臨床検査技師の仕事には、向き不向きが業務に影響します。

そもそも臨床検査技師とは、簡単に言えば、患者さんの疾患の原因を詳しく検査して原因を追究する職業です。

この記事では、臨床検査技師の仕事内容や、やりがいについてまとめましたのでご紹介させていただきますね。

「研究職に将来は就きたい!」なんて方には、とてもおすすめな職業なので、臨床検査技師になるためにやるべき事も解説させていただきます。

最後までどうぞご覧ください。

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臨床検査技師ってどんな仕事?

「臨床検査技師(以下、検査技師)の仕事をしています」というと、「レントゲンを撮る人ですか?」(放射線技師)とよく間違えられます。

日常生活の中であまり目にしない職業なので、どんな仕事をしているのかピンとこない人の方が多いと思います。

そこで一つ、具体的な例で検査技師の仕事を見てみましょう。

臨床検査技師ってこんな仕事

例えばあなたが謎の腹痛に襲われて内科などの病院に駆け込んだとしましょう。

駆け込んだあなたは最初に問診票に今の症状や状況を記入します。

「お腹が痛い」「今朝からじわじわと…」「持病は…」「今飲んでいる薬があるかないか」など。

そして診察にあたったお医者さんはその問診票を見て、更に細かい問診を始めるでしょう。

「過去にこのようなことは?」「お腹が痛くなる前に何をしていましたか?」など…。

それから喉のあたりを触ってみたり、お腹のどの部分が痛いのか横にさせて押してみたり(触診)。

そして最後に「検査してみましょう」と言ったりします。

ここで検査のオーダーが出されます。

検査のオーダーが出されるとお医者さんのお仕事は一旦ストップです。

そしてあなたは言われるがまま様々な検査に誘導されます。

  • 「おしっこを採ってきてください」→ 尿検査
  • 「採血をしましょう」→ 血液検査
  • 「心臓の動きに異常がないか調べます」→ 心電図検査
  • 「腹部エコーを撮ってみますか」→ 生理機能検査(超音波検査)

このそれぞれの分野で実際に検査をしているのが検査技師であり、これが一般的な検査技師の仕事になります。

不調を感じる患者さんの身体は様々な信号を出しています。

それらの信号はおしっこや血液、心臓の動き、胃や腸の動きなどに通常とは違う形となって現れます。

患者さんから採ってこられた尿や血液(検体と言います)の状態を客観的な数値やデータとして検出し、確実且つ迅速にお医者さんに提出するのが検査技師の務めです。

お医者さんは検査技師の出したあらゆる分野のデータを総合的に解析して病気の原因を考え、更に検査を追加したり他の科の先生と相談しながら診断を出すのです。

このように、検査技師は診断をする上でなくてはならない材料を医師に提出するという、疾患の原因追求には欠かせないプロセスの一部を担っています。

どうやって臨床検査技師になるの?

検査技師になるためには国家試験に合格しなければなりません。

そしてその国家試験を受けるために検査技師養成過程のある学校に通い、必要なカリキュラムを終える必要があります。

国家試験の科目は「臨床血液学」「臨床免疫学」「臨床微生物学」「臨床生理学」「臨床化学」「病理組織細胞学」「医用工学概論」「臨床検査総論」「臨床検査医学総論」「公衆衛生学」などがあり、臨床学問を幅広く学びます。

高校の科目でいうと化学や生物の分野が中心になってきますので、その科目に苦手意識がある人には若干大変かもしれません。

学校の種類は専門学校(3年制)、短期大学(3年制)、大学(4年制)があり、学問の他に実習などの実技スキルも学んでいきます。

大学と専門学校ではどちらを選ぶといい?

検査技師になるために通う学校は専門学校と大学とではどちらが良いのでしょうか?

