言語聴覚士は専門性が高い仕事であるが故に難しい判断を迫られる場面が多くあります。

しかし、後先考えずに辞めると後悔する事があります。

辞める前にやっておくべき事、知っておくべき事、また、辞めたいと思った時にどう乗り越えていくと良いかをご紹介致します。

言語聴覚士の仕事を辞めたいと感じた8個の理由と乗り越え方とは?

言語聴覚士を辞めたいと感じるのは、患者さん、他の言語聴覚士、他職種との人間関係が原因となる事が多いです。

辛い思いを共感しなければならない

何かしらの障害を持っている方と接しなければならないため、患者さんは精神的に不安定である事が多いです。

なぜこんな病気になってしまったんだろう。

この病気は治るのだろうか。

家族はどう思っているのかなど、数多くの不安があります。

言語聴覚士は特定の患者さんと話す機会が最も多い職種です。

よって、言語聴覚士だけに打ち明ける悩みもあります。

毎日、多くの患者さんから悩みを聴いていると、時にセラピストも落ち込んでしまうことがあります。

その乗り越え方とは?

言語聴覚士は患者さんの愚痴を聴かされる事も多いですが、一方、こちらも話したい事をたくさん話せる機会があります。

目的が明確であれば、ただの会話も訓練になります。

昔話や旅の話、仕事の話など、興味深い話をたくさん聴く事ができます。

会話を楽しむ事で、自分自身のモチベーションが上がります。

また、自分に心を開いてくれる事は喜びでもあります。

相手が人生の大先輩であったとしても、客観的な意見を述べる事で相手が救われる事も多くあります。

こういった事にやりがいを感じられます。

言語聴覚療法を拒否される

言語聴覚療法を拒否される。

あるいは、非協力的である事が多いです。

これは訓練の目的が分かりにくい事や、本当に良くなるのか疑わしい事、検査でプライドを傷付けられる事などが理由として挙げられます。

ベテランの言語聴覚士も言語聴覚療法を拒否される事はよくあるそうです。

相手の立場になって考えると分かりますが、言語聴覚療法には抵抗感が強いものが多くあります。

例えば、摂食嚥下機能が低下している場合、相手の口の中をじっくりと観察する必要がありますが、見られる側にとっては良い気持ちはしません。

ましてや食事中に口腔内残渣がないか確認されるのは誰でも嫌ですよね。

特に女性は嫌がる事が多いです。

知能検査や記憶力検査においても、結果次第では馬鹿にされているように感じる事も多くあるようです。

この人は知能指数が低いので障害がありますなんて言われたら誰でも落ち込むでしょう。

その乗り越え方とは?

検査をする場合には相手のプライドを傷付けないよう十分に配慮する必要があります。

マニュアルで許されている範囲でフォローを入れる事も必要です。

検査を円滑に実施して、相手の負担を減らしてあげられると良いです。

検査のマニュアルを遵守するのは基本ですが、意図した結果が得られるのであればある程度自己流でやる事も必要です。

検査拒否や訓練拒否になってしまったらそれこそ問題があるため手順を替えましたと言えば、先輩にも通じるはずです。

患者さんが気分良く検査や訓練に取り組んでくれると仕事が楽しくなります。

人の死と向き合わなければならない

医療や福祉施設で働く上で、人の死は避けて通れません。

特に自分が担当している患者さんが亡くなられる経験はとても辛いものです。

引きずってしまうと仕事に支障をきたします。

その乗り越え方とは?

すぐに次の患者さんを担当する事になるため、次の患者さんの事を考えるのが一番気持ちを切り替え易いです。

新たな担当を持つ時が一番忙しいため、忙しくする事で悲しい出来事から離れられます。

また、患者さんが亡くなられた時、一番大変なのは看護師です。

担当の看護師は書類を書かなければなりませんし、ご家族への対応もしなければなりません。

この一連の流れはリハビリが関わる事はほとんどないため、次の仕事へ集中できるのです。

責任が重い

小児の発達障害の訓練をする場合、自分の訓練により、その子や家族がどれだけ今後の人生で苦労するか左右する事になります。

また、脳血管疾患の後遺症の訓練においても、その後の人生でコミュニケーション能力がどれだけ改善するか、言語聴覚士の腕にかかっています。

さらには、摂食嚥下障害の場合、誤嚥による死のリスクも伴うため、判断を慎重に行わなければなりません。

どれもその人の人生を大きく左右するものであり、責任はとても重いです。

その乗り越え方とは?

