2020年7月6日

近年、入院期間の短縮のため、退院後の生活に不安を抱える方が多く、訪問看護の需要は高くなっています。

また、高齢者の独居も多く、退院後に継続する必要のある医療処置が問題なくできているかという観点からも、主治医に訪問看護の導入を勧められる方も増えています。

筆者は、看護学校卒業後、地域の総合病院で働いていましたが、結婚を機に退職し、訪問看護へ転職しました。

初めは分からないことも多く、不安なこともありましたが、今では訪問看護という仕事が大好きでやりがいを感じます。

訪問看護について興味がある方の参考になればと思い、筆者の体験をご紹介します。

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訪問看護のやりがい4個の仕事とそのメリットとは?

訪問看護は文字通り、利用者様のご自宅を訪問し看護を実践するお仕事です。

退院後の患者様の看護をするため、病院での看護とは異なることもあります。

ここでは、筆者が実際に病院勤務から訪問看護に転職して感じた訪問看護のやりがいについてご紹介します。

実際に利用者様のご自宅を訪問して看護を実践すること

病院勤務では、患者様は入院している状況で治療が優先となり、普段どのような生活をされているのか分かりません。

しかし、訪問看護では、実際にご自宅を訪問するため、利用者様の普段の生活の様子が分かります。

生活する中で、病状が悪化していないか、在宅で継続している医療処置は問題なく行えているか、困ったことはないかなどの確認をして対応していきます。

病院では、看護師と患者の関係となりますが、在宅では、相手の生活の場での関わりとなるため、人と人との関係の方になりやすい傾向にあります。

訪問看護師が医療機関との窓口になるため、利用者様も気軽に相談しやすいこと

例えば訪問看護を週に1回の頻度で利用している方の場合、短時間とはいえ、毎週担当の看護師がご自宅に訪問します。

訪問では、病状のことに限らず、普段の生活での出来事や世間話をすることも多いです。

回数を重ねる毎に関係性が深まり、利用者様も気軽に話をしやすい環境になります。

病院受診では、改めて医療者に聞くほどのことでもないなと利用者様が判断することも多く、実は、それが重要な病状のサインだったりすることもあります。

しかし、気軽に話ができる訪問看護師だと、ちょっと気になることも相談してくれることが多いため、早期発見につながる可能性も高くなります。

1日単位、1週間単位と、スケジュールを自己管理する必要があり、やりがいがある

病院勤務では、その日の受け持ちが決められ指示をこなしていきますが、訪問看護は、担当の利用者様の訪問や他職種との担当者会議、書類作成など、ある程度自分のスケジュールを自己管理する必要があります。

