人間の健康回復・維持・のための重要ファクターである薬剤を開発、販売、管理することが主な業務の製薬会社。

人間の苦痛を和らげたり、疾病を持った人が日常生活に戻れるようになったりする為の起爆剤でもある薬。

そうした薬剤を製造販売する従業員にとっての「やりがい」とはどんなものがあるのかをご紹介します。

また、後半は、そのために何をすればやりがいを感じられるようになるのかを解説します。

製薬会社の大まかな仕事内容について理解しておこう

ここでは、医療用医薬品メーカーの部類に属する製薬メーカーを取り上げます。

その他には、一般大衆薬のみを取り扱う製薬会社や、ジェネリック医薬品だけを扱う会社等各種の製薬会社があります。

各社「薬」と製造する点においては同様で、「製薬会社」の範疇に入っています。

しかし、各社によりその内実は全く異なります。

そこで、ここでは製薬会社業界でも最も注目を浴びる「医療用医薬品メーカー」について、その従業員としてのやりがいを以下にご紹介しましょう。

製薬会社の仕事のやりがいってどんなもの?

何と言っても「人の役に立つ生産的な活動を行っている」ことが上げられます。

「疾病」という全人類が戦わなければならない対象に対して、戦っているという実感が持てるということに尽きます。

医薬品と言う武器を手に疾患で苦しい思いをしている患者さんに対して手助けできるということに最も根源的なやりがいがあります。

筆者の場合、家族に悪性腫瘍(癌)を患った患者さんがいて、余命1年と宣告されたのですが、各種化学療法や放射線治療で、その余命を10年にも延ばしたという経験があります。

そのため自社の販売する医薬品に対する信頼感が、自然と高かったということがあります。

実際に臨床現場で「あなたの所の薬で、助かったわ」と言うような言葉を医療関係者から聞いた時には、その根源的目的が達成できたことの喜びと同時に大いなるやりがいを感じることになります。

しかし、このようなことは、日々の活動の中では稀な例になります。

今回は、日々の活動で味わえるやりがいについて以下にご紹介しましょう。

経験者の私が製薬会社の仕事でやりがいを感じた瞬間

筆者は、医療用医薬品メーカーでも、国内製薬メーカー及び外資系製薬メーカーに在籍した経験からやりがいを感じた瞬間をご紹介したいと思います。

製薬会社は社内の各種部門によって非常に異なった就業様式や勤務体系、専門知識があります。

一概に全部署に当てはまるか否か分かりませんが、製薬会社を志望され、皆さんの多くが就かれると思われる職種の「開発系」、「営業系」について各々ご紹介したいと思います。

その瞬間はある日突然やって来ることもあれば、地道な活動の結果当然の帰結としてやって来ることもあります。

以下はあくまでも例として参考にしていただければ幸いです。

実験研究の成果が目の前で展開された瞬間(開発系・リサーチ)

研究職でのやりがいは、やはり自身の携わった研究成果が目の前で確認できた瞬間です。

よく学会発表や論文投稿による掲載などの瞬間だと言う人もいます。

しかし、実際には毎日丹念に地道な研究生活を送っている中での出来事として、やはり研究成果が実感できた時にやりがいを感じる瞬間になります。

予測に基づく結果、それに続く大きな成果を予測できた時などは、それにもまして喜びとやりがいを感じる瞬間と言って良いでしょう。

臨床医の医師から早くこの薬剤を世に出してくれと言われた瞬間(開発系・CRA)

臨床試験でも最終段階であるフェーズⅢあたりになれば、実際の患者さんを対象にした有効性試験を行います。

安全性が確保された新薬が、どのような患者さんに効果があるのか、投与方法等の研究を検証する試験です。

この時期に、優秀な開発製剤であれば、今まで「不治の病」だとされて来た疾患に対して劇的に効果が発現する場合が有ます。

そのような場合に、臨床医の先生から、「早く保険適応を受けて発売して欲しい」と言われた瞬間は、社会的にもやりがいを感じる瞬間と言って良いでしょう。

この時には、自身のCRA活動のモティベーションになり、一日でも早く市場に出したいという気持ちでいっぱいになる瞬間です。

添付文書に自身が記載した内容が載った瞬間(開発系・ファーマコビジランス)

