製薬会社の正社員の方々は、どのような業務を普段行っているのでしょうか?

ここでは「製薬会社」をテーマに、その働き方や様々な職種などを紹介したいと思います。

筆者も製薬会社での勤務経験があるので、自身の経験を踏まえて製薬会社の求人でよくある募集内容や勤務先の種類・おすすめ求人のポイントなど、この業界で働いてみたい方が気になる疑問についてしっかりと解説します。

就職・転職活動中の方の役に立てる情報になれば良いなと思っています。

製薬会社ってどんな会社?

一口に製薬会社と言っても、様々な専門性を持った会社があります。

極端な例で言うと「○○製薬」という名称の会社でも化粧品しか作っていない会社などは、正確には「製薬」とは言わないような気がします。

筆者は製薬会社に籍を置き様々な製薬企業を見てきた経験から、多岐にわたる情報を紹介していきたいと思います。

ここで会社の専門性についてもう少し詳しく紹介しますと、以下のようになります。

  • ① 新薬を開発し製造販売する会社
  • ② 新薬の開発だけをする会社
  • ③ 特許切れの新薬をジェネリックとして製造販売する会社
  • ④ 一般大衆薬のみ製造販売する会社
  • ⑤ 特定の薬効しか持たない薬剤だけを製造販売する会社
  • ⑥  会社名は「製薬」となっているが卸業しかやっていない会社

などがあります。

筆者は①の医療用医薬品のメーカーに籍を置いていましたので、以下に医療用医薬品メーカーに関して紹介します。

製薬会社のおおまかな仕事内容とは?

製薬会社の中でも医療用医薬品メーカーは、新薬開発に膨大な開発費用をかけています。

この開発期間は概ね10年から15年程度です。

新薬を発売できていれば問題ないのですが、大部分は時期がずれ込んだりするケースが多く、企業のポートフォーリオ(販売計画など)に大きく影響を与えます。

そのため、他社の新薬を導入したりする場合があります。

自社開発であれば費用も膨大な代わりに利益も大きくなりますが、導入品の場合は薄利にならざるを得ない場合が多くあります。

そうした医療用医薬品メーカーでの仕事の内容について、ここでいくつか代表的なものを紹介したいと思います。

開発関係

医薬品の開発は様々な方法で行われています。

「探索研」という部門では、土中にある微生物で有効な薬品成分を分離できるかどうかを調べたりしています。

また、AI創薬という部門になれば、スーパーコンピューターを駆使して次世代の新薬となり得る分子構造を作り出すことも行っています。

新薬になりそうなシード(種)が見つかれば、前臨床試験(動物実験)を経てフェーズⅠ~フェーズⅢまでの各段階に分けて臨床試験(人での試験)を行います。

ここでは、CRA(Clinical Research Associate)と呼ばれる臨床開発モニターが各所の臨床試験センターなどを担当して開発業務に携わります。

薬事関係

あまり聞き慣れない部署で、製薬会社の中でもあまり目立たない部署です。

主に新薬に関する厚生労働省とのやり取りを行う部署になります。

新薬は発売後もモニタリングする義務がありますので、薬事関係の部署がその役を担います。

新薬に道の副作用がないか、有害事象がないかをまとめて報告する義務がありますので、その責任部署です。

営業関係

新薬が市場に出て現場で使用されるようになるためには、医師や薬剤師の認知度を上げなければなりません。

画期的な新薬の場合には発売前から認知度は高いのですが、既に同薬効の薬剤があり既存役とそれほど大きく変わらない場合には、どれだけ自社の製品が秀でているかを示さなければなりません。

そのために営業職があり、その医療用医薬品メーカーの営業職のことをMR(medical representative:医薬情報担当者)と言います。

業界内でMR認定試験を設け、適切な医学、薬学の知識を医療機関に提供できる様にしています。

多くの製薬メーカーでは文系の学生など幅広くMRを募集したりして、MR増強策を取っていました。

製薬会社の働き先の種類とは?