要領よく業務を進めることができると、ゆったりとしている日も多く、そこまでハードではありません。

逆に予定外の出来事や臨時訪問が入ることもあり、時間に追われることもあります。

その日のうちにできることはその日のうちに片付けてしまうという精神で、いつでも臨機応変に動ける準備をしていくことが円滑に業務をすすめられるポイントです。

色々な人との関わりが多く、視野が広がる

訪問看護は、地域で生活する方を対象としているため、ご本人やご家族との関わりの他にも数多くの人々との関わりがあります。

在宅での医療処置も主治医の指示が必要になるため、医療機関との連携が必要になります。

医療機関に病状を報告したり、新たな症状に対する指示を受けたりしながら、日々の訪問看護を実践していきます。

また、高齢者の場合、介護保険のサービスを利用されている方が多く、ケアマネジャーを始め、介護関係の方々との関わりがあります。

普段生活する上で、医療的見地からの注意点や対応方法を理解していただくことや、食事・排泄・保清などの普段の生活の様子の情報を教えていただくことも多いです。

病院とは異なり、利用者様の普段の生活を知ることで、再発の可能性や予防の必要性など早期に対応することが可能になります。

訪問看護で身についたこんなスキル

病院勤務から訪問看護に転職し、初めは戸惑いの連続でした。

一番困ったことは、医療従事者が現場に自分しかいないため、その場で誰かに相談することができません。

ここでは、色々な場面を経験し訪問看護を通して身についたことをご紹介します。

基本的な医療行為を自宅で実践するスキル

病院勤務から訪問看護に転職し、まず戸惑ったことは、病院とは全く異なる環境での医療処置でした。

訪問看護では、必要な物品は全て看護師が携帯して行く必要があります。

例えば、ご自宅で点滴をする必要がある方の場合、医療機関から発行された補液などの点滴メニュー、輸液ルート、延長チューブ、サーフロ、固定テープは必要最低限いります。

そして、支柱台を持って行く場合もありますが、大抵はハンガーやS字フックを代わりに使用します。

そして、点滴をトラブルなく終わらせるために適した場所を探します。

主治医の指示により施行時間は異なりますが、滴下中付き添っているわけではありません。

点滴が終わる頃に再び訪問し、点滴ルートを除去します。

その間、滴下が止まってしまったり、ルートが抜けてしまったりなどのトラブルがあれば訪問して対応します。

補液中に姿勢が変わることで滴下スピードも変わりますので、時間通りに終わることが難しい場合も多いです。

周囲に医療従事者がいない環境での点滴なので、異常に気が付くのに時間がかかることもよくあります。

色々なリスクを考え、ご家族の協力のもと実践しています。

なかなかルートが確保できず、サーフロがなくなってしまうこともありますので、物品は多めに携帯する必要があります。

基本的には、看護師一人での訪問ですので、ある程度の技術は必要になります。

点滴処置だけでも、病院よりもトラブルは多くなりやすい傾向にあります。

他の処置も、そのご自宅の環境に合わせて実践していくことが必要になります。

創意工夫をしながら、安全に処置をするスキルが身につきました。

コミュニケーションスキル

訪問看護では、同じ事業所内の看護職員と看護の対象となる利用者様の他に、利用者様を支援する地域のさまざまな人との関わりがあります。

病院内で働いている場合は、院内の医療従事者同士のやりとりか患者様とのやりとりが大半となり、一般的な社会でのマナーがおろそかになっていることが多いため初めは不安でした。

他の医療機関や事業所とのやりとりを数多く実践しているうちに、一般的な社会でのマナーや文章の書き方などのコミュニケーションスキルが自然と身につきました。

臨機応変に対応するスキル

在宅での看護は、入院を必要としない方が対象となることが多く、病状が安定しています。

しかし、中には、継続する必要のある服薬管理や血糖コントロールなどの食事・運動療法、その他の医療的な管理がおろそかになったり、体調不良や感染症などで病状が悪化する場合があります。