地味なファーマコビジランス部門で、安全性評価を担当する部門では常に自社が発売する医薬品についての全製剤に関して安全性情報を収集しています。

そうした業務柄、開発段階では発見できなかった副作用や有害事象が発現してくることがあります。

この場合、報告を行って頂いた医師や薬剤師の先生に詳細情報としてヒアリングを直接行いデータ収集を行います。

結果、厚生労働省に報告を行う訳ですが、自社内でも安全性評価委員会等を通じて、医薬品に関する「取説」とも言える「添付文書」の記載を変更する場合が都度発生します。

そうした時、自身が書いた注意事項の内容が該当医薬品の添付文書に反映され全国に行き渡った時には、やりがいを感じる瞬間になります。

有効性だけでは無く、安全性の側面で医薬品を見るという社会的使命のようなものを感じることで、真摯な態度で仕事に臨めるようになります。

医師から自社製品の劇的な薬効を聞いた瞬間(営業系・MR)

各医療機関を担当しているMRと言う職業は、医療最前線で日夜戦っている医師や薬剤師の先生と接触する製薬会社にとればアンテナ的な存在の側面を持ちます。

そうした位置づけから、自社製品に関する生の声をダイレクトに聞くことになります。

そうした日常営業の中で、稀に自社製品について、「あれはよく効いたよ」と言う言葉を聞くことがあります。

自社の勧める薬効に対して、そのままズバリ効き目があったということはMRにとれば至上の喜びになります。

往々にして、「中々効かないねぇ」とか「本当に効果があるのか分からない」と言ったネガティブな感想を耳にすることの方が圧倒的に多いですが、こうした場合に本当にこの仕事をやっていて良かったと思います。

自身が主催した研究会で討議の場となった瞬間(営業系・学術)

製薬会社で開催される研究会や製品説明会などで、自社製品に関して説明を行う機会があります。

そうした時に、当然ですが事前に最先端の種々医学情報や医薬品情報を仕入れ、医学会での話題も織り交ぜながら準備しておくことがあります。

自身が、ある製品については、更に最先端情報等を交えて説明会などを開きますが、こうした時にふとしたきっかけで、医師同士や薬剤師同士で意見の交換などが行われる場合が有ります。

さらには、それがヒートアップして討議会のような場に化すことがあったりします。

こうした時に、自分の発表した内容がネタ元となり進展して行く状況を見る時、非常に満足感が得られ、やりがいを感じる瞬間となります。

当然、そうした場合には次なる営業ネタの一つとして活用できることになるのは言うまでもないことです。

家族・親戚の病状や身体の不具合を相談された瞬間(全職)

医師や薬剤師では無い自分が、製薬会社に就職することで、医学・薬学系の基本知識が身につきある程度の疾患等に詳しくなります。

そうした時に家族や親せきの人が良く相談に来ることがあります。

自身は何の資格も無いのにもかかわらず、そうした相談に乗ってあげることが出来るようになった瞬間は、この職業を選んで正解だったと思える瞬間です。

また、製薬会社に勤めることで、一般の医師や薬剤師の知らない医療関係の裏事情にも精通できることで、相談された場合には医学・薬学の専門知識を使うだけでなく、あらゆる方面からのアドバイスが出来ることも自信の源になります。

社会的地位が高いと認識した瞬間(全職)

製薬会社に就職することで、この業種の社会的地位の高さに驚かされます。

やっている仕事にマンネリ感を持っていても、ふとしたきっかけで第三者から、「いい会社にお勤めですね」とか「立派な会社におられますね」と言われた瞬間には、この会社を選んで良かったと思える瞬間です。