医療用医薬品メーカーでは、毎年多くの会社で採用活動を行っています。

日本を代表する企業から創薬研究だけを行う企業まで大小様々な企業で募集が出されています。

では、具体的な「働き先」の種類としてどのようなものがあるかを紹介したいと思います。

研究職

この職は専門職なので、狭き門になっています。

多くは、有機化学・有機合成化学・天然物化学等の業務に関連する学問を専攻していなければ応募できません。

博士課程で専門の研究領域とその会社の創薬(リサーチ)領域が重なり合っている場合があります。

大学や研究所に在籍している時から製薬メーカーと連携している場合が多く、その流れの中で自然と就職するという形が多いようです。

産学連携の領域でもあり、奨学金制度などで優秀な学生を事前に製薬メーカーが囲い込んでいる場合もあります。

開発職

この職の中には、ファーマコビジランス職と呼ばれている職が多くの人材を募集しています。

業務内容としては、医療用医薬品の国内外安全性情報の評価及び安全対策の立案・実施です。

各国で自社医薬品が使用され、何か問題があった場合には副作用報告が医療機関を通じて行われるため、その情報収集を行う業務がメインです。

また開発職の中には、CRA(臨床開発モニター)職も多く募集が出ています。

営業職

営業職とはMR(Medical Representative)のことです。

自社の医療用医薬品に関する情報の提供・収集・伝達がMRの役割となります。

大学や大病院を担当する人、中小病院や開業医を中心に担当する人等その担当によって会社の中での重要度が変わってきます。

中小の製薬メーカーであれば単にエリアだけを分担して担当しているようですが、大手になればより細かく分担しています。

製造職

いわゆる工場勤務です。

生産技術職や製造職がこれにあたります。

どちらの職も「薬学、理学、工学、農学系」が募集対象になる場合が多いようです。

製薬会社求人でよくある募集内容とは?

やはり最も多く募集が出ているのは営業職です。

大手企業や外資系企業では新薬発売に向けて多人数による市場占有を計るために、多くのMRを募集しています。

給与相場

最も気になる部分ですが、はっきり言って製造業というカテゴリの中では非常に高い初任給が付けられています。

これは過去から現在に至るまで同じ傾向にあり、どの職種でも同じように高くなっています。

理由として、新薬の開発に力を入れている医療用医薬品メーカーは高い利益率を誇っており、その分社員への還元も大きいことが挙げられます。

製薬会社の年収は、こちらの記事を参考に!