責任が重い事は事実ですが、やりがいがある事も事実です。

発達支援の場合、言語聴覚士にとって当たり前の知識であっても一般の方が知らない情報も多くあります。

そういった情報でアドバイスすると大変喜ばれます。

また、コミュニケーションに障害を有した方を訓練により回復する様子が見られるのはセラピストにとってとても嬉しく感じます。

そして、摂食嚥下障害の方に対して、言語聴覚士がいない施設では適切ではない介入がされている事がありますが、自分達が介入して改善する事でやりがいを感じます。

やりがいを意識する事でプレッシャーを撥ね退ける事ができると思います。

言語聴覚士は癖がある

言語聴覚士は理論的に分析する職種であるため、理屈っぽいところがあります。

一方で、リハビリの手技は100%正しいと言えない事が多く、意見を戦わせる場面が度々あります。

その乗り越え方とは?

先輩や他のセラピストが異なった意見を述べた場合でも、それが完全に正しいとは言いきれません。

折り合いを付けるために相手に分かり易く伝える事は重要です。

同じ言語聴覚士ですらちゃんと伝えられない場合、患者さんにも正しく意図が伝わっていない可能性があります。

よって、他者と意見が合わない場合は一度状況を整理し、相手に分かり易く伝えるよう工夫する事で、仕事仲間とも患者さんとも理解し合える機会となります。

他職種との連携が難しい

言語聴覚士が単独で仕事をする職場は限られています。

ほとんどの場合は多くの職種と共に働き、連携を取らなければなりません。

医師の指示や指導が必要なため、医師とは良好な関係を保たなければなりません。

看護師はリスクを回避するためにリハビリに否定的な意見をする事があります。

介護士は忙しいために、リハビリと意見が対立する事もあります。

医療従事者は互いの意見を尊重し合わなければ円滑に仕事はできません。

その乗り越え方とは?

他の職種でもそうであるように、報連相が重要になります。

単独で進めるのではなく、何かある度に周知しておけばトラブルは防げます。

どれくらいの頻度で行えば良いか分からない場合は出来る限り周知しておけば、意思疎通がし易いです。

幅広い年齢層と接する必要がある

言語聴覚士は会話する事が多いため、相手に合わせた話題を提供する必要があります。

時事問題や昔の話、子供の流行などが全く分かっていないと会話が成立しない事があります。

その乗り越え方とは?

普段からニュースを見ておく事が重要です。

また、経済や国際情勢だけでなく、スポーツの話題になる事も多々あります。

特に野球や相撲に関心を持っている高齢者が多いため、情報を手に入れておくと会話が弾みます。

また、流行歌は無限にありますが、特に有名なものは覚えておくと訓練に取り入れる事もできます。

即断即決する能力が求められる

検査や訓練の計画について、先輩から細かくアドバイスして貰えるのは最初だけで、その後は一人で即断即決していかなければなりません。

その乗り越え方とは?

自分の職場にある検査だけの情報を突き詰める事が最初は重要です。

言語聴覚士が実施する検査は数多くありますが、各施設にある検査は限られています。

一つの検査内容について、解釈を含めてしっかりと知識を入れると、その奥深さが分かります。

各検査項目についてどういう意図があるのか分かれば、訓練計画まで容易に立てられるようになります。

いろいろ試したけれど、やっぱり辞めたい!辞める前にやっておきたいこととは?

