今飲んでいる薬があるかないか」など。
そして診察にあたったお医者さんはその問診票を見て、更に細かい問診を始めるでしょう。
「過去にこのようなことは?」「お腹が痛くなる前に何をしていましたか?」など…。
それから喉のあたりを触ってみたり、お腹のどの部分が痛いのか横にさせて押してみたり(触診)。
そして最後に「検査してみましょう」と言ったりします。
ここで検査のオーダーが出されます。
検査のオーダーが出されるとお医者さんのお仕事は一旦ストップです。
そしてあなたは言われるがまま様々な検査に誘導されます。
このそれぞれの分野で実際に検査をしているのが検査技師であり、これが一般的な検査技師の仕事になります。
不調を感じる患者さんの身体は様々な信号を出しています。
それらの信号はおしっこや血液、心臓の動き、胃や腸の動きなどに通常とは違う形となって現れます。
患者さんから採ってこられた尿や血液(検体と言います)の状態を客観的な数値やデータとして検出し、確実且つ迅速にお医者さんに提出するのが検査技師の務めです。
お医者さんは検査技師の出したあらゆる分野のデータを総合的に解析して病気の原因を考え、更に検査を追加したり他の科の先生と相談しながら診断を出すのです。
このように、検査技師は診断をする上でなくてはならない材料を医師に提出するという、疾患の原因追求には欠かせないプロセスの一部を担っています。
検査技師になるためには国家試験に合格しなければなりません。
そしてその国家試験を受けるために検査技師養成過程のある学校に通い、必要なカリキュラムを終える必要があります。
国家試験の科目は「臨床血液学」「臨床免疫学」「臨床微生物学」「臨床生理学」「臨床化学」「病理組織細胞学」「医用工学概論」「臨床検査総論」「臨床検査医学総論」「公衆衛生学」などがあり、臨床学問を幅広く学びます。
高校の科目でいうと化学や生物の分野が中心になってきますので、その科目に苦手意識がある人には若干大変かもしれません。
学校の種類は専門学校(3年制)、短期大学(3年制)、大学(4年制)があり、学問の他に実習などの実技スキルも学んでいきます。
検査技師になるために通う学校は専門学校と大学とではどちらが良いのでしょうか?
結果的に「資格を取ること」のみが目的であれば、入口はどちらでも構いません。
どんなところに違いがあるのかというと、資格を取るまでのスピードと、検査技師になったときに見える視野の広さに若干の差があります。
専門学校ですと検査技師になるために必要な知識やスキルを3年間で習得することになるので、ギュッとスケジュールが詰まった学校生活を送ることになります。
大学よりも春休みや夏休み、冬休みも短いですし、実習が複数の科目で同時に始まる2年生はレポートの嵐に耐えなければなりません。
その分無駄にできる時間もほとんどないので、一直線に臨床検査技師への道を駆け抜けることができ、最短速度で目標の検査技師になることができる点ではオススメです。
ちなみに私自身も専門学校出身ですが、センター試験を受けなくても受験できる点、短い時間でカリキュラムを満たして検査技師デビューできる点は大きなメリットでした。
4年制の大学では時間をかけてより広範囲の学問を学ぶことができます。
そのため勉強する中で検査技師以外の医療分野に興味を持った場合、方向転換することもできます。
また専門学校卒業では得られない「学士」が取れることは就職の際の書類選考では大変有利となります。
単位を修得していく中でどっぷり追求していきたくなる分野が見つかることもあるでしょう。
将来的に大学院や研究所などで研究職に就く人も出てくるようです。
実践を積みながらどんな検査技師になりたいか探求していきたい方は、まず専門学校で検査技師資格取得を目指すと良いでしょう。
最初から医療知識を充分蓄えた検査技師のプロフェッショナルになりたい、就職先も一流の総合病院に行きたいという方は大学を選ぶと良いでしょう。
とは言え、実際に検査技師になってからが本当のスタートです。
医療技術や研究は日進月歩、絶え間なく進化し続けているので、現場の医療従事者は常に勉強していく必要があります。
そのため、「検査技師は国家資格なので収入が安定しているから、なってしまえば生涯安泰」と思っている方にはオススメしません。
逆にどんなことでも学んでいこうという姿勢のある検査技師は、スタート地点がどこであれ、必ず職場で必要とされる検査技師になるでしょう。
検査技師の仕事は分野によってかなり枝葉が分かれており、勤めることになる診療所やクリニックの種類によって、また総合病院では配属される検査室によって仕事内容は全く違ってきます。
どの職務に就くことになっても、最終的には患者さんの身体一つから発信されるものを扱うことに変わりないので、担当分野の職務だけでなく他分野の検査データも見て総合的に判断することを心がけると信頼の置ける検査技師として一目置かれます。
具体的に検査技師がどんな仕事をしているか、主要なものをいくつか紹介します。
患者さんから採取された血液や尿などの成分について化学的に分析する分野です。
他分野の検査データと合わせて総合的に判断することで、疾患の診断や治療の効果などを測ることができます。
血液は遠心分離機にかけると有形部分(赤血球や白血球など)と液体部分に分離させることができます。
その液体部分には身体の細胞や組織、臓器からの疾患に関する情報が沢山詰まっており、そのデータが正常値からどれくらい乖離しているかを読み取り診断に活かします。
例えば、癌になると癌特有の物質が血液中に検出されます。
これを腫瘍マーカーと言いますが、その物質はどこにできた癌なのかによって種類が異なります。
健康な人からは検出されないそれらが高値を示すことで、どこに癌ができているのか予測をつけることができるということです。
近年は腫瘍マーカーの研究が進んでおり、複数の医療専門職が連携して治療やケアにあたるチーム医療の中では、この分野に特化した検査技師はメンバーはなくてはならない存在となっています。
他にも内分泌(ホルモンなど)検査や免疫(アレルギーなど)検査も、生化学検査に含まれます。
尿検査、便検査、髄液検査などがこれにあたります。
尿検査では尿中に検出された有形成分を調べることで、腎臓や膀胱、尿路などの状態を間接的に見ることができます。
健康診断で尿を紙コップに入れて小窓に出しますが、その窓の向こうにいるのが一般検査室の検査技師ですね。
健康な状態では尿中に出てこないような蛋白質、細胞成分、糖分が検出されると、要再検査、要精密検査などの診断がつけられます。
便検査からは腸内で出血が起こっていないか(便潜血反応)、寄生虫が検出されないかなどを検査します。
血液を遠心分離機にかけると有形成分と液体成分に分かれると説明しましたが、血液検査室では有形成分(赤血球、白血球、血小板など)について調べます。
赤血球の形を顕微鏡下で見ることで貧血の種類を見たり、白血球(好酸球、好塩基球、好中球など)の割合のバランスや形状を見たりします。
白血病という疾患を聞いたことはありませんか?