結果的に「資格を取ること」のみが目的であれば、入口はどちらでも構いません。

どんなところに違いがあるのかというと、資格を取るまでのスピードと、検査技師になったときに見える視野の広さに若干の差があります。

専門学校の場合

専門学校ですと検査技師になるために必要な知識やスキルを3年間で習得することになるので、ギュッとスケジュールが詰まった学校生活を送ることになります。

大学よりも春休みや夏休み、冬休みも短いですし、実習が複数の科目で同時に始まる2年生はレポートの嵐に耐えなければなりません。

その分無駄にできる時間もほとんどないので、一直線に臨床検査技師への道を駆け抜けることができ、最短速度で目標の検査技師になることができる点ではオススメです。

ちなみに私自身も専門学校出身ですが、センター試験を受けなくても受験できる点、短い時間でカリキュラムを満たして検査技師デビューできる点は大きなメリットでした。

大学の場合

4年制の大学では時間をかけてより広範囲の学問を学ぶことができます。

そのため勉強する中で検査技師以外の医療分野に興味を持った場合、方向転換することもできます。

また専門学校卒業では得られない「学士」が取れることは就職の際の書類選考では大変有利となります。

単位を修得していく中でどっぷり追求していきたくなる分野が見つかることもあるでしょう。

将来的に大学院や研究所などで研究職に就く人も出てくるようです。

実践を積みながらどんな検査技師になりたいか探求していきたい方は、まず専門学校で検査技師資格取得を目指すと良いでしょう。

最初から医療知識を充分蓄えた検査技師のプロフェッショナルになりたい、就職先も一流の総合病院に行きたいという方は大学を選ぶと良いでしょう。

とは言え、実際に検査技師になってからが本当のスタートです。

医療技術や研究は日進月歩、絶え間なく進化し続けているので、現場の医療従事者は常に勉強していく必要があります。

そのため、「検査技師は国家資格なので収入が安定しているから、なってしまえば生涯安泰」と思っている方にはオススメしません。

逆にどんなことでも学んでいこうという姿勢のある検査技師は、スタート地点がどこであれ、必ず職場で必要とされる検査技師になるでしょう。

臨床検査技師って具体的にどんな仕事をしているの?

検査技師の仕事は分野によってかなり枝葉が分かれており、勤めることになる診療所やクリニックの種類によって、また総合病院では配属される検査室によって仕事内容は全く違ってきます。

どの職務に就くことになっても、最終的には患者さんの身体一つから発信されるものを扱うことに変わりないので、担当分野の職務だけでなく他分野の検査データも見て総合的に判断することを心がけると信頼の置ける検査技師として一目置かれます。

具体的に検査技師がどんな仕事をしているか、主要なものをいくつか紹介します。

生化学検査

患者さんから採取された血液や尿などの成分について化学的に分析する分野です。

他分野の検査データと合わせて総合的に判断することで、疾患の診断や治療の効果などを測ることができます。

血液は遠心分離機にかけると有形部分(赤血球や白血球など)と液体部分に分離させることができます。

その液体部分には身体の細胞や組織、臓器からの疾患に関する情報が沢山詰まっており、そのデータが正常値からどれくらい乖離しているかを読み取り診断に活かします。

例えば、癌になると癌特有の物質が血液中に検出されます。

これを腫瘍マーカーと言いますが、その物質はどこにできた癌なのかによって種類が異なります。

健康な人からは検出されないそれらが高値を示すことで、どこに癌ができているのか予測をつけることができるということです。

近年は腫瘍マーカーの研究が進んでおり、複数の医療専門職が連携して治療やケアにあたるチーム医療の中では、この分野に特化した検査技師はメンバーはなくてはならない存在となっています。

他にも内分泌(ホルモンなど)検査や免疫(アレルギーなど)検査も、生化学検査に含まれます。

一般検査

尿検査、便検査、髄液検査などがこれにあたります。

尿検査では尿中に検出された有形成分を調べることで、腎臓や膀胱、尿路などの状態を間接的に見ることができます。

健康診断で尿を紙コップに入れて小窓に出しますが、その窓の向こうにいるのが一般検査室の検査技師ですね。

健康な状態では尿中に出てこないような蛋白質、細胞成分、糖分が検出されると、要再検査、要精密検査などの診断がつけられます。

便検査からは腸内で出血が起こっていないか(便潜血反応)、寄生虫が検出されないかなどを検査します。

血液・凝固検査

血液を遠心分離機にかけると有形成分と液体成分に分かれると説明しましたが、血液検査室では有形成分(赤血球、白血球、血小板など)について調べます。

赤血球の形を顕微鏡下で見ることで貧血の種類を見たり、白血球(好酸球、好塩基球、好中球など)の割合のバランスや形状を見たりします。

白血病という疾患を聞いたことはありませんか?