一番大切な事は経験できる事はすべて経験しておく事です。

現代社会において、情報を集めるツールはいくらでもあります。

しかし、実際に経験する機会は限られています。

担当した事の無い症状の方には積極的に介入した方が良いです。

また、頻回に実施しないVFなどの検査は積極的に経験しておくと、次の機会に活かせます。

このように、多くの経験をしておけば、転職の際に自己アピールができますし、他に頼れる人がいない場合でも困らなくて済みます。

質だけでなく量も大切です。

求人には2~3年程度の経験者を求めるものが多数あります。

いくら自分の腕に自信があっても、客観的に評価できるものが無ければ採用されない事があります。

3年以上の経験を積めば売り手市場なので、ある程度自分の進みたい転職先を選べる事ができます。

よって、職場に不満があっても、特別な事情が無ければ3年勤めれば明るい未来が待っていると自身に言い聞かせればモチベーションになると思います。

言語聴覚士の仕事を辞めた後にはどんな仕事がおすすめ?

転職の際にまず考えられるのが他の職場で言語聴覚士を続ける事です。

苦労して手に入れた資格を無駄にするのは勿体無い事です。

病院以外にも老健やデイサービスなど様々な職場があります。

それぞれかなり環境が違うため、前職が合わなかった場合は、別の職場を探してみると良いです。

一方で、やはり言語聴覚士以外の仕事に就きたいと思った場合、どういった仕事がおすすめかご紹介いたします。

言語聴覚士は報連相を他職種と比べて得意としているため、転職先でもそういったコミュニケーション能力は役立ちます。

介護職

言語聴覚士で得た医療や福祉の知識活かして介護職に就く事も可能です。

特に介護職員初任者研修は130時間のカリキュラムと簡単なテストのみで資格を得る事ができます。

介護職は引く手あまたです。

病院や施設の一日の流れを理解しているリハビリ職の人間ならすぐ仕事を覚えられます。

また、デイサービスであれば管理者になるのも良いかと思います。

ある程度の収入が見込める事と、空いた時間にリハビリに入る事もできます。

接客業

言語聴覚士を辞めても人と直接関わる仕事に就きたければ接客業も良いと思います。

幼児や低学年向けの学習教室で講師として働くのも良いかと思います。

特に幼児の平均的な発達レベルを理解している言語聴覚士は有利な仕事です。

中には言語聴覚士を募集している学習塾もあります。

事務職

言語聴覚士はWord、Excel、PowerPointを使う機会が多いため、事務職として再就職するのも一つの選択肢になります。

電話対応や報連相等、言語聴覚士の時にも行っていた作業が役に立ちます。

まとめ

言語聴覚士は専門性の高い職業です。

したがって、難しい判断をしなければならない事が多いです。

初めて会う人の症状をすぐに理解して適切な検査や訓練へと繋げていきます。

難しい内容ですから、自分や他人にも理解し易いよう書き記す必要があります。

学生が終わってもレポートのように書き続けなければならないため、文章を書く事が苦手な人にとっては苦痛です。

また、自分は正しいと思ってやっている事も、間違いではないかと指摘される事もあります。

しかもその相手の意見が正しいとも限りません。

言語聴覚士は日々新たな知識を吸収しなければならないため、疲れて辞めてしまう人も多いと思います。

人から色々指摘されて疲れてしまう事もありますが、一方で、新人にしかできない事もあります。

勉強会の参加条件には、言語聴覚士免許取得1年以内限定のものもあります。

外部の勉強会だけでなく、院内で質問するにしても、新人以外に手取り足取り指導している余裕はどこの病院もありません。

よって、色々周りから意見が貰えるのは最初の1~2年程度なのです。

言語聴覚士の仕事は何が正解か判断がつかないものが多いため、最初のうちはできるだけたくさんの事を吸収すると良いと思います。

それは言語聴覚士の先輩だけでなく、他職種の人からも知識や技術を学ぶと良いです。

それでも、どうしても辞める事になった場合は、一度は言語聴覚士として別の場所で働く事をおすすめします。

資格を取る事は簡単ではないですし、同じ言語聴覚士を名乗ったとしても、職場によって仕事のし易さは大きく変わります。

全国で言語聴覚療法を必要としている方は多くいます。

そういった方々の為に活躍できる言語聴覚士が増える事を望んでいます。


関連キーワード

言語聴覚士求人