本が好きな方の中には、図書館で仕事をしてみたいと考えたことのある方も多いのではないでしょうか。

図書館は県立、市立図書館などの公共図書館と呼ばれるものの他に、大学や博物館、企業内などいろいろな場所にあり、本に囲まれて働けるなんて本好きにはたまらない状況のように思えます。

そこで実際に図書館で活躍する司書がどのような仕事をしているのか、その仕事内容をご紹介していきたいと思います。

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図書館司書の仕事は大きく4個の役割に分けられる

貸出・返却・書架の整理

図書館の開館中にカウンターで行われる作業では、貸出と返却が主な仕事になります。

利用者がその図書館に抱く印象は、カウンター業務を行う職員により左右されると言っても過言ではないため、接客能力が重要です。

返却された資料を元の書架に戻す作業では図書館中を歩き回ることになりますので、体力も必要です。

図書館司書はこの業務を通じて多くの利用者と接することにより、その時々の動向を把握しやすくなります。

レファレンスサービス

レファレンスサービスは利用者が調査や研究を行いたい時に、図書館司書が資料集めの相談に乗るサービスです。

インターネットが普及していても、出典が明確な資料を収集し、更に研究やビジネスに活用するとなると容易なことではありません。

資料を扱う専門家である図書館司書は、様々な角度から自館や他館の蔵書から必要な情報を探し出したり、調査方法を利用者に提案したりします。

図書館を本を借りる場としか認識していない利用者もまだまだ多いのですが、ビジネスに関する調査のサポートを行い、存在感を示す図書館もあります。

イベント企画

図書館司書は様々なイベントを企画することで、既存利用者の満足度向上や新規利用者の開拓を図っています。

イベント内容を見ると実に多種多様ですので、驚かれる方もいらっしゃるかも知れません。

特に公共図書館では読み聞かせ会や講演会に留まらず、コンサート、夜間に行う怪談の朗読会、天体観測会、ぬいぐるみのお泊り会等々、幅広い利用者に図書館の魅力を感じていただく場を提供しています。

選書、受入

購入する資料を選定する作業も重要です。

選書は図書館ごとの収集方針や、蔵書計画に従って行われます。

利用者からのリクエストを考慮したり、偏らないよう複数人で評価してから購入を決定したりします。

貸出・返却・書架の整理の3個の業務

開館前

出勤したら、新聞を前日分と取り替えたり、夜間返却口に返された本を破損がないか等を確認しながらスキャンし、書架に配架します。

前日の日中に返却され、書架に戻し切れなかった本が残っていれば、そちらも配架します。

返却された本に予約が入っている場合は、スキャンした時に音や表示で知らせてくれますので、予約用の棚に分けます。

イベントがある場合は、ミーティングの場で当日のスタッフと情報の共有を行ないます。

開館中

カウンターでの貸出時には、まず貸出カードを専用システムに読み込み、本やDVD等の資料の貸し出し手続きを行います。

返却時は返却忘れがないかどうかも確認し、あれば利用者に告げるようにします。

この作業を機械化し、利用者が自分でバーコードを機械に読み込ませる方式の図書館もあります。

返却された資料に破損があれば、弁償が必要かどうかを修繕担当者に問い合わせます。

返却された本はカウンター前の仮置き場に並べておき、手が空いた時に書架に戻します。

その他にも資料の場所を利用者と一緒に探すこともありますし、閉架と呼ばれる職員しか立ち入れない書庫にリクエストされた資料を取りに行ったり、利用者から資料選びの相談を受けたりすることもあります。