普通の食品加工会社、証券会社、金属加工会社等と並べてみると、やはり社会的貢献度が目に見えて高いことからそのような社会的地位が与えられているものだと思います。

マンネリ化している時に、そうしたことを実感できた場合等は、やる気ブースターが掛かることは間違いありません。

製薬会社の仕事でやりがいを感じるために私がやったこと

以上のような、やりがいを感じる瞬間があったわけですが、漫然と仕事をこなしているだけでは味わえないことが多いです。

そのやりがいを感じるために私自身が行っていた「ルーティーン」とも言うべき内容をご紹介します。

これは、開発系、営業系関わらず、製薬会社では普通に行わなければならない内容を含んでいますので皆さんも是非参考にしてください。

一つのことに熱中すること

営業系でも開発系でも同じ内容・質の話ですが、自身に与えられた仕事に対して、一点集中する部分を持つことが大切です。

全ての仕事に漫然と総当たり式で適当に仕事をこなしているだけだと何も感動は生まれません。

一つの業務に徹底して集中することが大切です。

全ての事に集中することは難しいですが、一点集中することはそんなに難しいことではありません。

営業系では、自分の得意な製品を作り、その製品のオーソリティになる努力をすること。

更には、自分の得意な医師や薬剤師を作り、自分へのファン作りに専念することもその一つになります。

開発系ですと、自身の行っている実験系やカテゴリーに関して周辺知識を取り込みながら常にスケジュール管理を行うことも大切です。

開発系ですと日々同じことの繰り返しの業務が多くなりますので、常に新鮮な気持ちを維持することも一点集中というカテゴリーになります。

社会的使命を持ち続けること

製薬会社の社会的使命を思い起こし、常にその気持ちを活動の根底に持ち続けることが大切です。

自社の利益だけに走ることなく、世に疾病で苦しむ人たちの一助となるべく行動していると考えなければなりません。

そうすることで、自身の活動原則が自然に出来上がり一貫した活動が可能となります。

日常の多忙さにまぎれて難しい課題ですが、週に1回くらい自身の活動がそうした基本に則しているかを考えてみるのも良いかもしれません。

ちなみに私の場合は、月1回の月次報告でそれらを見直すようにしていました。

科学の世界でも人間味を忘れないこと

製薬会社では、各製剤に関してのデータが山ほどあります。

そうしたデータのサマリーも併せて考えると全てが科学的実証に基づいたデータになります。

会社に勤め始めた時には、このデータが全てであると思い込みがちになります。

医師や薬剤師にもこうした内容を訴求する点だけを考えてしまいます。

医療用医薬品メーカーが扱う薬剤の多くの購入者は医師薬剤師です。

しかし、最終消費者と言えば患者さんになります。

心を持った患者さんがその医薬品の価値を高めたり、低めたりする存在であることを忘れてはいけません。

実例では、自社の高血圧治療薬の劇的な降圧効果のデータを頼りに、医師へのアプローチを掛けた時のことです。

その製品を使うより、食事制限した方が、その薬剤を服用した時の降圧効果よりも良かったという実例が出てきました。

詳細は省略しますが、この場合その製品のプレディクタビリティ(predictability:予測性)に関わる問題として愕然としました。

その患者さんの場合、とある食品を制限することで劇的に降圧したという履歴で、医師によれば心因性によるものだということでした。

薬剤自身の薬効が否定されたわけではないのですが、やはり最終使用者である患者さんの心にも訴えかけることが必要だと感じた瞬間でした。

更にはこうした心配りをすることで感動ややりがいが生じて来るものだと感じました。

まとめ

以上のように、製薬会社で働くことのやりがいと、そのために行うべき活動をご紹介しました。

扱うものが「薬」という特殊性から、比較的簡単にやりがいを感じさせる要因は多くあるように思います。

しかし、外見上はそうであっても、就労している自身が常に真剣にその職に取り組まなければそうした感動・やりがいは感じられないということを忘れないでください。

自身の職務責任が増せば増すほど、そうしたやりがいも大きくなることは間違いなく出現してきます。

そういう意味ではどのような職業に就いても同じことが言えると思います。


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