2021年6月29日

設計事務所の求人に興味がある方は、この記事を読んでぜひ参考にしていただければと思います。

多くの人が学生時代に経験するであろうアルバイト、その中でも今回は少し変わったアルバイトとして、筆者が建築学部に在籍していた頃働いていた「設計事務所」の求人についての経験を基に紹介したいと思います。

設計事務所の仕事内容をより具体的にご紹介するので、雇用形態の違いや上手な求人の選び方や注意点についても必見ですよ。

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設計事務所のおおまかな仕事内容

おおまかな仕事内容

いきなり設計事務所と言っても、どのような仕事をしているのか、どのような業務をしていたのか想像がしづらいと思います。

どのような設計事務所で働くかにもよりますが、大まかに且つ簡単に説明させていただくと、意匠系の設計事務所では平面図、立面図、詳細図などの図面の作成、法律に関わる資料の作成、建物の定期検査、コンペ用の模型作成などが主な業務として挙げられます。

構造系の設計事務所では、これに加えて構造図の作成を行ったり、設備系の設計事務所であれば設備図の作成を行ったりすることもあります。

そのため場合によっては事務としてアルバイトができることがありますが、建築学を学んでいない人にとってはあまり現実的なアルバイト先ではないかもしれません。

しかし裏を返せば、建築学を学んでいる学生は実務経験を積めるので、とても良い勉強になると思います。

設計事務所ではどのようなスキルが求められる?

大前提として、設計図をいじることのできるスキルが必要とされます。

設計事務所にもよりますがAuto CADやVector worksなどがメインだと思います。

そのほかにも、意匠系の場合はPhotoshopやIllustratorも使えると良いでしょう。

設計事務所の募集とは?

設計事務所は基本的に先輩や知人、学校の繋がりから募集をかけることが多いため、一般的な応募をしているところは少ないかもしれません。

その中でも設計事務所の種類から説明させていただきます。

意匠系の設計事務所

意匠系とは、主にデザインを指します。

どのような外観、内装で建築物を設計するかということを担当します。

そのため設計での花形と言われることが多く、安藤忠雄やSANAA、伊東豊雄、隈研吾などの有名な建築家はそれぞれ意匠系の設計事務所を運営しています。

構造系の設計事務所

構造系は文字通り建築物の構造に関する設計図を担当します。

意匠系の設計図(意匠図)を基に、どの配置で鉄筋を配置するかやどのような構造体で建築物を支えるかを決定する重要なポジションになります。

設備系の設計事務所

設備系では、建築物の電気配線や主導配線などの設備に関する設計図を担当します。

意匠系の設計図(意匠図)や構造系の設計図(構造図)を基に設備図を作成します。

設計事務所ではそれぞれの得意とする分野で求められることが異なるため、自身の専攻を踏まえた上で事務所を探す必要があります。

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設計事務所でよくある募集内容とは?

前述した通り設計事務所の募集は建築学部の先輩や学校を通しての募集が基本のため、あまり一般的な募集は多くないと思います。

アルバイトでなければ求人などで探せば見つかることもありますが、設計図の作成ソフトが使えない場合はまず応募はできないと思って良いでしょう。

そのため最低限の募集要項としては、設計図作成ソフト(Auto CADやVector works)の使用ができることとなります。

また社員として勤めている人も、日建設計のような大手設計事務所ではなく個人設計事務所の場合はアルバイトから入社することがほとんどです。

給与相場

大手の設計事務所は一般的な企業程度貰えることがほとんどだと思いますが、個人設計事務所の場合はアルバイトと変わらないことが多いです。

基本的には個人設計事務所に勤める人は将来自分の設計事務所を立ち上げることを前提としている人が多く、修業期間のようにとらえている人が多い傾向にあります。

そのためか給料も低く、途中で挫折し一般企業に転職する方も多くいます。

勤務時間や休日、残業

休日に関しては案件によることが基本だと思いますが、納期が近い場合は休日出勤も多くあります。

また勤務時間や残業時間についても同様で、閑散期は残業が少なく定時で上がれることもありますが、繁忙期は文字通り忙しく、残業も多く、会社に寝泊まりすることもあるそうです。