予約が入っている資料の返却が遅れている場合には、利用者に電話をかけて督促を行ないます。

督促作業は図書館により葉書や直接訪問、業者への委託などなどさまざまな方法が取られていますが、多くの図書館にとって頭の痛い問題です。

予約をした資料をなかなか取りに来ない利用者にも、次の予約者をお待たせしている場合があるため電話をかけることがあります。

また、障がい者が来館したときのご案内や対面朗読サービスの提供も行うなど、開館中は多くの業務が発生します。

閉館後

利用者が取り残されていないかや忘れ物がないかを点検した後、利用者出入り口を閉鎖します。

閉館後も問い合わせなどで居残ってしまった利用者がいれば、お帰りの際に職員用の出入り口までご案内します。

急ぎの業務があれば、残業になることもあります。

配架作業が残っている場合は、翌営業日に回せそうなら残業を避けて帰宅します。

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レファレンスサービスの2個の業務

相談に乗る

利用者から受けた問い合わせに対し、図書館司書が参考文献やデータベースから調査を行います。

自館の蔵書に目当ての情報がなければ、他館に問い合わせて資料を借り出すこともあります。

明確な結論を出すのが難しい調査であっても、利用者に役立ちそうな調査方法をお伝えしたり、より詳しい情報を持っている専門機関を紹介できるように心がけます。

経験を蓄積し、サービス向上に努める

利用者の相談に乗った後は、問題解決の道筋を記録やデータベースに残したり、周囲と経験を共有します。

これにより、自館の資料に対する知識を深めたり問い合わせ先の情報を整理し、今後のサービス向上に繋げます。

イベント企画の3個の業務

企画

利用者に喜んでいただくにはどうすれば良いかを考え、読み聞かせ会や講演会等を計画します。

十分な成果を得るためには、他館の運営を見せてもらったりするなど日ごろから勉強しておく必要があります。

また、予算が必要なイベントでは、開催の目的や対象者を明確にした企画書を作成し、説明できるようにします。

日ごろから世の中の流れにアンテナを張っておき、文学賞の発表や映画の原作などでニーズの増加が予想される本を集めた特集を企画することもします。

運営

講演会の運営としては、規模や日時の決定、告知から始まり、他の職員と打ち合わせながらタイムテーブルを作成したり、資料を用意したりと、多くの業務が発生します。

規模の大きなイベントでは、人員と様々なトラブルを予見できる経験が必要になります。

また幼児を対象とする読み聞かせ会であれば、絵本を選ぶだけではなく、幼児を引き込めるような手遊びや歌をあらかじめ覚えておくなどしておけば、落ち着かない聞き手にも対処しやすくなります。

展示コーナーを作るのであれば、利用者が本を手に取りたくなるような推薦文をPOPにしたりディスプレイを作ったりするため、美的感覚や事前の勉強が必要になります。

評価

イベントの結果をアンケートや資料貸出数の変化として取りまとめ、評価を行ないます。

好評であれば、再度の企画もあり得ます。

すぐに成果が認められなかった場合も、必要性を再考したり、類似企画を行うときの参考とすることができます。

ここでの評価をしっかりと次回以降のイベントに活かしていくことが重要となります。

選書、受入の2個の業務

選書

限りある予算から全ての出版本を購入するわけには参りませんので、図書館司書が何を購入するかを選択するのが選書です。

図書館にとっては力の入る業務ですので、図書館司書は日ごろから新刊の評価を行ったり、他館司書との勉強会に参加したりして見識を広げておきます。

多角的な選書を目指す図書館では、蔵書計画を考慮したり、利用者の満足度調査や専門家を交えた選定会を行い、時間と労力をかけて購入する資料を決定しています。

受入

購入した本が届いたら、受入作業を行います。

蔵書登録を行って目録を作成したり、バーコードを貼り付ける作業を行ってから配架します。

目録作成では、情報を探す人が容易に目的の場所にたどり着けるよう、資料に分類番号を付けるなどして分かりやすい置き場所を決めます。

図書館ごとの目録規則がありますので、それに従って資料情報を整理し、システムに登録します。

資料は分類順に並んでいないと行方不明になってしまうため、書架の本が順番に並んでいることを点検したり、本を出し入れしながら見やすく並べ、利用しやすい状態を保つ作業が日ごろから欠かせません。

図書館司書になるためには?