勤務時間や休日、残業

営業職であれば直行直帰のパターンが多いです。

会議等がなければ、支店や営業所に週のはじめや週末だけ寄れば良い場合が多いようです。

残業に関しては、見なし残業として毎月の給与に固定で支給されている場合があります。

営業職なので、残業というよりも昼間空いている時間分を夜間で活動するという部分も含みます。

営業の対象が医師・薬剤師等であり面談の時間が決められている場合もありますので、夕方や夜の面談となれば必然的に営業時間外に面談することとなります。

募集職種

医療用医薬品メーカーでの募集職種の多くは「営業職」であり、全国展開している製薬メーカーが多いので、北は北海道から南は沖縄までの赴任を覚悟しなければなりません。

しかし、会社によっては出身地を考慮して近場に赴任させてくれる場合もあります。

中には地域限定MRと言って、その地域限定で働くことができる募集もあります。

事前によくその会社の制度を理解した上で応募すると良いでしょう。

必要なスキルや資格、経験

新卒で営業職で入社すると半年程度の研修があります。

その後、配属されるのが9月10月で、配属されてからは12月にあるMR認定試験に向けての自主勉教となります。

研修期間は、MR認定試験の合格を目指して勉強することになります。

もちろんそれだけではないですが…。

文系出身の学生は初めは研修内容が難しくかんじたりしますが、その研修期間があるので問題はないでしょう。

解剖学、生理学、臨床検査に関する問題や疾患、疾病とその治療法などを勉強していきます。

昔はそれぞれの知識は自身で身につけたり営業先で訊いてみたりする場合が多かったみたいですが、今は社内での研修を通じて身につけていくことがほとんどです。

またMRの場合は競合他社との競争になりますので、他社製剤の知識も取り入れなければなりません。

会社によっては自主勉強会や営業拠点で設ける学習会などで補っているケースもあるようです。

必要なスキルや経験という点では、日本における医療の仕組みを理解しておくことが最も基本的なことになります。

国民皆保険制度など他国にない制度を学んでおくことも重要になります。

製薬会社のおすすめ求人のポイント

様々な製薬会社の募集がありますが、求人も各社それぞれ違いがあります。

各社の雇用条件、将来性などの比較をしてみることが大切になります。

製薬会社もあの手この手で優秀な人を募集していますので、その点を中心にいくつかの求人に関するポイントを三つご紹介しましょう。

新薬を開発し製造販売する会社の求人ポイント 

新薬を取り扱う会社は規模が大きい会社が多いので、求人の内容で比較できない場合があります。

というのも、待遇では一長一短がありますが、総じて同じようなポイントになります。

そこで、自身が応募した会社の将来性を見極めることが重要になります。

その会社の開発中の新薬がどの程度ありいつ頃世に出るのか、また既存の医薬品がどの程度の市場占有率を持っているのか等を知ることです。

就職前にその辺を理解した上で応募するべきだと思います。

特許切れの新薬をジェネリックとして製造販売する会社の求人ポイント

いわゆるゾロ品と言われているジェネリックメーカーの求人です。

開発費が新薬メーカーの10分の1から100分の1程度で済むことから販売するジェネリック医薬品も自然と安くなるのですが、この分類での会社の求人ポイントは市場占有率です。

ジェネリックメーカーも競争が激化していることで、営業職の負荷が非常に高くなっている場合があります。

そうした業界模様を見ておくことも必要になります。

昇給昇格のタイミングと評価方法の確認

これは全ての製薬会社に当てはまる内容ですが、初任給が高く設定されていると言えども、その後の定期昇給や昇格試験などがあまりないようでは困ります。

したがって、基準やルールをしっかりと把握して比較することが大切です。

製薬会社求人の雇用形態による違い

製薬会社の求人は大きく三つに分かれます。

開発系、事務系、営業系の三つです。

各々に給与基準が設けられており、職務内容も異なってきます。

この三つの部門間での人的移動は管理職以上でなければほとんどないと言っても過言ではありません。

求人も全く異なった条件で出されるケースが多いので、注意した方が良いと思います。

製薬会社求人についてよくある疑問

あまり知られるケースの少ない製薬会社の求人ですので、様々な質問が寄せられます。

よくある質問に対して回答していきたいと思います。

「製薬会社」に就職しようと思っているのですが、潰れませんか?

製薬会社が倒産、破産、企業再生等した例はこの数十年ほぼないと言って良いでしょう。

小さな会社でもそれなりのノウハウや設備を持っていますので、倒産するというよりかはどこかにM&Aされるケースが多いようです。

「製薬会社」に就職する前にやっておかなければならないことは何ですか?

対象が薬ですので人体について概略を学んでおくことが重要です。

アナフィラキシーショック、脳血液関門(BBB)等専門用語にも慣れておくことが大切です。

製薬会社に勤めれば、その会社の薬はただで手に入るの?

よく勘違いされる場合がありますが、医療用医薬品はしっかりと管理して製造されていますので、医師の処方箋がなければ手に入ることはありません。

しかし、薬局やドラッグストアで手に入るものは社員販売価格で格安に手に入る場合があります。

「製薬会社」に勤めたいと思っていますが、文学部出身です。大丈夫でしょうか?

営業職であれば問題はありません。

ただし生物や化学に興味がない学生さんの場合、入ってから苦労するかもしれません。

「製薬会社」の開発部門では人体実験など道徳的に問題があったりしませんか?

現代社会において、人体実験とは言わず「臨床試験」と言います。

健康な成人に対して問題ないかを見極めるフェーズⅠの段階から厳重なルールの下行われるので、心配はありません。

まとめ

製薬会社の全体像から求人におけるポイントまで、簡単に紹介しました。

この記事が製薬会社への就職を希望されている方々の一助となれば幸いです。



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