福利厚生

これは完全に企業によりますが、大手設計事務所では一般的な企業と同じレベルで整っていると思います。

しかし個人設計事務所の場合は全く整っておらず、前述した通りまさに修業という言葉がふさわしい環境となっています。

勤務場所

設計図を描く際は、勤務場所は基本的に事務所になります。

しかし、現場の視察もあるためずっと事務所にこもりきりというわけではなく、適宜現場の確認を行うことになります。

事務所によっては建物の定期検査を行っているところもあるため、検査する建物に伺い検査を行うこともあります。

求められる人物像

設計事務所に関わる内容を色々と記載してきましたが、実際にそんな現場に求められている人物とはどのような人なのか紹介していきます。

とにかく根性がある人

建築士と言えば聞こえは良いですが、基本的には根性がないとやっていけない業界だと言えるでしょう。

デザイナーと同様に設計に答えがあるわけでもゴールがあるわけでもないため、どれだけ妥協せずに研鑽を積めるかがとても重要になってきます。

そのため、「この位でいいや」と思ってしまう人には向いていないかもしれません。

逆に、より良いものを追求していくことができる人は向いていると言えるでしょう。

現実を考慮し、リアルを考えられる人

建築物を建造するためには、多くの法律や物理的な法則が存在します。

どれだけ魅力的な建築物の提案をすることができても、現実世界に実現することができなければそれはお絵かきしているのと同じことになってしまいます。

そのため、面白い発想を持つことはとても大切ですが、それと同時にクレバーに物事を考えられる冷静さが必要になります。

アイデアとセンスを持つ人

マンションやデパートなどの一般的な設計をする場合はある程度の型があるためそこまで高い発想力なくても問題はありませんが、美術館やギャラリー、イベント関係のブース、店舗などを手掛ける場合はセンスが必要になってきます。

センスなんてないと考えてしまう方もいるかもしれませんが、事例などを沢山見て知識を増やすことによりセンスは磨くことができるため、諦めずどんどんチャレンジしていくと良いでしょう。

必要なスキルや資格、経験

一級建築士、二級建築士、木造建築士など業務に関わる内容ものは持っておくと良いでしょう。

しかし、これらの資格を受験するためには実務経験が必要だったり、大学での勉強が必要になったりします。

設計事務所で働くことのおすすめポイント

それでは、一般的にはあまり馴染みのない設計事務所で働くことのおすすめポイントを紹介していきます。

学んだことを社会で感じられる点

学校で建築に関わる勉学を学んでいる学生は、とにかく勉強になります。

デスクの上で教科書とにらめっこするくらいなら、設計事務所という現場に出て、実務から学んだ方が早いように思います。

また自分が働く上でのシミュレーションにもなるので、是非やってみると良いでしょう。

学校課題のアドバイスがもらえる点

学生は一般的に学校の先生からしかアドバイスをもらう場がありませんが、設計事務所に勤めることにより新しい視点から助言を受けることができます。

建築学の設計はアートと似ている部分が多いため正解がなく、見てもらう先生によって趣味が異なるため、どのようにブラッシュアップすると良いのか分からなくなることがあります。