一口に白血病と言っても白血病もかなり細分化されて様々なタイプがあり、それは白血球の形状に特徴が現れてきたりします。

検査技師はそれらを見分ける専門家にもなり得るのです。

生理機能検査

生理機能検査は主に総合病院で行われます。

簡単に言うと、様々な検査機器を使って患者さんの身体の情報を読み取る検査を行っています。

心電図検査

心臓の拍動によって生じる電気信号を、身体の表面に設置した電極を通して読み取る検査です。

不整脈などの診断には欠かせません。

肺機能検査

鼻をつまんで大きく息を吸い勢いよく吐く、という検査です。

吐き出す息の量や速度、二酸化炭素濃度などから肺の機能を測ることができます。

肺炎などの検査に用いられます。

超音波検査

超音波をプローブと呼ばれる探触子から出し、反射した波を画像化することで体内の臓器の状態を検査するものです。

お腹の中の臓器(肝臓や胆嚢、腎臓など)、甲状腺や乳腺、心臓や血管(頸動脈や下肢の動脈等)などを見ることができます。

脂肪肝の肝臓は画面上で真っ白に見えたりします。

生理機能検査は特に種類が多く、他にも脳波検査・MRI検査・心臓カテーテル検査(医師を中心としたチーム医療として携わる)など様々な検査があります。

細菌検査

患者さんから採取された喀痰・尿・膿・血液・便などを培地を使って培養し、疾患の原因菌を探ります。

細菌にも様々な種類があり、それらが予測・特定されることで処方される薬・服用方法などが大きく変わってきます。

作業には細菌を外に持ち出さないようにマスクや手袋の着用、消毒などが欠かせません。

病理検査室

病理検査室では患者さんから採取された組織を顕微鏡の元で診断できるよう標本にするのが一つお仕事です。

「採取された組織」とは?

内視鏡で胃の中をカメラでのぞいたときにポリープがあったとしましょう。

それが良性なのか悪性なのか肉眼では判断できないので、ポリープの一部または全部をカメラについたハサミで切って摘出します。

これが組織です。

組織の良性・悪性を診断する医師本人はほとんど標本は作りません。

これは影で検査技師が作っているのです。

医師が的確な診断を下すために、見やすい標本を作ることが求められます。

標本の出来具合が悪いと診断結果が変わり患者さんに大きく影響するため、とても大切な役割となります。

また他にも手術で摘出された癌細胞の悪性度の判定や付近のリンパ節への転移の有無、子宮筋腫の判定、虫垂炎(いわゆる盲腸炎)の診断などでも組織標本を作成します。

また、この分野では「細胞検査師」という検査技師の中でも特殊な資格に挑戦することができます。

子宮頚がんの塗抹検査や喀痰、体腔液中の異型細胞のスクリーニング(一次選別、ふるいわけ)を検査技師自ら行うことができる、専門性の高い資格です。

このように検査技師の中でもより専門性を高める資格がいくつかあり、一般の検査技師から特別な検査技師に階級を上げていくことができます。

その他の検査

他にも輸血検査、ウイルス検査、遺伝子・染色体検査、眼科での眼底検査など、検査技師の活躍の場は多岐にわたります。

臨床検査技師のやりがいは?

検査技師のやりがいはこれまでお伝えしてきたように、どこの現場に就くかで様々だと思います。

直接患者さんに触れる生理機能検査では患者さんからの「ありがとう」が何よりのプレゼントになるかもしれませんし、誰にも負けないプロフェッショナルを目指す検査技師にとっては資格取得や周囲からの信頼がやりがいに繋がるかもしれません。

一番大切なのは、検査技師という仕事を選ぶ理由が「国家資格だから」や「親を安心させたいから」ではなく、「自分が検査技師として仕事をしたいから」という理由であることだと思います。

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臨床検査技師の仕事が向いている人の5個の特徴とは?

