どんな方でも仕事をやめたいと思ったことがあるのではないでしょうか。

医療業界や看護師の仕事は辛いことも多く、辞めたいと思うこともあります。

でもその分、嬉しいことややりがいがあるのも確かです。

ここでは訪問看護の仕事を辞めたいと感じた瞬間と、乗り越えられた理由をまとめてみました。

正直辛いな、辞めたいなと思っているあなたに、是非読んでもらいたいです。

訪問看護の仕事内容

患者さんのお宅にお邪魔して看護を行うのが、訪問看護のお仕事です。

訪問看護は、医師の指示書に基づいて看護を行いますので、仕事の内容も多岐にわたります。

健康チェック

バイタルサインを測定したり、視診・聴診を行い、患者さんの健康状態をチェックします。

患者さんやご家族から最近の様子や病状、症状を聴き、提供されている医療が適切か、薬は合っているか、在宅で困っていることはないかを確認します。

血圧や血糖値を毎日測っている患者さんの場合は、その値を確認し、異常は起きていないかを確認します。

必要があれば医師に相談し、治療の内容や薬の検討を依頼することもあります。

お薬チェック

薬の管理、どのタイミングでなんの薬をいくつ飲むか、が難しい方もいらっしゃいます。

たくさんの薬を処方されていると分からなくなってしまうこともありますよね。

自宅に帰ってから医師の指示通り服用できているかを確認します。

薬の残数が合っているかを数えたり、飲み間違えがないように、内服カレンダーに薬をセットします。

中には治療に対する理解が乏しく、自分では間違って飲みすぎてしまう患者さんもいます。

薬によっては中毒症状が出たり、命の関わるような危険な薬もあります。

そのような患者さんの場合、訪問看護センターで薬を管理し、数日や1週間程度の短い期間の分を患者さんに渡すこともしています。

飲み方や使い方が特殊な薬に関しては、方法を本人や家族に指導します。

副作用や体調を聞いて、薬が患者さんに合っているか、医師に報告するのも役割です。

排泄や清潔ケアの介助

自力では排泄や入浴が難しい患者さんも訪問看護を利用します。

その人の病状や状態にあった方法で排泄や入浴のお手伝いをします。

訪問介護が行う場合もありますが、患者さんの状態によっては看護師が状態を管理しながら行う必要がある方もいらっしゃいます。

バイタルを測定し、状態を確認しながら、お手伝いをします。

ご家族が入浴や排泄の介助を行う場合には、方法を指導することもあります。

患者さんの中にはご病気で手術をし、体の機能の一部を医療機器で代替している方もいます。

例えば

  • 人工肛門(ストマ)
  • 人工膀胱
  • 透析
  • 胃ろう
  • ペースメーカーや人工心臓
  • 人工心肺

などなど。

退院後、ご自身またはご家族がこれらの機器を正しく使い、交換などの処置が行えているかを確認します。

看護師が訪問時に管理することもあれば、ご本人や家族の手技を見守ることもあります。

訪問看護師は24時間患者さんの傍にいられるわけではありません。

患者さんやご家族自身で医療機器を管理してもらわなくてはなりません。

患者さんやご家族が医療機器を使えるように指導し、必要な時に病院受診や、看護ステーションへの連絡ができるように支援します。

リハビリ

リハビリを行うこともあります。

医師やリハビリスタッフと共に作ったリハビリメニューを行います。