そんな時に第三者の別の切り口からの視点があると全体を俯瞰してみることができるため、とても参考になります。

実務経験を積むことができる点

これは大学院生向けの内容になってしまいますが、設計事務所で働くことにより実務経験を積むことができます。

実務経験は一級建築士の資格を受験する際に必ず必要になるため、積極的に行うようにしましょう。

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設計事務所の雇用形態による違い

設計事務所では、基本的に正社員とアルバイトの2種類の雇用形態があります。

個人設計事務所の場合は正社員と言っても修行として所属している人がほとんどのため、ほぼアルバイトと同じ扱いになります。

自分にあった設計事務所の求人の選び方や注意点

自身が意匠系の専攻なのか、構造系の専攻なのか、設備系の専攻なのかをしっかりと確認し選択しましょう。

【選び方①】雇用形態から探す

当然ですが、どのような雇用形態で働きたいのかを探すことは重要です。

修行という感覚で就職したい場合は、有名な人の個人設計事務所に所属するのが良いでしょう。

【選び方②】職種から探す

大手企業の場合においてもほとんどの人が設計士になるため、設計事務所に就職する人は建築士として就職することになるでしょう。

【選び方③】会社の業態から考える

これはとても重要です。

普通のサラリーマンとして設計事務所で働きたい人は、日建設計のような大手に勤めるべきです。

個人設計事務所に勤める場合は、代表の跡継ぎ問題や給金が低い、福利厚生が悪いなど多くの問題があるためです。

もちろん中には個人設計事務所でも儲かっている所もありますが、安定を求めるならば避けた方が妥当でしょう。

【選び方④】給与や雇用条件から考える

働く上で給与は大事です。

業界的に忙しいことが多く労働時間も長いため、見合う分の対価をしっかりと支払うことのできる企業を選定する必要があります。

【選び方⑤】エリアから考える

筆者の知り合いには、個人設計事務所で働いているが交通費が出ず、深夜労働で家に帰る際は自腹でタクシーに乗っているという人がいました。

そのため、自転車で通える範囲を選定するのも良いのかもしれません。

【選び方⑥】好きな建築家から考える

有名な建築家ほどハードルが高いですが、自身の好きな建築家の下で修業を積むことも大切だと思います。

もし連絡が取れるようであれば、積極的に挑戦していきましょう!

注意点

大手設計事務所でも個人設計事務所でも言えることですが、本当に設計が好きで情熱を持つことができる人以外にはおすすめしません。

学生バイトとでの実務経験で働くことは大いに賛成ですが、設計があまり好きでもないのにこの職種に入ると地獄でしかありません。

設計事務所についてよくある疑問

ここからは、設計事務所で働くことを検討している方への質問を解消していきたいと思います。

未経験者でも働くことはできる?

実際には可能です。

大手設計事務所では新卒採用も行っているので、事務所によりますが可能です。

しかし、個人設計事務所の場合は前述した通りアルバイトから新入社員としてランクアップする感覚に近いので、志望する事務所に問い合わせてみると良いでしょう。

どのように応募すればいい?

これも設計事務所によりますが、基本的には履歴書とポートフォリオを送ることから始まると思います。

知り合いがいる場合はその人を通して面接をしたりすることもありますが、どちらにせよ履歴書とポートフォリオは必要になります。

アルバイトの場合に限り、紹介の場合はポートフォリオを必要とせず採用されることもあります。

面接ではどのようなことが訊かれる?

大抵の企業で訊かれるような志望動機や自身の長所、短所、自己PRのようなことは訊かれます。

加えて、ポートフォリオに関する説明が必須のことが多いです。

自身の設計に関してプレゼンし、それに対して指摘や疑問などをぶつけられることがあります。

そのため、自身の作品について事細かにブラッシュアップさせておく必要があります。

結局のところ大手設計事務所と個人設計事務所はどっちがいいの?

これは求める事柄によって変わります。

簡単にそれぞれの特徴をまとめますが、あくまで一例に過ぎないことを考慮してください。

  • 大手設計事務所:サラリーマンとしての安定性、福利厚生、仕事の幅広さ、給与の安定性
  • 個人設計事務所:低賃金、個人としての評価、独立のしやすさ、仕事の一貫性、専門性の強化

まとめ

いかがでしたでしょうか。

建築業界は基本的にハードワークなため、どこの企業に勤めても忙しいことに変わりありません。

この業界で生きていくことを決めたのであれば、自身のスキルアップを考えることが重要になります。

一度きりの人生、皆様が悔いのないような選択をすることを祈っております。