司書資格や司書補資格を取得すると、市町村や学校の図書館、大学図書館、国立国会図書館、研究機関や企業などの専門図書館などで活躍することができます。

残念ながら現状としては、図書館司書は正規職員としての募集が少なく、雇用形態を重視される方にとっては厳しい状況です。

非正規職員として図書館業務を請け負う会社に登録したり、有期雇用職員として就業されている方が多くを占める業界です。

大学で司書の資格を取る

大学や短大に通って図書館司書の資格を得るのであれば、図書館学や図書館情報学を専攻できる大学に進学する他に、他の専攻を持ちながら資格を得る方法もあります。

図書館学を履修できる大学に在学していれば、必要科目を履修することで卒業と同時に司書の資格を取得することができます。

図書館司書を目指されている方は、必要科目を履修しつつ近くの図書館のアルバイトに応募してみるのも良いかも知れませんね。

短大や大学を卒業した人が司書の資格を取る

既に社会人となっている方は、わざわざ現在の仕事を辞めなくても大丈夫です。

忙しくて通学ができないという方は、e-ラーニングなどを交えた通信講座を受講することで、司書の資格を取得することができます。

また、スクーリングのある通信講座ですと、同じ目標を持つ学生と共に授業を受けることができます。

早い方は資格取得まで1年も掛からないようです。

まずは在学中に必要な単位を履修していないか、確認してみてはいかがでしょうか。

高卒で司書の資格を取る

高卒で司書になるには、まず司書補資格を取得した後、3年間図書館で勤務してから司書資格を取得する方法があります。

司書補になるためには、夏に2ヶ月程度、全国のいくつかの大学で開催される司書補講習を受講しなくてはなりません。

この司書補講習を開催する大学は限られており、自宅から遠い方にとっては短期間であっても転居の必要があるなど、有職者にとっては非現実的な部分があります。

司書になるまでにかかる年月を考えますと、司書資格の取れる通信制の短大を卒業するという方法も検討する価値があるのではないでしょうか。

図書館司書のやりがいや面白いポイントとは?

図書館司書は、本が好きな人、接客が好きな人、情報を探すことが好きな人など、その人により様々な場面でやりがいや面白さを見出すことができる仕事です。

筆者は以前図書館に勤務しておりましたので、その時に感じた事を記述いたします。

図書館司書の仕事のやりがいとは?

私は接客業務が好きでしたので、利用者から感謝されることが一番のやりがいに繋がっていました。

中でも利用者がお探しの本を探し当て、喜んでいただけたときには安堵感と充実感を感じていました。

利用者からは見えない仕事も多い図書館司書業務ですが、破れた本がきっちりと修復されているのを見て修復担当者の技術に驚いたり、ふと興味を持った分野の資料が揃っていることに気づいて選書の良さを感じたり、いろいろな場所に職員達がやりがいを持って働いていることが示されているように思います。

図書館司書の面白いポイントは?

通常余暇にどの本を読むかは自分で選択するものですが、図書館で働いていると、見ず知らずの利用者が選ぶ本を毎日目にすることになり、影響を受けます。

私の場合は、国内外の旅行ガイドが読み込まれ、ボロボロになっているのを見て、元々旅行には興味がなかったにも関わらず旅行書を手に取るようになってしまいました。

料理や手芸の本に関しても、同様に人気があったのが印象的でした。

それから静かな地下の書架も、地上部のフロアとは異なる雰囲気があり、行くのを楽しみにしておりました。

まとめ

図書館司書の業務について取り上げましたが、ご参考になったでしょうか。

図書館は本が好きな方にとっては身近なものですので、図書館司書の仕事についても多くの情報を見に行くことができます。

レファレンスサービスを利用してみたり、イベントに参加してみたり、曜日や時間帯ごとの変化を観察したりしても、イメージをつかみやすいのではないかと思います。

本と人を繋ぐすばらしい仕事でご活躍されますように!

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