患者さんのADLを維持・増進できるようにします。

時には家族を巻き込んで行います。

リハビリには理学療法士や作業療法士といった専門職がおり、この人たちが訪問することもあります。

お看取り

元気な患者さんも、もちろんたくさんいらっしゃいますが、中には最期の瞬間を自宅で過ごすことを選んだ患者さんもいらっしゃいます。

事前にそのような事態の対応について患者さんや家族と話し合い、決めておきます。

そしてその瞬間が来たときには、患者さんやご家族のご希望通りの最期となるように最善を尽くします。

お亡くなりになられた後、お体を綺麗にさせていただいたり、お着替えをさせていただいたり、点滴の針などが入っている方の場合には、それをすべて抜き、綺麗に整えます。

そのあとご家族が望むお別れの時を作ります。

ご本人やご家族が許してくださったら、お通夜やお葬式など最期の瞬間を一緒に過ごさせて頂くこともあります。

訪問看護の仕事を辞めたい…と感じた3個の理由と乗り越え方

患者さんとご家族の生活を支え、自宅でその人らしい生活を送れるようにお手伝いするのが仕事です。

患者さんとの信頼関係の上に成り立つ仕事でしょう。

とてもやりがいがありますが、看護師も人間です。

辞めたいと思うこともあります。

自分の想像を絶する家庭環境だった時

訪問看護では様々なお宅に伺います。

中には介護は必要なほどご高齢なのに独居の方や生活保護の方もいます。

人には成育歴があって、大体自分と同じくらいの経済状況や価値観を持った人たちと共に成長し、大人になります。

しかし仕事では、自分が今まで関わったことのないような方に出会うこともあります。

例えばすごく家が汚かったり、悪臭が漂っていたり、患者さんの生活環境が悪かったり…

そのようなお宅でケアをしなければならない時には、正直気が滅入ってしまうこともあります。

乗り越え方

どんな患者さんも私たち看護師を必要としてくれています。

ご本人やご家族から感謝されたり、患者さんの状態がよくなると、自分がケア②いけてよかったと思います。

自分が訪問に行かせてもらった時には、せめて患者さんの環境を少しでもよくできればと頑張ります。

担当していた患者さんが悪化したとき

訪問を担当していた患者さんの状態が悪化して入院したり、施設に入ったとき、それが例え看護に問題がなかったとしても、自分を責めてしまいます。

この前行ったときは元気だったのに…と思うこともあります。

乗り越え方

私は可能な限り会いに行くようにしています。

例えば施設なら面会に行ったり、入院していたら、退院した後にお宅を訪問します。

生活の場所が変わっても元気にしていたり、笑顔が見れたときには、この方にとって、一番良い場所に行ったのだと思うようにしています。

状態が悪化してしまっていても、また地域に戻って来て、訪問に行けるようになることを願っています。

そして自分の看護を振り返ります。

もっとできたことはなかったか、患者さんが地域に戻って来て、また訪問看護を利用してくれた時は、どんなことができるだろうかと考えます。

患者さんが亡くなってしまったとき

患者さんの具合が悪くなってしまった時の同じく、患者さんが亡くなってしまった時にも、本当に自分の行った看護が正しかったのか、もっとできることがなかったかと自分を責めてしまいます。