人間であれば誰しも得意不得意の分野はあると思います。

経験を積むことで知識や技術を向上させることができ、不得意な面をカバーすることができます。

臨床検査技師に向いていない人よりも向いている人の方が吸収も早く、成長スピードも速いのではないかと思います。

向いている人の特徴をまとめたのでご紹介します。

細かい部分に気が付くことができる人

臨床検査技師にはあらゆる方面にアンテナを張り、早く正確に検査をする能力が求められます。

検査室に提出された検体を受け取った際も、ラベルや患者さんの氏名に誤りがないか、検体量は検査に適しているかなどの多数の項目をチェックできなければなりません。

検査結果を見ても、再検査が必要か、前回と比べて変化はあるか、医師へ速やかに報告する事項はないかなどを確認する必要があります。

また、検査室は様々な機械を動かしているので、異常を知らせるアラーム音がどこから鳴っているのかを聞き分けられれば、機械のトラブルにも速やかに対処できます。

細かい部分に気が付くことができる人は現場でも重宝されることでしょう。

努力家な人

技術の進歩で新しい検査機器や検査技術が常に出てくるため、その都度最新の知識や技術を身につけなければなりません。

特に当直帯は自分の専門分野以外の検査も担当することになります。

スムーズな検査を行うためには検査方法の隅々まで熟知し、覚えなければなりません。

それは年齢や経験年数に関係ないもので、ベテランの検査技師でも専門のスタッフに聞き疑問を解決しています。

また、超音波検査士や細胞検査士をはじめとする各種認定資格を取得することもできます。

経験を積むと認定資格を取ることでキャリアアップにも繋がるので、勉強や努力をすることが苦にならない人には向いていると思います。

黙々と仕事をすることが好きな人

検体検査の場合は患者さんとの接点がほとんどなく、患者さんの検体や測定機器を相手に検査をします。

例えば、血液検査や病理検査の場合は顕微鏡と、生化学検査では機械と向き合うことが多いです。

検査室内は人の声はほとんど聞こえず、機械のモーター音が常に鳴り響いています。

その状況でもひたすら患者さんの検体を検査し続けています。

集中しなければミスによるインシデントを招く恐れもあるため、最低限必要な会話のみに留めて検査をします。

ほとんど会話をせずに一日が終わることもあるため、黙々と仕事をするのが苦にならない人には向いています。

人と話すことが好きな人は、患者さんとの接点がある生理検査を選ぶと良いでしょう。

細かい作業が得意な人

最近は機械化が進んでいるため多くの検査を機械が自動で行ってくれますが、手作業で行う検査もあります。

人の手でする検査は繊細な操作が要求されるものが大半で、ごく微量の検体や試薬で検査をすることになります。

赤ちゃんや子供の検体は数滴しかないものもあるので、失敗は許されません。

私の勤めていた病院では、輸血検査では試験管を使って手作業で検査をする工程もありました。

最終的な判定を人の目で下し、輸血に適合するかどうかを検査しなければなりません。

針に糸を通すような繊細さが求められる検査ですので、少しのミスが不適合輸血を招き、患者さんの命に関わることになります。

機械の操作でも、順番を間違えて操作をすると機械が止まってしまうこともあるため気を遣います。

不器用な人や大雑把な性格の人は患者さんを危険にさらす可能性もあるので、向いていません。

体力に自信がある人

大きな病院では病棟患者の検査に加えて外来患者の検査もあります。

特に外来の場合は検査結果が出ないと医師が診察できないので、速やかに検査結果を出す必要があります。

立ったままで絶えず動き回ることも多く、検査に追われて気付けば就業時間を過ぎていることもあります。

当直勤務の場合は日勤に引き続いて勤務をすることになるため、体力的にも辛くなります。

特に救急患者を受け入れている病院では救急患者の検体が次々に提出され、検査に追われることになります。

仮眠室は設けられていますが、ほとんど眠れないこともあり、帰る頃には疲労困憊になっています。

また、早出勤務を設けている病院もあります。

日中の検査をスムーズに行えるよう勤務時間より前に出勤し、機械を立ち上げる必要があります。

当直も早出も当番で月に数回は回ってきますので、自分で体調管理をしなければなりません。

体力に自信があれば、これらの辛い状況を乗り切ることができるので向いていると思います。

逆に、臨床検査技師の仕事が向いていない人って?