一口に白血病と言っても白血病もかなり細分化されて様々なタイプがあり、それは白血球の形状に特徴が現れてきたりします。
検査技師はそれらを見分ける専門家にもなり得るのです。
生理機能検査は主に総合病院で行われます。
簡単に言うと、様々な検査機器を使って患者さんの身体の情報を読み取る検査を行っています。
心臓の拍動によって生じる電気信号を、身体の表面に設置した電極を通して読み取る検査です。
不整脈などの診断には欠かせません。
鼻をつまんで大きく息を吸い勢いよく吐く、という検査です。
吐き出す息の量や速度、二酸化炭素濃度などから肺の機能を測ることができます。
肺炎などの検査に用いられます。
超音波をプローブと呼ばれる探触子から出し、反射した波を画像化することで体内の臓器の状態を検査するものです。
お腹の中の臓器(肝臓や胆嚢、腎臓など)、甲状腺や乳腺、心臓や血管(頸動脈や下肢の動脈等)などを見ることができます。
脂肪肝の肝臓は画面上で真っ白に見えたりします。
生理機能検査は特に種類が多く、他にも脳波検査・MRI検査・心臓カテーテル検査(医師を中心としたチーム医療として携わる)など様々な検査があります。
患者さんから採取された喀痰・尿・膿・血液・便などを培地を使って培養し、疾患の原因菌を探ります。
細菌にも様々な種類があり、それらが予測・特定されることで処方される薬・服用方法などが大きく変わってきます。
作業には細菌を外に持ち出さないようにマスクや手袋の着用、消毒などが欠かせません。
病理検査室では患者さんから採取された組織を顕微鏡の元で診断できるよう標本にするのが一つお仕事です。
「採取された組織」とは?
内視鏡で胃の中をカメラでのぞいたときにポリープがあったとしましょう。
それが良性なのか悪性なのか肉眼では判断できないので、ポリープの一部または全部をカメラについたハサミで切って摘出します。
これが組織です。
組織の良性・悪性を診断する医師本人はほとんど標本は作りません。
これは影で検査技師が作っているのです。
医師が的確な診断を下すために、見やすい標本を作ることが求められます。
標本の出来具合が悪いと診断結果が変わり患者さんに大きく影響するため、とても大切な役割となります。
また他にも手術で摘出された癌細胞の悪性度の判定や付近のリンパ節への転移の有無、子宮筋腫の判定、虫垂炎(いわゆる盲腸炎)の診断などでも組織標本を作成します。
また、この分野では「細胞検査師」という検査技師の中でも特殊な資格に挑戦することができます。
子宮頚がんの塗抹検査や喀痰、体腔液中の異型細胞のスクリーニング(一次選別、ふるいわけ)を検査技師自ら行うことができる、専門性の高い資格です。
このように検査技師の中でもより専門性を高める資格がいくつかあり、一般の検査技師から特別な検査技師に階級を上げていくことができます。
他にも輸血検査、ウイルス検査、遺伝子・染色体検査、眼科での眼底検査など、検査技師の活躍の場は多岐にわたります。
検査技師のやりがいはこれまでお伝えしてきたように、どこの現場に就くかで様々だと思います。
直接患者さんに触れる生理機能検査では患者さんからの「ありがとう」が何よりのプレゼントになるかもしれませんし、誰にも負けないプロフェッショナルを目指す検査技師にとっては資格取得や周囲からの信頼がやりがいに繋がるかもしれません。
一番大切なのは、検査技師という仕事を選ぶ理由が「国家資格だから」や「親を安心させたいから」ではなく、「自分が検査技師として仕事をしたいから」という理由であることだと思います。
臨床検査技師のこれからについてですが、実のところ、検査技師は現在飽和状態になっていて採用枠は少なくなっています。
時代の発展によりAIの技術が進み、ひと昔前に人が行っていた検査は検査機器がより確実な精度でこなすようになってきました。
検査技師の手は次第に必要ではなくなってきているのかもしれません。
だからこそ、人にしかできないことをプロの検査技師としてやっていく心構えが必要になってきます。
誰にも負けないプロフェッショナルの検査技師になることを目標に、次世代を引っ張る素敵な臨床検査技師が増えていくことを期待します。
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