精神的に落ち込んでしまうこともあります。

乗り越え方

患者さんのお看取りを最後までさせていただきます。

生前ご本人やご家族と相談し、決めておいたご希望に最大限添えるように尽力します。

最後まで自分たちに何ができるのかを考えて動くことです。

そして落ち込むときには落ち込む、泣きたいときには泣きます。

「患者さんの前では涙を流してはいけない。」と看護師は言われますが、私はそうは思いません。

  • 患者さんのための涙であること
  • 泣いてはいけない場面と泣いていい場面をわきまえること
  • 患者さんとご家族のことを一番に考えること

これが看護師が患者さんの前で泣いてもいいと思っています。

そして自分のために泣くのであれば、患者さんのお宅を後にしてから泣きます。

泣くことで自分なりに患者さんのお見送りをさせて頂き、気持ちの整理をつけるのだろうと思います。

周りの仕事仲間や私が訪問看護の仕事を辞めたいと思ったエピソード 

これは私が経験した話です。

その患者さんは訪問看護ステーションから訪問が長かった方でしたが、私がお会いできた回数はとても少なかった患者さんです。

患者さんの介護をされているご家族はとてもいい方たちです。

患者さんのことを思い、その言葉や行動、ベッド周りの環境から、患者さんの服に至るまで、ご家族の愛が溢れていました。

ある日私は上司から言われ、訪問に行きました。

その方は数日前から体調が良くなく、その日も体調はすぐれない様子でした。

私は点滴を確認した後、ご家族から注射を頼まれました。

前日同じ注射を打ったら患者さんの容態が良くなったそうです。

私は上司に確認し、注射を打ちました。

すると、それまで苦しそうにしていた患者さんが、ご家族の呼びかけに反応し、少し会話をしたんです。

訪問に行かせて頂いたことが少ない私でも、少し容態が良くなったように思えました。

その日の夜、上司から連絡があり、その患者さんが亡くなったことを上司から知らされました。

私にできたこと

私には何もできませんでした。

お看取りは患者さんと長く関わりがあった上司が行ってくれました。

上司はご家族と相談しながら、ご本人とご家族のご希望に沿ってお看取りをしてくれました。

お亡くなりになったことを聞いて

私はすごくショックでした。

私が行った処置が不適切であったのではないか、私以外のスタッフが行っていたらもっとよい結果だったのではないかと、落ち込みました。

上司に私のケアに問題があったかと聞きました。

上司はそんなことはないと言ってくれましたが、私は自分のことを責めました。

ご家族からのお言葉

上司からも私の看護に大きな問題はなかっただろうと言ってもらえました。

ですが、私は自分が向いていないんじゃないかと思っていました。

しかし、お看取りをした上司から「安らかにお見送りできました。ご家族にもありがとうと言われました。」と言われました。

私はきっとその言葉がなかったら、辞めていたかも知れません。

自分たちができることをやるだけではなく、ご本人やご家族との信頼関係や、ご家族から頂けるお言葉があるからこそ、続けられているのだと思います。

私たちは患者さんとご家族のご希望に沿うのが仕事です。

でも私たち看護師も、患者さんに支えてもらい、助けてもらっているのでしょう。

訪問看護を辞めてしまった人は、どんな仕事に転職している?

訪問看護の仕事も体力勝負ですし、忙しいのが現状です。

1日に多いと朝から夜まで8-9件回ることもあります。

そのハードさから転職する方もいます。

病院やクリニック

訪問看護師として地域で働いた後、また病院やクリニックなどに戻るということもあります。

地域での経験は病院やクリニックでも役に立ちます。

地域で患者さんと接することで、病院やクリニックでもっとこんな看護、支援をしてくれたら患者さんにとって良いのに…と思うこともあるでしょう。

それを活かし、病院やクリニック内に設けられている地域連携関連の仕事に就くことも1つです。

別の訪問看護ステーション

訪問看護の経験は、どのステーションでも役にたつでしょう。

別の訪問看護ステーションで全く違う患者さんに携わると言うもの1つの選択肢です。

他の専門性の高い訪問看護ステーションにいく

訪問看護ステーションと一言に言っても、そのステーションがどんな患者さんを多く診ているかで専門性が変わります。

認知症専門、小児専門、障がい者専門、障がい児専門など専門の分野に特化した訪問看護ステーションで専門性を活かすのも1つでしょう。

保健センターや保健所で地域保健に関わる

地域で行われている医療の現実を知っている訪問看護師です。

地域保健や地域医療の現場で求められるサービスや保障、支援を知っています。

実際の行政の現場で経験を活かすのも1つでしょう。

どんな分野であっても訪問看護の経験は役に立ちます。

訪問看護で出会える患者さんやご家族1人ひとりを大切に思い、全ての経験を大事にすることが一番重要なことなのかもしれません。

まとめ

どんな仕事をしていても、落ち込んだり、自信を失ったり、辞めたいと思ったことはありますよね。

今回は仕事の中で感じた辞めたいと思った瞬間を書きましたが、その他にも人間環境や職場環境で辞めたいと思うことはたくさんあります。

しかし看護師は人を相手にしています。

辞めたいと思っても簡単に辞められるわけではありません。

それが看護師の弱みであり、強みでもあると思います。

この文章を読んでくださった方が、訪問看護師という職業について、少し興味を持ってくださったり、共感してくださったら嬉しいなと思います。


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