臨床検査技師の現場は、学生時代に抱いていた理想とは少し違う面もあると思います。

実際に働いてみて「自分には向いていなかった」と後悔しては大きな回り道をすることになります。

向いていない人の特徴をまとめたのでご紹介します。

大雑把な性格の人

試薬や検体の量は決められているので、適当な検査をすると正しい検査結果になりません。

また、超音波検査では適当な検査は病変を見逃すことになります。

そうなると患者さんの治療方針も変化し、場合によっては命に関わることにもなりかねません。

検体には感染性を有するものも多く、適当に扱うと院内感染を引き起こす恐れもあります。

「まあいいか」は通用しないので、大雑把な性格だと自覚している人はやめた方が良いと思います。

優柔不断な人

臨床検査技師の仕事は医師に自分が検査した患者さんのデータを見て伝達しなければいけません。

専門的な知識を持っているという点から、医師から検査内容に対する質問をされることが多いです。

質問に対する答えに至る根拠まで加えて説明する必要があるので、曖昧な回答では検査技師への不信感を募らせることにも繋がります。

特に当直帯では医師や看護師などから様々な問い合わせがあり、対応に追われます。

例えば、採血管一つにしても院内用と外注用に分かれているため、「この検査にはこの採血管を使用し、検体量は〇〇ml必要」と明確に説明しなければなりません。

検査技師が主導権を握らなければ正しい検査にならないだけでなく、再検査による患者さんへの不利益を与えることにもなります。

優柔不断ということは自分の判断に自信を持てないことだと思うので、医療の現場では歓迎されないと思います。

人付き合いが苦手な人

検査をスムーズにミスなく進めるためには、検査室内でも他のスタッフと協力して検査をしなければなりません。

病院においては、チーム医療として一人の患者さんに様々な職種のスタッフが協力して治療に当たる取り組みがされています。

患者さんに最適な治療をするためには、スタッフ同士のコミュニケーションを上手に取ることが必要不可欠です。

最近は臨床検査技師の関わり方も変化しており、病棟や在宅医療の現場においても採血等の検体採取や検査説明を行うなど患者さんと接する機会が増えつつあります。

働く上で人付き合いを避けるのは不可能に近いので、苦手であってもある程度は改善しなければなりません。

同時に複数の作業をするのが苦手な人

私の働いていた病院は救急指定の病院であったため、時間外にも次々に救急患者が運ばれてきていました。

特に当直等の当番帯では、一人で複数の検体を同時に検査することになります。

すぐに検査をしないとデータが変わるものもあるため、次々に来る検体に対して自分の中で優先順位を決め、検査が滞らないように対応しなければなりません。

焦って検査をすると、普段なら問題ない検査でもミスを誘発することになります。

複数の検査を同時にこなす能力に加え不測事態にも冷静に対応できる平常心も求められるので、それが苦手な人はかなり苦労します。

臨床検査技師の仕事で活かせる経験

臨床検査技師の仕事で活かせる経験は、重要かもしれません。

医療の知識を持ち合わせていると、日常生活において役に立つ場面が多いと感じます。

医療の知識

医療の知識の中で、感染防御に関する知識は特に役に立つと思います。

カンピロバクターの危険性を知っているので、食生活においては鶏肉をよく加熱して食べるようになったり、鳥刺しを食べなくなったりしました。

インフルエンザやノロウイルスのシーズンになると手洗いうがいをこまめに行い、手すりやドアノブを消毒するようになりました。

余談ですが、医療ドラマを見ていても内容をよく理解でき、楽しさの幅が広がったと感じています。

検査データを見られる

普段は患者の検査結果を見ているのですが、自分が病院で診察を受けた時にも役に立つと思います。

私の経験ですが、家族が病院で血液検査を受けた時に、検査結果について詳しく教えてほしいと言われたことがあります。

検査項目について詳しく説明することができたので、その時は検査技師の知識が活かせて良かったと思いました。

その後のキャリアについて

キャリアに関しては、臨床検査技師として仕事を続ける場合と、他の分野で活躍するための二種類に分かれます。

選択肢によっては給料の増減があるため、慎重に考える必要があるでしょう。

この仕事に就いた後のキャリアアップの道は?

検体検査の場合は認定技師の資格が、生理検査の場合は超音波検査士の資格を取得することができます。

資格を取得すると普段の業務の幅も広がり、自信を持って仕事をすることができます。

その道のりは長いもので、勉強会や受験費用で時間もお金もかかります。

特に家庭を持っている方は、家族に負担をかけないよう相談することも大切だと思います。

また、資格の保有自体が目的の「資格コレクター」では意味がないので、普段の業務に活かせる資格を取ることに重点を置くべきでしょう。

他の仕事にもこの経験を活かせる?

仕事の正確さはどの分野でも必要とされることですので、別検査以外の仕事をすることになっても役に立つでしょう。

臨床での経験を活かし、治験コーディネーターや医療機器メーカーに転職をする人もいます。

人付き合いが増えることになりますので、それが平気な人は大丈夫だと思います。

一から新しい仕事を覚えることになるため、多職種への転職は年齢が若い方が転職しやすいと思います。

まとめ

臨床検査技師のこれからについてですが、実のところ、検査技師は現在飽和状態になっていて採用枠は少なくなっています。

時代の発展によりAIの技術が進み、ひと昔前に人が行っていた検査は検査機器がより確実な精度でこなすようになってきました。

検査技師の手は次第に必要ではなくなってきているのかもしれません。

だからこそ、人にしかできないことをプロの検査技師としてやっていく心構えが必要になってきます。

誰にも負けないプロフェッショナルの検査技師になることを目標に、次世代を引っ張る素敵な臨床検査技師が増えていくことを期待します。