また、終末期の方となると、治療はせずに症状コントロールのみとなるため、生命の終わりに近づくにつれて生命の維持が困難になってきます。

基礎疾患や既往歴から、ある程度起こりうる問題点の予測は可能です。

実際は、状態悪化時にご家族やご本人、施設職員から連絡が入ります。

状況によっては臨時訪問を行います。

医療者は自分自身のみであるため、利用者様の状態を素早く観察し、ご本人やご家族にどのようにすれば良いのか伝えます。

緊急性がある場合は、連携している医療機関に直ちに報告し、主治医の指示を待ちます。

あらかじめ、利用者様によって病状悪化時の対応を決めているケースも多く、すぐに行動がとれるように把握しておくことが重要となります。

時間を有効活用するスキル

訪問看護は、事業所によって1日の流れは異なりますが、割り当てられた訪問をこなし事務作業も行います。

訪問時間は契約時に決めるため、決まった時間に訪問する必要があります。

しかし、利用者様との話が長くなったり、処置に時間がかかると時間通りに終わらないこともあります。

時間配分を考え、空いた時間を計画的に有効活用することで、事務作業をため込んでしまうことなく実施することができます。

仕事を持ち越さないよう日々心掛け、できるときにやってしまうという精神で行動すると、仕事に追われることなく臨機応変に色々なことに取り組むことができます。

これは、訪問看護に限らずどんな仕事でも言えることです。

しかし、病院勤務に比べて訪問看護の方が個人的に行う業務が多いため、改めて時間を有効活用することの大切さを実感しました。

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訪問看護をやっている中で嬉しかった瞬間

訪問看護を行っている中で嬉しかった瞬間は、やはり対象となる利用者様に喜んで頂けた瞬間です。

筆者の体験ですが、嬉しかった瞬間をご紹介します。

利用者様やご家族に感謝していただいた瞬間

訪問看護のやりがいは、対象となる利用者様やご家族に感謝していただく機会が多いところにあります。

定期的に訪問し、何か苦痛症状が出現した時や、日々の医療的な処置への疑問など、気軽に相談して頂くことが多くあります。

病院にはなかなか行きづらい、待ち時間が長いといった問題がありますが、訪問看護を導入している方の場合、訪問日以外にも電話で相談することも可能です。

訪問看護師がご自宅に訪問し、病状が安定した生活を維持することができたり、何かあった場合はすぐに対応してもらえるといった安心感があることで、日々の生活に自信が持てるようになります。

訪問看護師としての業務を実践することが、利用者様やご家族からの感謝を頂くことにつながるため、大変やりがいがあります。

訪問看護利用によって利用者様の意思を尊重できた瞬間

訪問看護の対象となる方は、病状が安定している方が多いと前途しましたが、中には終末期で食事が摂れず点滴治療が必要なため、やむを得ず入院期間が長くなっている方もいます。

また、近年がんの患者様も多いですが、痛みのコントロールが必要な方もいます。

住み慣れたご自宅で可能な限り過ごしたいと切望されている方も多く、ご家族の協力があれば訪問看護の導入で退院も可能です。

これらのケースは積極的な治療をされない場合が多く、苦痛症状に対してのコントロールを在宅で実践していくことになります。

医療機関と連携し、主治医の指示に従って医療行為を実践します。

医療処置だけではなく、病状が不安定な方の場合は、入浴介助も行います。

このようにして、医療従事者と介護者、ご家族が協力することで、住み慣れたご自宅で最期を迎えることもできます。

医療処置が必要だから家には帰れないと思い込んでおられた方が、家に帰れると知った瞬間、また実際に家に帰り穏やかな表情で過ごされている姿を拝見すると、とても嬉しく責任を持って看護を実践しようと思います。

訪問看護のおすすめの選び方・探し方

病院勤務から訪問看護への転職をお考えの方に、おすすめの選び方・探し方をご紹介します。

看護師の転職サービスを利用する。

いざ転職となると、数ある訪問看護の事業所について、どのように情報収集すれば良いのか分からないことも多いと思います。

そこでおすすめなのは、転職サービスを利用することです。

登録はインターネットですぐに完了し、とても簡単です。

登録後に希望する雇用条件などの詳細の確認の連絡があります。

そこで、普段のライフスタイルに無理をきたさないようある程度の条件を伝えるだけです。

あとは、担当の方が希望に合った事業所の求人を探してくれますので、条件を確認します。

条件を確認した上で、気になることは担当者に聞けば直接相手先に確認してくれますので、不安なく転職先を決めることができます。

面接の日取りの調整もしてくれます。

訪問看護へ転職をお考えの方は、まずは看護師の転職サービスに登録しましょう。

まとめ

訪問看護について、筆者の体験をもとにご説明しましたがいかがだったでしょうか。

訪問看護師一人ひとりがそれぞれの担当の利用者様のご自宅を訪問し看護を実践しますが、決して一人で看護をしている訳ではありません。

利用者様を支援するさまざまな人たちと力を合わせて、利用者様の生活がより安全で安心なものになるように日々願いながら訪問しています。

訪問看護に興味のある方は、是非この機会に訪問看護への転職も考えてみて下さい。

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